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のうだま−やる気の秘密
〜三日坊主の克服するに耳寄りの話〜

石川清和

今帰仁診療所 石川 清和

「のうだま−やる気の秘密」

上大岡トメ、池谷祐二著 幻冬社

「継続は力なり」「学問に王道なし」「千里の 道も一歩から」と一つのことを継続することの 大切さを説く言葉は多数ある。しかし、なかな か継続できないのが悩みの種でもある。新しい 年を迎え、新しいことに取り組んだのに三日坊 主に終わってしまった方へお勧めの本です。

東大の若手の精鋭脳科学者池谷氏がアイデア を出し、イラストレーターで単行本「キッパ リ」などの著者上大岡氏がイラストつきの読み やすい本にまとめた。飽きる事を、科学的に解 明し、継続する方法を科学的に説明する。中高 生から読めるので、飽きっぽい子供がいたら贈 ってあげたい一冊でもある。

新しいことを始めるとき、やる気になったと き淡蒼球が働いている。しかし、淡蒼球は自分 の意思で動かすことのできない無意識の領域に あり、何かをすることによってスイッチを入れ るしかない。

その主な方法が以下の4 つである。

B Body 体を動かすことによって入るスイ ッチ、運動野にある。

E Experience いつもと違うことをする事 によって入るスイッチ、海馬にある。

R Reward ご褒美をあげる事によって入 るスイッチ、テグメンタにある。

I Ideomotor なりきる事によって入るスイ ッチで前頭葉にある。

私事で恐縮だが、中学生の頃毎日のように走 っていた。部活に入っていたわけでもなく、夕 方や朝とにかくランニングをしていた。短距離 走が苦手でそれを克服するために始めたのだが それが継続できたのも上記の4 つのスイッチを 知らず知らずのうちに押していたとのだと思 う。B 気乗りのしない日もとにかく靴を履いて 玄関を出るようにしていた。家の近くを一周す るだけでも良いと思って家を出ると、そのまま すぐ帰ってくるときもあったが、走っているう ちにやる気が出てきて走る距離を伸ばすことも あった。E コースは海岸だったり、川沿いの農 道だったり、100m や長い階段を全力で走った りと変化をつけていた。R しばらく続けること で、長距離が速くなっていた。クラスで1 〜 2 位を争うようになり、短距離では常に背中を見 ながら走っていただけにとても気持ちのいい事 で、走ることが病みつきになった。I 走りなが ら長距離走のゴールをイメージし自分が勝者と なってテープを切ることを想像しながら走った りした。

今考えるともう一つ、小学校時代は短距離で はいつもどん尻で、女子よりも遅いという屈辱 があったのも動機なのだと思う。

更に、実践編ではやる気のスイッチを押し、 継続するための16 の方法を伝授する。3 日坊主 は必ず克服できる、まずは動くことから始めて みませんか?