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RyuMIC臨床研修制度を振り返って
〜指導医の立場から〜

武村克哉

琉球大学医学部附属病院 卒後臨床研修センター指導医 武村 克哉

新たな初期臨床研修制度がスタートして3年 目になりました。沖縄県には沖縄県立中部病 院、臨床研修病院群プロジェクト群星沖縄、 RyuMICなどの初期臨床研修システムがありま すが、マッチング率が高く、順調に滑り出して いるように感じます。この春には新制度の初の 修了生が生まれ、一つの節目を迎えました。こ の機会に指導医の立場から私の所属する RyuMICプログラム(琉大病院)の活動を振り 返りたいと思います。

私は平成14年度に琉大病院勤務となり、平 成16年度から新たな臨床研修制度が始まりま したので、ちょうど前後2年間、勤務したこと になります。そのため、これまでの琉大病院と の変化を強く感じることができました。以前は 各科がそれぞれ研修医に対し指導を行っていた ように思いますが、新制度からは全研修医を対 象にした共通研修レクチャーやスモールグルー プワーク、外部講師を招いた接遇や安全管理等 に関する講演が行われるようになりました。各 内科が集まってのグランドカンファレンスも行 われるようになり、各科の壁が低くなってきて います。その流れをつくったのは卒後臨床研修 センターの設置と充実したスタッフの存在で す。各科の教授、助教授、スタッフの先生方9 人から構成されており、それぞれの先生が、よ りよい研修システムになるように情熱を持ち、 研修環境を充実、発展させています。また、そ れを支える事務の方々のサポートも見逃すこと ができません。私も最近までその甚大な努力を 知りませんでしたが、内部に入り(若輩者です が、今年から卒後臨床センタースタッフの末尾 に加えさせて頂きました)、多くの方が臨床研 修制度を支えていることを実感しました。

次に各科ローテーションが行われる現場での 指導状況ですが、従来と異なり、ローテーショ ンする期間が3ヶ月程度であるため、研修医に ある程度任せられる仕事が減っている印象はぬ ぐえません。そのため、指導医の負担は増して いるように感じます。また、研修医に対してど のように指導したらよいのか、あるいはメンタ ルサポートはどのようにしたらいいのか、とま どう場面に遭遇することもあります。しかし、 研修医の存在は病棟に活気を与えています。私 自身にとっても、教えることの楽しさを思い出 すことができ、ともに学びあう精神を持つこと ができました。そして前述の疑問については、 定期的に開催されている指導医養成セミナーが 解決策の糸口をみつけさせてくれ、医学教育、 指導法についても学ぶことができました。

臨床研修制度の問題点がいろいろ表面に出て きていますが、新制度になったことにより、新 たな良い動きが生まれてきていることも事実で す。ただ、多くの方の献身的な努力により支え られている現状であり、そのモチベーションを 維持していけるのか懸念される部分もありま す。しかし、これまでの沖縄の医療人がそうで あったように、沖縄の医療を発展させ、社会に 貢献するという使命感をもつことで克服してい けるものと思います。この制度がより発展し、 患者さんおよび家族から「沖縄で医療を受けら れてよかった」という声が増えてくることを切 に願っています。