沖縄県医師会 > 沖縄県医師会の活動 > 医師会報 > 7月号

沖縄県医師会
平成25年度研修医歓迎レセプション

石川清和

理事 石川 清和

沖縄県医師会 平成25年度研修医歓迎レセプション

  • 日 時:平成25 年4 月5 日(金)19:30 〜 21:30
  • 場 所:沖縄県医師会館(3F・ホール)

会 次 第

司 会:石川 清和 理事

1. 開  会    沖縄県医師会副会長  玉城 信光

2. 挨  拶
    沖縄県医師会会長   宮城 信雄
    沖縄県知事      仲井眞 弘多(代理:川上 好久副知事)
    群星沖縄臨床研修センター長    宮城 征四郎
    沖縄県医師会女性医師部会長    依光 たみ枝

3. 沖縄県医師会医学賞(研修医部門)表彰式

4. 乾  杯    RyuMIC・琉球大学医学部長     松下 正之

〜歓 談〜

5. 新研修医紹介  各臨床研修病院

6. 研修医代表挨拶    沖縄県立中部病院   黒田   格

〜歓 談〜

7. 閉  会    沖縄県医師会副会長  安里 哲好

4 月5 日金曜日、19 時半から沖縄県医師会 館で新研修医歓迎レセプションが開催された。 県医師会主催で県立病院群、RyuMIC、群星研 修病院群、合同の新研修医の歓迎会を行うのは 5 回目である。新研修医145 名と、来賓の川上 好久副知事(仲井間弘多知事代理)および県関 係者、宮城信雄県医師会長含め医療関係者110 名の合計255 名が一堂に会し、県医師会館3 階の大ホールは熱気で包まれた。県立病院群、 RyuMIC、群星研修病院群の3 つの研修病院群 の連携と、昨年から運営を始めたおきなわクリ ニカルシミュレーションセンターの活用等が沖 縄の初期研修の人気の原点にあると感じられ た。県内の研修施設の指導医、医師会の先生方 からの新研修医へはなむけの言葉と、懇談会で より多くの先生方の話を聞くことで、新研修医 にとって沖縄での実りある研修の原点になった と思う。また、沖縄は初期研修の地としては人 気があるが、後期研修では毎年20~30 名の研 修医が県外へ流出している。新研修医歓迎レセプションでの多くの先生方との交流が、沖縄県 内の病院が後期研修病院として選択される契機 になるのを期待したい。

歓迎レセプションの中で恒例の、昨年度の沖 縄県医師会医学会賞の表彰を行った。県立南部 医療センター・こども医療センターの本村朱里 先生と豊見城中央病院の金武有為子先生が最優 秀賞を受賞し、受賞の喜びを述べて頂いた。と ころで、沖縄県医学会では様々なテーマの発表 があるが、沖縄の健康問題は深刻である。新社 会人になってからの若い世代の健康的な生活習 慣への取り組みも重要なテーマである。食事、 運動、睡眠・休養、飲酒、喫煙等健康に関する 問題について、自分自身の健康問題と絡めて、 若い世代の健康作りに取り組んだ発表を期待し たい。特に本土から来られた新研修医の先生方 には、沖縄の健康長寿問題の要因である食文化・ 生活習慣に染まる前にこれらの生活習慣につい て問題点の指摘をして頂きたい。

今年の琉球大学医学部の医師国家試験の合格 率は118 名が受験し101 名が合格(85.6%)で あった。研修病院とマッチングしても医師国家 試験に合格しなければ、研修を始めることはで きない。合格率の高い大学では、医学部全学年 を通じての医学教育への取り組みが行われてい るようで、大学のさらなる取り組み、必要であ れば医師会でも医学生への学習意欲向上対策な どへの支援を検討して頂きたい。

TPP と国民皆保険制度の維持、消費税増税 による医療機関経営への影響、未だ終息せぬ原 発問題、きな臭くなる日中韓米国問題、憲法9 条改正など暗雲立ちこめる医療・政治・経済状況を考えると新研修医が医療人として活躍する ためには、医師一人ひとりが30 年〜 50 年先の ことを考え行動しなければならないと感じた。

