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新しい年を迎えて

佐久本 薫

沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 副院長(産婦人科)  佐久本 薫

小生は、昭和28年の巳年生まれです。昨年 は自分にとって職場が変わった大きな節目の年 でした。昭和58年4月に琉球大学医学部産科婦 人科学教室が開講されたのに合わせて沖縄に帰 ってきました。県立八重山病院へ 1年間出向し た以外は琉球大学に奉職しました。実に29年間 琉球大学に勤務したことになります。初代中山 道男教授(故)、二代金澤浩二教授、現在の青木 陽一教授に師事致しました。その間に婦人科腫 瘍学から周産期医学と幅広く勉強させてもらい ました。産科・周産期部門を主に診療するよう になって 13年近くなります。周産母子センタ ー長もさせていただきました。多くの医学部学 生、看護学生、助産師コースの学生の教育にも 携わりました。29年間も琉球大学に勤務でき たのも多くの方々のご支援のお蔭だと、いまさ らながらに思っています。

平成 24年4月から県立南部医療センター・こ ども医療センターに副院長として赴任いたしま した。管理職として慣れない業務ばかりで最初 は戸惑いばかりでした。次第に日常業務に慣れ てくるに従い、臨床も手伝えるようになってい ます。当院は総合周期母子医療センターとして 県立中部病院とともに沖縄県の周産期医療の中 心的な役割を担っています。出産数の多い那覇・ 南部地区の周産期センターとして沖縄赤十字病 院、那覇市立病院と協力して救急搬送を受け入 れています。胎児・新生児の先天性心疾患を中 心に母体合併症、母体救急疾患を受け入れてい ますが、想像以上にハイリスク妊娠が集まって くるのに驚いています。大学附属病院とは患者 の数と緊急性が全く違います。麻酔科、新生児 内科や小児循環器内科、小児外科の先生方に応 援してもらいながらハイリスク症例の分娩を管 理しています。新生児集中治療室 NICU が満 床状態になることが度々あり、NICU のベッド 数を増やしてもらうよう沖縄県福祉保健部へ働 きかけています。

産婦人科医師の不足が言われて久しいのです が、県立病院の産婦人科医師もなかなか増えま せん。今年度は八重山病院の産婦人科医師は 5 人確保できていますが、県立北部病院の産科診 療再開には至っていません。地域の方々の産科 診療再開の希望は強いのですが、2人の体制で 再開できない状態が続いています。中心となる 医長クラスを確保することがぜひ必要と思われ ます。人材確保、育成は今後も重要な課題であ ると思います。初期研修医を丁寧に教育しなが ら、産婦人科を志す後期研修医を是非とも増や したいと考えています。琉球大学医学部産婦人 科学教室と連携を取りながら産婦人科専門医を 育てたいと思います。

平成24年10月から琉球大学医学部の臨床実 習の制度が変更になりました。より臨床に近い 形のクラークシップ制度を導入することになり ました。県立南部医療センター・こども医療セ ンターも臨床実習生を受け入れることになりま した。細部が決まらないまま実習が始まってい ますが、医学部と協力しながらより現実に即し たものに改善していきたいと思います。

とりとめのない事柄を述べましたが、新しい 年を迎え、沖縄県立南部医療センター・こども 医療センターが地域に根差した病院となるよう に頑張っていきたいと思います。また、沖縄県 福祉保健部、病院事業局、琉球大学医学部産科 婦人科学教室、各県立病院の産婦人科とも連絡 を密にして、お互いに協力しながら周産期医療 が少しでも良くなるようさらに努力していきた いと思います。