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平成18年度都道府県医師会
生涯教育担当理事連絡協議会

常任理事 安里 哲好

去る3月16日(金)、日本医師会で行われた 標記協議会について次のとおり報告する。

唐澤会長挨拶

日本医師会では、昭和59年に医師の生涯教 育を重要な政策の一つとして取り上げ、昭和62 年より、日本医師会生涯教育制度をスタートさ せた。本年3月をもって満20年を迎える。

同制度は、種々の学術団体が進めている専門 医制度とは異なり、特定の専門制を発展させる のではなく、主としてかかりつけ医(幅広い診 療能力、地域医療第一線の医師、自身の専門性 を基盤とした全人的医療等)を支援する事業で あると理解している。

しかし、まだ社会は医師不信、医療不信を声 高に唱え、医師の臨床能力がその資質、専門資 格を疑問視し、医師免許更新制や保険医再登録 制を求める声も収まらない。

全国各地で開催される講習会等で医師がどん なに生涯教育に励んでも、国民や社会には見えに くく、認められていないというのが現状である。

日本医師会は、学術推進会議の委員に対し、 国民に理解され、支持されるに相応しい内容の 生涯教育制度を確立していただくことと、日医 による認定医制度が可能であるかどうかを検討 していただいている。

本日は、今後の日医の生涯教育に対して、忌 憚のない意見を賜りたい。

議 事

(1)生涯教育制度関連事項報告

日本医師会飯沼常任理事より、生涯教育制度 に関する報告が下記のとおり行われた。

T.学術推進会議

日本医学会と協力して、教育・研究に関する 諸問題を検討する諮問会議であり、日医三大諮 問会議の1つである。

平成16年11月、日医植松前会長より、「我が 国における専門医のあり方」、平成18年10月、 日医唐澤会長より、「かかりつけ医の質の担保 について−日医認定かかりつけ医(仮)の検 討」について諮問がなされた。

その中で、専門医制についての提言として、 (1)専門医制を「認定医」と「専門医」の二段 階制にする。(2)特定専門医(仮称)を設定す る。(3)専門医に関する第三者機関の設置 (2006/8/25に日本専門医制審議会が発足し、 当面、日本専門医認定制機構の外部評価的な役 割)。(4)専門医制の新たな構築による医療提 供体制の整備があげられた。

今期の学術推進会議への諮問については、今 後、作業部会を設け、認定医制の素案作成に着 手することとしており、名称は「総合診療医」 あるいは「総合医」が浮上している。

日医の認定医(飯沼私案)として、初期臨床 研修修了後、医学会分科会や第三者評価等の協 力を得ながら、3年で日医認定「総合診療(臨 床)医」あるいは「総合医」を取得する。その 際は、日医会長が認定し、臨床経験30年以上 には、特別措置を講ずる。

U.生涯教育推進委員会

日本医師会は昭和62年、都道府県・郡市区 医師会の生涯教育を推進するための環境整備、 支援を図ることを目的に、日本医師会生涯教育 制度を発足した。

具体的実行は、各地域の医師会の主体性に委 ねており、医学的課題のみならず医療的課題も 重要である。また、積極的な病診連携を図る等、 体験学習を積極的に取り入れることとしている。

しかし、医師が生涯教育に取り組んでいる姿 が国民にはみえにくく、分かりにくいのが現状 である。一方、単位の自己申告率は、増加傾向 にある。

生涯教育の成果を量的に判断するのであれ ば、100%が望ましいが、それは義務化になる。 重要なことは、質の問題であり、生涯教育の目 標、方略(方策)、評価のあり方を見直す必要 がある。

今期の生涯教育推進委員会への諮問は、「日 本医師会生涯教育制度の有効性について」とな っており、今年度から次年度にかけて、生涯教 育制度の目標を明確に打ち出すために「生涯教 育カリキュラム」の改訂作業を進めているとこ ろである。また、方略(方策)、評価について も具体的に検討していく。

V.学術企画委員会

○日本医師会雑誌の編集企画

  • 1.通常号の特集企画
  • 2.特別号(年2号:6月、10月刊行)の企画
  • 3.小記事・連載シリーズ等の企画および執筆

○日医生涯教育協力講座の企画

  • 1.ラジオNIKKEI「医学講座」番組
  • 2.テレビ東京「話題の医学」番組
  • 3.インターネット生涯教育講座
  • 4.セミナー「脳・心血管疾患講座」および セミナー「精神・心身医学的疾患講座」
  • 5.日医雑誌綴込「カラー図説」

