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『老馬の呟き』

福嶺紀秀

宜野湾整形外科 福嶺 紀秀

皆様、明けましておめでとうございます。医 師会から投稿の連絡を受け、初めて今年が午年 と知り“おめでたい” と“まさか” の気持ちが ほんとうのところです。

午年を六回も迎えるなどと思いもしませんでした。

今回、投稿される先生方には二十代の駿馬も いれば私の様な老馬(馬齢七十二歳)もいます。 私は父親、母親とも丙午(ひのえうま)生まれ で、まさに馬から生まれた血統種(?)。

さて、馬の話はこのくらいにして…

昭和55 年牧港中央病院を経て、宜野湾市真 栄原の地に開業しました。当時、私と同年齢の 整形外科の5 名の先生方(太田、垣花、宜野座、 比嘉、宮城)が前後して開業した頃が思い出さ れます。お互い、同期の戦友として親しく付き 合い、開業医としての知恵、情報、悩みを共有 し、励まし合って来た気がします。診療に邁進 すれば患者さんからの確かな信頼と担当の診療 報酬が報われる古き良き時代だったかも知れま せん。それに比べ今の世は、医療へのバッシン グ、診療報酬の半減、労務管理、モンスターペ イシェント等々、診療以外のストレスに翻弄さ れる時代になってしまいました。

少々くたびれた私の宜野湾整形へ2 年前、息 子が副院長として勤務する事になり、改めて新 規開業のつもりで息子共々巻き直しの最中で す。数年前、頚椎ヘルニアで入院、休診した時 期があり、それも一つのきっかけだったかも知 れません。

今、息子はパソコン音痴の私に気を使いなが ら30 年余の私の古い診療体制をチェンジ、そ の一つとして電子カルテを導入していますが、 私は今だに一人立ち出来ずにメディカルクラー クが付きっきりで診療をこなしています。私にとって数ヵ月間はストレスの極みでありました がこの頃は単行本のような厚いカルテと重い医 学書が少しずつ診察室から消えていくので、文 明の利器に納得“ナルホド” “ナルホド” と実 感する毎日です。

もう少しばかり現役でいるために、この午年 の1 年間、人並みの健康と人並みのボケを維持 しつつ周りに迷惑をかけない老人でいたいもの です。でもゴルフは3 度目の70 台を目指しますぞ!

新しい年を迎えるにあたり今年こそ、この国 が災害がなく、他国に「NO !」と言える国で あって欲しいと祈るばかりです。