翔南病院 代謝内分泌内 仲地 健
新年明けましておめでとうございます。翔南 病院で代謝内分泌内科を担当しております仲地 と申します。昭和 40 年生まれで、今年は巳年 ということで執筆の依頼がございました。
平成 4年に琉球大学医学科を卒業し、第二内 科(現在の内分泌代謝・血液・膠原病内科)へ 入局後、糖尿病・甲状腺を専門として多くの方々 にご指導を受け、平成 16年より翔南病院で勤 務しております。
琉大大学院在学中、平成11年 6月から平成 13年5月の 2年間、英国ウェールズの首都カー ディフに留学の機会を与えていただきました。 バセドウ病診断で用いるTSHレセプター抗体 の測定方法を初めて確立した Dr.Bernard Rees Smith の研究所への留学でした。研究テーマは 「セリアック病(欧米では高頻度の小腸自己免 疫疾患)診断キット改良」でした。良い上司や 同僚に恵まれ、毎日の実験・研究を楽しく行う ことができました。研究結果は幸い論文にまと めることができましたが、様々な「人とのつな がり」を得られたことが私にとって一生の宝と なりました。当時 7歳と3歳だった娘と息子は 20歳と16歳になりました。昨年夏は家族でカ ーディフを訪ね、お世話になった方々と懐かし い再会をすることができました。
翔南病院は、琉大第二内科の先輩で、尊敬す る芳田久先生が院長をお務めの 90床の病院で す。全国でも上位実績を誇る不整脈専門の循環 器科、糖尿病・甲状腺を中心とする代謝内分泌 内科、血液透析科、泌尿器科があります。特筆 すべきは「糖尿病療養指導チーム」です。初め は10 人程度の小さなチームで、気になる患者 さんについて各々が持つ情報を出し合い、どう したら患者さんの糖尿病治療を良い方向に導く ことができるか、ざっくばらんに話し合うこと から始まりました。医師、看護師、薬剤師、管 理栄養士、臨床検査技師、理学療法士、健康運 動指導士、医療ソーシャルワーカー、医事課ス タッフなど、糖尿病診療に関心をもつ職員が一 人また一人と加わり、現在では約 30人(日本糖 尿病療養指導士 10 人)のチームに成長していま す。糖尿病の病態解明の進歩に加え、新しい治 療薬の相次ぐ登場により、糖尿病治療は多様化 が相当進んでいます。患者さんの生活スタイル も多様化しており、一人一人の生活の質をいか に損ねずに良好な血糖コントロールや合併症の 予防を行っていくかというテーラーメードの時 代になっており、多職種が関わる「チーム医療」 の重要性がますます叫ばれております。当院は 平成 23 年度厚生労働省「チーム医療実証事業」 に参加し、前述のパラメディカルスタッフに加 え、臨床心理士を交えた糖尿病カンファレン スを継続して行い、患者さんのみならず、支 援する医療スタッフのモチベーション維持・ 向上や燃え尽き防止など、その有効性につい て検討・報告を行いました。平成 24 年度は引 き続き同省の「チーム医療普及推進事業」を受 託しており、今年 2 月と 3 月には「糖尿病チー ム医療ワークショップ in 沖縄」の開催を計画 し準備を進めている状況です。糖尿病チーム 医療の敷居を低くし、糖尿病診療に関わるス タッフのみなさんが「取り組んでみたい」と意 欲が湧いてくるような有意義な機会を提供で きればと考えています。これを通して今まで 南部地区や中北部地区で継続してきた糖尿病 診療の地域連携にも多くの方が参加し、沖縄 県全体がチームとなり健康長寿県沖縄の復活 につながればと願っております。
今年は例年以上に多くの方々にお力をいただ き、支えていただいて良い仕事ができればと考 えております。本年もよろしくお願い申し上げ ます。