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平成24年度(第29回)九州学校検診協議会第2回専門委員会
九州各県医師会学校保健担当理事者会

宮里善次

常任理事 宮里 善次

去る11 月17 日(土)、福岡県医師医会館にて標記会議が開催されたので報告する。

T.平成24年度(第29回)九州学校検診協議会 第2回専門委員会

開 会

福岡県医師会の原口常任理事の司会により会が開かれた。

挨 拶

福岡県医師会の野田副会長より、概ね以下の 通り挨拶があった。

本日は平成24 年度九州学校検診協議会第2 回専門委員会に際し、ご多忙の中ご出席を賜り 厚く御礼申し上げる。

本専門委員会も早いもので29 回目の開催を 迎えることが出来た。これも各県の先生方や関 係者のご尽力の賜物であると感謝申し上げると 共に、これからも学校検診のより一層の充実を 図っていきたいと考えている。

今回はお手元の日程にもあるように、心臓部 門、腎臓部門、小児生活習慣病部門への提案事 項が合計11 題出されている。皆様方の十分なご協議をお願い申し上げ、挨拶とさせて頂く。

各専門委員会別協議

1)心臓部門

1)AED 使用状況、ニアミス症例の状況と調査票の改定について(鹿児島県)

<提案理由>

前回(H24.8.4)の専門委員会で標記提案事 項について各県専門委員からの意見を受け、そ の後、石川委員から加筆修正された調査票を 10 月9 日にメーリングリストで提示した。

また、調査概要を含め最終確認をお願いしたい。

<協議内容>

前回からの継続審議となっており、「児童生 徒の心肺蘇生事例調査票」の様式について最終 確認が行われた。

結果、経過部分のスペースをもう少し広く確保し、足りない部分については別紙にて対応す ることになった。また、対象は医療機関、教育 委員会とし、可能である地域は救急隊も含め、 各県医師会、郡市医師会を通じて調査を行うこ とが確認された。

なお、依頼文書については前回の文書を基に2 週間以内に文案を作成するので、その2 週間後ま でに加筆・修正し事務局に報告することとした。

本件の集計については、来年夏の専門委員会 にて各県より報告いただく事になった。

また、「児童生徒の心肺蘇生事例調査票」を 基に今年度のAED 使用状況等について、福岡 県より2 例、鹿児島県より4 例の事例報告が行 われた。

長崎県からも1 例あがっていたが詳細を把握 していないとのことで、次回の専門委員会にお いて報告することとなった。

さらに、AED の使用状況については各県医 師会の事務局より、各県行政や消防等の担当者 から情報収集して頂きたいとの要望があった (AED の使用日が分かれば、その後の確認は比 較的容易との事)。

2)心臓検診時の統一病名について(鹿児島県)

<提案理由>

前回(H24.8.4)の専門委員会で標記提案事 項について各県専門委員からの意見を頂き、加 筆修正した心臓検診時の統一病名を提示するの で、最終確認をお願いしたい。

<協議内容>

前回からの継続審議となっており、「心臓検 診時の統一病名」について最終確認が行われた。

座長の吉永先生より、これまで検討を重ねて きた「心臓検診時の統一病名」であるが、日本 小児循環器学会学校心臓検診委員会(委員長: 吉永正夫)において、「器質的心疾患を認めな い不整脈の学校生活管理指導ガイドライン」を 作成している中で、不整脈疾患の統一病名が非 常に簡素化されていることから、その項目を基 にし、これまで当委員会において検討してきた必要な項目を加えて不整脈の統一病名としたい が如何との提案がなされた。

検討の結果、「A. 不整脈疾患」については提 案どおりとし、「B. 先天性心疾患のうち弁疾患」 については状況により把握が難しいとのこと で、手術あり・なしのみとするか検討、「C. 心 筋疾患」については原案どおりとしてスタート することとした。

統計については疾患の母数がはっきりしてい る地域を基本的な対象とし、来年夏の専門委員 会において、平成24 年度の集計結果を報告い ただき、データのばらつき等を確認し、今後の あり方を検討していくことになった。

2)腎臓部門

1)長崎県における学校検診検査機関等協議会について(紹介)(長崎県)

<提案理由>

平成24 年度第1 回専門委員会で、検査機関 への検尿方法やカットオフ値等の周知に関して 話題になったが、長崎県では以前より「学校検 診検査機関等協議会」を年1 回開催し、県下の 学校検尿を実施している全ての検査機関から1 〜 2 名ずつ出席してもらっている。出席率はほ ぼ100%で、この出席で検尿方法やカットオフ 値等の統一、各検査機関の集計結果の評価等を 話し合っている。

