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第45回 九州地区医師会立
共同利用施設連絡協議会

本竹秀光

理事 本竹 秀光

第45 回九州地区医師会立 共同利用施設連絡協議会

開会行事

講 演

  • 演題「医師会共同利用施設を巡る諸課題」
  • 講師:日本医師会 副会長 今村 聡

特別講演

  • 演題「歴史と地域―首里城復元プロジェクトを考える―」
  • 講師:琉球大学名誉教授(沖縄県副知事)高良 倉吉
  • 第1 分科会   (医師会病院部門)
  • 第2 分科会   (検査・検診部門)
  • 第3 分科会   (高齢社会事業部門)
  • 各部門管理社会(医師会病院部門)
  • 各部門管理社会(検査・検診部門)
  • 各部門管理社会(高齢社会事業部門)

懇親会

閉会行事

去る7 月13 日(土)ロワジールホテル那覇 に於いて、南部地区医師会担当の下、標記連絡 協議会が開催された。協議会では、今村聡日本 医師会副会長より「医師会共同利用施設を巡る 諸課題」と題し講演が行われた。また、この他 特別講演では、琉球大学名誉教授(沖縄県副知 事)の高良倉吉先生より「歴史と地域‐首里城 復元プロジェクトを考える‐」と題した講演が 行われた。引き続き行われた分科会では、医師 会病院部門、検査・検診部門、高齢者事業部門 にそれぞれ分かれ、九州地区内における各種の 事例報告や諸課題等について発表が行われたの で、本会は医師会病院部門へ参加した。その概 要について報告する。(参加者:643 名)

開会行事

安里良盛南部地区医師会副会長より開会の挨 拶があり、続いて名嘉勝男南部地区医師会長か ら歓迎の挨拶があった。

続いて、横倉義武日本医師会長(代理:今村 聡副会長)から「わが国の少子高齢化による人 口構造の変化は急激なものがある。とりわけ団 塊世代の高齢化がもたらす医療・介護などへの 影響は計り知れないものがあり、従来の医療・ 介護がこれに対応しきれるかといった問題があ る。これは当然、地域医療・介護のニーズに対 して大いに影響するものであり、医療・介護を 提供する医師会共同利用施設の観点からも非常 に重要な問題である。この様な状況であるから こそ、地域医療・介護の連携は飛躍的に度合い も増し、地域住民のニーズに的確に応えうる組 織として設立した医師会共同利用施設こそが、 その中核となり得るものと考えている。そして、 医師会共同利用施設が更に地域住民のニーズに 対応し、その機能を十分に活用発揮することこ そが、地域住民の医療・保健・介護・福祉の充 実に繋がるものと信じている」と挨拶があった。

続いて、宮城信雄九州医師会連合会・沖縄県 医師会長から「医師会立共同利用施設の中核的 役割を担う皆様が一堂に会し、各種の事例報告 や諸課題等について討議されることは、誠に意 義深いものである。また、ここ九州ブロックは 他ブロックに比べ、医師会立共同利用施設が多 く存在する地域でもあり、今後の九州地域全体 の保健、医療、福祉・介護分野の取り組みを推 進していく上でも、大きな成果につながるもの と期待している」と挨拶があった。

講 演

「医師会共同利用施設を巡る諸課題」
日本医師会副会長 今村 聡

共同利用施設(医師会病院、検査・健診セン ター、介護保険関連施設)に関わる諸課題の情 勢や今後の方向性を述べたい。

<医師会病院>

・地域医療支援病院のあり方

九州地区においては36 病院のうち、18 病院 が地域医療支援病院の指定を受けている。元来、地域医療支援病院は、地域医療を担うかかりつ け医等を支援する目的で創設されたが、2004 年に承認要件が緩和されて以降、本来の趣旨と 異なる施設も増えていることから、国に対し認 定要件等を見直すよう意見している。現在、厚 労省において「特定機能病院及び地域医療支援 病院のあり方に関する検討会」が設けられてお り、先般、承認要件の改正案が示された。改正 案では(1)現行の紹介率算定式から分子の救 急患者数を除くこととした上で、紹介率及び逆 紹介率につき2 つの案を提示、(2)二次医療圏 単位での救急搬送患者受入れ数を評価すること とし、医療機関が所在する二次医療圏の搬送件 数の5%程度以上を担うことを要件に追加(た だし、地域特性に配慮)、(3)年12 回以上の 地域の医療従事者に対する研修会(院内の医療 関係者に対する研修を目的としたものを含まな い)を主催することを要件に追加、の3 点が示 されている。

