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九州医師会連合会 平成24年度
第2回各種協議会

2. 介護保険対策協議会

理事 比嘉  靖

挨 拶

宮崎県医師会の立元祐保常任理事より挨拶が述べられた。

介護保険制度も開始から12 年を過ぎ、いろい ろな制度上の問題が顕在化してきている。本日 は9 題の協議題が提示されている。在宅チーム 医療に関し多職種協働による在宅チーム医療研 修事業、在宅医療連携拠点事業に関するものが4 題提出されている。その他、医療保険での在宅 医療と介護保険での地域包括ケアシステムの関 係性について、施設での看取りや配置医師の問 題、そして通所リハビリにおける認知症を有す る高齢者の受入れについて、あるいは認知症疾 患医療センターの問題等、多岐にわたっている。

限られた時間ではあるが最後まで活発なご討論をお願いしたい。

次いで、日本医師会の高杉敬久常任理事より挨拶が述べられた。

介護保険、医療保険は大きな改定が4 月にあ った。スタートしているが、細かなところで直 さなければならないところがたくさんある。そ ういう話を本日持ち帰り、中央の意見に反映さ せたいと考えている。

今日の次第にある、在宅医療支援事業についてもボタンの掛け違いがいろいろある。本日は 情報提供をしたい。

充実したご討論をお願いしたい。

協 議

(1)多職種協働による在宅チーム医療を担う人材育成事業「地域リーダー研修」への取り組みについて(沖縄県)

<提案要旨>

厚生労働省では、「平成24 年度多職種協働 による在宅チーム医療を担う人材育成事業委託 費実施要綱」を定め、平成24 年4 月1 日から 適用することとしており、本事業においては、 国が、都道府県リーダーに対して、在宅医療を 担う多職種がチームとして協働するための講習 を行い、その後、都道府県リーダーが、地域リ ーダーに対して、各地域の実情やニーズにあっ た研修プログラムの策定を念頭に置いた講習を 行う。さらに地域リーダーは、各地域の実情や 教育ニーズに合ったプログラムを策定し、それ に沿って各市町村で地域の多職種への研修を行 うことをされている。

本事業については、県医師会及び地区医師会 の参画が不可欠であると認識しているが、本県 においては、現時点で具体的な検討は行われていない状況にある。

ついては、本事業への対応について、各県医師会のご意見をお伺いしたい。

(2)各県における在宅医療連携拠点事業への取り組みについて(福岡県)

<提案要旨>

高齢化の急速な進展に伴い、在宅医療を必要 とする患者は今後益々急増することが確実であ り、このような慢性期高齢患者の受け皿として、 医療・介護に関わる多職種が連携して在宅チー ム医療を推進していく体制作りが目下の急務で あり、厚生労働省においては、第6 次保健医療 計画の中で在宅医療・介護推進プロジェクトを 立ち上げ、在宅チーム医療を担う人材育成事業 や在宅医療連携拠点事業等の取り組みが行われている。

本県においては、10 月に開催された都道府 県リーダー研修受講者が県リーダーとなり、県 主導で地域リーダー研修プログラム検討会を立 ち上げ、地域リーダー養成のための研修会の開 催が予定されている。研修会は、4 ブロックで、 郡市医師会毎に医師、ケアマネ、歯科医師、訪 問薬局、保健所、訪問看護ステーション等より なるチームを編成し、開催する予定である。次 年度以降は郡市医師会毎に育成された地域リー ダーが中心となり、地域毎に多職種研修を実施 し、多職種連携体制の裾野を広げていくという 目論見である。

国から県、さらに郡市医師会単位と研修を進 めていくにあたっては、医師会等の関係団体が 協力しあって、多職種グループを編成し、連携 体制の構築を図る必要があると思われる。しか るに福岡県においては、県リーダーになるべき在 宅医療連携拠点事業者が、県や医師会とは無縁 のところで採択された事情もあり、郡市医師会 が足並みを揃えて研修プログラムを進めていく ことが出来るか若干懸念されるところでもある。

ついては、各県における在宅チーム医療を担 うリーダー研修実施計画の進捗状況や、各郡市 医師会レベルに広げていく今後の方向性に関し てどの程度の見通しが立っているか現状をご教示いただきたい。また、本件に関する日医の見 解もお伺いしたい。

