南部徳洲会病院2年次研修医 玉城 光由
群星2期生、南部徳洲会2年目、研修医の玉 城です。4月になり群星3期生である後輩がは いってきたことで「もう2年目なんだな」と実 感しはじめています。後輩のキラキラした目を 見ていると自分は疲れて死んだ目になってはい ないかと不安に感じています。
今回、「2年目研修医の感想」という題とのこ となので、先月まで研修していた内科のスケジ ュールを紹介しながら、この1年を振り返って みたいと思います。内科の朝は7時15分に病棟 に集合し、院長であるDr小渡の回診から1日が 始まります。1日の方針がこのときに決定する ことが多いため、状態の落ち着かない患者をプ レゼンテーションすることは自分達、研修医の 重要な仕事です。院長の指示のもとに午前中に 各患者の指示をだし、お昼12時30分からカン ファレンスに参加、午後に自分の勉強に加え、 火曜日にDr宮城、水曜日にDr平安山、木曜日 にDr西平、金曜日にDr城所の教育回診があり ます。そこでは内科専門医による疾患に対して のアプローチの仕方を学びました。その後、19 時ごろに再びDr小渡と総回診を終えれば、1日 の仕事が終わります。その他にも腹部CT、レ ントゲンカンファなどがあり、とても全部に参 加することはできないほどです。
こうして、改めて、仕事の内容を書き出して みると、この1年はプレゼンテーションばかり していたような気がします。毎日の回診ごと に、救急で重症や病態のわからない患者に接す るたびにスタッフにプレゼンテーション。研修 医カンファのときは同級生に・・・。研修医1 年目初めのころは「何を言っているのかわから ん」「この患者の内服薬は?」「心電図はどうな っているの?」などプレゼンテーションするた びに何かしら指摘され、注意され、ひどい時に はスタッフが怒り出すこともありました。「こ ういったことは誰しも経験すること」と何度も 他の先生方になぐさめられました。それでも、 プレゼンテーションを繰り返す度にわかったこ とは「主訴、現病歴、既往歴、生活歴を患者か ら聞いた後、1 度自分の頭で病態を整理し、 assessmentを考慮しながら所見をとり、所見 をとった後、再び、assessmentと所見が合致 しているか整理し、検査で確認する」といった ことが頭の中だけでなく体を動かしながら自然 と実行できたとき、誰にconsultしても自分が 伝えたいことが適切に伝わるということでし た。実際、上級医にconsultするときは、緊張 し、頭が混乱しているときのほうが多いのです が、自分の頭で整理できていないことを相手に 適切に伝えることは不可能です。1年間、プレ ゼンテーションを毎日のように繰り返し、頭の 中で整理して適切に相手に伝える訓練ができた ことは宮城征四郎先生はじめ、南部徳洲会の先 生方のご指導のおかげであり、自分にとって大 変な収穫であったと感謝しています。
研修医2年目に入り、少しは余裕ができ、物 事を客観的にみることができるようになってい ると感じています。今、自分のプレゼンテーシ ョンに何が足りないのかと考えてみると、 assessmentで鑑別疾患が少ないということが わかってきました。上級医にconsultすると常 に2〜3個鑑別疾患が自分よりも多いのに気が つきます。自分に言わないだけで上級医が頭の 中で数十個の鑑別疾患を挙げているのだと思う と自分の知識のなさが苦々しく感じます。ま た、そのことによって迷惑するのは患者である と思うと切なくなります。以前、救急外来で胸 痛、心電図にてST低下で搬送されてきた患者 がいました。自分の救急外来での対応としては 狭心症との診断でニトロペン舌下投与しようと 思いましたが、傍にいた循環器のDrが「心電 図波形から肥大型心筋症も疑われるから心エコ ー施行しなさい」というアドバイスをいただき、 施行したところ、ASH、SAM が認められ、 HCMの可能性が高いとのことでした。(ちなみ にHCMはニトロペン禁忌です)はじめに胸痛、 ST低下という情報だけで安易に狭心症と診断 し、心電図も注意深くみようとしない、また、 自分のassessmentの1つにHCMをあげずに治 療を開始しようとしたという経験がありまし た。こういったことが今後、少なくなるよう 「鑑別疾患を去年よりも2・3個多く挙げる」と いうことを今年の目標の1つにし、毎日、意識 するようにしています。
最後に「米国式症例プレゼンテーションが劇 的に上手になる方法」という本を研修1年目の 最初に配られ、毎回の回診でも、自分を含め群 星研修医全体のプレゼンテーション能力の上昇 にご尽力くださっている宮城征四郎先生に感謝 し、また、元気な顔で回診にいらしてくださる ことを切に願っています。