沖縄県医師会 > 沖縄県医師会の活動 > 医師会報 > 1月号

第 34 回産業保健活動推進全国会議

佐久本嗣夫

理事 佐久本嗣夫

去る 10 月 11 日(木)日本医師会館において、 標記全国会議が開催された。本会議では、兵庫 産業保健推進センター並びに岡山県及び千葉県 地域産業保健推進センターより県下での活動事 例報告があった。また、厚生労働省労働基準局 安全衛生部より、労働衛生行政を巡る最近の動 向について報告が行われた。この他、厚労省事 務官等を交え、産業保健に関する諸問題につい て協議を行ったので、その概要を報告する。

開会・挨拶

はじめに、宇佐美裕民産業医学振興財団審議 役より開会の挨拶があり、続いて、主催者を代 表し西村智奈美厚生労働副大臣(代読:宮野甚 一厚生労働省労働基準局安全衛生部長)から、「厚 労省では、職場のメンタルヘルス対策や受動喫 煙による健康障害を防止するための対策の充実 強化などを内容とする改正労働安全衛生法案を 国会に提出した。残念ながら先の通常国会では 継続審議となったが、引き続き早期成立を目指 していきたい。改正法が成立した折には、事業 場に対する細やかな支援が必要となる等、産業 保健事業を推進する 3 つのセンターの重要性が 一層増すものと考えている。今後とも関係各位 の協力をお願いしたい」と挨拶があった。

続いて、横倉義武日本医師会長(代読:今村 聡副会長)から、「地域産業保健センター事業等 を安定的かつ継続的に運営していくべく、必要 な政策や施策を政府に働きかけることを目的に、 本年 8 月と 9 月に都道府県医師会を対象に地産 保センター事業並びに産保推進センター事業に 関するアンケート調査を実施した。今後調査結果 をもとに、産業保健委員会に置いて、産保事業 のあるべき姿を取りまとめ、その実現に向けて 精力的に取り組んでいきたい」と挨拶があった。

この他、武谷雄二労働者健康福祉機構理事長、 櫻井治彦産業医学振興財団理事長よりそれぞれ 挨拶があった。

活動事例報告

活動事例報告では、1)兵庫産業保健推進セン ター、2)岡山県地域産業保健センター、3)千葉 県地域産業保健センターより県下における取り 組み状況について報告があった。

(1)兵庫産業保健推進センター事業(メンタルヘルス対策支援センターの活動も含む)の取組みについて

兵庫産業保健推進センター(塩見卓 副所長) では、センターの認知度向上のための効果的な 方法として、1)充実した広報支援ツール、2)研 修会開催地域の拡大、3)行政機関との連携(共 催)が挙げられる。

1)については情報誌「産業保健かわら版(医 師からの健康支援や研修会等告知)」を発行し、 HP やメールマガジン等で広報活動を展開して いる。また、県下 11 の各労働基準協会の協会 誌への折り込みをほぼ毎月継続的に実施してい る。その他、メールマガジン「ひょうごさんぽ メルマガ(発行 39 回 /H23)」を配信し、中央 情勢の動向や関係機関の取り組み等を周知して いる。2)については、行政機関、各団体等と連 携の上、年々開催地域の拡大化を図っている。 3)については、研修会の開始前に、行政からの 「情報提供枠」を設けている。行政が参加勧奨 を行うため、多数の参加を得られている。その 他、(独)兵庫障害者職業センターや兵庫県労 働衛生団体協議会等とも連携を図っており、同 じく多人数の参加を得ている。

メンタルヘルス対策支援センター事業では、 とりわけ事業の PR 活動を行う産業カウンセラ ー促進員を 11 名に増員(当初 3 名)し、エリ ア拡大に努め、目標を上回る訪問件数を挙げた。 今後は、HP や産業保健かわら版等を活用した PR 強化に努め、関係団体等と連携したセミナ ーの開催に取り組んでいきたい。

(2)岡山県地域産業保健事業の取組みについて

岡山県地域産業保健センター(道明道弘岡山県 医師会理事)は、平成 22 年度に県下 7 つのセン ターを統括するセンターとして岡山県医師会内に 開設した。スタッフは統括コーディネーターと補 助事務員各 1 名を配置し、県下 7 つのセンター と連携を図りながら事業運営を行っている。平成 23 年度の事業実績は、補助金が減額(15%カット) されため活動が抑制された。この様な措置は決し て許されるべきものではないと考えている

・相談回数は対前年度 97 回減少 (H22:623 回、H23:526 回)

・相談事業場数は対前年度 33 回減少 (H22:824 回、H23:791 回)

コーディネーターの活動状況は、県地産保も 含め 8 名のコーディネーターがおり、活動日数 が最も多いコーディネーターで 222 日、全体 の平均で約 148 日となっている。(うち統括は 58 日である)

今後の課題として次のことを挙げたい。

・ 本事業は行政関係機関の支援と協力がなけ れば成り立たない事業である。

・ 刷新会議で連絡事務所に従事する者は労働 行政 OB とは無関係のものでなければなら いと発言がある。労働衛生は専門性の高い 側面を持っており、行政と一体化しなけれ ば業績はあがらないことを国は理解して欲 しい。

・ 事業委託費の増額を望む。理由なき減額に より、現場では謝金や相談回数を抑える結 果となった。ときの政権の交代で、これま で築き上げてきた産業保健活動の推進を改 悪された。非常に悔しく残念である。

