理事村山 貞之
去る 9 月 22 日(土)、福岡国際会議場におい て開催された「e-レジフェア 2012 in 福岡」に ついて下記のとおり報告する。
【目的】
沖縄県の 15 臨床研修病院が合同で説明会へ 参加し、来場する医学生・研修医を効率的に「オ ール沖縄 〜赤瓦プロジェクト〜」ブースに集 め、研修医確保につなげる。
【ブース】
図 1 のとおりブースを区切り対応した。また、 ブース内に「通路」を設け、より来訪者が滞留 するように工夫した。
当ブースでは下記のとおりルールを設け運営 した。
1)出入り口にて、ブース内への来訪者に「来 訪者カード(図 2)」と「パンフレット(図 3)」 を配布した。
2)県医師会スペースにて、「来訪者カード」を 記入いただいた後、「パンフレット」を下に 沖縄での研修について説明を行った。
3)2)終了後、「来訪者カード」にある質問事 項「どの研修群・研修病院の情報が知りたい ですか?」を確認し、チェックのあるブース へ誘導を行った。
※チェックのあるブースが満員の場合、チェ ックの無い群・病院のスタッフに声かけし、 県医師会スペースにおいてチェックのあるブ ースが空くまで、その群・病院の説明を行っ た(空き次第誘導)。
図 1 オール沖縄〜赤瓦プロジェクト〜ブース
図 2 来訪者カード
図 3 パンフレット
4)各群・各病院での説明終了後、来訪者カー ドを回収した。3 群から説明を受けた者には USB メモリをプレゼントした。
【e-レジフェア 2012 in 福岡 概要報告】
当フェアへの総来場者数は、625 名、出展機 関は 95 施設、学年別人数は、6 年生 24 名、5 年生 236 名、4 年生 356 名、研修医・その他は 9 名であった。
オール沖縄〜赤瓦プロジェクト〜ブースへの 総来訪者数は、95 名で、内 5 年生 32 名、4 年 生 55 名、3 年生 2 名、その他 6 名であった(図 4)。
図 4 来場者内訳
【来訪者カード 集計結果報告】
「どの研修群・研修病院をまわりましたか?」 では、県立病院群が 88 名(92.6%)、群星沖 縄 研 修 群 72 名(75.8 %)、RyuMIC 群 51 名 (53.7%)であった。また、3 研修群全てから 説明を受けた人数は、41 名(43.2%)であっ た(図 5)。
また、去る 11 月 1 日に e- レジフェア福岡で の反省会を兼ねて第 5 回作業部会を開催し、下 記の様な意見があった。これらの意見を参考に 次年度も取り組んでいきたい。
図 5 アンケート集計結果
【主な意見等】
・ 今回の e- レジフェア福岡会場は、これまで に比べて規模が小さく、来場者数が少なか った割には、オール沖縄ブースへの来訪者 が 95 名おり、且つその 43.2%にあたる 41 名が 3 研修群をまわったことは大きな成果 であった。しかし、沖縄県での研修の目玉 であるちゅら Sim(おきなわクリニカルシ ミュレーションセンター)をうまくアピー ルできなかった。来年度はポスターを作成 するなど対応できればと考えている。オー ル沖縄として、今年度 3 回の合同説明会に 出展できたことは全国に大きなインパクト を与えることができた。今後のマッチング 率の向上に期待したい。
・ 数年前よりこの様な合同説明会に参加する際 は、ベテランの先生が説明するより、研修医 が説明するほうがより効果があると考えてい る。来年度は、より多くの研修医が派遣でき るよう対応していただきたい。
・ 来訪者に、研修医の先生の生の声を聴かせ ることができたことはよい機会であった。 また、研修医の先生が、沖縄県での研修に ついて説明することは、その研修医にとっ ても有意義であった。
・ 今回の e- レジフェア福岡会場では、沖縄 県医師会スペースで沖縄県内での研修に ついて総論的な説明を行った。当スペース での説明は概ね 5 分とのルールであった が、学生によっては、希望する病院を具体 的に聞きたいとの要望があった。当スペー スでも、学生の要望に応じて具体的な説明 できるなど柔軟な対応が出来ればと考え る。来訪者カードに説明をうけた病院のチ ェックがあれば、その方に具体的な説明を したいのでメールアドレスなど提供して いただきたい。
