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「がん征圧月間」(9/1 〜 9/30)について

増田昌人

琉球大学医学部附属病院がんセンター
増田 昌人

9 月は、財団法人日本対がん協会が定めた 「がん征圧月間」です。

日本対がん協会は1958 年がんの早期発見や 早期治療、生活習慣の改善によって、「がん撲 滅」を目指そうという趣旨で設立されました。 1960 年から毎年9 月を「がん征圧月間」と定 め、がんとその予防についての正しい知識の徹 底と早期発見・早期治療の普及に全国の組織を あげて取り組んでいます。毎年9 月に「がん征 圧全国大会」が開催され、この大会で採沢した 大会宣言・決議に基づいて、がん対策の要望を 国会と政府諸機関などに提出しています。

沖縄県においては、1967 年に財団法人沖縄対 ガン協会が設立され、その後の統合等により、 1992 年からは財団法人沖縄県総合保健協会が 日本対がん協会沖縄県支部を兼ねています。長 年にわたって、がんに関わる検診・検査事業、 広報・普及・啓発事業を精力的に展開している のは、会員の先生方のご存じのとおりです。

『がん制圧』に関する沖縄の新しい取り組み

1 「リレー・フォー・ライフ ジャパン」
(http://www.jcancer.jp/relay/)の開催

「リレー・フォー・ライフ」は、1985 年に 米国対がん協会の医師が始めたイベントです。 陸上競技場等を医師、患者やその家族、友人が 数人ずつのチームを組むリレー形式で、24 時 間歩き続けるなかで、参加者の間にがんと闘う 連帯感が生まれました。現在では全米四千か所 以上、世界20 か国以上で行われるようになり ました。共通するプログラムとして「サバイバ ーズ・ラップ」(がんと闘う人たちの勇気を称 え、がん患者やがんを克服した人たちが歩く)、 「ルミナリエ」(がんで亡くなった人たちを偲 び、一人ひとりの名前を記した紙袋の中にろう そくを灯して並べる)などがあります。

日本では2006 年に日本対がん協会が後援し て茨城県つくば市でトライアルとして開かれた のが最初でした。2008 年度には沖縄を含む全 国の7 か所で開催され、参加者は1 万3 千人を 超えました。

今年3 月14 ・15 日には、沖縄県で初めて 「リレー・フォー・ライフ ジャパン」が北谷 町陸上競技場で開かれました。初めての開催に もかかわらず、600 名以上のがん患者さんとそ の家族、ご遺族、ボランティア、医療関係者が 参加しました。

「リレー・フォー・ライフ ジャパン 2009in 沖縄」は、来年の3 月13 日(土)・14 日(日)に、今年と同じ北谷町陸上競技場で開 催されることが決まっています。8 月22 日に は、第1 回実行委員会が開かれました。実行委 員会への参加はどなたでも可能ですから、県医 師会会員の先生方のご協力をお願いします。

2 沖縄県がん診療連携協議会
(http://www.okican.jp/)の設立

昨年2 月に琉球大学医学部附属病院(以下琉 大病院)が厚生労働省から都道府県がん診療連 携拠点病院(以下がん拠点病院)に指定されま した。

それを受けて、昨年9 月30 日に沖縄県がん 診療連携協議会が発足しました。この協議会 は、4 つのがん拠点病院(北部地区医師会病 院、県立中部病院、那覇市立病院)の連携を図 るだけでなく、沖縄県のがん医療全体を協議する場となっています。協議会のもとには、「緩 和ケア」、「地域ネットワーク」、「普及啓発」、 「がん登録」、「研修」、「相談支援」の6 つの部 会が組織され、それぞれ毎月1 回部会を開き、 2 〜 4 時間討論しています。その中で、新しい 試みが次々と生まれています。その中から、い くつかを紹介します。

(1)沖縄県のがん対策に関するタウンミーティ ング(協議会主催)

9 月5 日(土)午後1 時から4 時、浦添市て だこホールで開かれます。タウンミーティング とは、地域住民の参加により予算、法律、その 他自治体に関わる今後の政策事項を話しあう集 会のことです。がん領域に関しては、沖縄県で は初の試みになります。会の最後には、「一粒 の種」の砂川恵理歌さんのミニライブも予定し ています。

(2)院内がん登録の普及と地域がん登録のシス テム改革(がん登録部会)

現在、県内の11 施設で院内がん登録が行わ れています。まだ導入していない施設には琉大 病院がんセンターの診療情報管理士が伺って研 修会を行っています。この制度を利用して、宮 城信雄会長が理事長を務める沖縄第一病院が今 年から院内がん登録を開始しています。

また協議会から沖縄県へ要望していた地域が ん登録と院内がん登録の提携が実現し、院内が ん登録データを用いての地域がん登録が可能と なりました。

(3)緩和ケア研修会(緩和ケア部会)

がんに関わるすべての医師が基本的な緩和ケ アを提供できることを目標に、全国で行われて います。沖縄県でも昨年は4 回開催され、好評 を博しています。実質延べ14 時間の研修会で、 今年も9 月13 日(日)・27 日(日)、11 月14 日(土)・15 日(日)、12 月19 日(土)・20 日(日)、来年1 月30 日(土)・31 日(日)の 4 回が予定されています。さらに、来年には宮 古地区と八重山地区での開催も計画しています。

(4)5 大がん(肺癌、胃癌、大腸癌、肝臓癌、 乳癌)の早期診断のための研修会(研修部会)

9 月24 日(木)には「乳癌の早期診断のた めの研修会」が開催されます。また、「胃癌」 が11 月19 日(木)、「大腸癌」が来年1 月21 日(木)に開催予定です。いずれも、午後6 時 から、県医師会館で開催されます。講師は沖縄 県を代表する先生にお願いしましたので、ご参 加をよろしくお願いします。

(5)5 大がんの地域連携クリティカルパスの作 成(地域ネットワーク部会)

9 月9 日(水)午後7 時から、琉大医学部管 理棟大会議室にて、各パスのワーキングループ の発表会があります。今後は、各方面の先生方 にご意見を頂いたのちに正式決定とし、地区医 師会毎に報告会兼勉強会を計画しています。

(6)がん患者ゆんたく会(以下、ゆんたく会) (がん拠点病院主催)

がん患者サロンと患者会を兼ねた「ゆんたく 会」を各地で毎月開催しています。9 月は、4 日(金)沖縄ゆんたく会(午前10 時から、琉 大医学部管理棟)、10 日(木)名護ゆんたく会 (午後2 時から、ホテルゆがふいんおきなわ)、 16 日(水)患者サロン(午後1 時30 分から、 那覇市北保健センター)、28 日(月)中部ゆん たく会(午後2 時から、うるま市健康福祉セン ターうるみん)で開催予定です。

このように、昨年から、県医師会の先生方の ご協力を得て、協議会および部会において『が ん制圧』に関する新しい取り組みが開始されて います。今後とも、ご協力をよろしくお願いし ます。

なお、各種研修会等の問い合わせは、

  • 琉球大学医学部附属病院がんセンター
  • 903-0215 西原町字上原207 番地
  • 電話:098-895-1368, 1369
  • FAX : 098-895-1497
  • URL : http://www.ryukyucc.jp
  • E-mail: mail@ryukyucc.jp

までお願いします。

(拙稿は、一部を財団法人日本対がん協会ホー ムページから引用させていただきました。)