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平成24年度第4回
沖縄県・沖縄県医師会連絡会議

玉城信光

副会長 玉城 信光

去る1 月23 日(水)、県庁3 階第1 会議室 において標記連絡会議が行われたので以下のと おり報告する。(出席者は以下のとおり)

出席者:宮城会長、玉城副会長、安里副会長、稲田常任理事、宮里常任理事、玉井理事(以上医師会)、崎山福祉保健部長、国吉保健衛生統括監、里村参事、国吉健康増進課長、平医務課長(以上県福祉保健部)

議 題

1.「災害への対応について」
(提案者:沖縄県医師会)

1)災害発生時の県外派遣に関する協定を早急に締結いただきたい

<提案要旨>

本件については、昨年5 月26 日開催の本連 絡会議において本会より「地震等により被災した地域での医療救護活動に当たっては、県内外 を問わず活動できるよう沖縄県と沖縄県医師会 とで災害時派遣協定を締結いただきたい」旨提案した。

それに対し、県より「今後、災害時の医療提 供体制を構築していくにあたり、貴会をはじめ DMAT 病院及び関係団体と、次のような観点 から協議を進めていきたいと考えている。(1) DMAT との関わり(2)災害対策基本法等の対 象となる医療救護活動(3)沖縄県医師会、沖 縄県看護協会ほか各関係団体の災害発生時から 復興までの役割」「提案の趣旨は理解できるの で、改善すべきは改善したい。医師会とは、県 内の災害時については既に協定があるが県外に ついてはまだないので、協議を行っていきた い。」との回答をいただいた。

災害に万全を期すために、県内外を問わず活 動できるよう早急に県外派遣に関する協定を締 結すべきであると考えているが、その後県にお ける検討状況についてお伺いしたい。

2)沖縄県保健医療計画並びに沖縄県地域防災計 画等に、沖縄県医師会JMAT(日本医師会災 害医療チーム)を公的に位置づけていただきたい。

<提案要旨>

現在沖縄県において見直し作業を行ってい る「沖縄県保健医療計画」に「沖縄県医師会 JMAT(日本医師会災害医療チーム)」を公的 に位置づけていただくよう要望する。

また、沖縄県地域防災計画においても沖縄県 医師会JMAT を位置づけていただくよう関係 部署と調整をお願いしたい。

なお、本会では、マニュアルの策定、定期的 な研修の実施、備品整備等、災害医療チームと しての環境整備を進めているところであり、災 害時に万全を期すよう努めているところである。

また、昨年8 月9 日に鹿児島県において開催 された「九州各県医務主管課長会議」において、 「大規模災害時における九州ブロックのJMAT 活動を認識した災害時医療救護協定について (長崎県版修正案)」検討がなされたと伺ってお りますが、検討内容についてもお伺いしたい。

<県福祉保健部回答>

昨年8 月の九州各県医務主管課長会議の意見 交換を踏まえて、今月中に長崎県が県外の派遣 協定を既存の協定の中に盛り込む方向で進めて いる状況であり、福祉保健部においても既存の 協定の中に盛り込むことで検討しており、部内 で調整して早いうちに医師会に提示し調整させ ていただきたい。

また、公的な位置づけについて、現在の保健 医療計画および地域防災計画においても医療班 の要請を医師会にと書いてあるが、次期保健医 療計画にもJMAT と明記していきたい。その点 についても医師会に提示させていただきたい。

昨年8 月の九州各県医務主管課長会議で は、基本的なこととして1)県外派遣のあり方2)DMAT とJMAT との役割分担3)公的な位置づ けに等について意見交換を行った。

九州各県とも県外派遣について検討してい こうということであった。また、DMAT と JMAT の役割分担については、各県での検討も 必要だが、必要に応じて厚生労働省と日本医師 会、国全体的な協議が必要ではないかとの意見があった。

同会議において、基本的な事項について意見 交換を終了したところである。長崎が今月中に 協定を作っていくということなので、それを取 り寄せて調整していきたいと考えており、医師 会と調整していきたい。

<主な意見等>

◇県医師会:九州のみならず他の県にも派遣できるようにしてもらいたい。

◆県福祉保健部:基本的に「県外」としており、九州に限定してはいない。

◇県医師会:今回(東日本大震災)のことをい い経験にしてどうしたらいいかを考えて取組ん でいただきたい。医師会は、協定があってもなく ても行くときには行く。県との取り決めの中で 県の派遣として行くことで、県自身も早くに取 組んだことになり県にとっても良いことである。

◇県医師会:本院は、DMAT が2 チームあり、 本来なら3 日以内の出動であるが、長々と要請 が続いた。県も医師会もそれぞれ独自で応援に 行っている。実際3 日を過ぎるとDMAT の役 割は終わっている。災害が落ち着いてくると、 慢性の病気や子どもたちの感染症など、JMAT の方が力を発揮できる。本院もJMAT に参加 したかったが、県からDMAT 要請があったの でできなかった。

◆県福祉保健部:阪神淡路大震災の際にはガレ キの中からの救護であったが、東日本大震災の 場合は、津波のため医療提供体制が消失してし まってDMAT とJMAT が一緒に入り込むとい う必要性が出ることが想定された。8 月の九州各県医務主管課長会議では、DMAT 活動後急 性期以降の対応はJMAT との位置づけができ るのか、整理も必要なのではとの意見もあった。

議 題

2.「がん検診について」(提案者:沖縄県医師会)