・社会保険診療の消費税問題

控除対象外消費税の問題は、医療経営にと って極めて重要な問題である。医療機関にお ける控除対象外消費税は、全国平均で社会保険 診療報酬に対して2.2%に相当する。これが今 後8%、10%に増えていけば、医療経営に直結 する大きな問題となる。一方、国は診療報酬に 1.53%上乗せし補填したと説明しているが、差 額0.67%(2,410 億円)が本来負担を負わなく て良い消費税を医療機関が支払っている構図で ある。更に、診療報酬の中で補填する不合理な 仕組みについては、医療機関による仕入構成の 違いに対応できない点や診療報酬本体部分につ いて、一部の診療行為項目にしか消費税分を上 乗せしていない点、その後の改定でもフォロー されていない点。薬価算定上の消費税の取り扱 いや仕入れ価格の格差による不公平が生じてい る。また、患者・国民の視点から、非課税とし ながら患者・国民・保険者にも一定の消費税負 担が目に見えない形で生じている点がある。日 本医師会では、従前より仕入税額控除が可能な 課税制度に改めることを要望しており、その際、ゼロ税率・軽減税率を適用するなど患者負担を 増やさないような制度に改善するよう求めてい る。また、現在、中医協消費税分科会において、 消費税8%の引き上げ段階で、又10%の段階 での根本的な解決策を見据え、過渡的に診療報 酬などで対応する方法について検討を行ってい る。日医としては消費税負担の検証結果に基づ き、通常の診療報酬改定とは別立てで、消費税 増収による財源で賄うよう要望している。

<検査・健診センター>

・第二期特定健診・特定保健指導

平成25 年度以降に実施される特定健診につ いては一部制度(HbA1c 検査の表記変更・検 査結果実測値とHL の併記・血清クレアチニン の結果表記)が変更となったため、健診実施機 関側でシステム改修が必要となった。システム 改修費は特定健診等の委託料単価に上乗せする ことが重要である。また、1)被扶養者に対する 特定健診実施の市町村国への委託の推進につい ては、是非地元市町村国保に受託するための準 備を呼び掛けていただきたい。2)事業者健診デ ータの活用の推進については、健診実施機関に 対する事務負担が増える懸念もあることから、 実際の運用や費用の面も含めて、保険者や事業 主と事前に協議する働きかけを検討いただきた い。3)遠隔保健指導については、日医として個 人情報保護、システムセキュリティの担保、委 託事業者などのモラルハザードへの歯止めの観 点を以て検証するよう主張しているので、注視 をしておいていただきたい。

・臨床検査・健診センターの抱える課題

検査料金の課題については、依然、診療報酬 における検体検査実施料の引き下げや民間健診 センターとの価格競争、真空採血管の有償化に よるコスト増などが挙げられる。また、健診事 業による質の担保に関する課題については、粗 悪な健診事業者の入札参加が見受けられるた め、国に対して、国民が受ける質の担保・向上 のための方策について「日本医学健康管理評価 協議会」の活用を考えており、医師会立健診センターにおいてもご協力いただきたい。健診シ ステム等の更新等に関する課題については、複 数にわたるシステムの対応が求められ、システ ム更新や既存データの移設に高額な費用がかか る。そのため、健診データや検査データの標準 化・共有化が必要であると考えており、昨年度、 日医総研において健診データの標準化について 検討を開始した。現在「日医健診標準フォーマ ット」を開発中である。今年度中に検証作業と 仕様の公開を行う予定である。

