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骨髄バンク推進月間(10/1 〜 10/31)に寄せて

狩俣かおり

ハートライフ病院血液内科 狩俣 かおり

はじめに

白血病・再生不良性貧血・悪性リンパ腫など の患者さんの中には、造血幹細胞移植が必要と なる方がいます。数十年前であれば不治の病だ ったこれらの病気に対して、約40 年前に骨髄 移植という画期的な治療法が出現し、日本では 1977 年に第一例が施行されました。骨髄移植 に用いられる造血幹細胞は、末梢血から回収し た末梢血幹細胞や出産時に採取した臍帯血な ど、骨髄液以外にも入手方法が多様化しており 造血幹細胞移植と総称されています。患者さん に大量化学療法や全身放射線照射を施行した 後、健常ドナーの造血幹細胞を静脈内に輸注し て移植します。

現在の骨髄バンク

移植が行える条件として、患者さ んとHLA が一致したドナーが必要 となります。日本では血縁者の中か ら提供できる確率は30 %くらいと言 われています。残りの70 %の患者さ んは赤の他人からドナーさんを探し 出さないといけません。そのために 骨髄バンクがあるのです。非血縁で はHLA が一致する確率は数百から 数十万分の1 なので、少なくともそ れ以上のドナープールが必要となり ます。

今年6 月末現在での骨髄バンクド ナー登録者数は385,349 人です。そ のうち沖縄県は16,107 人であり、 人口比における登録数は全国一で、 全国平均の約4 倍です。これは県民として誇るべきことです。実際の骨髄バンクを 介した移植実施数累計は全国で13,072 件、沖 縄県内での実施数は35 件です。ここ2 年は全 国で年間1,200 件以上の骨髄バンクを介した移 植が行われており、年々増加しています。

沖縄県の現状

骨髄バンクを介したドナーから移植をするに は日本骨髄移植推進財団が認定した施設でしか 行えません。しかし、沖縄県で唯一骨髄バンク の認定施設であった琉球大学は血液内科医不足 により約2 年前から成人の骨髄移植が困難とな りました。

実際にその期間は骨髄バンクからの移植が必 要な患者さんは県外の施設で移植を行わなけれ ばならず、その精神的・経済的負担は計り知れ ないものがありました。

我々ハートライフ病院は2000 年より末梢血 幹細胞移植を行って参りましたが、さらに沖縄 県における骨髄バンクの移植拠点病院となるこ とを目指して2009 年10 月から血縁者間骨髄移 植を新たにはじめました。症例を積み、2010 年10 月には非血縁者間(骨髄バンクを介した) 骨髄移植・骨髄採取認定施設を取得しました。 2011 年1 月に当院初の非血縁者間骨髄移植・ 採取を行い、9 月現在までに非血縁者間骨髄移 植11 例・採取7 例を行っております。

今後も骨髄移植数、採取数を増やしていき、 近い将来臍帯血移植も含め造血幹細胞移植は県 内で完結できるようにしたいと思っておりま す。今後もより高度で専門性の高い医療を県民 の皆様に提供できるように邁進して参ります。

ドナー登録

ドナー登録できる条件は以下の3 点です。

  • 1)骨髄提供の内容を十分に理解している方
  • 2)年齢が18 歳以上、54 歳以下で健康な方
  • 3)体重が男性45kg 以上、女性40kg 以上の方

沖縄県では3か所が受付窓口になっております。

  • ・久茂地献血ルーム 098-834-3200
  • ・中部福祉保健所  098-938-9701
  • ・北部福祉保健所  0980-52-5219

ハートライフ病院血液内科では、栗山一孝先生(琉球大学医学部保健学科血液免疫検査学教授)に
週一回来ていただきカンファを行っています。(左から大濱、小生、平良、栗山先生、山入端、宮城)