常任理事 宮里 善次
去る平成25 年11 月30 日(土)に福岡県医師会会館において開催された、標記委員会について下記のとおり報告する。
開 会
福岡県医師会の原口宏之常任理事の司会によ り会が開かれた。
会長挨拶
九州学校検診協議会の松田峻一良会長より、 始めに本委員会が31 回の開催を迎えられたこ とについて、九州各県医師会の先生方、関係者 のご尽力の賜であると感謝するとともに、学校 検診等のより一層の充実を図っていきたいと述べられた。
また、去る8 月に沖縄県において開催された 平成25 年度九州学校検診協議会第1 回専門委員 会において、腎臓及び小児生活習慣病部門の専 門委員会から協議のあった要望について、去る 10 月末に九州各県医師会に要望書を出し、各県 医師会より県教育委員会等対応していただくよ うお願いしているところであると報告があった。
最後に、心臓部門、腎臓部門、小児生活習慣 病部門の提案事項が合わせて12 題提出されて おり、十分なご協議をお願い申し上げ、挨拶と させていただきたいと述べられた。
各専門委員会別協議
1. 心臓部門
心臓部門では、昨年より新しい取り組みを行 っている。一つは九州で発生した心肺蘇生事 例(ニアミスを含む)を集計し、今後の事故防 止に役立てていくことを目的とした取り組みで ある。今年の8 月には46 例が報告されており、 今後も継続していくこととする。また、集計期 間を消防庁のデータとあわせ1 月1 日から12 月31 日とし、来年の8 月の専門委員会におい て平成25 年度の各県の心肺蘇生事例の集計デ ータを報告することとした。また、本取り組み においては、事例の心電図等においても検討す ることとしており、個人情報保護法上の兼ね合 いにより、各県で統一した承諾書の作成するこ とする。
もう一つは、各県の心臓検診の内容を再確認 するということで、心臓検診の統一病名使用を 図るものである。各県で詳細なデータが集めら れるところから集計し、来年8 月の専門委員会 において報告し、各県の比較を行うこととする。
2. 腎臓部門
九州学校腎臓病検診マニュアルの運用要項の 修正として、宮崎県より本年第1 回専門委員会 で提案したマニュアルについて修正部分の確認 を行いたいとの提案があり、協議の結果、もう 少しデータの修正を行い改めて承認することとした。
九州学校検診病検診マニュアル(九州マニュ アル)の次改訂として、鹿児島県より日本学校保健会「学校検尿のすべて」及び、CKD 分類 の改訂等に伴う内容の改訂について提案があ り、協議の結果承認され、来年4 月に本マニュ アルに沿った検尿を実施することとした。
熊本県学校検尿マニュアルとして、熊本県よ り検尿マニュアルをホームページからダウンロ ードするよう関係機関に周知を行っていたが、 利用率が低い現状を鑑み、今般、関係機関へ紙 媒体で配布を行い、約30 万円費用がかかった (印刷、発送費)との報告があった。
「九州学校検尿結果まとめ」の年度より対象 者の違いとして、福岡県より本年第1 回専門委 員会で報告された集計結果に年度ごとにバラツ キの差が大きいことから提案あり、各県から正 確な対象者数があがってこなかったが要因とさ れ、必要であれば平成19 年度より集計を改め て行うこととした。
追加事項として、本年第1 回専門委員会の際 に腎臓部門からあがった要望書について、福岡 県より学校より問い合わせがあった旨の報告が あり、本件における各県の状況について意見交 換が行われた。
3. 小児生活習慣病部門
小児生活習慣病予防健診の標準化と普及のた めの教育委員会への働きかけと提案事項2 の二 次検診のやり方やチェック内容として、佐賀県 より本年第1 回専門委員会で承認された九州各 県医師会から各県教育委員会への要望書につい て提案があり、各県医師会の状況報告について 意見交換が行われるとともに、現行の要望書と あわせて、二次検診の方法についても北九州市 の方法を参考に提出することとなった。
尿糖チェックの方法および二次、三次検診の 流れとして、佐賀県より尿糖検査において使用 される試験紙名、(±)の判定及び尿糖陽性者 の次検診の流れについて提案があり、各県の現 状について意見交換が行われた。また、尿糖の 検査についてはデータ集計を腎臓部門が行って おり情報共有することとした。
北九州市での小児生活習慣病予防健診の内容 として、福岡県より北九州市教育委員会と調整 中の小児生活習慣病予防健診の内容報告が行わ れた。糖尿病に関しては、昨年同様、平成25 年度についてもデータ集計を行い、平成26 年 8 月の専門委員会で報告することとした。
全体協議
各専門委員会別協議の協議内容について、各 座長から報告があった。
九州学校検診協議会 次年度(平成26 年度)の 日程について