<介護保険関連施設>

・地域包括ケアについて

厚労省が示す2025 年に向けた医療・介護の 提供体制の将来像については、医療提供体制の 効率化・重点化と機能強化並びに、地域包括ケ アの実現が描かれているが、国が考える医療提 供体制のイメージは常にトップダウンである。 さらに、ポンチ絵の中には医師会の名称が一つ も出て来ない。今後の医療・介護の提供体制と まちづくりについては、地域医師会を中心とし た地域包括ケアを構築していくことが肝要であ り、多職種協働や地域医療関係団体への働きか け等、連携調整を図りながら、地域包括ケアの 実現を目指すべきである。

・地域医療情報システム(JMAP)

URL:http://jmap.jp/

本年5 月より、日本医師会ホームページ・メ ンバーズルーム内に「地域医療情報システム」 (JMAP)を開設した。同サイトでは、施設別 検索機能および地域別統計機能を有し、各医療 機関の医療資源の情報表示や地域別の集計など を行えるようになっており、地図やグラフによ る表現もできる。また、もう一つの特徴として は、抽出した条件結果をダウンロードすること ができ、自由に活用が可能となっている。この 他、地域における医療需要(年齢階級別予測人 口など)および医療・介護資源(施設数・病床 数・医師数・看護師数・老健数など)の様々な 情報を都道府県・二次医療圏・市町村別に集計 することが可能である。将来推計人口等を用いた、地域毎の中長期的な予測が可能となってい るため、JMAP を活用した医療・介護のあり方 を検討いただきたい。また、非常時には、当シ ステムを利用し医療機関の状況を情報収集する ことも可能(非常時のみ開設)であり、情報投 稿機能(各医療機関画面に情報投稿機能を表示) および情報共有機能(投稿された情報をリアル タイムで共有、今後の対策の検討ができる)を 有している。

特別講演

「歴史と地域―首里城復元プロジェクトを考える―」

琉球大学名誉教授・沖縄県副知事
講師 高良 倉吉先生

この島はかつて琉球王国として栄え、その中 心に首里城があった。琉球王国は500 年に渡 り存在した王国で、政治・歴史・文化・産業の 中心に首里城が存在した。琉球の歴史は首里城 抜きには語れない。琉球王国は中国や東南アジ ア等を含めた活発な交流を続け、自らの地位と 活力に繋げてきた。しかし、その中心的存在で あった首里城が、沖縄戦で完膚なきまでに破壊 されてしまった。ここ沖縄は県民人口の4 人に 1 人、25%が戦争で亡くなった。肉親を失う悲 しみを抱きながら、戦後、米軍統治下に曝され 辛い思いをしながら生きてきた。我々復元プロ ジェクトのメンバーは、戦争で失った「人の命」 は戻らないが、戦争で失った「文化遺産」は取 り戻せることができると考えた。この島は現在 多くの問題を抱えているが、かつて豊かな歴史 を蓄積してきた島であることのメッセージを未 来に伝えたかった。中古ではなく新車の首里城 を甦らせる決心をした。首里城がアジアとの交 流の拠点として呼吸をしていた現役の頃を復元 させようと、国内外を問わず徹底した資料収集 を行った。また、誰もを納得させるような様々 な角度からの分析、根拠の積み上げを行ってき た。復元プロジェクトは、現在、半分程度まで その作業が進んでおり、1992 年からは一般公 開も開始されている。今後の修繕を見据えて育 樹作業等も展開している。また、国内外に散逸した文化遺産の収集や修理・保存を図って行く 為の資金造成「首里城基金」の取り組みも行っ ている。戦争を後ろ向きに語るのではなく、我々 に課せられた使命として積極的に前向きな取り 組みが必要ではないかと思う。復元作業はあと 5、6 年かかるだろう。かつて先人達が作りあ げた歴史や文化の形、技術が更に深まって行く だろうと思う。沖縄県民は元より沖縄を訪れる 多くの方々にも分かり易く、興味深く理解して いただけるような場を作って行くことが大事で あると述べた。

第1分会(医師会病院部門)