・ 以前に単独でこのような合同説明会に参加 していた。その際は、アピールが難しく、 当院ブースにはなかなか学生が集まらなか ったが、費用対効果を考え出展を控えてい た。このようなことから、オール沖縄での 取り組みは非常にありがたい。
・ 来訪者カードの設問 1(「各研修群・研修病 院に何を聞きたいですか?」)により、学 生が何に興味を持って説明を受けに来てい るかが知ることができた。この結果を踏ま え、今後オール沖縄や当院で、何に焦点を あてて説明するか明確になった。
・ 単独でこのような説明会に参加した時は、 手応えがなかった。今年度 3 回オール沖縄 として出展して、より多くの学生に当院を アピールできた。来年、再来年のマッチン グに久しぶりに手応えを感じている。
・ 他の研修群の熱意を感じる良い機会にな った。
・ 沖縄県医師会スペースで沖縄県での研修 について総論的な説明を行っていただく ことや USB 効果により当院を知ってもら えた。また、他の研修群、研修病院との 研修プログラムをアピールすることがで きた。オール沖縄で出展することで全国 にアピールするだけでなく、沖縄県内の 研修に携わる先生方と顔の見える関係を 築けたことが今後の沖縄県での研修をよ りよいものにしていけるのではと考える。
・ 次回は群星沖縄のように統一のユニフォーム を作り一体感をだしたい。
・ 今回の e- レジフェア福岡会場では、沖縄県 医師会スペースで沖縄県での研修について 総論的な説明を行った。学生より、沖縄県 内に子育てしながら研修できる施設がある かとの質問があったが情報を持ち合わせて いなかった。当件については女性医師部会 などを通じ調べておきたい。また、ちゅら Sim のアピール方法の一つとして、各々の 研修群が当センターにどのように関わって いくかを来訪者に説明することにより、必 然とアピールできるのではないか。今回の 琉球大学医学部附属病院のマッチング率が 高かったのは、ちゅら Sim の効果も少しは あると考える。
・ 費用対効果をだすことは難しい。各研修 群・ 病 院 の 指 導 医 が こ の よ う に 集 ま り、 顔の見える関係を築き、協議をする場所 が出来た事が今後の沖縄県での研修の向 上に繋がる。また、これまで研修医が少 なかった施設が、研修医の多い施設から ノウハウを学び対応することですでに効 果が出ている。
印象記
沖縄県立中部病院 尾原 晴雄
去る 9 月 22 日に東京で開催された e- レジフェアに参加された各臨床研修病院群の皆様、お疲 れ様でした。
沖縄県内 3 つの臨床研修病院群合同で 3 回目の出展でしたが、回を重ねるごとに各病院の来訪 者に対する説明やブース内の運営などがスムーズになっており、全国の医学生及び研修医に対し、 沖縄での臨床研修の魅力をより発信できているものと思われ、今年度のマッチング結果が楽しみ です。
今回の「オール沖縄での取り組み」をきっかけに、今後は広報活動に留まらず、研修内容につい てもオール沖縄で考えていけるようになれば、理想的だと考えております。初期研修から後期研修 も含め、離島・北部地域を含めた沖縄の医療全体を踏まえながら、県内の各研修病院が連携し、プ ログラムを充実させていくことが、真の意味での「オール沖縄」に繋がるものと期待しております。
今年度のマッチングについて、県内の臨床研修病院にとっていい結果になることを祈念すると 共に、今回の取り組みにご尽力頂いている県医師会役員ならびに事務局の皆様に敬意と感謝を申 し上げます。
印象記
那覇市立病院 内科 知花なおみ
9 月 22 日、博多湾を望む福岡国際会議場にて開催された e- レジフェアに参加しました。
RyuMIC 群、県立病院群、群星沖縄群とそれぞれのアイディアと工夫満載のレイアウトの沖縄 県のブースは、スペースも大きく、他県のものと比べてもひときわ目立つものでした。これまで に実施された東京、大阪会場と比較すると来場した学生の数は 625 人と少なかったものの、90 名 を超える学生が沖縄県のブースを訪れ、明るい賑わいを見せました。
沖縄県のブースには、3 つある臨床研修群の病院から説明を受けると、沖縄県のロゴ入り USB がもらえるという特典もあり、ほとんどの学生が 3 つの臨床研修群から話を聞いていました。他 県の病院も、うちわやバッグなどを用意して工夫をこらしていましたが、USB が学生に好評であ ったことから、来年は他病院でも USB を配ることが予想されます。USB に加えた+ α を今後 どのようにするか、この点については検討が必要かと思われます。