(3)在宅医療リーダー研修への医師会の関わりについて(佐賀県)

<提案要旨>

平成24 年10 月に多職種協働による在宅チ ーム医療を担う人材育成事業の都道府県リーダ ー研修が行われた。九州地区ではまだ大都市近 郊に比べると本格的な在宅医療推進の動きは少 ないと思われるが、研修会の中で地区医師会が 在宅医療推進の中心となるべきであるとの認識 が持たれていて、各県でも在宅医療リーダー研 修が企画されていることと思う。医師会がこれ にどのように関わっているのかを各県にお伺いしたい。

(1)(2)(3)一括協議

<各県回答>

在宅医療連携拠点事業や多職種協働による在 宅チーム医療を担う人材育成事業については、 各県の取組状況に差異があることが示された。  大分県では、在宅医療連携拠点事業に2 つの 郡市医師会が選定され、当該事業が比較的スム ーズに行われていると報告があり、熊本県では、 医療、介護、福祉、行政関係者による「熊本県 在宅医療連携体制検討協議会」を設置し、在宅 医療に係る典型体制及び今後の取り組み等につ いて検討を行なっているところであると報告が あった。また、福岡県から、福岡県医師会が多 職種連携地域リーダー研修事業の委託を受け、 今年2 月から3 月にかけて実施予定である旨の 報告があり、佐賀県からは、県行政が在宅医療 拠点事業を受託し、保健福祉事業所、郡市医師 会、県医師会と連携し、県下全域で取り組みを 行なっているとの報告があった。

また、在宅医療に係る多職種連携事業につい ては、各県ともに、地域の医師会の関与が不可 欠であるとの認識であり、地域の特性に応じた 医療資源の効果的かつ効率的な活用が今後の重 要な課題であると意見された。

<日医コメント>

九州各県の取り組みを聴き安心した。各県と も既に取り組まれており、それなりの成果が上 がりつつあると考える。

在宅医療拠点事業については、先生方に情報 が遅れており、本事業に医師会が入っていない、 あるいは医師会を通じていないというところが ある。情報が国から県に行き、その県の捉え方 で取り組み方に差異がある。医政局マターであ るが、事業を受けている長寿医療センターが、 最初の10 か所をモデル事業とし、次に100 か 所に広げるということで、ドタバタ騒ぎの3 月 に募集をしている。

7 月に厚労省で開催された説明会には私も行 き挨拶をした。本事業は、地域の医師会がきち んと動かないと何にもならないということで、 日本医師会から各医師会に対し本事業に参画し ていただきたいとするお願いを行い、少しずつ 広まった。ただ100 か所のモデル事業を受け るに当たり、指定には非常に齟齬があり、医師 会と行政が上手くいっているところは医師会が 受けているが、そうでないところは全く医師会 が関係していないということで、全国で非常に 温度差があると考える。

本事業の報告集会が3 月にある。モデル事業 を受けられた方はもちろん参加されるであろう し、その情報はきちんと流したいと考える。

2025 年に団塊の世代が後期高齢者になる。 これが爆発的かつ未曾有のスピードで起こる。 何とかしなければならない。これは東京周辺の 話である。今回の医療保険、介護保険の改定も 全てそちらに向けて改定されたと思っていただ きたい。柏プロジェクト、松戸プロジェクトも 都市型であり、あまり九州地方には参考になら ないことが多いと考える。しかし、この爆発的 に増えることをどうしたら良いか。高齢者に地 域で幸せに過ごしてもらうためにはどうしたら 良いか。これは都心であろうと地方であろうと 変わりないことは確かである。従って、これか らの超高齢社会になる日本の処方箋として、時 間がないから急ぐということは良く分かるが、治すという視点ではなく、お年寄りをどう支え ていくか、生活を支えながら診ていくという視 点が必要になると、そういう頭の切り替えをし なければならない。医療政策の変換も求められている。