W.医師の臨床研修についての検討委員会(プ ロジェクト)

平成16年にスタートした新医師臨床研修制 度は、一定の成果を上げ、評価されている一 方、研修医の大学離れや基礎医学研究の減少、 地方・へき地医療崩壊の危機などの問題を顕在 化させた。

当委員会はこれまで、4回の委員会を開催し てきたが、諮問は特にない。ただし、問題点を 確実にあげて、検討していくこととしている。

主な意見としては、卒業生8,000人に対して、 12,000人の受け皿があり、臨床研修病院の中に は医師標欠病院もあるのは疑問である等、臨床 研修制度については、さらに時間をかけて評価 されるべきであり、次年度も継続して当委員会 を開催することになった。

(2)生涯教育推進委員会活動報告

日本医師会生涯教育委員会福井次矢委員長 より、標記委員会の活動について、下記のとお り報告があった。

昨年7月に唐澤会長より、「日本医師会生涯 教育の有効性について」検討するよう諮問がな された。

これを受け、当委員会では、生涯教育の目的 を明確化(将来は方略や評価についても検討) するために「日本医師会生涯教育カリキュラ ム」の改訂作業を今年度から次年度にかけて行 っている。

同カリキュラムの内容は、プライマリ・ケアの専門医としての総合医(総合診療医)一人ひ とりが、最低限、身に付けておくべき臨床能力 (知識・技術・態度)を明示しており、『基本的 医療課題』と『医学的課題』を次のとおりあ げ、今後検討していく。

『基本的医療課題』

  • T.社会的使命、プロフェッショナルリズム
  • U.医療倫理
  • V.医師患者関係とコミュニケーション
  • W.医療制度と法律
  • X.医療の質と安全性(医療経済を含む)
  • Y.予防医療と保険福祉事業
  • Z.チーム医療と地域医療
  • [.医療情報
  • \.その他

『医学的課題』

新医師臨床研修制度の到達目標として挙げら れている35の経験すべき症状・病態・疾患(頻 度の高い症状)、17の緊急を要する症状・病体に ついて鑑別診断と初期対応、適切なタイミング での紹介などができる臨床能力を身に付ける。

その他、これまで継続して行ってきた活動と して下記をあげた。

1)日本医師会主催「指導医のための教育ワークショップ」の開催。

2)都道府県医師会主催「指導医のための教育ワークショップ」の承認。

3)「知っておくべき新しい診療理念」の新しいテーマの選択。

4)医師国試作成問題講習会の開催。

(3)都道府県医師会生涯教育活動事例報告

1)沖縄県医師会(指導医の育成から始まった地域医療臨床研修委員会の活動)

安里哲好

私(安里)より、 『指導医の育成から 始まった地域医療 臨床研修委員会の 活動』と題して、 下記事項に沿って、 本会の活動報告を 行った。







T.地域医療臨床研修委員会の現状

U.新医師臨床研修との関わり

  • 1)沖縄県の3研修病院群
  • 2)研修医との交流会
  • 3)研修医の経年的推移
  • 4)アンケート調査−臨床研修に関するアンケート調査結果(第1期生)
  • 5)マスコミとの懇談会

V.指導医の育成について

  • 1)指導医のための教育ワークショップ(3回)
  • 2)指導医のためのステップアップ講習会

W.後期臨床研修(専門医研修)との関わり

  • 1)研修医一期生140名の進路について
  • 2)地域医療臨床研修委員会での議題
  • 3)後期臨床研修:3機関が連携確認
  • 4)平成19年度事業計画:初期研修に続く 後期研修医の確保と研修システムの構築 を行政及び他組織と共に図る。

2)東京都医師会

東京都医師会上出良一理事より、下記のとお り報告があった。

【新医師臨床研修制度「地域保健・医療」に関す る指導医・研修医へのアンケート結果について】

東京都医師会では、会員及び地域の医師会と のかかわりが大きい地域医療研修に関し、研修 修了後の状況等を把握するため、都内13大学、 都立病院における研修医及び「地域保健・医 療」研修協力施設指導医に対し、アンケート調 査を実施した。

≪研修医に対するアンケート結果について≫

回答数が392名で、約40%の回収率であった。

現状としては、病院では経験できない様々な 地域医療の現場を経験でき、概ね研修カリキュ ラムに満足しているが、33%が満足していない という回答であった。

また、地域医療の内容がほぼ理解できたとす る者が92%であった。

改善点としては、医師であるので学生実習と 同じような見学型の研修ではなく、参加型にし てもらいたい。また、研修期間については、特 に保健所研修が長すぎる等、検討を要する課題 があるとした。

