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平成25年度 第5回
沖縄県・沖縄県医師会連絡会議

玉城信光

副会長 玉城 信光

去る11 月22 日(金)、県庁3 階第1 会議室 において標記連絡会議が行われたので以下のと おり報告する(出席者は以下のとおり)。

出席者:宮城会長、玉城副会長、安里副会長、真栄田常任理事、
    金城常任理事(以上医師会)崎山福祉保健部長、金城福祉企画統括監、
    平保健衛生統括監、里村参事、阿部医務課長、篠ア県立病院課医療企画監

事務局:上原局長、平良課長、崎原課長、徳村課長補佐

議 題

(1)おきなわ津梁ネットワークへの参加協力依頼について(提案者:沖縄県医師会)

<提案要旨>

本会は平成24 年10 月に「おきなわ津梁ネ ットワーク」を設置した。「おきなわ津梁ネットワーク」は生活習慣病における健康教育・1 次予防、初期治療(食事・運動・アルコール・ 喫煙・ストレス等の対策)、急性期・回復期・ 維持期までの地域医療連携(脳卒中・糖尿病・ 急性心筋梗塞等)、そしてIT 医療連携に加えて、 特定健診受診者約18 万人(3 〜 5 年分)と糖 尿病患者約数万人のデータのリアルタイムな共 有化を進め、診療や保健指導の際に活用してい る。そのデータを通じて、病状・病期を層別化 し、合併症の予防と重症化の阻止への適切で直 接的な保健・医療介入を考え、重症化予防対策 委員会(仮称)を設置する予定である。

5 疾病のうち、生活習慣病3 疾病(脳卒中・ 糖尿病・急性心筋梗塞)について、県民の保健・ 医療のための臨床研究を進め、加えて、他の健 康保持・増進に係る諸活動と連携し県民運動へ と推し進め、健康長寿復活を目指していきたい。

脳卒中地域医療連携は、平成22 年4 月に70 万人の南部保健医療圏から始まり、平成23 年 6 月に48 万人の中部保健医療圏、そして平成25 年8 月より北部保健医療圏・宮古保健医療 圏へと広がり、現在IT 化を進め10 月より本 稼働を開始した。脳卒中の現状(病型、発症よ り病院への到着時間、在院日数、連携状況等) を把握し、早期社会復帰と2 次予防を推進して おり、全国における脳卒中地域医療連携のモデ ルになるであろうと言われている。また、糖尿 病についてもIT 化を進めており、数年先に県 下の糖尿病患者の全容が把握され、より具体的 な対策が進められて行くものと期待している。

今後、当ネットワークの更なる充実を図るた め、県立病院の参加が不可欠となっている。そ のために、本会は、各県立病院に個々に説明会 や講習会を開催しているところである。

ついては、本県の地域医療の推進・充実に向 けて、当ネットワークの趣旨をご理解いただき、 全ての県立病院にご参加下さるよう、ご協力いただきたい。

<県立病院課回答>

沖縄県病院事業局は、「おきなわ津梁ネット ワーク」構築の趣旨に賛同する。

現在、県立病院においては、中部病院及び宮 古病院で脳卒中地域連携パスシステムに参加している。

これら病院における同ネットワークへの本格 的参加及び他県立病院における参加のあり方に ついては、医師会からの説明等を踏まえ、今後 検討していく。

<主な意見等>

◆県福祉保健部:

当局としては、前向きに協力していきたいと 考えている。未だ説明が不十分な県立病院があ るので、引き続き個別説明等をお願いしたい。

◇県医師会:

この事業では様々な機関よりデータが集約さ れ、ビッグデータとなる。今後、健康長寿復活 に向けた健康施策を展開するにあたり、データ 分析が可能となるような委員会等を県の内部に 立ち上げていただくよう検討をお願いしたい。

また、健康長寿復活に向け、小中高生を対象とした女性のからだと健康等の副読本の作成等 についても検討いただき、高齢出産のハイリス ク等を周知いただきたい。

◆県福祉保健部:

県は、“健康長寿” と“人口増” という大き な2 つの柱で長期的な計画を作ることとして いる。“人口増” は主に企画部の管轄となるが、 情報提供しながら施策展開に盛り込めるよう検 討していきたい。

◇県医師会:

提案趣旨にもあるように、健康施策の展開に ついては、県医師会内に重症化予防対策委員会 (仮称)を設置し、データ分析解析や健康施策 の策定、直接的な保健医療介入等に繋げていき たいと考えている。今後とも県行政の指導を仰ぎたい。

(2)医療勤務環境改善推進事業の必要性及び事業受託の可能性について
(提案者:沖縄県福祉保健部)

<提案要旨>

医療勤務環境については、患者への対応など 心身の緊張を伴う上、当直、夜勤・交代制勤務 による長時間労働など厳しい環境にあるとさ れ、環境を改善することで、医療安全の確保及 び医療の質の向上が図られる。

厚生労働省は、これまでの労働行政による労 働条件の取締だけでは、医療勤務環は解決しな いことから、医療政策として新規事業を立ち上 げ、都道府県に対して次年度から本事業を実施 するよう要請しているところである。

本事業は、「医療勤務環境改善支援センター(仮 称)」を設置し、働きやすい環境整備に向けた各 医療機関の取り組みに対して、センターに配置 された医療労働相談員(社労士を想定)による 労務管理面のアドバイスや、各医療機関のニー ズに応じた専門的アドバイザーを派遣するなど、 勤務環境の改善に向けて総合的・専門的に支援 する体制を構築することを目的としている。

