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「午年に因んで」

岩政輝男

桜山荘
ラオス人民民主共和国名誉領事館
岩政 輝男

新年お目出度う御座います。今年はうま歳です。 私はうま歳で、早生まれなので年があけるとすぐ に72 歳になります。私自身は「うま歳」だから といって馬に特別な親近感などは持っていません が、馬の形をした文鎮だとか馬の飾りが付いたキ ーホールダーをいただいたことがあります。

以前琉球大学医学部と学術交流を行っていた タイの大学に行った時にドイステープというお 寺の十二支の動物の絵には猪のかわりに立派な 牙をもった象の絵が描いてありました。そこで 十二支に使われている動物は国や地方さらに民 族によって多少異なっているのではと考え、ア ジアの国々に出かける時には少し注意してみて いますが、ベトナムでは牛は水牛、兎は猫、タ イ、ベトナム、中国は猪のかわりに豚が用いら れていたりしています。

今までみた範囲では馬はどこに行っても馬で す。干支紀年が中国から日本に伝来した時期に ついてもかなり古い時代であったとわかってい ますし、干支に動物があててあり、八百屋お七 が丙午の年(1666 年)生まれであるので丙午年 生まれの女性は気性が激しいだとか、庚申の晩 に生まれた子は盗人になるとか色々な迷信も生 まれています。さらに高校球児のあこがれの甲 子園の甲子や、丑からの連想で土用のウシの日 は「ウ」のつく食べ物のウナギをたべるなど様々 なかたちで我々の生活と深くかかわっています。

しかし、西暦との対比で困ることもあります。 埼玉県の稲荷山古墳出土の剣に辛亥年と銘があ り西暦471 年か531 年かという議論もあると 聞いています。動物を用いるのはバビロニアの 天文学の影響だと言われていますが、星座に動 物などをあてることは多くの国で行われて星座 に因んだ物語も伝わっています。しかしあまり 深く考えずに今年も年賀状には馬の絵を使い、 馬のように元気よくと書いています。

私の「午年に因んで」は年賀状と正月に気 が向けばお宮まいりをして、干支の鈴を買う ことぐらいです。今年の鈴は涼しい音で鳴る、 きっといい年になるだろうとか、今年の鈴は ガチャガチャとうるさい音をだす。たぶんう るさい年になるかもしれないとか、勝手に楽 しんでいます。今年の鈴は元気のよい音がし て、皆さんには良いことが多い年になるだろ うと思います。

今年は私にとって還暦後さらにひと回りした 午年ですが、医師になってからもずいぶん年が たちました。その間の学問の進歩はすばらしいものがあり、特に最近は目をみはるばかりです。 分子生物学は勿論ですが、免疫学、薬理学など あらゆる分野の学問がどんどん発展し実際に臨 床で使われています。私は、よく本屋に行きま すが、学問の進歩を取り入れたすばらしい学生 向けの本が多く出版されています。本のレベル については、良い本や、少し変な本など巾が広 がっているようで、たのしんで本屋さんで時間 をつぶしています。医師会の先生方にも本屋さ んでよくお会いします。

今年もよろしくお願いいたします。