<協議内容>

長崎県より、毎年1 回、開催している学校検 診検査機関等協議会の内容等について情報提供 があった。

2)九州各県における私立学校と県立高校の学校検尿についてのアンケート調査集計結果報告(宮崎県)

<提案理由>

8 月に公立小中学校の学校検尿についてのア ンケート調査集計結果報告を行った。

今回はそれ以外の学校の集計結果を報告 する。

<協議内容>

宮崎県より、県立高校及び私立小学校及び中 学校、高校の学校検尿についてのアンケート調 査に係る集計結果報告が行われた。

県立高校については、一次及び二次、三次の 検尿結果を県医師会が把握している県と、一次 及び二次、三次の検尿結果を教育委員会が集計 しているが個人情報等の問題により、県医師会 に対し、検尿結果を開示しておらず、検尿結果 を把握できていない県があることが確認された。

協議の結果、県立高校における一次及び二次、 三次の検尿結果を把握できていない県について は、県医師会から県教育委員会に対し、一次及 び二次、三次の検尿結果の開示の協力依頼を求 めることについて検討していただくこととした。

私立小学校及び中学校、高校については、県 教育委員会が一次及び二次、三次の検尿結果を 集計していないことから、学校、あるいは、検 査機関に対し、それぞれ協力依頼を求めてはど うかとの意見が示された。

3)潜血・蛋白のカットオフ値(+)の採用状 況について(熊本県)

<提案理由>

九州学校腎臓病検診マニュアルに示されてお ります潜血・蛋白のカットオフ値(+)の採用 状況について、昨年の専門委員会で宮崎県、長 崎県及び沖縄県では100%(+)で実施されて いるとの報告がありました。

その他の他県の状況はいかがでしょうか。

<協議内容>

宮崎県、並びに、長崎県、沖縄県では、潜血、 蛋白のカットオフ値(+)が採用されているが、 それ以外では(±)を採用しているところもあ ると報告があり、今後引き続き(±)を(+) にしていくための検討を行っていくことが重要 であるとの見解が示された。

4)「九州学校腎臓病検診マニュアル」の事後措置について(鹿児島県)

<提案理由>

日本学校保健会の「学校検尿のすべて」が改 訂され、本会の「マニュアル」と若干異なる点 のある事後措置については継続審議となったの で、各県のご意見を賜りたい。

<協議内容>

「九州学校腎臓病検診マニュアル」と「学校 検尿のすべて」では、事後処置及び暫定診断名 等において若干異なる点があるので、今後どち らに合わせていくのか継続的に審議することが 必要であるとし、また、第3 版「九州学校腎臓 病検診マニュアル」の改訂についても今後検討 することとした。

5)異なった暫定診断名分類による頻度差(福岡県)

<提案理由>

学校検尿の手引きが新しくなり、暫定診断名 も変更された。しかし、九州学校検診協議会で は従来の診断名をしばらく使用することを前回 の委員会で決定した。従って、2 つの暫定診断 名分類で診断名の頻度がどのように変わるかを 計算してみたので検討願いたい。

<協議内容>

「九州学校腎臓病検診マニュアル」と「学校 検尿のすべて」において、暫定診断名の頻度を 比較した結果、平成16 年度〜 18 年度の平均 と平成21 年度〜 23 年度の平均で、0.1%(5,000 人)の陽性者の差があることが明らかになり、 今後、更に詳しい解析をすることとした。

6)学校検尿の検査判定機関に対する判定基準アンケート調査集計結果について(宮崎県)

<提案理由>

本年8 月に開催された第1 回目の専門委員会 において、検査判定機関に対する判定基準のア ンケート調査を実施することが承認された。今回、その集計結果を取り纏めたので、報告する。

<協議内容>

宮崎県より、九州各県における学校検尿を実 施している調査機関にて、判定基準等について アンケート調査を行った結果、九州学校腎臓病 検診マニュアルを約90%の調査機関が知って いるが、本マニュアル通りに一次及び二次の判 定基準が蛋白尿(+)以上を異常、血尿(+) 以上を異常としている機関は約70%となって いるとの報告があった。

3)小児生活習慣病部門

1)一次検診で肥満度チェックし、二次検診で 採血検査を実施する場合の検査(検診)項 目について(再提案)

