副会長 玉城 信光
去る5 月23 日(木)、県庁4 階第1 会議室 において標記連絡会議が行われたので以下のと おり報告する。(出席者は以下のとおり)
出席者:宮城会長、玉城副会長、安里副会長、村山理事、玉井理事(以上医師会)
崎山福祉保健部長、金城福祉企画統括監、里村参事、上地国民健康保険課長、阿部医務課長(以上県福祉保健部)
議 題
<提案要旨>
平成25 年度からの沖縄県医療計画には、新 たに「在宅医療について達成すべき目標、医療 連携体制」等を盛り込むこととされ、「在宅医 療に必要な連携を担う拠点」等を含めた連携体 制を位置づけることとされている。
九州各県においては、国・厚労省の推し進め る在宅医療連携推進事業が積極的に展開されて おり、既に地域リーダー育成の段階となってい るが、本県においては本事業の系統化が充分に できていない。本会としても本県の在宅医療を医療・介護の両面から効果的に推進することを 目的に、沖縄県、県医師会、各職種団体から構 成される在宅医療全体会議を中心とした沖縄県 地域医療再生計画(三次)事業計画案として「在 宅医療連携体制推進事業」(事業内容は下記参 照)を提出したところである。
ついては、県福祉保健部として検討されてい る在宅医療推進の基本方針や、地域医療再生計 画(三次)に係る在宅医療分野への考え方につ いてご提示いただきたい。
○厚生労働省による在宅医療推進事業
・平成23 年度及び平成24 年度に「在宅医療連携 拠点事業」を実施し、全国105 か所の拠点事業 による在宅医療推進事業が取り組まれている。
・各都道府県の医療計画に基づく体制構築に必 要となる事業費に対応するため、平成24 年度 補正予算案として地域医療再生基金を積み増 し、各都道府県の在宅医療推進事業を展開する よう示している。
○沖縄県医師会における在宅医療推進事業(案)
・県や市町村、県医師会、各関係団体による在宅医療推進全体委員会を設置し、県全域による在宅医療推進事業の事業項目を作成。
・各地区医師会に在宅医療地区委員会を設置し、全体委員会の定める事業項目に基づき事業展開。
<県福祉保健部回答>
在宅医療については、高齢化社会を迎え、医 療機関や介護保険施設等の受け入れにも限界が 生じることが予測され、慢性期及び回復期患者 の受け皿として、看取りを含む在宅医療提供体 制の強化に取り組んでいるところである。
県内では、中部医療圏及び南部医療圏におい て、国の在宅医療連携拠点事業の委託を中部地 区医師会及び浦添市医師会が受託し、地域の医 療・介護関係者等による協議の場の設置や連携 体制の強化に取り組んでいる。
また、地域医療再生基金事業により、
等を実施しているところである。
効率的な在宅医療を提供するためには、医師、 歯科医師、薬剤師、看護師、保健師、管理栄養士、 歯科衛生士、ケアマネジャー、介護福祉士等の 多職種が積極的な意見交換や情報共有を通じて 患者を支えていくことが重要と考えており、沖 縄県保健医療計画(第6 次)では、施策の方向 性として以下の2 点をあげている。
1)多職種の医療連携体制を構築や地域における 支援機関の連携を支援する、在宅医療連携体制の推進
2)地域連携クリティカルパスの活用やレスパイ トに対応した体制の構築等、退院から日常に おける療養生活、急変時の対応、看取りまでの在宅医療の支援
そのため、地域医療再生計画(三次)に係る 在宅医療分野については、関係機関・団体等から提案のあった事業内容等を精査している ところであり、国から示された方針(医師確 保及び在宅医療で5 億円以内)も考慮し、検 討していく。
<主な意見等>
◇県医師会:
九州在宅医療推進フォーラム等について、医 師会や行政の参加が少ないということであっ た。医師会としては今年度より在宅医療支援事 業を積極的に展開していきたいと考えている。 今後とも沖縄県と連携し事業を推進できればと 考えている。また、県に対しては、市町村行政 へのご指導についても併せてお願いしたいと考える。