北部地区医師会病院(入南風野 毅総務課 施設係長)は、年々増加する医療廃棄物の処理 費について、自施設での感染性廃棄物の滅菌化 による処理コスト削減に取り組んだ事例を紹介した。

コスト削減に向けた具体的な取り組みについ ては、過去2 年間の感染性廃棄物の処理費用と 非感染性廃棄物の処理費用の比較検討を行い、 高圧蒸気滅菌器(費用約3,000 万円)を導入し た。感染性廃棄物については、高圧蒸気滅菌器 にて滅菌処理を施し、非感染性廃棄物に替え てコストの削減を図った。平成24 年9 月より 運用を開始し、本年4 月迄の8 ヶ月間で約630 万円のコスト削減(削減率60%)を達成した。 医療機関から排出される特別管理産業廃棄物 は、排出事業者の責任を含め、処理費用など重 要な懸案事項である。滅菌化することによって、 安心して排出する事ができれば医療機関にとっ て、リスクの軽減化にも繋がると述べた。

朝倉医師会朝倉医師会病院(佐々木 君枝管 理栄養士主任)は、患者の栄養サポートをより 積極的に進めていく観点から他職種連携によ るNutrition Support Team(栄養サポートチ ーム、以下NST)を組織し、その取り組みを 紹介した。

医療施設における栄養療法の現状は、外科的 にも内科的にも治療が優先され、栄養療法は軽 視傾向にある。そのため、入院患者における低栄養状態の割合は高いと考えられる。そこで当 院では、正確な必要エネルギー量の算出のため、 呼気ガス分析による間接熱量測定と生体抵抗測 定による体成分(体組成)分析を行い、高齢化 による基礎代謝量、体組成の変化を把握に努め、 それらに基づいた栄養管理を実践している。加 齢や入院臥床は骨格筋量、代謝に明らかに影響 を及ぼすことが判明しており、高齢入院患者の 栄養管理の重要性、リハビリの必要性が示唆さ れている。また、骨量や筋肉量は生命予後や健 康余命とも関連していることが解明されてきて おり、高齢者は骨量や筋肉良を維持することが 重要であると考えている。NST 活動を通して、 入院患者の栄養状態の把握、客観的栄養評価、 栄養改善が齎され、また、診療報酬(週1 回: 200 点)が加算できることは、少なからず病院 経営に寄与している。

今後の活動目標は、栄養不良患者の検出を行 うため職員の知識・管理技術の向上に努め、臨 床栄養に関して一定した考え方を共有するた め、地域一体型NST の構築を目指していきたいと述べた。

臼杵市医師会立コスモス病院(五嶋 哲也医 事課主任)は、平成20 年5 月に査定・返戻対 策を目的として設置されたレセプト委員会での 査定率減少に向けた取り組みを紹介した。

月1 回レセプト委員会で対策を検討する。医 事課の算定・解釈ミスは、システム対応や最終 チェックリスト点検で回避し、査定分析は全員 で取り組み啓発を行う。併用使用を原則として 避ける薬剤に対しては、薬剤部より医師へ通知 し、使用日数に制限のある薬剤は薬剤部が調剤 時にチェックを行う。また、査定対象になりや すく、査定になると高額になるものは指定対象 薬剤のレセプトとして、重点的に点検する。8 万点以上の高額レセプトは、行為説明書を医師 が作成し、医事課がより審査側に状況が伝わる よう、実施日、投与日数、検査数値、補足情報 を付記し、最終的に院長確認の上、請求を行う 様にしている。また点検用レセプト等、紙媒体 で処理するものについては処理者のサインを残し、責任の所在を明確にすることで、査定率減 少に対する意識の向上を持たせている。さらに、 理由不明な査定に対しては、積極的に再審査を行っている。

この様な活動の結果、点検方法の確立により、 1)レセプト点検の責任の明確化、2)重点項目の 重複点検、3)リストによるエラー確認等がで き、平成20 年度から24 年度までの査定点検 数は52 万点減少することができた。また、再 審査方法を確立することで、平成19 年度から 24 年度までの査定総計38 万を点復活すること ができた。査定率を0 にする事は不可能である が、査定内容を改善することは出来る。

