那覇市立病院産婦人科 池宮城 梢
沖縄県医師会会員の先生方、新年あけまして おめでとうございます。
今回執筆の命を賜りました、那覇市立病院産 婦人科医の 36 歳巳年女でございます。
小学生の頃の宿題以来、「今年の抱負」なる テーマについて考えることもありませんでした が、よい機会なので考えてみました。
駆け出しの頃、「ベテランオーラ」を放って バリバリと仕事をしていた先生方に憧れたもの ですが、ふと気が付いてみると自分が、当時憧 れていた先輩と同じ年代になっていました。自 分を振り返ってみると、あれ??オーラが出て いない!!卒後 11 年、熟成されている頃かと 思っていましたが、まさに光陰矢のごとし。気 持ちが追い付いておらず、オーラなど出るはず ありません。
しかし、周りを見てみると、オーラを放つ同 期はたくさんいました。皆、自分の進むべき道 を開き、その道を極めるべく学びを怠らず、厳 しい環境の中仕事をしている人たちで、オーラ とは自信に満ちている人の輝きなのだと感じま した。
私の夫は同期の内科医で、専門分野の中から さらに特定の疾病のエキスパートになるという 自分の道を開き、日々勉強しています。朝は子 供が寝ている時間に出勤し、夜は子供が寝てか ら帰宅。学会。論文。後輩の指導。技術習得の ため他県への赴任。やはり夫もオーラが出てい ます。
一方卒後の私は、2 度の出産を経験し、産休 やら育休やら、復帰しても他の先生方のように フルタイムで当直も、というわけにもいかず、 半分の時間と労力を子育てに費やしています。 休んでいた時間や復帰後もフルタイムで働けな いことで、他の同期と比較して遅れをとってい るという不安、周囲の先生方に迷惑をかけてい るという萎縮。職場では「1 マイナス 0.5」では なく「0 プラス 0.5」の存在になろうと心がけ、 0.5 ずつの自分は仕事も子育ても 50 点だと自信 を持てずにいました。そんな私を気にしてか、 「もっと仕事したいか?」と夫に尋ねられ、そ ういわれて考えると、子供に費やす 0.5 は削れ ないし、そうなると限りある時間、私の仕事の MAX は 0.5 なのです。ということは、今だっ て精一杯働いているということです。
医師としての仕事の時間は半分でも、仕事に 子育てと、私は 24 時間働いているのです。昔 なら「これだから女医は…」と言われる状況で すが、よく考えてみると、子持ち男性医師が思 う存分仕事をできるのは、奥さんが家庭を支え ているからなのです。夫が朝から晩まで思う存 分仕事ができるのは、私のおかげなのです!!
こう考えると随分心にゆとりがでてきまし た。これは女性医師ならいつかぶつかる壁です。 新卒女性医師の割合が 40%にも迫ろうとする 今、我々の世代が働く女性医師の道を築いてか なければと(半分は開き直りですが)今の自分 を受け入れられるようになりました。今の自分 にできることをやればいいのだ…と。
最初のテーマに戻りますが、今年の抱負は「で きることからコツコツと」です。まずは、後輩 の指導。指導なんて烏滸がましいと、積極的に なれなかった自分を変えたいと思います。誰も がやっている当たり前のことですが、そんなと ころからスタートしたいと思います。
今年は、後輩の誰かが私の背中にオーラを見 ることになるでしょう…。