また、多職種協働による在宅医療推進を具体 的にどのように展開するのか。アウトカムを示 す必要がある。予算も含め検討していく必要がある。
◆県福祉保健部:
在宅医療はこれまでもずっとあげられていた 課題であり、今般の医療計画にも定められてい る。関係者から意見を伺い各団体から提案され た事業計画を精査した上で検討していきたい。
議 題
<提案要旨>
本会では平成22 年7 月より沖縄県の委託を 受け、救急病院への不要不急の受診抑制や救急 外来における電話応対の緩和、更に小児患者の 保護者の不安解消を図ることなどを目的に当モ デル事業を実施している。
平成24 年度の相談総件数は7,472 件で、1 日平均21 件の相談が寄せられている。その内 「119 番コール」または「すぐに医療機関を受 診するよう勧めた」割合は9.1%となっている。 また、これまで実施した相談後の標本調査に 関しては、確認のできた総数3,036 件中「翌朝 9 時以降の受診」及び「未受診」を合わせると 2,209 件(72.8%)に上り、救急医療現場への負担軽減等については、一定の役割を果たして いるものと考えている。
本事業については、救急医療現場への貢献の みならず、社会的公益性の高い事業として、次 年度以降も是非事業継続をお願いしたい。
<県福祉保健部回答>
本事業については、県所管課としても大切だ と位置づけており、26 年度以降も継続して実 施する必要のある事業だと考えている。再生基 金以外の部分で、次年度以降も実施できるよう 予算確保に向けて県財政当局と調整を行っていきたい。
<主な意見等>
◇県医師会:
相談後の標本調査に関しては、毎日5 名の利 用者に対し調査を行っているが、調査に時間を 要することもある。次年度以降も本調査を継続 する必要があるか如何か伺いたい。調査業務の 負担を減らすことで、他の部分(電話回線増設 等)に予算を配分することができ、より有効的 な活用ができると考えている。
◆県福祉保健部:
内部で検討させていただきたい。
議 題
<提案要旨>
沖縄県は、東西1,000 q、南北400 qに39 の有人離島が存在しているが、その離島医療の 主体は診療所であるため、本島の中核病院との 連携が必須である。しかし、本島自体も隣県中 心部とは海を隔てて約600 qの距離があり、本 島中核病院から他県の高度医療機関への患者の 緊急な移動や搬送が極めて困難な環境におかれている。
このような状況から、沖縄県唯一の国立大学 病院である本学医学部附属病院は、離島圏を含 む全県下を責任医療圏として本島の中核医療機 関と連携、役割分担しながら、地域医療の中心的役割を担い、地域完結医療を目指して、全力 を挙げて取り組んで来たところである。
しかるに、本学医学部附属病院も現在地に移 転後三十年余りが経過し、機能的・構造的に現 下の複雑化、多様化し、変容する地域の疾病構 造に対応することが困難となりつつあるととも に、インフラの老朽化も進み、療養環境の安全 確保にも支障が生じつつある。
本学医学部附属病院が、「地域医療の最後の 砦」としての病院の機能を再生・強化し、よ り高い水準で沖縄県の医療需要に応え、沖縄県 民の医療の向上に寄与するためには、1)離島を 含め県内全域から救急患者を迅速に搬送できる ヘリポートを備えた高度救命救急センターの設 置、2)iPS 細胞などの利用による移植・再生 治療の実践及び開発、3)人工臓器・ロボット手 術等の高度医療や先進医療の実践及び開発、4)死亡原因の1 位であるがん診療への高度先進的な診断治療の実践及び開発、 5)災害や非常時に対応できる機能の整備、 6)国際的な診療・研究教育を実践するとともにアジアの窓口としての 沖縄の役割を果たすことをコンセプトとし、 本病院の再整備を計画してきました。