≪指導医に対するアンケート結果について≫

回答数が195名であった。

現状としては、研修の評価が難しいとの回答 が50%で、教育ワークショップに参加したこと がない者が60%を占めていた。

また、地域医療研修は、研修医が地域医療の 現状や医師会を理解するのに有用と思うが 91%を占めていた。

改善点としては、研修病院の担当者との事前 協議の充実、評価法を分かりやすくする、指導 医ワークショップへの参加促進、医療過誤が生 じたときの対処法の整備、報酬・経費のサポー ト等を今後の検討課題としてあげた。

【東京都医師会主催「日本医師会生涯教育講座」 アンケート結果について】

東京都医師会では、平成18年4月〜平成19年 2月開催分の「日本医師会生涯教育講座」に関 するアンケート調査を回毎に行ってきた。

アンケート結果から、開催日時が木曜の午後 であるためか、70歳以上の参加者が60%を占 めている。

また、勤務形態では、開業医が53.8%、勤務 医が32.8%と開業医の占める割合が半数を超え ていたが、以外に勤務医の参加が多く見られた。

講演内容については、時に難しいとの回答が あったが、概ね役に立つとの評価であった。

今後、希望するテーマを自由記載していただ いているので、企画の際の参考にするととも に、開催日時について、参加者の要望を踏まえ て変更したい。

3)千葉県医師会

千葉県医師会石川広己先生より、下記のとお り報告があった。

【インターネットを利用した生涯教育(e-learning)】

千葉県医師会では、PowerPointと動画を連 動させたコンテンツ配信ソフト「メディアデ ポ」を利用し、インターネットによる講演の閲 覧・聴講を会員向けに配信している。

同システムは、メディアデポとコンテンツを 医師会内のサーバーに置いて、各地の講演会に 事務局1人を派遣し、ビデオ収録を行ったもの をスライド(PowerPoint)と結合している。また、閲覧状況を事務局でまとめ、単位を積算し ている。

特徴は、全県の医師会員が対象で、インター ネット環境があればどこでも視聴可能、実際の 講演と変わらぬ臨場感、続きが簡単に視聴でき る他、簡単な試験やアンケート、事務局での視 聴率・学習進度等の把握、受講単位1単位の取 得等がある。

今後の活用として、1)全県的な普及、2)周知 徹底したい情報の配信(新型インフルエンザ・ BCG接種情報等)、3)専門医・認定医更新単位 取得の受講、4)日本医師会、県医師会からの主 張・見解(混合診療問題・医療費抑制政策等) 等を配信したい。

【セミナー慢性呼吸器疾患講座について】

去る4月8日にセミナー慢性呼吸器疾患講座 を開催した。

当講座では、ガイドラインを中心に気管支喘 息に対する新しい戦略として、「小児気管支喘 息」及び「成人気管支喘息」の講演を行った。

また、新たな試みとして、業者等を交えた 「吸入薬の正しい吸入指導」及び「ピークフロ ーの指導」のグループ実習を行った。

参加者からのアンケートより、特に参考にな ったセッションとして最も多かったのが、グル ープ実習で、非常に好評であった。

生涯教育は「かかりつけ医宣言」運動の一つ の重要な柱として認識し、会員の興味を引く内 容や運営など工夫を凝らすことが大切である。

更には、会員の利便性についても考慮し、計 画することも必要であり、千葉県では今後も会 員の生涯教育に力を注ぎたい。

質疑応答

認定医・登録医制度と医師の生涯教育につ いて(滋賀県)

最近、各種の認定医・登録医が設定され、そ の名称も複雑多岐になっている。

一般国民は、その名称の意味を理解できるで あろうか。理解されないと医師仲間だけで通用 する符丁になってしまうのではないか。

国民の理解には、general physician(適切 な日本語を待望する)と専門医の両区分で充分でなかろうかと考えている。

さまざまな認定医・登録医などいたずらに多 くの資格を制定することは問題を複雑にするだ けで、社会からの認知につながることにはなら ないと考える。また、簡明な枠組みは来年度か ら創設される高齢者医療制度の運用を誤らせな いためにも必要ではないかと考えているが、日 本医師会の考えを伺いたい。

A.飯沼常任理事回答

貴殿のおっしゃるとおりである。

日本医師会の基本的な考え方は、イギリス流 の家庭医というものを100%拒否しなければな らないと考えている。よって、家庭医=人頭割 というイメージは我々には全くない。

