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琉球大学医学部長 須加原 一博 先生

須加原一博先生

「明るく、楽しい、元気の ある、かつ夢のある医学部」 を目指し、大学病院の再開 発と連携して、21 世紀の新 しい医学部を構築していき たいと考えています。

Q1.琉球大学医学部長ご就任おめでとうござ います。医学部長となられて、今の率直な 感想をお聞かせ下さい。

また、臨床、研究、人材育成の課題の中、 今後の抱負をお聞かせください。

先ず、県医師会の皆さんには3 年間理事にも 加えて頂き、たいへんお世話になりありがとう ございました。いろいろ勉強になりました。特 に、大学病院との連携を強く進めて頂き心から 感謝しています。御陰さまで附属病院長として は、3 年間思った以上に運営できたと考えてい ます。あと1 年病院長の任期があり、残された 仕事の完結を目指していましたので、少し残念 な気持ちもあります。ただ、医学部におけるレ ベルの高い教育、研究のしっかりした基盤がな ければ、質の高い医療人養成や医療の提供はで きませんし、県民からの信頼を得ることもでき ないと考えています。大学病院の使命・役割を 果たすためにも、医学部における教育、研究の 充実が重要です。「明るく、楽しい、元気のあ る、かつ夢のある医学部」を目指し、大学病院 の再開発と連携して、21 世紀の新しい医学部 を構築していきたいと考えています。ご支援、 ご協力の程よろしくお願いいたします。

Q2.現在進められております貴学、県、本会 が一つになって立ち上げたプロジェクト 「沖縄クリニカルシミュレーションセンタ ー」の設置につきましては貴学が中心とな って取り組んでいただきましたが、現在の 進捗状況と、当センターの機能、将来の展 望等についてお聞かせください。

ご存知のように、県や県医師会のご協力で沖 縄県全体の医療連携により設置された共同利用 施設「沖縄クリニカルシミュレーションセンタ ー」は、沖縄県の医療全体が新しい変革、発展 を迎えている証と感じています。この4 月大学 構内の立体駐車場がオープンしましたので、6 月頃から本格的に工事に着工し来年3 月には竣 工する計画だと思います。医学生の教育、初 期・専門研修におけるスキルアップ、離島勤務 での再教育・訓練、女性医師の復職研修などを 含め、医師だけでなく、看護師はじめすべての 医療関係者の生涯教育研修の場として、それぞ れの程度にあった教育訓練ができ、質の高い医 師やコ・メディカルの養成に繋がるものと期待 しています。医学、歯学、看護、救急・救命医 療教育の発展に大いに寄与する教育研修施設に なると期待しています。そして、今回の東日本 大震災のような災害医療に対する教育訓練にも 大いに役立つものだと確信しています。このセンターを如何に生かし発展させ、有効利用でき るかが大学に問われていると感じています。臨 床研修教育県として名高い沖縄県の新たな目玉 になり、アジアの教育拠点に発展するものと期 待しています。

Q3.貴学部では地域枠の学生の定員数を増加 するなど、医師不足に対応する人材育成機 関として大事な役割を担っておられますが、 今後の方針をお聞かせください。

地域枠学生については、医学教育企画室を立 ち上げ、新しい2 つの寄附講座や地域医療部な どが中心となって、早期に地域医療に触れさ せ、その重要性を理解させる一方、できるだけ 一般学生と差別することなく平等な教育をして いきたいと考えています。離島・僻地医療は地 域枠学生に任せればいいというようなことにな らないためにも大切なことだと考えます。大学 の役割として、地域医療を担う、社会のニーズ に応える強い使命感を持った医療人を養成でき る教育システムを作り上げることが重要と考え ています。さらに、IT を使った遠隔医療シス テムの充実も重要で、離島で診療していても、 大学とシステムで結ばれ、必要な時に大学の診 断、治療などの支援が即座に受けられるよう な、従って離島医療とか僻地医療とかを意識し ないで安心して楽しく診療できるような体制の 確立が早急に必要だと感じています。そして、 すべての医療機関が連携した循環型医師派遣シ ステムを確立することで、医師不足問題を解決 できればと考えます。

Q4.県医師会に対するご要望がございました らお聞かせください。

先ず県医師会の皆さんが毎週協議事項を2 時 間以上も討論し、県の医療・福祉保健の改善に 努力されていることに、深く敬服しています。 県全体の医療体制を広い視野に立って、また最 新の知識を導入して、問題点や課題を解決し質 の高い安全な医療を提供していく上で、県医師 会の役割は非常に大きいと考えています。これ からその役割は益々重要になっていくものと期 待しています。

Q5. 沖縄県でも地震・津波等に対する対策が 必要と考えられます。琉球大学医学部・附 属病院としての災害に対する構想があれば お知らせ下さい。

現在大学の再開発計画を検討していますが、 その中に災害(防災)医療センターの設置を挙 げております。島嶼県でもあり、いろいろな災 害に対して孤立する可能性も高く、独自の体制 が必要と早くから感じていました。特に、シミ ュレーションセンターによる教育訓練は重要な 役割を持っていると考えます。ハワイ大学やピ ッツバーグ大学などと連携して、最新のものが 導入できると考えています。県全体の医療計画 の中に導入し、早急な体制作りが必要でしょう。

Q6.最後に日頃の健康法、ご趣味、座右の銘 等がございましたらお聞かせ下さい。

大学時代はラグビーをやっていましたので、 野球などスポーツをするのは好きです。できる だけ休日には運動するようにしています。休日 は大学まで歩いたりしています。石嶺から片道 40 分近くかかります。また、近くのジムで運 動をしたりしていますが、この頃体力の衰えを 感じています。

特に座右の銘はありません。一言で言えば 「passion、情熱」でしょうか。

この度は、インタビューへご回答頂き、誠に 有難うございました。

インタービューアー:広報委員 金谷文則