その中で、老健局マターの地域包括ケアシス テム、医政局マターの在宅医療連携拠点事業を 上手くフィットさせていただく。この起因はや はり医師会が関係しないといけない。特にこれ は、地域の地区医師会が、それぞれのまちづく りの中で行政とスクラムを組み動かなければど うにもならないと考える。県には通達が来る。 県の介護保険事業計画や医療保険事業計画にフ ィットさせながら地域づくりをしていく。その ためには県医師会も地区医師会もスクラムを組んでいく。

もう一つ、地域医療再生基金の臨時特例交付 金の拡充というものが出ている。500 億円。そ れに対して使うことは、来るべき地震に備えて の事業、医師確保の事業、そして在宅医療推進 事業として、25 年度からの医療計画には、新 たに『在宅医療について達成すべき目標、医療 連携体制』等を明記すべきとされたことから、 それに対応するために必要となる事業費がおり るということである。県とスクラムを組み、ま ちづくりのためにしっかりと計画を立てていただきたい。

これから急ぎまちづくりを進め、地域の特性 に応じたまちづくり、あるいは医療のバックア ップづくり、あるいは病院との連携づくりが大 切だと考える。

また、お年寄りが増えてくるということは、 病院のあり方も問われると考える。中小病院、 あるいは地域の有床診療所のこれからの機能 は、やはりバックアップ機能であり、急性変化 をきちんと診る、あるいは看取りを行う、リハ ビリを行う、そういう機能が求められてくると 考える。高齢社会に見合った医療のあり方も考 えていかなければならない。

(4)在宅医療の普及への取り組み状況について(長崎県)

<提案要旨>

厚生労働省は、地域包括ケアシステムの中核 として、在宅医療連携拠点事業を利用し、在宅 医療の推進を図っている。

長崎県では、先ず、在宅医療を担う医師の育 成事業を手がけようと動き始めたところである が、連携事業の推進までは手が回らない状況である。

各県の在宅医療の普及への取り組み状況はいかがか。

<各県回答>

各県ともに、在宅医療連携拠点事業や独自の 事業展開等、在宅医療に係る事業に取り組んで おり、福岡県や鹿児島県より、在宅医療の推進 に係る研修会等を開催していると報告があり、 本会からは、中部地区医師会や浦添市医師会で 取り組まれている在宅医療連携拠点事業の概要 等について報告を行った。

宮崎県より、「佐賀県の取り組みについて、 県が受託し医師会に事業を下ろす形は一見理想 的に見えるが、在宅医療に関心のある医師と、 そうでない医師との温度差が非常に大きいと考 える。その点はどうか」と発言があり、佐賀県 より、「拠点事業に係る在宅医療の提供体制に ついて県医師会長がビジョンを描いた。県がリ ーダーシップを取り、地区医師会にきちんと下 ろしていけば、それなりの形が見えてくるので はないかと考える。」と意見された。

(5)医療保険での「在宅医療」と介護保険 での「地域包括ケアシステム」の関係性を どのように考えるか。(熊本県)

<提案要旨>

それぞれの県医師会は県行政と共に、この「在 宅医療」や「地域包括ケアシステム」の構築に ついて話し合っていらっしゃると思うが、保健 医療計画とか介護保険計画など紙面に文言を記 載することは比較的易しい。

困難な問題は、実際に地域医師会で実行可能な方法をどのように構築するかであり、それと 同時に「在宅医療」と「地域包括ケアシステム」 が、どの様な関係性があり、それをいかにして、 医療・介護関係者に理解しても実行してもらう かが問題と考えている。

「医療のない介護はない」と以前より言われ ているが、「介護のない医療もない」というこ とも事実であり、最先端の現場では、その融合 したサービス提供が求められる。

各県医師会として、どのようにしてこの関係 性、必要性を地域医師会に説明し、理解し実行 してもらうかが、妙案がありましたらご教授い ただきたい。

<追加発言>

在宅医療に参加する医師は一人ではとても無 理である。主治医と副主治医等、ペアを組み患 者様にあたるが、その場合に何かトラブルがあ った際に、それぞれの医師は保険に加入してい ると思うが、在宅医療に関心を持ってもらうた めには、トラブルがあった際の保険に市町村が 加入してもらう等、安心できる方策があれば、 地域で在宅医療に参加される医師も増えるので はないかと考えている。