今後の課題は、継続的なシステム改善と啓発に取り組むことと述べた。

臼杵市医師会立コスモス病院(亀井 千佳看 護部 副総師長)では、平成23 年9 月より 看護部にタスクシフトしたベットコントロール の現状と課題について報告があった。

病院概要は、病床202 床の地域医療支援病院・ 災害拠点病院、その他5 つの指定を受ける中核 病院である。ベットコントロールの課題の一つ は、退院患者数を平均化し計面的に退院日決定 を行い、在院患者数を維持する。二つ目は、亜 急性期病床を有効に利用し入院点数の上昇と平 均在院日数を抑えることである。当院の退院日 決定のルールとしては、1)各病棟2 名/ 日以内 にすること、2)日祭日を避けること、3)同日の 退院予定者の把握、4)全体で8 名以内に抑える こととしている。また、3 日前からの退院予定 数の変動を確認し、隔週毎に開かれる病床会議 で情報の共有を図っている。亜急性期病床を有 効利用していくためには、入院時患者は一般病 床へ入院するが、毎週一回のカンファレンス(医 師・看護師・リハビリスタッフ、MSW)にて 移行の可否や時期を検討している。その他、整 形外科手術後の患者を通念的に亜急性期へ移行 していく流れの確立に取り組んでいる。

今後の課題は、退院日調整による在院患者数 の維持には限界があるため、他の対策を検討し ていく必要がある。また、亜急性期病床のコントロールでは施設の受け入れまでの期間が長 く、亜急性期病床への移行時期の判断が困難で あること、高齢患者が多く、高齢者整形術後患 者は退院予定期間が長く亜急性期病床への意向 を躊躇することが多く見られること、これら2 つに対策を打つことができれば、稼働率が上げ られ増収も期待できると考えていると述べた。

福岡市医師会成人病センター(舩津 洋子副 看護部長)では、平成22 年4 月に努力義務化 された新人看護職員研修を通じての成果と今後 の課題について報告があった。

新人看護職員研修は、努力義務化後、全国的 にも4 年連続早期離職者が減少傾向にあり、一 定の成果をあげている。当センターでも、努力 義務化前の離職率は11 〜 16%であったのに対 し、努力義務化後の平成22・23 年は離職ゼロ となっている。しかし、今後、義務化への動き と共に、その内容に修正の時期が来ていると考える。

当センターでは、看護部教育委員会を再編し、 教育責任者を中心に、年間を通して新人看護職 員研修を実施していく中で、さまざまな課題が 浮き彫りになった。

教育担当者の育成を振り返り成果として、(1) 教育担当者自身が成功体験を味わうことで教育 への興味を持ち、(2)教育担当者としての次の ステップに繋げることができたこと、(3)教育 担当者から意見等を吸い上げ易くなり委員会全 体の活性化に繋がったこと。反対に教育担当者 の育成における今後の課題は、新人教育が現任 教育に結びつきにくい点である。その理由とし て、教育担当者の役割が双方に十分理解されて いない。また、教育担当を担う中堅看護師が少 ないため、経験者が増えないことが問題である。

新人看護職員研修における今後の課題につい ては、(1)教育担当者を中心とした教育の強化 と教育担当者の明確な位置づけ、(2)現任教育 の充実、生涯、主体的に学んでいくことが出来 る人を創造し、その支援を実施する。(3)人材 の質の向上へのアプローチとして、社会人基礎 力の向上への取り組みが挙げられると述べた。