<提案理由>

一次検診において、「肥満度」だけチェック している場合は、脂質関連と糖代謝関連の検査 で良いと思われますが、如何でしょうか。

脂質関連検査としては、総コレステロール、中性脂肪、HDL − C の3 項目。

また、脂質肝のチェックのためには、ATL、AST、ChE の3 項目を追加する。

さらに、糖代謝関連は、空腹時血糖、インス リン、HbA1c 等も必要と考えます。

先生方のご意見を伺いたいと思います。

また、現在、各地区において、既に検診を行 われている場合は、どのような組み合わせ検査 項目を用意されているのか、ご教示下さい。

<協議内容>

協議の結果、検査項目にγ GDP と尿酸を加 えることとし、保険診療にて検査を実施する場 合には、各県において診断内容に差異があるこ とが分かったため、今後、慎重な検討を加えて いくこととした。

2)平成24 年度九州地区尿糖陽性者群の集計について

<提案理由>

この時期、平成24 年度の事業もほぼ終了しているものと思われますので、追って、今年分 の集計を取りまとめさせていただきたいと考え ています。改めて、ご依頼させていただきます ので、よろしくお願い致します。

なお、平成23 年度は、高校生の尿糖陽性者 群についての集計に若干問題があったようです ので、今後の集計について各県のご意見をご教 示下さい。

<協議内容>

各県より、平成22 年度、23 年度分の尿糖陽 性者群のデータが提出されているが、データに 不足があったことから、協議の結果、今回集計 する24 年度分については当該項目を整理した うえで集積を行い、次年度において、これまで のデータも含め改めて検討を行うこととした。

3)肥満児・やせ過ぎ児の保健指導について

<提案理由>

学校検診で肥満児・やせ過ぎ児の児童に対す る採血検査項目および生活指導についてどのよ うになされているか。また、採血結果データ等 を基に、医学的指導をどのようにフォローして いるかご教示いただきたい。

現在、鹿児島県医師会では4 郡市医師会で地 域の医療機関と連携し、毎年「親子健康教室」 を学校などで実施している。内容としては、体 重・体脂肪を測定し、小児生活習慣病の概要を 説明する。その後、心臓、薬物、歯科、栄養、 運動の5 教室に分かれ学習を行う。その他郡市 医師会では、例年テーマを決め、「こころ」、「超 音波・放射線」、「小児生活習慣病」、「うがい・ 手洗い」、「歯科」、「栄養」、「たばこ」、「いのち」 についての様々な実験、実習、講義を行ってお ります。

そこで他県医師会について、郡市医師会などで 親子健康教室など親への啓発活動の取り組み等が 実施されているところはご教示いただきたい。

また、実施されている郡市医師会への経済的 な援助はどのようになされているか重ねてお願 い致します。

<協議内容>

鹿児島県や大分県、本県(沖縄県)において、 肥満児ややせ過ぎ児に対する保健指導を実施し ている地区はあるとの報告があったが、各県と もに継時的な対応となると難しい状況であると の見解が示された。

協議の結果、肥満児ややせ過ぎ児については、 学校側より家庭に連絡を取っていただき、二次 検診を受けるよう啓発していただく形を検討し ていくこととした。ただし、そのためには医療 機関側の受け皿をきちんと整備する必要がある ことから、次年度までに受け皿となるべき問診 票や検査項目等のたたき台を作成し検討を加え ていくこととした。

全体協議

各専門委員会別協議の協議内容について、各座長から報告があった。

九州学校検診協議会 次年度(平成25 年度)の日程について

1)第1 回専門委員会 平成25 年8 月3 日(土)15:00 〜 17:00 於 沖縄県

2)幹事会 平成25 年8 月3 日(土)17:00 〜 18:00 於 沖縄県

3)年次大会 平成25 年8 月4 日(日)9:00 〜 12:00 於 沖縄県

4)第2 回専門委員会
 於 福岡県
 (第1 案)平成25 年11 月16 日(土)15:00 〜 16:45
 (第2 案)平成25 年11 月30 日(土)15:00 〜 16:45

上記の会議日程について協議が行われ、1) 〜 3)については特に異議なく了承され、4) の第2 回専門委員会の開催日時については、平 成25 年11 月16 日が九州医師会医学会の開催 日であることから、第2 案の平成25 年11 月 30 日(土)に行うことが決定した。