<各県回答>

各県ともに、在宅医療と地域包括ケアシステ ムの効果的な連携は非常に有用性が高いとの回 答が示され、福岡県では、地域包括ケアシステ ムの方向性を検討し各地域に情報を発信するこ とを目的とした「地域包括ケアシステム構築検 討委員会」を今年度より発足させ、県行政や政 令市等にも参画いただき検討を加えているとこ ろであると報告があった。

また大分県からは、「地域包括ケアシステム はアウトリーチを中心にした考え方であり、診 療所等を点で結び、日常生活圏内にあるエリア をきちんと決め、地域の実情を把握し、情報の 収集を行い、その拠点を診療所に求める。そこ に関係者に集まっていただき、いわゆる地域ケ ア会議をそこで行う。そこで情報共有しながら、 デイタイムを過ごしていただく。夜はアウトリーチという概念を導入する。チームで何か問題 があれば、また救急が発生したら、そこに行く ことで24 時間365 日のケアが可能になるので はないかと。そうすると福祉も医療もそれぞれ の力を出し合いながら、高齢者の生活を守るこ とができるのではないかと考える。」との見解 が示された。

<日医コメント>

(4)(5)一括コメント

医療機関に通えない高齢者に、最適な医療を どのように提供するかというと在宅医療しかな い。在宅医療を手取り足取り十分にということ ではなく、程良くでも良いと考えている。そう いう意味で、介護保険の究極の目的と医療保険 の究極の目的とを合わせた今回の国の施策は、 まさにパラダイムシフトであり、これから迎え る高齢社会を私達がどうみていくか、これから の若い人達をどうみていくかということが大切 である。

我々かかりつけ医とは何か、総合医とは自分 の専門を柱にし、社会でいろいろな相談機能を 持つ、あるいは学校医活動、産業医活動等、自 分の専門ではないところで医師会の活動として ずいぶん繰り広げられている。その一環として 地域をみるという視点に立てば、時代に合わせ て医師会も変化していくことは当然であり、そ こに国がどのような施策を展開し我々をどう誘 導していくか、国の制度を利用しながら進まな ければならない。

高齢者は急性変化を繰り返しながら、だんだ んと体の能力が落ちていき、最後に死を迎える。 そのポイントポイントで医療がきちんと提供さ れるのであれば、長期に入院する必要はない。 どのように若い人達が理解していくか、在宅医 療に見向きもしない人達をどのように啓発して いくのかということが大切である。

新しく開業した医師に目を向けさせないと将 来危ないと考える。どのように理解してもらう か。先生方の取り組みの中に、必ず若い医師を 入れた形の連携づくり、あるいは主治医、副主 治医制等のチームづくりは、まさに医師会の仕事であろうと考える。それをやっていくことが 大切だと考える。

トラブルをどうするかという点については、 医師は一人でサービスを提供することはあり得 ない。チームで提供する。チームの誰かの目が あれば、医師を誹謗するようなことはないと考える。

キーポイントは地域ケアであり、地域のまち づくりである。そこに行政がしっかりと絡んで こないと良いまちにはならない。医療を担当す る部署に一緒に肩を組みましょうとして引っ張 っていくまちづくりが大切だと考える。

(6)特別養護老人ホームにおける配置医師の諸問題について(福岡県)

<提案要旨>

特別養護老人ホームには医療法上の診療所の 開設が必要であり、そのために管理医師が必要となる。

管理医師は、特別養護老人ホームから給与を もらう一方、特別養護老人ホーム入居者に対す る診療報酬の請求には著しい制約を受ける。他 方、同様な状態像の方が有料老人ホーム、サ高 住、グループホーム等に入居している場合には 在宅医療の診療報酬の請求が可能で、著しい違 いが生じている。

例えば、特別養護老人ホームの方を診察した 場合、処方せん料68 点しか請求できないが、 有料老人ホーム等の場合には、在医総管を請求 すると6,000 点ほどの請求が可能で、その差は 100 倍である。

この著しい格差を解決する必要があると思うが、日医の見解を伺いたい。

また、特別養護老人ホーム側からみた場合、 配置医師がいないと特別養護老人ホーム自体の 存続も危ぶまれる。特別養護老人ホームでは、 施設内看取りを行なっているところも増えてい るため、配置医師が24 時間365 日待機をせざ るを得ない例もある。

