理事 玉井 修
去る9 月18 日(水)沖縄県医師会に於いて、 特定保健指導支援説明会を行いました。
平成20 年から開始された特定健診は、健診 項目もその単価も基本的なラインを押さえつ つ、保険者と健診受託医療機関との自由な契約 に任せるという自由裁量を現場に与えた。しか し、一見先見性のある方策として映るこの方針 は、実は現場において価格の自由競争を生じさ せ、健診単価を自由競争の中に置いて安価で健 診を受託させようとする政府官僚の狡猾な手 法であった事を担当理事として思い知る事になった。
広範囲の離島と僻地医療圏を持ち、陸続きで 健診を成し得ない沖縄県に置いて、このような丸 投げの健診システムを運用する事は、離島、僻地 の健診を危機的な状態に陥れる事は明白であり、 沖縄県医師会として全県一体型の集合契約を締 結し、全県統一単価、統一項目の特定健診シス テムを構築することは、離島、僻地医療圏に健 診を行うためにどうしても成し遂げなくてはならない使命であった。毎年繰り返される単価と 健診内容との交渉は、健診医療機関、各地区医 師会、各保険者との綿密な打ち合わせにおいて 成し遂げられた珠玉の妥協の産物と僕は思って いる。この集合契約なくして、沖縄の特定健診 はあり得ない。僕は間違いなくそう断言出来る。
時に、弱腰と批判を受ける事はあるが、どの 様なご批判を頂いてもこの集合契約を盤石なも のとして維持する事よりも大切なものは他に無 い。過去、力のある自治体がこの集合契約から 外れて自前で健診システムを個別に契約しよう とする動きがあった時も、沖縄県医師会はその 自治体に要請文を送り集合契約に残留する事を 要請した。力のある自治体が、個別契約に走れ ば沖縄県の集合契約自体が瓦解し、離島、僻地 を守る事が出来ないと沖縄県医師会として判断 したためだ。その様な血の滲むような努力を重 ねて守ってきた集合契約はやがて大きな実りを もたらす事になった。それが今回のおきなわ津 梁ネットワークというシステムである。
このシステム構築に関しては国保連合会や協 会けんぽという大きな保険者の協力なくしては 一歩も進めなかった。特定保健指導支援システ ムの構築に関しては、そのノウハウを惜しげも 無く提供して頂き、貴重なアドバイスを頂きな がら開発を行った。目的は、離島や僻地でも実 働可能な特定保健指導システムの提供である。 特別なシステムエンジニアなどを必要とせず、 普通のクリニックで普通に使える特定保健指導 の支援システムの提供である。今後約1 年間は、 会員の皆様に自由に触っていただき、感触を確 かめていただきたい。そして、これが実際に現 場で動く事を確認していただきたい。何か不都 合があれば沖縄県医師会にご意見を聞かせてい ただきたい。長寿県沖縄を復活させるために、 特定健診、特定保健指導を現場でお役に立てて いただきたい。このシステムは一朝一夕に出来 るものではなく、全県一体型の集合契約を礎に して構築するこの支援システムは、他府県は真 似をしたくても出来ない垂涎の統合システムなのである。
【特定保健支援に係る概要】
本説明会では、始めに安里副会長より、「お きなわ津梁ネットワーク事業概要説明」を行い、 沖縄県民の健康の現状やおきなわ津梁ネットワ ークを構築するに至った経緯等を説明するとと もに、小生より、「特定保健指導支援に係る概 要説明」を行い、特定保健指導支援システムへ のログイン方法や代行請求及び代理請求等につ いて、説明を行った。
また、南城市健康増進課係長の井上優子氏 及び本会事務局より、「特定保健指導支援シス テムに係る活用方法説明」として、特定保健指 導支援テキスト&マニュアル、システムを使 用した動機付け支援をロールプレイにて行うと ともに、本会事務局より、おきなわ津梁ネット ワーク特定保健指導支援への参加申し込みの説 明や集合契約に関する手続きについて説明を行 い、質疑応答を行った。