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巳年・還暦の想い

上原 智

南部徳洲会 放射線治療科 上原 智

ハイサイ!

今年で「やっと」「やはり」と言うか「ええ! もう」と言ったらいいのか分からないが 60 歳 になってしまう。還暦とは干支が一巡りする年 だ。できれば「ハバナ産の葉巻が似合う口髭を たくわえ、頭にはパナマ帽に白い麻スーツ、足 もとはエナメル靴で決め、腕には金のロレック スを光らせ、ちょい不良親爺風にキザッぽく」 なりたかった。

で今どうしてるかというと、外目には、オラ オラ系のサングラスを鼻先にひっかけて、薄く なった頭に手ぬぐい鉢巻きをし、甚平に雪駄履 き姿で、V12 の旧外車を片手で運転している かわいい突っ張りおじさんとなった。ガタイは ご多分に漏れず、メタボの百貨店と化し、喫煙 は体に悪いと言われながらポパイのパイプトバ コやチャーチル葉巻を経験して未だに JT のマ イ 7 の一番軽いやつをおしゃぶり代わりにして いる。アルコールはテキーラ、ヴォッカ、ウイ スキーなどのショットグラスのガッツン飲みか ら、やっと白波 5:5 のお湯割りに、食事はも ちろん血の滴る肉食からベジタリアンに移行し た。そこで天の声がした。

天:「そろそろお前も命が惜しくなったのか。 やっぱり人の子よの〜ハッハハ」「じゃ がもう遅いかもしれんの!」と雲の上か ら声が聞こえる始末である。

天:「しかし、まあ、よくここまで生きて来れ たもんだ、がん治療の専門医にしては??」

凡夫:「え〜私、がん治療なんかしていまし たっけ?」

天:「そうじゃ、少々認知症を煩っているが、 今ならまだ少し分かるかな。実は自分で 生きているつもりが本当は生かされて生 きてきた事を。そして今でも生かされて 生きている事をな。」

凡夫:「では、これからも、まだ生かされて 生きていていいんですね?」

天:「そういうことかな。生死はまっこと糾 える縄のごとし、表裏一体であるぞよ。 肉身はそちらで魂の修練鍛錬のための一 時的なものである事は、今まで何度も教 えたぞなもし。時が来たらこっちへ帰っ ておいで。外へ行くんじゃないよ。ちゃ んとここに帰ってくるんだよ」

凡夫:「いつになったら帰るのですか。そ れまで何をすれば良いのですか?暇で 暇で〜」

天:「言っただろう。時期は追々分かるよ。 今は心が、わくわくドキドキする事を一 生懸命すれば良い。人やものを裁くな。 好き嫌いを言うな、善悪を言うなよ。で きるだけで良いから、なるべく裁くなよ。 魂をけがすなよ〜。そして頭を空っぽに して感じるのだ。そして考えよ。そして 考えた事を行動に移すのだよ。今まで通 りに。毎日、いつも話しかけているのに 分からないのは、聞こえないふりしてい るお前のせいだ。時期が来たらまた印が 出るよ。今まで通りだよ。では」

凡夫:「わきゃりました。ちちんぷいぷい。 有り難うございました。」ということで、 これまでの反省と還暦を迎えて抱負をと いう事になるわけです。

抱負は、現在生業としているがん治療に精一 杯の力を注ぎ込む事です。そして紹介して頂い た患者さんの治療を通して、沖縄をより理解す る事。具体的にはうちな〜ぐちを少しでも理解 し、しゃべれるようになる事です。そんなこと は、毎日、ぬちぬ大切さを患者のチョウデー達 から教えて頂けるので、ナンクルナイサーか な?いつもニフェーデービルです。

毎日、マーサン沖縄料理に、泡盛の世界で、 私は今マーカイガーの世界にいます。

それではぐぶりーさびら。

最後に投稿の機会を与えてくださいました担 当の方々にニフェーデービルです。ああ幸せら な〜。今日も、クースがマーサン。あ!そうだ、 すっかり忘れてた。患者さん紹介してください ね。ヨロスクお願いスます。本年も皆様にとっ て良い年でありますように!