印象記

理事 本竹 秀光

第45 回九州地区医師会立共同利用施設連絡協議会に参加したので報告する。今回は沖縄県南部 地区医師会が担当で、平成25 年7 月13 日(土曜日)にロワジールホテル那覇で開催された。冒頭、 日本医師会横倉会長(代理:今村聡副会長)の挨拶があった。団塊の世代が高齢化して行く中で、 医療・介護の需要が増していくことは確実である。問題はこれらを提供していく側の準備環境で ある。これらのニーズにこたえられる組織が医師会共同利用施設であり、その機能を十分に発揮 していただきたいとの趣旨であった。続いて沖縄県宮城信雄医師会長からも、医師会立共同施設 は全国の中でも九州地区に多く存在し、地域の保健、医療、福祉・介護に貢献しているが、この 協議会を通して更なる討論が行われ、大きな成果につながることを期待する旨の挨拶があった。

次に今村 聡日本医師会副会長が「医師会共同利用施設を巡る諸問題」タイトルで講演をされ た。<医師会病院>にかかわる問題としては、控除対象外消費税の問題である。医療機関におけ る控除対象外消費税は社会保険診療報酬の約2.2%に相当し、現在でも医療機関の負担は少なく ない。国は診療報酬に上乗せ補填していると主張しているが、その仕組みはあいまいである。日 医は診療別報酬改定とは別建てでの手当てを要望しているとの報告であった。<検査・検診セン ター> にかかわる問題としては、検診事業の質の担保に関する問題を述べておられた。質の悪い検診事業者の入札が少なくなく、日本医学健康管理評価協議会を活用し、質の向上を図っていき たいとのことであった。更に、介護保険関連施設の問題点についても言及された。

15 時10 分からは分科会が開催され、第一分科会(医師会部門)に参加した。

始めに、公益社団法人 北部地区医師会病院からはBSC(バランス・スコア―・カード)導入 によるコスト削減と言う発表があった。委託費削減の一つとして年々増加する医療廃棄物の処理 費に焦点をあて、自前の高圧蒸気滅菌器で感染性廃棄物を非感染廃棄物に替えコスト削減を図り、 以前と比べ費用削減大であったと報告した。BSC と言う業績評価システム(予算の明確化と更新、 戦略的方向性の明確化と調整、業績の定期的評価)を用いることで経営がより効率的になるのだ なと言う印象を持った。

朝倉医師会病院からはNST(栄養サポートチーム)の取り組みの発表があった。高齢者の栄養 不良や廃用障害は容易に想像されるものであるが、呼気ガス分析による間接熱量測定、生体抵抗 測定による体成分分析の方法を用いて外来、入院、健常人での骨格筋量、代謝量を科学的に比較 した発表であった。結果は80 歳以上の入院患者で最も筋肉量、代謝量が低く、従ってNST のサ ポート重要であると述べていた。

臼杵市医師会コスモ病院からは査定率減少に対する取り組みについての報告であった。査定・ 返戻対策のためにレセプト委員会を立ち上げ査定減に取り組んだ。特に高額レセプトは行為説明 書を医師が作成した後、医事課が補足情報を追加、最終的に院長の確認後請求するいう方法であ った。結果、査定率は450,250 点(0.2%)から294,905 点(0.14%)に改善した。査定率を限り なく0に近づけるには医事課、医師間との情報の共有化と連携が不可欠であるとの報告であった。




お知らせ

会員にかかる弔事に関する医師会への連絡について(お願い)

本会では、会員および会員の親族(配偶者、直系尊属・卑属一親等)が亡くなられた場合は、沖縄県医師会表彰弔慰規則に基づいて、弔電、香典および供花を供すると共に、日刊紙に弔慰広告を掲載し弔意を表することになっております。

会員に関する訃報の連絡を受けた場合は、地区医師会、出身大学同窓会等と連絡を取って規則に沿って対応をしておりますが、日曜・祝祭日等に当該会員やご家族からの連絡がなく、本会並びに地区医師会等からの弔意を表せないことがあります。

本会の緊急連絡体制については、平日は本会事務局が対応し、日曜・祝祭日については、緊急電話で受付して担当職員へ取り次ぐことにしておりますので、ご連絡下さいますようお願い申し上げます。

平日連絡先:沖縄県医師会事務局
        TEL 098-888-0087

日曜・祝祭日連絡先:090-6861-1855
○担当者 庶務課:國吉栄人 知念さわ子 山城政