1)第1 回専門委員会 平成26 年8 月2 日(土)
15:00 〜 17:00(宮崎県)
2)幹事会 平成26 年8 月2 日(土)
17:00 〜 18:00(宮崎県)
3)年次大会 平成26 年8 月3 日(日)
9:00 〜 11:30(宮崎県)
4)第2 回専門委員会 平成26 年11 月29 日(土)
15:00 〜 16:45(福岡県)
上記の会議日程について協議が行われ、1) 〜 3)については特に異議なく承認され、4) の第2 回専門委員会について小児科学会と日程 が重なるとのご意見があり、事務局において調 整することとなった。
開 会
宮崎県医師会理事の高村一志先生の司会によ り会が開かれた。
挨 拶
宮崎県医師会会長の稲倉正考先生より、概ね以下の通り挨拶があった。
本年8 月に沖縄県で開催された九州医師会連 合会学校医会評議委員会において、来年度の第 58 回九州ブロック学校保健・学校医大会並び に平成25 年度九州学校検診協議会を、宮崎県 医師会が担当することに決定した。これを受け、本会学校医部会常任理事会及び関係者等で大会 の内容を鋭意検討し、本日開催要案として提出 させて頂くこととなった。
詳細は後程、協議事項の中で担当理事よりご 説明頂くので、慎重にご審議の上ご承認賜りま すようお願いしたい。
また、本日は宮崎県から協議事項1 題、大分 県の藤本先生より文科省検診検討会でのご報告 を頂くこととしている。これについても活発な ご議論を頂くようお願い申し上げ、簡単ではあ るが開会の挨拶とさせて頂く。
協議に移る前に、第57 回大会の担当県であ った沖縄県医師会常任理事の宮里善次先生より 「8 月に沖縄県で開催した第57 回九州ブロック 学校保健・学校医大会並びに平成25 年度九州 学校検診協議会については、各県の先生方に大 変ご協力頂き、この場を借りて御礼を申し上げ る」とお礼の言葉があった。
座長選出
慣例により、開催県(宮崎県医師会)の稲倉 正考会長が座長となり協議が行われた。
協 議
宮崎県医師会理事の高村一志先生より提案事 項について概ね下記のとおり説明が行われた。
第58 回九州ブロック学校保健・学校医大会 並びに平成25 年度九州学校検診協議会(年次 大会)については、事前に開催要綱案を提示し、 各県にご意見を伺っていたが、特にご意見ご要 望はなかった。
平成26 年8 月2 日(土)、3 日(日)、宮崎 観光ホテルで開催を予定し、本会のメインテー マを「子どもを守ろう未来のために〜私たちが 今できること〜」としている。
参加対象者等は例年通りである。
なお、前日の諸会議については、15 時から 平成26 年度九州学校検診協議会第1 回専門委員会を開催し、16 時から九州医師会連合会常 任委員会、以後幹事会、担当理事者会、懇親会 まで例年通りの開催を予定している。
次に、大会当日のプログラムについて説明する。
9:00 〜 11:30 まで平成26 年度九州学校検 診協議会(年次大会)として、心臓部門・腎臓部門・ 小児生活習慣病部門計3 部門の教育講演を行う。 九州学校検診協議会と並行して、九州ブロック 学校保健・学校医大会分科会として、眼科部門・ 耳鼻咽喉科部門・運動器部門を実施する。
11:30 〜 12:30 の昼食時間を利用して、九州医師会連合会学校医会評議員会を開催する。
12:30 からは九州医師会連合会学校医会総 会を開催し、13:00 〜 15:00 まで、基調講演 2 題を開催する。
【各県回答】
協議の結果、特に異議なく承認された。
提案県である宮崎県医師会理事の高村一志先 生より提案理由について概ね下記のとおり説明 が行われた。
宮崎県では、防煙教育について学校医にはお 願いしてはいるが、実際はほとんど行われてい ないのが実情である。
各県において県単位、市長単位で防煙教育が 行われている地域があるか伺いたい。またその 際、学校医に対して防煙教育の方法について何 らかの指導等が行われているか、あるいは教材 について統一されたものがあるか伺いたい。
【各県回答】
長崎県: 県行政では、学校医を講師とした、 教諭・養護教諭等の対象の防煙教育研修は行っていない。
熊本県: 本県でも、学校医による防煙教育 は、ほとんど行われていない。また、 県医師会や郡市医師会、県・市町村単位の防煙教育も特に行われていない。
佐賀県: 平成16 年より喫煙対策委員会を県 医師会で開催しており、平成18 年 度かからは、県福祉保健部と健康増 進課及び県医師会・県歯科医師会・ 県薬剤師会等の関係機関・関係団体 により構成された「健康アクション 佐賀21 推進協議会」において、県 内全ての中学生を対象に、学校医を 主体とした妨煙教育を開始した。
