健康長寿おきなわ復活や新 型インフルエンザ対策等の課 題において、県医師会の協力 をよろしくお願いします。
質問1. 沖縄県福祉保健部健康増進課課長に就 任されてのご感想と今後の抱負をお聞かせいた だけますでしょうか。
今年の4 月に本庁の福祉保健部健康増進課長 を拝命し、それまで3 年間赴任していた石垣島 (八重山福祉保健所)から異動してきました。公 衆衛生医師としてのキャリアは17 年目となりま すが大半は保健所勤務で、本庁は平成19 年から 21 年までの結核感染症班長(新型インフルエン ザ対策専任チーム)以来2 度目となります。
現在、健康増進課は健康づくり班、結核感染 症班、母子保健班の3 班で構成され、健康づく り班では健康増進計画(健康おきなわ21)の 策定と推進、がん検診やがん登録事業、結核感 染症班では新型インフルエンザ等対策特別措置 法に基づく行動計画策定、HIV/ エイズ対策、 母子保健班では周産期医療提供体制の整備や子 ども医療費自動償還制度導入など、医師会に関 係する事業を多く所管しています。県全体の施 策に関わるポジションなので重圧は大きいです が、関係機関とも連携してひとつひとつ事業を 進めていこうと思います。
質問2. 健康長寿沖縄復活に向け、「健康おきなわ 21」計画に基づき様々な事業を推進されております が、現状と課題を教えていただけますでしょうか。
平成22 年の都道府県別生命表によると、本県 の平均寿命(0 歳の平均余命)は男性79.40 歳、女性87.02 歳と平成17 年に比べて伸びてはいる ものの、その伸び幅は男女とも全国平均を下回っ たため、男性が30 位、女性が3 位と全国順位を 落としました。その要因としては20 〜 64 歳の 年齢調整死亡率が全国平均を上回っており、主要 死因別では、脳出血、心筋梗塞、慢性肝疾患・肝 硬変、自殺が男女とも全国平均を上回ることが挙 げられます。沖縄県では26 ショックと叫ばれた 平成14 年より、健康おきなわ2010、健康おきな わ21 を推進してきましたが、上記の死亡率の改 善には結びついていない状況です。課題としては、 20 〜 64 歳のいわゆる働く世代の健康指標の改善 と、県民全体の健康意識の向上が挙げられ、特に、 多量飲酒による県民への健康負荷については今 後取り組みを強化すべき課題と考えています。
質問3. この度、健康長寿おきなわ復活推進本 部が発足されましたが、福祉保健部として今後 の展開や目指すところ等をお聞かせいただけま すでしょうか。
これまでの福祉保健部を中心とした取り組み だけでは十分な成果が得られないとして、今年 度9 月に知事を本部長とする健康長寿おきなわ 復活推進本部を立ち上げました。県庁内各部局 を網羅する横断的な組織で、各部局が行ってい る施策のうち、「栄養バランスのよい食事」「運 動しやすい日常環境」「一人ひとりの健康管理 支援」という3 つの柱に資する事業があれば、推進本部で承認し優先的に事業推進できるよう なしくみを検討しています。これによって、例 えば農林水産部が県民の野菜摂取増加につな がるような事業を展開したり、土木建築部が ウォーキングやジョギングしやすい歩道や公園 の整備を行うようになる等、健康づくりに関す る社会環境整備が県庁全体で進むことを期待し ています。
また、経済団体や保健医療関係団体、市町村 などからなる県民会議を設置し、健康長寿おき なわ復活について機運を高めるとともに、事業 所における健康づくりを進めることを呼びかけ ていきます。今後の展開としては、健康長寿お きなわ復活に向けた体制整備や事業の「種まき」 を行って、まずは長寿陥落傾向に歯止めをかけ たいと考えています。そして、その後の長期に わたる取り組みは、「政党が党勢を拡大してい くようなイメージ」で進めていきたいと考えて います。
質問4. 県医師会に対するご意見、ご要望があ りましたらお聞かせください。
2009 年に全国に先駆けて沖縄県内で新型イ ンフルエンザが流行した際に、県と県医師会は 連携して医療体制の維持や、感染拡大防止に関 する対策を実施しました。当時の担当にとって は、県医師会が大変心強い存在でした。いくつ かの対策が感染をコントロールすることにつな がったということで、それらはその後流行した 全国の対策にも生かされました。今後の新型イ ンフルエンザ対策においても、地区医師会、県 立病院、保健所を中心とした地域ネットワーク を基本に医療体制を構築していきますので、ご 協力をお願いいたします。感染症以外の分野で も、さまざまな施策を展開していく上で、医師 会とは常に連携をとらせて頂きたいと考えています。特に、健康長寿復活に関しては、県の政 策参与の玉城信光先生からもアドバイスを頂い ていますので、施策化する際の参考にさせて頂 きます。
質問5. 糸数課長の座右の銘、日頃の健康法や ご趣味などをお聞かせ下さい。
仕事で県民に健康づくりを呼びかける立場
上、若い頃からの不健康な生活習慣な部分を改
める必要があると自覚し、40 代半ばで石垣島
に単身赴任したことをきっかけに生活習慣を見
直しました。まず、夕食の量を減らして空腹感
に慣れ、レコーディングダイエット(毎日体重
を測って折れ線グラフを書くだけ)を実施しま
した。さらに友人の勧めもあってランニングを
始め、これで体重を7 キロ落としました。月間
走行距離100 qを目標に、平日の朝や週末な
どに走りこみ、ついにフルマラソンが完走でき
るまでになりました(3 時間51 分)。あとは中
学時代から続けている卓球は、時々練習に参加
して、相手とのラリーを楽しんでいます。また、
20 年前に竹富町の小浜診療所勤務時代に購入
したサンシンを、3 年前から八重山古典民謡保
存会研究所に通って練習し、羽織袴姿でコン
クールにも出場し、無事に新人賞、優秀賞をゲッ
トしました。沖縄に戻ってきてからはなかなか
時間がとれなくなりましたが、退庁後に、仲間
と県庁近くのカラオケルームで歌三線の練習を
したりしています。あとは仕事に関連して検索
した資料や履歴を残すために、公衆衛生関係の
ブログooyake を10 年前から書き綴っています
(http://itokazu.cocolog-nifty.com/ooyake)。
この度はお忙しい中、ご回答頂きまして、誠に有難うございました。
インタビューアー 広報委員 本竹 秀光