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48 歳の大学生

玉城 正弘

豊見城中央病院 循環器 玉城 正弘

年男である私は、この原稿を機に自分自身を 振り返り、今後の決意をプチ宣言したい、と思 います。日系2世で日本に来て38年、日本語は 一人前に話せるようになり、ネイティブであっ たポルトガル語はほぼ忘れました。自分の直系 の遺伝子を受け継ぐ 4 人の子供も育てることが できていますので、日本国民としての義務も果 たしているようです。医師歴 22年目で少しなが ら後輩医師も育成できる立場でプロとしての技 能を少量ながら伝授できるようになりましたが、 責任ある立場にある、と改めて気づくと共に、器 の足らなさを自覚することもしばしばです。

元来、体育会系である私は、文系的で理屈っ ぽいことは苦手としていました。直面する問題 がありますと対症療法にとどまり、解決が不十 分なまま釈然としないことも決して少なくあり ませんでした。様々な書に当たりながらも深い 思索に到らず、年齢を重ねてくると不安にさえ なってきました。そんな時、放送大学の存在を 知りました。当院に放送大学の卒業を間近に控 え生き生きと理路整然と意見を述べる看護師が いたのです。医師である私は、彼の前では学童 のようで大変な衝撃を受けました。そこで、放 送大学への入学を決断したのが一昨年です。大 学生としてのやり直しです。過去の経験の意味 づけと今後の生き方について大きな指南を得て います。特に授業では生の講師の話しを聞ける のは、知識欲をかき立てられ少年のようにワク ワクできるのが何とも言えず楽しいのです。社 会人ですので、限られた時間で勉強する(期末 試験は本格的でマークシート試験と苦闘しま す!)のは大変です。しかし、職業柄、また、 年齢的にも独善的になりつつあったこの時期 に、人間のこれまで培ってきた英知を知ること で、自分の未熟さを気づかされ、謙虚になれた のが私にとっては一番の収穫です。内科臨床医 である私は、身体については得意ではありまし たが、心理学、哲学、人類学を学びヒューマン サイエンスを修め、“人間” についての専門家 になるのが夢です。人生残り 30 〜 40 年、今、 ここで謙虚になれたのは私にとっては非常に大 きいと思っています。私がこれまで生きてきた、 また、これから生きていく、証と価値をこれか ら元気に明るく刻みたい、と思うのです。皆さ んも “放送大学” で学んでみませんか?楽しい ですよ〜