※当日レセプションに参加いただいた研修医の 先生3名にインタビューを行いましたので、以 下のとおり紹介いたします。

○沖縄県立南部医療センター・こども医療センター
 山ア 大輔先生

山ア大輔先生

質問1. 医師を目指した 動機・契機についてお聞かせ下さい。

私はサラリーマンを経 験した後に医師の道を 志しました。私は国際協 力に興味があり、将来は 起業しそこで得た利益をもって学校や病院を途 上国に立てることなどを目標にしておりました。 それがサラリーマン時代に、初めて途上国(バ ングラデシュ)を訪れる機会を得て、不平等・ 理不尽な現実を目の当たりにしたときに、金銭 だけの支援だけではなく自分の体や能力を使っ て途上国の役に立ちたいと思い立ちました。そ れが私が医師を目指した全ての理由であります。

質問2. 医師となった今、臨床研修に何を希望 されていますか?また、所属している研修機関 を選んだ理由をお聞かせいただけますか?

“臨床研修に求めるもの” と問われると答えに 窮します。臨床研修というものは決して受け身 ではなく、自分たちでより良い研修環境を作る こともその一つだと考えるからです。当院を選んだ理由ですが、将来母子保健面からの途上国 の支援を考えている私にとって、産婦人科・小 児科・総合内科・救急を中心に学べる環境が必 要であり、当院はそれを満たしていたためです。 また見学の際、熱心にご指導頂いた先生方の印 象が良かったことは言うまでもありません。

質問3. 将来はどのような医師になりたいです か?お聞かせ下さい。

38 歳で医師になった私が優秀な同期と肩を並 べて研究や高度な医療をしていけるとは思って おりません。ただ少し遠周りをして違う世界も経 験してきたことが、医療の現場においても役立 つことは必ずあると信じていますし、事実この数 か月の研修を通してもこのような経歴に関心を 持って下さる患者さんも多くいらっしゃいます。 私なりのやり方で患者さんに必要とされる医師 になりたいと思っております。そして将来は途上 国での医療に携わり、少しでの医療面での不平等 に一石を投じられればと思っております。

質問4. 貴方の家族・友人や地域社会・日本・ 世界にたいして医師の貴方が出来ることはどん なことがありますか?

途上国での医療活動、また日本においての啓発 活動などをやっていきます。尊敬する先生方に少 しでも近づき、また自分の活動にご賛同いただけ る方を見つけていきたいと思っております。

質問5. 医師会についてのイメージと期待する ことはありますか?

地域の医療の不平等を正すべく、また社会的弱者への医療アクセスの在り方等、行政への働 きかけや一般市民への啓発など行っていただき たいと思っております。

挨拶する宮城信雄会長


挨拶する川上好久副知事


挨拶する宮城征四郎
群星沖縄臨床研修センター長


○琉球大学医学部附属病院 西田 翔先生

西田翔先生

質問1. 医師を目指した 動機・契機についてお 聞かせ下さい。

父が医師であったこ ともあり、幼い時から 「医師」という存在が身 近であったと思います。 自分自身で自分の職業を「医師」と意識できた のは、医学生も終盤の6 年生です。「人類始ま って以来、色んな思想や主義があったけれど、 「人の助けになる事」はどの時代であっても続 けられてきた唯一の事」という言葉を恩師から 頂き、「医師」という立場の責任の重さとそれ 以上のやりがいに気がつく事ができました。

質問2. 医師となった今、臨床研修に何を希望 されていますか?また、所属している研修機関 を選んだ理由をお聞かせいただけますか?

