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最近思う事

西平竹夫

嶺井第一病院 総合内科 西平 竹夫

平成26 年、新年のお慶びを申し上げます。

私は今年、午年の72 歳を迎えます。さして 頑強な体力を持ち合わせてない身で、72 歳の 今日までつつがなく過ごし、現在仕事もでき、 日常生活を有意義に楽しく送れることは、感 謝の念以外ありません。小中高、大學その後の 人生で幾多の同僚がこの世を去っています。人 生の大半を過ごした20 世紀最大の事件は、昭 和20 年8 月の敗戦だと思っています。沖縄を 含む国全体が廃墟の中から立ち上がり、貧しい なりにも明日への希望に燃えて生活してきたよ うに感じます。物心がつく頃よりアメリカ世の 中で育ち、沖縄の基地より派生する生活環境へ の影響は今日でも未解決の大問題であることは 十分に認識しつつも、戦後69 年、比較的平和 な社会の中で過ごせたことは時代のなせる事とは言え、よき時代であったと個人的には思いま す。昭和47 年5 月15 日、セントルイス市民 病院内科インターン生のとき、日本復帰に伴う パスポート切り替えのために、豪雨の中家族3 人でシカゴ領事館まで車で行ったこともありま した。上り調子の時代はJAPAN as No1 と世 界より羨望の目で見られたことも束の間、少子 高齢化の波が急速に進行し、現在はそれに伴う 社会変化に対応が追いつかず大変な時代に直面 しています。ある心理学者は日本人の性格は生 真面目である点うつ病性格の傾向があり、また、 今日の社会環境の悪化で、若者の意欲喪失もま すます悪い方向へ向かっていると指摘していま す。私の世代のように老年期を迎えた者には、 身内の者との別れは老年期うつ最大要因の1 つ と考えられ、今後心のケアはますます大事にな ります。その対応策として、我を忘れて熱中で きるものがあれば少しは慰めになるのではない かと考えます。そのためにも健康長寿を少しで も伸ばす努力は必要でしょう。ある著名な作家 は2000 年の歴史の中にたくさんの友人があり、 会話していると書いています。混迷する現代社 会はとかく目標を見失いがちで、明るい話題が 見つけにくく、暗い話になってしまいました。 偉大なる幕末明治期の思想家はこう述べていま す。「少にして学べば即ち壮にして為すことあ り、壮にして学べば即ち老いて衰えず、老にし て学べば即ち死して朽ちず」老年期は人生の成 熟期であるという考え方もあり、大いなる希 望を与えてくれます。21 世紀の人類にとって、 よりよい住みやすい社会になりますように祈願 します。