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目の愛護ノ為にカットする!

石川哲夫

那覇眼科医院 石川 哲夫

目を守るため避けておきたいモノの一つに紫 外線があります。紫外線を浴びずに日常生活を 送る事は困難ですが、紫外線は白内障を進行さ せますので、一日中外出する事がわかっている 日にはUV カットのサングラスを使われる事を お勧めしています。意外と落とし穴になってい るのが、UV カットの入っていない色だけつい たサングラスです。この手のお手軽サングラス は可視光線を減らしますので瞳孔が開き気味に なり、かえって紫外線を強く取り込んでしまう 原因になるといわれています。

そして気になるのが沖縄の子供たちです。オ ゾンホールの兼合いで紫外線量が多いとされる オーストラリア・ニュージーランドで考案さ れたUV インディックスは、現在世界各国が採 用し、日本も2006 年から環境省が採用してい ます。沖縄はこのUV インディックスが、オー ストラリア北部ゴールドコーストなどと同等の Very High(8 〜 10)であることが多いようです。 世界保健機構(WHO)は子供に紫外線対策が 重要である理由として、子供の生活様式から成 人よりも紫外線被爆を受けやすく、生涯に浴び る紫外線量の大半は18 才までに浴びていると し、後年の白内障、皮膚がん、免疫系の機能低 下のリスクを高めると警告しています。

この事からも沖縄の子供たちの将来の為に、 サングラス、日焼け止め、サンシェード付帽子 などを徹底してあげるべきだと思います。県医 師会から県教育委員会に提言指導できるといいのですが。

もうひとつ、目を守るために避けておいた方 がいいのかもしれないといわれているモノがブ ルーライトです。コンピューターのモニターだけでなく、ほとんどの家庭用テレビ、携帯電 話、ゲーム機など液晶画面(LED ディスプレイ) が使われ、従来主流だったブラウン管よりも青 い光が強調されやすい特徴があるとされていま す。これがいわゆるブルーライトで、画面が明 るければ明るいほどいいと思っていたものがと ても目の疲れを呼ぶことがわかり、どうも「適 切な光、ブルーライトが少し抑えられたものが 目にとっていいのでは」ということが少しわか ってきているようです。

また、網膜の光を感じる細胞は従来、明るさ を認知する係と色を認知する係の2 つあると言 われていたのですが最近ブルーライトを感じる 係があることがわかってきています。これは物 を見ているのではなく生体リズムに関わってい るらしく、朝日を浴びたらおきて、日が暮れた ら寝よう、というペースメーカーの役割です。 海外旅行の時差ぼけ解消に太陽の光を浴びる、 といいますが、まさにブルーライトを浴びてリ ズム調整しているのでしょう。コンピューター やテレビを寝る前ギリギリまで見ると、なんだ か寝付けないという経験をされた先生もいらっ しゃるかと思います。これらの現象が、ブルー ライトが生体リズム(サーカディアンリズム) に関与しているのではといわれる現象です。

まだはっきり解っていないことも多く判断が 難しいところではありますが、

・ブルーライトカットグラスを使うことで眼精疲労は軽減出来る

・カットグラスを一日中使用するとサーカディアンリズムが狂い睡眠障害や体調不良になる可能性がある

・対応策として、日中のコンピューター業務などではカットグラスを使用せずに、疲れたら目を休めつつ業務。日没後のコンピューター操作、テレビ視聴が必要な時はカットグラスを使用すると体内リズムを崩さない可能性が高い。

・対応策以前の問題として、家族皆で例えば日没後は液晶モニター関係の物は控える。

など言及できそうです。

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目の愛護デーに因んで、紫外線カットとブル ーライトカットについてふれてみました。私は この原稿を書いている時点でも老眼鏡をかけて いますが、柔軟な水晶体を保つ為にもUV カッ トは重要です(残念ながら私はもう白内障手術 を受け、UV カット眼内レンズをいれてもらっ ていますが)。白内障対策だけでなく、老眼対 策でもUV カットサングラスを使われる事をお 勧めします!