最近の情報によると、国が認定かかりつけ医 なるものを言い出した。それを使い後期高齢者 の資格を持っているものを当てはめようという 話があがっている。当委員会では、地域医療に 関する委員会と一緒になってそれを潰そうと考 えている。

日医の方向性としては、ワーキンググループ にて、認定総合医(仮)を作ることで検討して いる。

また、医師免許更新について、しっかり対応 すべきであると考えている。現在、免許更新制 に対応できる内容で生涯教育カリキュラムの改 訂作業を進めている。

A.岩砂副会長

英国のホームドクターは、登録すれば、1〜 2年続き、変えることができない。オーストラ リアは、常に変えられる。我々もオーストラリ アと同様な方法で検討していく。

日本には、学会に認定されていいものだけで 102の医学会がある。その中で、認定医や専門医 が分けられつつある。生涯教育を目的としたか かりつけ医や総合診療医については、これら学 会と関わりつつあるが、その大きな流れの中で どうしたらよいのかを今後、見極めていきたい。

今後の日本医師会生涯教育の方向性について (広島県)

医師会が行っている生涯教育講演会等の取り 組みは、多くの情報を会員に与える意味から重要であると考える。しかし、「参加」以上のメ リットがないのが実情である。

学会が認める日医生涯教育でなければ無意味 である。

医師会の生涯教育講演会への参加が実質的な 点数として連動するように、学術団体との連携 を幅広く進めていただきたい。

具体的な取り組みを含めて今後の方向性を伺 いたい。

A.飯沼常任理事回答

資料(略)にあるように、相互乗り入れが具 体的に示されており、日医生涯教育制度と学会 専門医制度との単位互換については、関係学会 との連携に取り組んでいる。今後も積極的に取 り組んでいく所存である。

日本医師会生涯教育単位について(熊本県)

熊本県医師会では、生涯教育講座の単位申請 や医師会の後援について理事会で検討して許可 を出している。講演内容を見ると、医学部の教 授が演者や座長にするものがあり、その中に は、企業色の強い事例があり、対応に苦慮して いる。

日医生涯教育協力講座と同じように、講演の企 画段階から医師会の担当理事が関与していく必要 があると考えるが、日医のご意見を伺いたい。

A.飯沼常任理事回答

ご承知のとおり、日医生涯協力講座は、業者 の宣伝や食事会を持つなどといったことは全く ない。それを条件に始めたものである。

次年度も継続することになっている。

新卒後臨床研修制度の見直しに向けた日医 の対応について(佐賀県)

日医では、新医師臨床研修制度の見直しにあ たり、どのようなスタンスで対応されるのか、改 善を求めるとすれば、どのような点について見直 しを求めていく予定か、ご教示いただきたい。

A.飯沼常任理事回答

現段階では、出来るところから改善するとい うしか申し上げられない。

そもそも、卒業生8,000人に対して、受け皿 が12,000人あるという事が問題である。地域枠を考慮するよりも、むしろ、マッチング枠を検 討しなければならないと考える。

A.福井委員長回答

昨年の12月から厚生労働省の中に、医療審 議会の医師部会、臨床研修分科会があり、5年 後の見直しを見据えた検討が行われている。

その中で、私が最初のヒアリングを受けた。 その中では、反対から賛成意見まで様々な意見 があがっている。もう一度ヒアリングを行い、 それを基に検討を行い、厚生労働省の見直しを 公表することとなっている。

[宮城県よりコメント]

新医師臨床研修制度は確かに有益であった が、逆に見れば、莫大な予算を費やしたので、 すべての面において臨床能力の向上は当たり前 でなければいけない。当制度が始まって以来、 地域あるいは科の偏在が目立ってきている。5 年後の見直しでは、ある程度クリアできるよう にしていただきたいが、現制度では、大学ある いは厚生労働省が主導を握って、医師会の関与 する余地はないのではないか。今後の見直しに ついては、地域あるいは科の偏在を含めて検討 していただきたい。

[栃木県よりコメント]

マッチング制度が地域偏在の発端である。制 限をかけるべきだ。

科別偏在に関しては、カリキュラムは良くな っているが、科を選ぶ時期が2年目の最後と疲 弊しきった時に行われるので楽な科を選択する 傾向にある。

これらの問題に対しても日医より積極的に関 与していただきたい。

臨床研修協力施設の医療事故訴訟について(東京都)

