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後期研修開始にあたって

仲村義一

中頭病院内科 仲村 義一

2年前の2004年4月に新臨床研修制度が開始 され、医師としての生活がスタートした。研修 病院として、それまでの大学病院や有名研修病 院に加え、力のある市中病院が名乗りを上げた。 私はcommon diseaseと救急疾患の初期対応を 学びたいと考え、市中病院の中頭病院に応募し、 医師としての第一歩を開始した。中頭病院では 指導医、先輩医師だけではなく、看護師、検査 技師、事務の方々からも色々なことを学ばせて いただいた。指導医や先輩医師から知識や技術 を、看護師から採血・末梢確保や患者ケアにつ いて、検査技師から検査の注意点やエコー検査 を、事務の方々から患者さんにとって有益にな るような配慮を学んだ。密に連携をとりあいな がら実践していく素晴らしいチーム医療の中に 身を置けたことは、自分の医師人生にも少なか らず影響を及ぼしていくものと確信している。

初期研修の教育も充実しており、特に、宮城 征四郎先生(群星沖縄センター長)、宮里不二 彦先生(元県立那覇病院院長)、安里浩亮先生 (元県立中部病院循環器部長)など、蒼々たる 顔ぶれによる教育回診は圧巻であった。宮城先 生の教育回診では、病歴の適切な取り方、バイ タルサインの解釈、身体所見の取り方と解釈、 得られた病歴と身体所見から考える病態生理学 や鑑別疾患など、医者としての基本的な診察法 や考え方をじっくりと教えていただいたが、そ のことに心から感謝する今日この頃である。

2年間の初期研修を終え、今年4月から後期 臨床研修を開始した。2年間種々の診療科をロ ーテーションすることができたがゆえに、逆 に、どの診療科を専門にしようかという戸惑い もあった。私は県内各病院のプログラムを比較 し、再び中頭病院で後期研修を行うこととし た。内科を専攻することは決めたものの、サブ スペシャリティまでは決定できず、新しく設立 された総合内科を中心に研修を行い、3年かけ て自分のサブスペシャリティを考えることにし た。現在、外来では新患をはじめとする一般内 科を担当し、入院では各種内科系疾患の担当を している。専門的な治療が必要な場合には、各 専門医へ即コンサルテーションができる。希望 者はサブスペシャリティのローテーションも可 能である。

当院では初期研修医や後期研修医が上級医を 交えて知識を共有し、各々のレベルアップを図 るため、毎週1回昼休みに総合内科カンファレ ンスを開催している。後期研修医を先頭に、日 常診療で経験した疑問などを持ち寄り、そのテ ーマについて調べたことを発表し、質疑応答を 受ける。後期研修医というのは、教えられる立 場とともに後輩を教える立場でもある、という ことを自覚できるいい機会だと思う。

現在、中頭病院では6 人の後期研修医がお り、4人は内科、2人は外科である。日中は各診 療科での研修を行っているが、夜間は内科や外 科を分け隔てること無く救急診療に当たってい る。我々後期研修医が1年目の初期研修医とペ アで初療に当たる。私は内科医を選択したが、 外傷患者が救急車搬送されればその処置を行 い、必要があれば外科当直医とともに診療に当 たる。外科医を選択した後期研修医も、同様に 内科救急の診療にも当たる。救急の場は、初期 研修で学んだ経験と実力を生かす絶好の機会で ある。毎朝開かれる救急カンファレンスで夜間 に担当した患者のプレゼンテーションや引き継 ぎを行い、指導医からフィードバックをもら う。このような日々の中で、知らず知らずのう ちに力がついてきたことを実感している。

後期研修が始まり、今まで以上の努力の必要 性と、後輩に対する責任感が出てきた。有意義 な研修だったと将来振り返ることができるよ う、日々の診療に取り組んでいきたい。