教材については、佐賀県医師会喫 煙対策委員会において、中学生用 と小学生用の防煙教育スライドの 作成を行っており県医師会ホーム ページよりダウンロードが可能と なっている。教材について、小学 校低学年、小学校高学年等を対象 としたスライドを作成している意 図として、小学校就学前に児童に おいて喫煙経験がある状況を踏ま えたものとなっている。
鹿児島県: 県教育委員会では、喫煙、飲酒、薬 物乱用防止教育の中で喫煙について 指導を行っており、「防煙教育」の ように喫煙防止に特化した指導は行 っていない。
なお、学校医に対して防煙教育の方 法等の指導は行っていないが、喫煙防止教育を含めた学校保健の課題対 策のために、各学校に設置されてい る学校保健委員会への学校医の積極 的な参画を促しているところである。
大分県: 本県においても県・市町村単位で学 校医による防煙教育は実施されてい ない。なお、統一された教材は、「喫 煙、飲酒、薬物乱用防止に対する指 導参考資料」(公財 日本学校保健 会)を活用している。
福岡県:「 防煙教育」という名目の教育は、福岡では特に行われていない。
沖縄県: 本県においても、防煙教育について は実施されていない現状にあるが、 平成25 年度より沖縄県の委託事業 として「次世代の健康教育事業」と して児童向けの副読本を作成することとしている。
その他
日本医師会学校保健委員会副委員長の藤本保 先生(大分県医師会常任理事)より、去る10 月30 日(水)に文部科学省において開催され た「今後の健康診断の在り方等に関する検討会 (第8 回)」について報告が行われた。
印象記
担当理事 宮里 善次
平成25年度 九州学校検診協議会第2 回専門委員会
平成25 年11 月30 日に福岡県医師会館に於いて「平成25 年度九州学校検診協議会・第二回専 門委員会」が開催された。1)心臓部門、2)腎臓部門、3)小児生活習慣病部門に分かれて協議が行われ、 最後に全体会議で報告と審議が行われた。
心臓部門では共通診断名と児童生徒の心肺蘇生事例調査の更なる推進が報告された。
学校現場にAED が配置されてから、学校における児童生徒の突然死が減少しているが、AED 使用が貢献しているかどうかは明確ではない。
九州では昨年度から学校現場で発生した心肺蘇生例やニアミスを集計して、その内容が明らか になりつつある。今回は平成26 年1 月1 日から12 月31 日までの一年間で集計した症例を解析し、結果検証後に学会や論文として発表予定であることが報告された。
腎臓部門は全国的にも評価の高い「九州学校腎臓病健診マニュアル」の次改定案が報告された。 改定項目の詳細は本文をご参照願いたい。
小児生活習慣病部門では小児生活習慣病の標準化と普及のために活動すべきであるが、各地区 の教育委員会が個人情報保護法を盾にして、活動が進まない現状がある。まずは各県で教育委員 会に対して、働きかけて欲しい旨の依頼があり、佐賀県医師会が作成した「要望書」をひな形に して、各県医師会から県の教育委員会に送付する事が報告された。
さて毎回協議会や専門委員会で協議される事が、遅々として進まない印象を受けるが、各県の 事情の違いや都市部と郡部における違いがその妨げになっていると思われる。とは云え、毎年少 しずつ進展していることは間違いない。
最後に宮崎県における次年度協議会の日程が発表され閉会となった。
九州各県医師会学校保健担当理事会
平成25 年11 月30 日に福岡県医師会館において『九州各県医師会学校保健担当理事者会』が開催された。
会議に先立ち、昨年の8 月に開催された第57 回九州ブロック学校保健・学校医大会の開催県 として、沖縄県からお礼を申し述べさせて頂いた。
続いて次年度の第58 回開催県の宮崎県から大会の詳細が提案説明され、協議の結果その内容 が承認となった。詳細は本文をご参照して頂きたい。
協議事項として各県における「防煙教育について」報告ご議論があったが、学校医を講師とし た防煙教育はなされていない現状である。
その中にあって、佐賀県は唯一学校医による防煙教育が行われている。他県との違いは、佐賀 県の教育委員会が発案し、なおかつ中心となって医師会と学校現場の協力を得て、そのプログラ ムを作り上げた点にある。
教材はCD 化し、学校医を集めて講習会を行ったと報告があった。
同一の教材を使う事で、講演内容のバラつきが少なく、また学校医がカスタマイズ出来る利点 などが述べられた。
佐賀県では教育委員会や医師会のHP に教材をアップしており、必要な方には無料でダウンロ ードが可能である。
学校現場での健康に関する様々な問題は教育委員会が中心になって動くと、より早く解決に向 かうことが明白な事例と云えよう。
最後に大分県の藤本保先生から文部科学省で開催された「今後の健康診断のあり方に関する検 討会」の報告書の解説と報告があった。