更に、昼間の診療中に入居者の急変でよばれ ることも増えてきている。このような現状を鑑 み、配置医師を敬遠する医師も増えているようである。厚生労働省等の施設内看取りを推奨し ている現状の中で、地域の開業医が配置医師と ならないといけない現状の制度は無理があると 思えるが、併せて日医の見解を伺いたい。

(7)福祉施設等での看取りについて(鹿児島県)

<提案要旨>

今後増加する死亡者数に対応するため、看取 りの場所を医療機関だけでなく、自宅や施設とす るため、訪問看護ステーション、介護老人保健施 設、介護老人福祉施設、特定施設、グループホー ムでの看取りに関する加算について施設又は要 件緩和が介護報酬の改定で行われてきている。

施設等においては、医師、看護師、介護職員 がチームとして総合的な看取りの体制を構築す る必要があるが、介護老人福祉施設や特定施設、 グループホームにおいて看取りを行うには、体 制が十分とはいえない課題がある。

看取りに際して福祉施設等では、医師による 診断や治療又は指示などの医行為が必要であ り、医師、医療機関の関与が極めて重要な要素である。

特に、介護老人福祉施設での看取りを進める ために、配置医師や在宅療養支援診療所(病院) が十分に関与していけるようターミナルケアの 外付けをより一層進めていく必要があると考え るが、各県のお考えと日医の見解を伺いたい。

(6)(7)一括協議

<各県回答>

各県ともに、特別養護老人ホームにおける医 療の外付けの見直しや、診療報酬上の制約の緩 和等が必要であるとの回答が示されるととも に、福祉施設等における看取りについても、現 行の医療給付と人員体制では極めて困難である との認識が示された。

また宮崎県より、宮崎県国保援護課が宮崎県 内の特養の嘱託医宛に出した文書(平成22 年 6 月)において、「施設内に配置している職員 が行った医療行為については、算定できない。従って、点滴注射等の算定はできない。医療機 関の看護師等が医師の指示により単独で施設に 赴き点滴注射等を行った場合でも、手技料はも ちろん薬剤料は算定できない。」と示されてい ると説明があり、この文書は特養における看取 りの妨げになるのではないかと提起された。

<日医コメント>

配置医師がおられて看取りをした場合には、 特養には看取り加算が今回ついた。特別養護老 人ホームの場合には医師ではなく施設につく。 しかし訪問診療でやる場合の見取りにはつく。 特別養護老人ホームの配置医師のメリットはど こにあるのかというと、これは入っている人が 安心するであろうし、看取りについては、死亡 前日、前々日、1 週間、と加算がついたという ことは、これは明らかに評価しているというこ とであり、特別養護老人ホームについてもどの ようにするのかは今後の検討である。

(8)通所リハビリテーションにおける認知症を有する高齢者の受入れについて(鹿児島県)

<提案要旨>

通所リハビリテーションにおいては、認知症 を有する利用者に対してサービスを提供した場 合、若年性認知症利用者受入加算(60 単位/ 日)、 認知症短期収集リハビリテーション実施加算 (240 単位/1 日・週2 日迄)が設けられている。

在宅の認知症を有する利用者は、地域密着型 サービスを利用している場合と、居宅サービス を利用している場合があり、通所リハビリテー ションにおいても認知症を有する利用者は多 く、今後増加していくものと考えられる。

認知症を有する方々が在宅で生活を続けるた めには、通所リハビリテーションをはじめ、居 宅サービスにおいて認知症の高齢者を十分に受 け入れられる体制づくりはもちろん、重度な認 知症を有する利用者の受入れも必要であり、若 年性認知症利用者受入加算の他、何らかのイン センティブが必要だと考えるが、各権のお考え と日医の見解を伺いたい。

<各県回答>

認知症を受け入れる際のインセンティブの考 え方については、九州各県において賛否両論あ り、大分県より、「加算がついたらやる、つか なければやらないということでは、世間から評 価されない。」とした意見も示された。

<日医コメント>

認知症の受け入れや、リハあるいは若年性認 知症の場合は加算がついている、それはやって くれという意思であろうと考える。我々は試さ れているのかもしれないと考える。