また、沖縄県の重粒子線施設導入については、 基礎調査が行われ実現性が高まっているが、本 院では放射線腫瘍医、医学物理士、診療放射線 技師等として中核的な役割を果たす専門人材の 育成にも貢献できるような整備をしていきたい と考えている。
しかし、近年の国立大学附属病院では、長期 借入金による既存施設の増築、改修というスキ ームが用いられているが、約10 年に及ぶ改修 工事期間中の稼働病床を主とする病院機能の低 下を伴い、沖縄県の地域医療に危機的状況を生 じせしめることから、現実的ではないし、既存 建物の構造的制約から動線を始め病院機能の最 適化が達成できない。
それを克服するためには、増築・改修ではな く全面建替えによる再整備が必要と考えている が、380 億円程度の費用が見込まれている。
しかしながら、そのような莫大な借入は到底 不可能であり費用の確保が大きな課題となっていることから、国の財政支援について管官房長 官に陳情したところである。
管官房長官からは、沖縄県の要望があれば沖 縄振興策の一環として一括交付金以外での財政 支援を検討したいという前向きな回答をいただいている。
ついては、沖縄県唯一の特定機能病院として 地域医療に貢献できる琉大病院を整備するため にご協力賜るようお願いする。
<県福祉保健部回答>
琉球大学医学部及び附属病院においては、本 県の保健医療の充実に大きく寄与されている。
特に県内唯一の医師養成機関として、医師確 保に多大な貢献をされていること、また、離島 県立病院等への医師派遣、専門医の養成等、本 県の医療提供体制の充実に重要な役割を果たさ れている。
今般、附属病院の建て替えにあたっては、ヘ リポートの設置や高度救命救急センターの設置 等、一層の機能強化を図ることと聞いており、 大きな期待をしているところである。
附属病院の機能強化は、本県の医療提供体制 の充実強化に資するものと考えており、県とし てどのような協力が出来るのか検討する。
<主な意見等>
◇県医師会:
国は、本件について沖縄県の強い要望があれ ば沖縄復興策の一環として検討したいとのこと なので早急にご検討いただき、沖縄県より国に 対し、要望していただきたい。
◆県福祉保健部:
要望書を作成し、官房長官に提出する予定である。
◇県医師会:
本要望書を作成する際は、文言等について沖 縄県福祉保健部及び村山理事で調整した上で、 ご提出していただきたい。
議 題
<提案要旨>
県では、平成25 年度から29 年度までの5 年間を対象期間とする「第二期沖縄県医療費適 正化計画」を策定し、このほど公開した。
高齢化の進展や経済の低迷により、医療保険 財政は大変厳しい状況となっているが、「県民 の健康の保持の増進」と「医療の効率的な提供 の推進」を目標とし、目標達成のための取り組 みを行うことで、結果として医療費の伸びを適 正化し、皆保険制度を今後とも堅持し、誰もが 安心して暮らせる地域社会の構築に寄与してま いりたいと考えている。
ついては、上記趣旨を御理解いただくととも に、計画の実施にあたり医師会のご協力をお願いする。
医療費適正化計画における目標達成のための主 な取り組み
1. 県民の健康の保持の増進
2. 医療の効果的な提供の推進
<主な意見等>
◇県医師会:
沖縄県における特定健康診査の平成23 年度 の市町村国保の実施状況は35.8%(全国16 位) となっており、全国と比べそれほど低くない受 診率となっている。
また、平成22 年度の全国における特定健康 診査の実施状況は42.6%、沖縄県は41.9%とな っているが、本県が全国より0.7%低い原因は、事業所が事業所健診における労働安全衛生法に 定められている項目を把握していない等の理由 から特定健康診査の検査項目に欠落があり、受 診率に反映されていないことが考えられる。
事業所が労働安全衛生法を遵守するよう、沖 縄県から事業所に対し、事業所健診等について 指導を行っていただきたい。
社会保険の被扶養者の特定健康診査の受診率が低いことも問題である。