臨床研修協力施設としている診療所が、研修 医の起こした医療事故をもとに訴訟対象となっ た場合の対応はいかに。

A.飯沼常任理事回答

診療所に対しては、日医からの保険適用はな し。民間保険に加入いただく必要がある。ま た、医師個人(研修医)の訴訟に関しては、日 医会員区分A2Cを勧めていただきたい。

その他

[埼玉県医師会]

日本医師会の定款には、40条に医学会を置 く、41条に医学会には各分科会を置くとなって いる。実際に認定を行っているのは、分科会で ある。

総合診療医の認定に関して、先ほど飯沼常任 理事私案によると医師会長認定とあるが、医学会 認定でないと認定が認められないのではないか。

また、現在の医師数は約27万人で、医師会 加入者は約16万人である。これからの医師は医 師会への入会を拒否する方が結構いると思われ る。医学会の会員になって、専門医の認定が取 れるというふうになれば、医学会のみに加入す る医師も増えてくる。

定款の中で、医師会と医学会は本来、別であ ると謳われている事に関して、医師会はしっか り考えなければならない。このままだとずっと 平行線をたどるだけである。

A.岩砂副会長回答

この総合診療医に関しては、学会という意味 で行うのではなく、医師である以上、患者さん のために最低限の事は勉強しているという事を 認定する制度であると考えている。

A.飯沼常任理事回答

日本医師会の中に、日本医学会があるので定 款上は日本医師会が上である。よって、日本医 学会が認定するより、日本医師会長が認定した 方が効力は断然あるといえる。

総合診療医に関しては、日医認定産業医・ス ポーツ医と同等な考えで捉えていただきたい。

[滋賀県]

昨日の新聞で、日本医師会の諮問委員会が医 師確保対策として、臨床研修を終えた若い医師 にへき地等での勤務を義務化するという中間報 告書を取りまとめた。

今後、役員会等で合意すれば、具体案をまと め、日医が厚生労働省へ提言するという報道が なされた。

初期研修を終えた医師たちは、各々のライフ プランに従い、後期研修に入っていくが、こう のような時期にへき地勤務というのは、決して生易しいものではないと考えるがいかがか。

A.飯沼常任理事回答

生涯教育委員会は当該問題には全く関与はし ていない。日医常任理事会でも問題となってお り、継続的に協議の必要があるとしている。あ くまで中間報告なので、マスコミの断定的な取 り上げであると認識いただきたい。

[愛知県医師会]

大学の単位申告率が極めて少ない。もっとプ ライマリな事として、関与していただきたい。 もしくは、申告率を大学とは別に切り離しては いかがか。

印象記

安里哲好

常任理事 安里 哲好

医師の生涯教育が国民に見えず、生涯教育の現状が認められておらず、医師への不信も加わり、 教員免許更新制度導入の次の標的は医師免許更新制度も考えられる。そのような背景の中で、国 民に理解されやすい生涯教育の認定制度を構築、充実させていく必要がある。

各科の専門医制度とその充実に、学会のみに任せずに、医師会が今後どのように関わっていく か、また専門医を定数制にできないか、そのことが診療科偏在の改善の一助にもなるとの意見も あった。日医生涯教育制度と学会専門(認定)医制度との単位互換について、27学会と互換が成 されているとの報告を受けた。

「かかりつけ医」という表現は適切であるか思慮しているところであるが、今後「総合医」あ るいは「総合診療医」等のいずれの名称が良いかを検討した上で、認定医・専門医制度を進めて いきたいと述べていた。

都道府県医師会生涯教育活動事例報告において、沖縄県から「指導医の育成から始まった地域 医療臨床研修委員会の活動」について40枚のスライドを用い報告したので、その概要を記す。T. 地域医療臨床研修委員会の現状、U.新医師臨床研修との関わり 1)沖縄県の3研修病院群 2) 研修医との交流会 3)研修医の経年的推移 4)臨床研修に関するアンケート調査結果 5)マスコ ミとの懇談会 V.指導医の育成について1)指導医のための教育ワークショップ(3回) 2)指 導医のためのステップアップ講習会 W.後期臨床研修(専門医研修)との関わり 1)研修医一 期生の140名の進路 2)地域医療臨床研修会での議題 3)後期臨床研修:3機関(3研修病院群) が連携確認 4)平成19年度事業計画:初期研修に続く後期研修医の確保と研修システムの構築を 行政及び他組織と共に図る。

当県では、初期臨床研修は充実しつつあるが、後期研修(専門医研修)に関しては各病院群の 交流も含め多くの問題が山積しており、その問題解決の一歩として、各関連病院の意見交流の場 と責任ある立場の方の出席を得て、より良い実りある方向に進展したいものだ。