「医師」という名札だけついた状態で、左右 という以前に、自分が生まれたことさえもイマ イチピンときていないと言うのがホンネです。 孵化したばかりの雛が見るのも全てをマネする ように、先輩方の背中をみながら全てをマネし、 医師として基礎を作っていきたいと思います。 琉球大学附属病院には、背中を見せながら、そ っと後ろを振り向いてくれる先輩医師が沢山い ます。その大先輩の真似をし、自分も後ろをついてくる後輩に同じことができるよう頑張りた いとおもいました。

質問3. 将来はどのような医師になりたいですか?お聞かせ下さい。

将来は移植外科に進みたいと思っています。 他国と比較し、日本では臓器移植が盛んではあ りませんが、iPS 細胞の存在もあり将来性を秘 めた分野であると思っています。様々な分野の 先端技術を出し合って作り出す「移植」という 世界に大きな魅力を感じています。

質問4. 貴方の家族・友人や地域社会・日本・ 世界にたいして医師の貴方が出来ることはどん なことがありますか?

患者さん一人ひとりをその人生の主役とし、 その側で時には明るく、そして時には同じ気持 ちになって、主役を支えていける「名脇役」に なれればと思っています。「医師」が社会の中 の一職業であることを忘れず、同じ目線で「主 役」が自分の晴れ舞台を精一杯踊り続ける事を 楽しめるような医師でありたいです。

質問5. 医師会についてのイメージと期待する ことはありますか?

医師会は大きな組織であり、色々な先輩方と の出会えるチャンスが広がっているように思い ます。その「出会い」を大切にしたいです。

挨拶する知花なおみ
沖縄県医師会 女性医師部会 副部会長


沖縄県医師会医学賞
(研修医部門)表彰式


研修医の紹介


○沖縄協同病院 上田 百蔵先生

上田百蔵先生

質問1. 医師を目指した 動機・契機についてお 聞かせ下さい。

私は高校を卒業して 暫くして医師を志した のですが、当時は自分 が何か夢中になれるも のを見つけたくて色々と悩み模索中でした。自 分は何が得意でどんな職業が向いているのだろ うと毎日考えていました。そして自分の気持ち の中にずっと人の役に立つ人間になりたいとい う漠然とした思いがありました。

私は生まれも育ちも神戸です。当時中学生だ った1995 年1 月17 日に阪神大震災が起こり ました。あれから数年経過していましたが、こ のような天変地異が起こった時にも、へこたれ ないで人の役に立つ人間になりたいと強く思い ました。そんなこんなで色々と思うところがあ りまして遅ればせながら私は医学部に入るため に勉強を始めました。

質問2. 医師となった今、臨床研修に何を希望 されていますか?また、所属している研修機関 を選んだ理由をお聞かせいただけますか?

私はどこの病院で研修したとしても患者さん が罹患する疾患が大きく変わるわけではないの で、勉強できる内容は大きく変わることはない と考えています。

しかし、医師としての初めの一歩である臨床 研修という意味合いを考えますと、研修する病 院で働いている職員の患者さんへの態度や姿 勢は非常に研修医にとって影響力があると考 えました。沖縄協同病院で研修することを選択 したのは見学の時に先生方やスタッフの方々 がとても優しく患者さんに接していたからで す。臨床研修を通じて患者さんに安心感を与え られるような優しい医療者になりたいと思います。

質問3. 将来はどのような医師になりたいですか?お聞かせ下さい。

幅広い知識を持つだけでなくそれをできるだ け平易な言葉で患者さんに伝えられる医療者を 目指しています。

質問4. 貴方の家族・友人や地域社会・日本・ 世界にたいして医師の貴方が出来ることはどん なことがありますか?

当面の目標は、現在勤務している病院地域の 方々が安心して医療を受けられるように日々精 進します。災害が起こったときは、地域の人の ために率先して動けるように心がけています。

質問5. 医師会についてのイメージと期待する ことはありますか?

研修医歓迎レセプションを開いて頂いた際 は、沖縄県全ての研修医と交流することができ 大変感謝しています。まだ群星沖縄・沖縄協同病院プログラムで臨床研修を始めて2 ヶ月にも 満たない身ではありますが、こういった病院の 垣根を越えた“オール沖縄” の繋がりを大切に して行きたいと思います。今後ともよろしくお 願いします。

当日の会場の様子