今回はブースを訪れた学生が少なかったこともあり、各学生に時間をかけて説明をしている病 院が多く見受けられました。時間的、人数的にゆとりのある今回のような場合は、このような時 間配分でも十分目的を果たせることがわかりました。
最初は戸惑いが見られた学生の案内も、時間が経つにつれコンシェルジュが十分に機能して、 学生への対応はおおむねスムーズに進んでいました。
私の担当はブースを訪れた学生に沖縄県内の 3 つの臨床研修群とおきなわクリニカルシミュレ ーションセンターについて説明し、どのような病院を探しているのか要望を確認した後、コンシ ェルジュに引き継ぐというものでした。この担当を通して、個人的にも学生が何を求めて研修病 院を探しているのか、生の声が聞けたのは収穫でした。沖縄県内の研修病院は、他県と比較する と格段に密度の濃い研修を行っているため、各病院のパンフレットも充実しており、学生のリク エストにマッチする病院が必ずあることも強みでした。
シミュレーションセンターについても説明したのですが、学生の興味はあまりないようで、ど ちらかというと研修システムや ER についての質問が多かったです。このレジフェアは、学生と 直に話をする絶好の機会であることは間違いなく、学生のニーズがどこにあるのか、そしてそれ をどうアピールすれば優秀な人材をリクルートできるのかといったことを検討するためにたいへ ん有益です。また、他の病院のプレゼンの仕方から、他の組織がどのような取り組みをしている のかを学べる貴重な機会でもありました。来年以降もこうしたフェアを通して人材を確保して行 けることはありがたいと思うと同時に、それなりに費用がかかるため、費用対効果について考え るためにも、このレジフェアを通して沖縄県内の研修病院にマッチしている研修医が何人くらい 確保できうるのかといった検証が今後必要だと思います。
印象記
群星沖縄臨床研修病院群プロジェクト
豊見城中央病院研修委員長 比嘉 盛丈
去った9月22日(土曜日、午前11時〜午後5時)、福岡国際会議場にて「e-レジフェア2012in福岡」 が開催されました。“オール沖縄赤瓦プロジェクト” と銘打って、オール沖縄として 3 回目となる 合同ブースを出展いたしました。私は、沖縄の卒後臨床研修制度についての説明を行う沖縄県代 表団の一人として、同じく群星群の代表者を務められた今西康次先生(中部徳洲会病院研修委員長) と共に参加させていただきました。
沖縄県では県立病院群 / 琉球大学中心の RyuMIC 群 / 群星沖縄臨床研修病院群プロジェクトの 3 つの卒後臨床研修プログラムに、年間合計 130 〜 150 人程度の新研修医が集い臨床研修を受け ています。臨床研修制度が始まった当初は臨床研修のマッチングでは人気の高い県として有名で した。しかし、最近では募集定員割れが増加傾向にあり、やがて沖縄県全体の募集定員自体がさ らに削減される恐れもある情勢です。沖縄県全体で初期研修医を一人でも多く受け入れ、将来の 地域医療の充実を図りたいとのねらいで、沖縄県より予算をバックアップしていただき県医師会 がリーダーシップを発揮し、今回の大規模出展が実現いたしました。
陣頭指揮を執った玉城県医師会副会長並びに担当理事の村山琉大病院長、そして 3 群より参加 した指導医・研修医・事務担当者の全ての皆様には本紙面をお借りして心より感謝と敬意を表し ます。本当にお疲れ様でした。
九州各県を中心に 66 のブースが出展され、医学生の総参加者数は 625 名でした。これらの医 学生のうち沖縄県にも多くの来訪者があり、今回 “オール沖縄赤瓦プロジェクト” で説明を受け た医学生が、近い将来に沖縄県内で医師としての研鑽を始め、さらには地域医療の担い手として 卒後臨床研修後も活躍していただけることを願ってやみません。
最後になりますが、全国的に研修医確保の取り組みが激化する中、このオール沖縄赤瓦プロジ ェクト方式は、各群が個々バラバラに出展するよりも遥かにインパクトを与えるため、2013 年度 も必要な予算を講じていただき、この貴重な取り組みが継続されることを要望いたします。