沖縄県医師会 > 沖縄県医師会の活動 > 医師会報 > 9月号

初期臨床研修医として思うこと

名嘉村敬

中頭病院初期臨床研修医(2 年目)
名嘉村 敬

私は初期研修でたくさんの症例を経験したい と思い、市中病院で症例の多い中頭病院に希望 を出しました。晴れて就職することができ、実 際に多くのことを経験させて頂いています。

仕事を始めてまず実感したことは医者という 業種は特殊なものであることでした。というの も、まだ社会人になって2、3 ヶ月にも経たな い自分が、ベテランの看護師さんに指示を出す 立場にあるということです。経験的にどんな指 示がでるのかを予測している看護師さんに「こ の患者さん心不全既往ある人で、今呼吸きつそ うだけど」と言われても最初は何をどうすれば 良いかわからず、後から「先生酸素あげるな り、利尿剤とかやらないの?」と言われる始 末。上の先生がテキパキと指示を出すのです が、1 年目であっても医者なのだから、自分が しっかり患者さんの方針を立てていかないとコ メディカルの人たちも動けないのだとわかりま した。もちろん、指導医の先生方や先輩達が近 くにいて適切な指示や、自分の至らない点に対 してフォローしてくれます。しかし先輩達の助 けがある今だからこそ、治療や方針に対する自 分の考えをしっかり持ってフィードバッグを受 けていくべきだと思いました。

中頭病院で恵まれていることは、指導医や上 級医の先生が豊富で、自分がしたことに対しフ ィードバックを得られやすいことです。先生に よっては優しく教えてくれる方、自分に考えさ せるように誘導をしてくれる方、厳しい口調の 方と様々です。自分が至らない事をした時には 怒鳴られもします。いずれも自分にとっては貴 重な経験となっています。

私は1 年目で内科、外科、救急、麻酔科をロ ーテートしました。ローテートを終えて感じた のは、各科でそれぞれのものの考え方、視点が あることでした。もちろん短い期間で、全てに 精通することは不可能ですが、様々な専門の分 野を持つ先生方の視点に触れることは貴重な経 験となっています。また私はあちこちで失敗し、 先生によく怒られます。その時は反省し、時に は落込みますが、怒られた事はなかなか忘れ ず、それも自分にとっては貴重な経験・知識と なって残ります。怒ってくれる指導医や先輩が いることも自分にとって恵まれていることです。

研修生活を送っていく上で、大事なことの1 つに同期の仲間の存在があります。仕事で忙し い時期が続くときや、失敗続きで気分が落込み がちな時も同期の人と話をすることで、エネル ギーをもらっています。ほんとにすばらしい仲 間に巡り会えたことを嬉しく思います。

さて、今年の4 月からは私も2 年目となり、 今までは自分のやるべきことを上の先生に相 談・報告するという立場から、私が1 年目の先 生達から質問を受ける立場になりました。その 立場になって感じたのは、良くいわれているよ うに、人にものを教えることはいかに難しいか ということです。私自身がしっかり理解してい ないと、うまく言葉で説明できないことが多々 あります。そのことが、また勉強しなおそうと いうモチベーションになります。

今まで述べてきたように、私は様々な人か ら、色々な力をもらっています。指導医の先 生、同期の仲間達、やる気に満ちあふれた1 年 目の先生、コメディカルの方々、何よりも患者 さん。このようなすばらしい環境で過ごせてい ることに感謝し、これからも楽しく実のある研 修生活を送っていきたいと思います。