1)胸部CT による肺癌検診にて、肺癌死亡を減少する事業に取り組んで欲しい

<提案要旨>

現在の胸部レントゲンと喀痰細胞診検診では早期肺癌を見つける事が困難です。

肺癌のハイリスクグループを対象に胸部CT検診を実施してもらいたい。

(補)沖縄県では約86,000 人(H22 年度)の 肺がん検診の受診者がある。全てでCT 検診を 導入することは、効率、対費用効果、読影能力 から見ても実現困難と考えられるが、5 年毎の 節目や、あるいは40 歳以上で喫煙指数が600 以上のハイリスクグループに対して、胸部CT による肺がん検診への公費助成を行うことは実 現可能と思われる。

2)乳癌死亡を減少させる為、乳癌検診の質を向上する事業に取り組んで欲しい

<提案要旨>

乳癌検診のレベルの向上の為、マンモグラフ ィーと、乳腺エコー検査の技術者養成事業に取 り組んでもらいたい。

(補)現在市町村の乳がん検診やクーポンに よる乳がん検診が実施されているが、マンモグ ラフィーによる検診においては、設備とともに 専門的な知識と技術を有する技術者の不足がボ トルネックとなっている現実がある。従って、 乳がん検診の受診率向上に向けて、技術者養成 事業に県として取り組んでいただきたい。

◆県福祉保健部:1)現在、がん検診については 市町村の責務として位置付けられ、「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」 に基づき実施されています。肺がん検診につい ては、胸部レントゲンと喀痰細胞診検診とされています。

国立がん研究センターがん対策情報センター によると「低線量の胸部CT による肺がん検診 は、死亡率減少効果の有無を判断する証拠が不 十分であるため、集団を対象とした対策型検診 としては勧められません。」となっているため、 胸部CT 検査については、他府県の市町村にお いても実施しているところは少ない状況です。

都道府県では、鹿児島県が主催として実施 しており、今後、鹿児島県の導入経緯と他府 県の動向を踏まえ検討していきたいと考えて います。

2)平成16 年4 月27 日に「がん予防重点健康 教育及びがん検診実施のための指針」の一部改 正され、市町村における乳がん検診については マンモグラフィーにより実施することが原則となりました。

指針の改正に伴い、県ではマンモグラフィ ー撮影技師及び読影医師養成研修事業を平 成18 年度まで実施し技術者の養成に努めて きました。

平成18 年度に撮影技師数及び読影医師数の 必要な人数を算定し、研修会実施した段階で技 術者数は概ね充足されたと判断し、県としての 事業を終了しています。

(撮影技師数63 人、読影医師数66 人 県集計:平成18 年6 月末現在)

NPO 法人マンモグラフィー検診精度管理中 央委員会報告書(第8 版)によると読影医師数 144 人、技師数181 人(平成24 年3 月31 日現在) となっていますが、従事者の状況については未 把握ですので、今後調査し検討していきたいと 考えています。

<主な意見等>

◇県医師会:医師数は足りているのではないか と考えるが、精度が伴っていないと思う。資格 を持っている人については、レベルアップの講 習が必要であるということで、年に2 回程度、 中部地区医師会において講習を実施している が、全体には行き亘っていない。レベルの統一 が出来ていないのではないかと考える。

また、同じ施設の中のみで診るのではなく、 外の目がないとレベルがアップしないのではな いかと考える。以前、那覇市医師会が、病院で 1 回読影を実施し、医師会に数名の先生を集め、 再度読影をするという取り組みを行っていた。

◇県医師会:読影や診断精度の更なる向上も必要であると思うが、受診率はどうか。

◆県福祉保健部:受診率が20%台で留まって いる。特定健診が始まる少し前位から下げ留まっている状況である。がん検診や精検の受診率 については、非常に問題であると考えており、 生活習慣病管理指導協議会で受診率の向上につ いて協議しているところである。

また、がん基本計画や健康おきなわ21 にお いても精密検査の受診率向上を目標に、力を入 れていきたいと考えている。

◇県医師会:がん検診については、市町村毎に 内容や単価が異なっている。理想的なことではあ るが、特定健診の集合契約のように、相互乗り 入れを可能にすることが受診率の向上に繋がる のではないかと考える。是非検討いただきたい。

◆県福祉保健部:医療機関によっては、特定健 診は実施できるががん検診は難しいというとこ ろや、がん検診の中でも出来るものと出来ない ものがある等、このような状況も鑑みると難し いのではないかと思う。

印象記

副会長 玉城 信光

議題1 は災害医療についてである。

災害発生時に医師会の医療団を県外に派遣するための取り決めについては九州各県でも検討さ れており、沖縄県でも県外派遣に向けた準備をしていると回答があった。また保健医療計画の中 でもDMAT、JMAT の位置づけをはっきりさせていきたいとの回答であった。九州では長崎県が 先行して派遣に関しての締結がなされるのでそれを参考にしながら沖縄県の協定を作っていくこ とになった。

議題2 はがん検診についてである。

一つは肺がん検診に胸部CT の導入を検討してはどうかとのことであるが、健康増進課の回答 ではCT による検診は鹿児島県で行われているが、国立がん研究センターの意見ではまだ集団検 診に対するエビデンスがないことで沖縄での導入は考えていないとのことである。

二つ目は乳がん検診の技術向上のためのマンモグラフィや超音波の講習会を行ってほしいとの 浦添市医師会からの要望である。現在県内にはマンモグラフィ読影医師が144 名、読影技師が 181 名いることになっており数の上では充足していることになっている。しかし、その業務の実 態がどうなっているか把握する必要があると回答があった。

今後の課題としては、読影精度の検証などが必要になるであろうとの意見が出された。

今回は議題も少なく早めに終了した会議であった。今後は保健医療計画に向けた作業が加速す るのでこの会議の外にも県に対して多くの意見を出していきたいと思う。