また、本事業実施にあたっては、関係機関へ の委託も含めた柔軟な運営形態も可能とされている。

ついては、本事業の実施にあたり、本事業の 必要性、また必要性があるとした場合、貴法人 の受託の可能性について、ご意見を賜りたい。

<事業概要>

医師・看護師等の医療スタッフの離職防止や 医療安全の確保等を図るため、国における指針 の策定等、各医療機関がPDCA サイクルを活 用して計画的に勤務環境改善に向けた取り組み を行うための仕組み(勤務環境改善マネジメン トシステム)を創設する。

こうした取り組みを行う医療機関に対する総 合的な支援体制を構築するため、都道府県が地 域の医療関係団体と連携し、医療勤務環境改善 支援センター(仮称)を設置する。

本事業は、医政局と労働基準局が連携して実 施する事業となっており、医政局は「医業分野 アドバイザー事業(仮称)約400 万(うち約 200 万円都道府県負担)/箇所」として、診療 報酬や医療制度、組織マネジメント・経営管理 面などに関する専門家を医療機関に派遣する仕 組みを確保する。労働基準局は「労務管理支援 事業(仮称)400 万円/箇所」として、当該支 援センターに医療労働相談員1 名を配置するた めの体制を確保する。一箇所あたり800 万円 規模の事業を想定している。

<県医師会回答>

本会では女性医師の働きやすい環境整備に向 けた取り組みを平成19 年から推進している。 女性医師部会を中心に勤務環境整備に関する病 院長等との懇談会を毎年開催しており、施設の 取り組み状況の共有化を図ることで、各々の施 設の就労環境改善の一助になっている。遂には 県立病院にも院内保育所ができる時代に入って きた。これまで医師に焦点をあてた取り組みで あったが、今回提案のある事業がどの様な形態 で進めていけるか内部で検討させていただきた い。我々がこれまで取り組んできた事業の延長 上で事業展開ができるものと考えている。具体 的業務内容については事務レベルで調整をお願 いしたい。併せて、事業実施方式について単年度事業か継続事業かについてもお知らせいただきたい。

<主な意見等>

◇県医師会:

過日開催された都道府県医師会長協議会の中 でも担当常任理事から説明があった。本事業の 事業化に向けては、都道府県行政が予算化する 必要があることから各県医療担当部局に事業照 会及び働きかけを行うよう説明があった。本県 においては、この様に行政から提案されたこと は非常にありがたい。是非、予算化に向けて進 めていただきたい。

◆県福祉保健部:

既に予算要求を行っており、認めていただけ るものと考えている。

◇県医師会:

沖縄労働局でも看護師等の「雇用の質」の向 上に関する委員会を設置しており、勤務環境改 善に向けた取り組みを行っている。

◇県医師会:

勤務医師の過重労働の一因として、当直の翌 日に休みを与えることができるか如何か、看護 師と異なり交代制が難しい環境にあるが、その 部分を議論し改善策を見出すことができればと 考えている。

◇県医師会:

医師以外のコメディカルは殆ど40 時間以内 だと考えている。医師の場合、目標値に達する には1.3 倍の人員が必要と言われているが直ぐ には難しい。労働上の制約もあろうかと思うが、 柔軟性を持って進められる事業にしていただきたい。

◆県福祉保健部:

事業の開始時期はいつ頃を予定しているか。

◆県福祉保健部:

26 年度中に事業が開始できればと考えてい る。医師の労働時間は、労働基準法を遵守する ことは無理に近い。国の制度を考えると、この 様な実態も纏め、最終的には報告できるような 形が望ましい。

印象記

副会長 玉城 信光

平成25 年11 月22 日、標記協議会が県庁において開催された。沖縄県医師会から提案がひとつある。

(1)おきなわ津梁ネットワークへの参加協力依頼について

安里副会長から沖縄県医師会では津梁ネットワークに保存されている数万人のデータを活用し て診療や保健指導に活用していると報告があり、県立病院においてもその活用をお願いしたいと 述べられた。県立病院課の篠ア医療企画監からは「おきなわ津梁ネットワーク」構築の趣旨に賛 同しており、中部病院及び宮古病院で脳卒中地域連携パスシステムに参加している。他の県立病 院にも説明を行い参加できる様に勧めたいとのことである。

この事業では様々な機関よりデータが集まってきて、ビッグデータとなるので、今後、健康長 寿復活に向けた健康施策を展開するにあたり、データ分析が可能となるような委員会等を県の内 部に立ち上げていただくよう私からお願いをした。

安里副会長からも県医師会内に重症化予防対策委員会(仮称)を設置し、データ分析解析や健 康施策の策定、直接的な保健医療介入等に繋げていきたいと考えており一緒に事業を展開してい きたい旨の発言があった。

(2)医療勤務環境改善推進事業の必要性及び事業受託の可能性について

医務課より提案があった。

この事業は医療従事者の勤務環境を整え医療の質を担保する為に「医療勤務環境改善支援セン ター(仮称)」を設置し、各医療機関の取り組みに対して、医療労働相談員(社労士を想定)によ る労務管理面のアドバイスや、各医療機関のニーズに応じた専門的アドバイザーを派遣するなど の事業体制をつくることにある。

また、本事業実施にあたっては、関係機関への委託も含めた柔軟な運営形態も可能とされている。 事業総額は800 万円が想定されている。この事業の委託先として沖縄県医師会にお願いしたいと のことであった。日本医師会としてもこの事業に積極的に取り組む様にすすめているので事業内 容を県と調整しながら県医師会として積極的に取りくむことになった。

本会では女性医師の働きやすい環境整備に向けた取り組みを平成19 年から推進しているので これらを踏まえながら事業をすすめていきたいと考えている。

今回は議題が少なかった。