介護老人保健施設にしばる
施設長
嶺井 美奈子
あけましておめでとうございます。私は丙午 の生まれで出生率が少ない世代ですが現在はさ らに少なくなっているのは驚きです。合計特殊 出生率の推移をみると1966 年(丙午)1.58 人 その前後は2 人くらいで徐々に下がり1986 年 は1.57 人と丙午並みになり2005 年1.26 人(最 低)となった後2012 年1.41 人と少し回復して いるようです。
*午(馬)にちなんで…母方の祖父も丙午生 まれで馬が好きでした。大阪で大学生時代は馬 術部に所属し大会で優勝したとのこと。(叔母 によると関西代表で全国大会出場?)戦前は馬 で往診していたようです。家族の疎開先だった 宮崎ではただ馬を見るために競馬場に通い、玉 城村に戻って老年期には木彫りの馬を家に飾 り、墨絵で色紙や自分の部屋のふすまに馬の絵 を描いていました。「行楽地で馬に乗ってはい けない。いろんな人を乗せている馬は危ない。」 と注意されましたが、修学旅行の草千里で友人 の誘いに負けて一緒に乗ってしまいました。馬 の胴体は思ったより太く乗り心地悪かったので すが良い思い出になっています。その後は言い つけを守り乗っていません。数年前熊本に行っ たとき「サービスの馬刺し」が出され、少し「共 食い」のうしろめたさも感じましたが、「おも てなし」なのでおいしくいただきました。
*今年の抱負…自分の干支にあたったので流行りの「40 代の終活」に力をいれたいと思いました。
療養病棟や介護老人保健施設を担当している と「看取り」の話題は避けられません。3 か月 前から看取りが近いとわかっていたのに、亡く なった当日に最期に着せてあげる着物等を探し 始めたり、買いにいったりと準備が悪い家族も いました。その反省として入所前後に看取りに 関する具体的なことを確認しています。そんな 案内をしているうちに、私自身は何も考えてい ないことに気付いたので、まず不用品の処分か ら始めました。医学部、研修医時代のもの(ノ ート等)をやっと捨てました。個人情報の問題 もあるため業務用シュレッダーも買いました。 写真の整理、ものを増やさない、リサイクル、 技術革新との両立が課題です。
*看取りといえば…私が4 〜 5 歳のとき100 歳の父方の高祖母(祖母の祖母)を祖母と大叔 母が自宅で介護していました。孫、ひ孫、やし ゃごに囲まれ、食事を徐々にとらなくなって穏 やかに亡くなられたことを覚えています。理想 の昔風の看取りを見せていただいた高祖母に感 謝し、「自宅での看取り」の一例として施設利 用者の家族にお話することもあります。介護老 人保健施設の中間施設としての主な役割は「病 院から受け入れた方を自宅や長期入所できる施 設へ退所調整をし、家族や世間とのかかわりを 断ち切らない」ようにすることです。しかし、 看取りが近く、短期間の自宅介護も困難な方は 家族が長時間付き添える環境をつくり、自宅の 看取りに近いように配慮をしていきます。
「介護老人保健施設にしばる」の入所者は今日 お元気でも明日はわからない方々です。それは 私や職員、利用者のご家族、すべての方でも同 じ立場です。一期一会でお互いをいたわり、今 年も毎日楽しく過ごしていきたいと思います。