特定健康診査の受診率を向上させるために は、事業所健診及び社会保険の被扶養者の受診 率を挙げることが重要である。
今後も沖縄県及び関係団体等で話し合いをして、特定健康診査の受診率向上に努めたい。
<その他>
本会より、県民の健康に対する意識の形成が 重要であると考えるので、健康教育の推進につ いて沖縄県でも対応策を検討していただきたい との要望をしたところ、沖縄県より、本件につ いては「第二期沖縄県医療費適正化計画」に盛り込んでおり、本県としても健康教育を推進し ていくことを目標としているとの回答があった。
また、本会より、沖縄県は全国に比べ外来受 診の医療費より入院料に係る医療費の割合が高 くなっている。
本来であれば、受診し治療のみで済むことが、 症状が悪くなった時に受診し入院となるケース が多々あるので、県民の健康に対する意識を変 える必要がある。また、医療費抑制についての 本質を見極める必要があるのではとの意見を述 べるとともに、沖縄県福祉保健部及び各関係団 体等が一丸となって健康づくりの推進を進めて いきたいとの要望をした。
それに対し、沖縄県より、今後とも沖縄県医 師会及び各関係団体の先生方の連携をとり、健 康づくりの推進に努めていくとの回答があった。
また、本会より、沖縄県より公的機関に対し、 全館禁煙等、タバコ対策についても指導をして いただきたいとの要望をしたところ、沖縄県よ り、検討していきたいとの回答があった。
<参考>沖縄県の特定健康診査・保健指導の実施状況(市町村国保)
印象記
副会長 玉城 信光
沖縄県医師会から3 題の議題を提案した。
提案議題1. 福祉保健部は在宅医療へどのように対応するのかとの質問に対し、現在取り組んでい る事業の説明があるとともに、保健医療計画に盛り込んだ多職種間の医療連携の構築を進めるこ とにしているので地域医療再生計画第3 次の中から在宅医療分野について精査し検討していきた いと回答があった。
提案議題2. 小児救急#8000 についても成果が上がっているので地域医療再生基金ではなく予算措 置として総務部と折衝していくことが話された。これは通常の予算で行うということで毎年事業 化するという素晴らしい回答である。
提案議題3. 琉大医学部附属病院の再整備に関して沖縄県の支援をお願いしたいとの要望があった。
琉大病院は「地域医療の最後の砦」としての役割が大きく、近年高度救命救急センターの設置や 再生医療、がん診療の高度化への対応など大きな役割が期待されている。それらの機能を向上さ せるためには、病院を新築し病院機能の充実を図らなければならない。新築には莫大な資金が必 要になるので県の後押しをお願いし国との折衝をしていきたいとのお願いである。県も琉大の役 割を認識しており積極的に支援していくためにこれからも情報交換をしていくことが話された。
沖縄県から1 題の議題が提案された。
提案議題4. 第二期の沖縄県医療費適正化計画ができているので医師会の支援をお願いしたいとの ことである。医療費を下げるためにも病気になる前の検診、予防措置が大切になる。メタボ対策 や健康教育などの事業が盛り込まれている。医師会からの発言として国から沖縄県に対して沖縄 の長寿復活に向けた施策を検討するように言われているので、健康増進課、並びに、国民健康保 健課、医務課等の縦割りではなく部長を中心にした総合的な計画を立て、医師会とともに実践し ていくことが大切であると述べた。全県的にまた世代を超えた取り組みが必要になると考える。
沖縄県医師会常任理事 稲田隆司
医事紛争発生時に、医師会に相談なく金銭交渉を行うと医師賠償責任保険の適応外となります。
医事紛争発生時もしくは医事紛争への発展が危惧される事案発生時には、必ず地区医師会もしくは沖縄県医師会までご一報下さい。
なお、医師会にご報告いただきました個人情報等につきましては、厳重に管理の上、医事紛争処理以外で第三者に開示することはありませんことを申し添えます。