(9)「認知症疾患医療センター」の今後の整備方針について(大分県)

<提案要旨>

大分県医師会は、二次医療圏に1 か所以上 の「認知症疾患医療センター」の整備をめざし て大分県と協議してきたが、平成24 年10 月9 日付で「精神疾患の医療体制の構築に係る指針」 が以下のように一部改正された。

「認知症疾患医療センターを整備するととも に、認知症の鑑別診断を行える医療機関を含めて、少なくとも二次医療圏に1 か所以上、人口 の多い二次医療圏では概ね65 歳以上人口6 万 人に1 か所程度(特に65 歳以上が多い二次医 療圏では、認知症疾患医療センターを複数か所 が望ましい。)を確保すること。」が追加された。

この内容は当方にとって大変好都合であるが、上記下線の部分の字句の解釈で悩んでいる。

1)二次医療圏に認知症疾患医療センタープラ ス認知症の鑑別診断を行える医療機関を整備す るのか、2)二次医療圏に認知症疾患医療センタ ーまたは認知症の鑑別診断を行える医療機関を 整備するのかである。

各権の整備方針及び日医の見解をご教示いただきたい。

<各県回答>

本県以外の各県においては、認知症疾患医療 センターは既に整備済みとなっており、認知症 疾患医療センター等において、認知症の鑑別診 断やBPSD 対応等を行なっていることが報告 された。中でも福岡県においては、県行政や県 医師会、センター関係者による「認知症医療セ ンター連絡協議会」を年に2 回開催し、今後の 整備拡大や業務整理等を協議検討しているとの 回答が示された。

<日医コメント>

認知症施策検討プロジェクトチームが取り まとめた「今後の認知症試作の報告性につい て」が平成24 年6 月18 日に公表された。当初、 その中に、身近型認知症疾患医療センターな るものが載っていた。身近型というのは何か と確認すると、サポート医のもっと近くで認 知症を診られる医療機関を指定するというこ とであった。日医としては、これはおかしい ということで、そうであれば、サポート医が 勉強したことを身近に発揮できるようなイン センティブをつけてくれということを申し入 れ、この文言が消えた。

認知症に早期介入し悪化させないということ が目標であり、そのための施策は大いに賛成で ある。5 年計画や初期集中支援チーム等、いろ いろな考え方がある。地域で早く見つけ、判断 が難しい場合は専門医に診ていただく。これか ら増えていく認知症に対してもこれは大きな課 題である。これも地域で取り組んでいただきた いと考えている。

印象記

比嘉靖

理事 比嘉  靖

平成25 年1 月26 日に九州医師会連合会の平成24 年度第2 回各種協議会が宮崎県で開催され、 日本医師会からは高杉敬久常任理事が参加しておりました。

介護保険対策協議会においては各県から9 つの議題が提出され、今回は多職種協働による在宅 チーム医療を担う人材育成事業「地域リーダー研修」への取り組みが、当会を含め3 県から提案 されました。「団塊の世代」が後期高齢者になることで起こる高齢者人口の爆発的増加、「2025 年 問題」を約10 年後に控え、医療と介護の連携の要とされる「地域リーダー育成事業」について、 九州各県での取組状況に差異があることが明らかになりました。日医からは、この事業は高齢者 人口が爆発的に増えるとされる都市部に合わせた施策ではあるが、今後高齢化の進む地方でも同 様な対策が必要となることは明らかであり、老健局の地域包括ケアシステム、医政局の在宅医療 連携拠点事業を上手くフィットさせ、これに医師会、特に地域の地区医師会がそれぞれのまちづ くりの中で行政とスクラムを組み動かなければいけないとのコメントがありました。

その他、各種介護保険施設間の医師の医療行為に対する報酬の差異、施設内での看取り、通所 リハビリでの認知症ケアについての報酬について、各県での認証疾患医療センターの整備状況な どについての協議がなされました。

今回の協議会では、これからの高齢者人口の爆発に備えて、介護保険サービス、在宅医療が統 合的に運用され、その受け皿を構築していくことが急務であることが強く感じられましたが、当 県での行政の取り組みはかなり遅れており、早急に県医師会、地区医師会が今後協力し、行政へ 取り組んでいくとこが重要であると感じられました。