(3)千葉県地域産業保健事業の取組みについて

千葉県地域産業保健センター(松岡かおり千 葉県医師会理事)は、平成 22 年度に県下 9 つの センターを統括するセンターとして千葉県医師 会内の一角に統括室を設置。統括室には室長(県 医師会担当事務 / 課長)、統括コーディネーター、 事務員(経理事務が可能な者)を配置。本事業 を受託後、県単位で統括するシステムを作るべ く、1)地区センターにおける事業内容の平準化・ 効率化、2)会計処理の明確化・一元化の方針に 基づき規程の制定を行った。行う際の問題点と して、地域ごとに活動内容にかなり差があり、 また、経理面においても同様の状況が見られた。 各地域での活動は出来るだけ従来どおりとした が、委託内容の変更部分に関してはその適正化 を図った。理解を得るため、センター長代行(県 産業保健担当理事)から各地区医師会へ体制変更 の通知や説明会等も実施した。統括コーディネ ーターの役割は、単なる取り纏めではなく、地 区コーディネーターの資質の向上を目指し、各 地区に赴き、実態の把握、直接指導・相談である。 また、経理事務の役割は、経理事務等と合わせ、 統括室と地区コーディネーター・地区医師会と の密な連携のための連絡、調整である。県統括 室において地区の会計処理、消耗品の購入等を 一括管理し、各地区の活動は統一した様式にて 統括室に報告する。予算の執行状況率は、平成 22 年度が 80%で、翌 23 年度は予算額が 2%増加 したこともあり、執行率は 92.3%まで上がった。

しかし、本事業の問題点として、1)委託先が 変わったことで、郡市区医師会とは別事業と見 られ、地区医師会の協力を得るための説明が必 要であった。2)各医師会事務員の無償協力が行 なわれており、事業拡大の妨げになっている。 県医師会の企画・管理費の設定も無く改善が必 要である。

今後の活動活性化のためには、1)地域の事情 は様々であり、実情に合わせた事業展開が出来 るようにすべきである。2)地産保の存在・仕事 をより広く知っていただくための広報が必要で ある。そのためには、コーディネーターの周知 に限らず、推進センターや行政の積極的な関与 が必要である。

その後行われたディスカッションでは、産業 保健支援体制を取り巻く課題について、コーデ ィネーターの雇用形態や情報配信サービス、普 及啓発活動等について質疑応答が行われた。

説明・報告

1)「労働衛生行政の現状と今後の方向性」

厚生労働省労働基準局安全衛生部の椎葉茂樹 労働衛生課長より、労働衛生行政の現状と課題 について説明があった。主な施策と今後の方向 性について次のように述べた。

地域産業保健については、事業の必要性を踏 まえ、平成 25 年度概算要求で前年度比 2 億円増 の 23 億円を要求している。しかし、当該事業は 社会復帰促進等事業(特別会計 / 労災保険制度 で事業主が支払った労働保険料の一部で事業が 実施されている)で賄われており、事業評価は 3 年連続で C 評価(政策効果の未達成要因を分 析の上、事業の見直し又は廃止が必要)と判定 されている。評価結果は、翌々年度の概算要求 に反映されるが、活動の充実が予算獲得につな がるので各地域でのご協力をお願いしたい。

また、国では、産業保健活動の一層の充実を 図るべく、都道府県労働局ごとに 3 事業(産業 保健推進センター、メンタルヘルス対策支援セ ンター、地域産業保健センター)を総合調整す る協議会を設置するよう求めたので、各県の協 力をお願いしたい。

この他、現在、今後 5 年間(H25 〜 29)の国 の労働安全衛生行政の活動指針となる「第 12 次労働災害防止計画」の策定に向け検討を開始 している。労働災害・業務上疾病をめぐる現状 については、業務上疾病も 10 年あまり横ばい の状況が続いているが、依然としてメンタルヘ ルス不調や過重労働による健康障害が深刻な状 況にある。また、高齢化により介護分野のニー ズが高まる中、業務上疾病の 6 割を占める腰痛 の予防が喫緊の課題である。また、化学物質に よる健康障害防止対策や熱中症対策、放射能障 害防止対策の推進、受動喫煙防止対策など、労 働災害・業務上疾病発生状況の変化に応じた対 策を講じていきたい。

2)有機塩素系洗浄剤のばく露防止対策について

厚生労働省労働基準局安全衛生部の奈良篤化 学物質対策課長より、印刷業事業場での胆管が ん発症が問題となっていることについて報告が あった。

本年 3 月、印刷業務に従事した複数の労働者 から胆管がんを発症したとする労災請求が相次 いでなされたことを受け、科学部質の暴露による 可能性も含め原因究明にあたっている。全国の印 刷業事業場に対する調査から、印刷機の洗浄作業 時に「有機塩素系洗浄剤」が幅広く使用されてい ることが分かった。その為、国では発症と業務と の関連について調査中であるが、有効的な提言と して、ばく露低減化に向けた予防的指導を開始し た。(これまで全国で 34 件の労災請求ある)

また、労働安全衛生総合研究所による報告で は、これまでに局所的な空気の滞留により高濃 度のばく露があることが分かったため、科学部 質管理の徹底を図るよう各都道府県労働局へ指 導を促した。

印刷業に対する取り組みとしては、印刷事業 場への全数調査を実施すると共に、有機溶剤の 使用状況や説明会の開催、立入調査等を行って いる。また、相談窓ロでの対応は、8 月末現在 で 650 件の相談がある。8 月から専門家グルー プによる疫学的調査も開始している。

健康障害を未然に防ぐためにも、管理のしく み(衛生委員会、衛生管理者、産業医)を徹底し、 それを実践(換気や濃度管理、作業方法、健康 診断)する必要がある。産業医の先生方におい ても法令遵守の必要性を訴えていただきたい。

協議

産業保健に関する諸問題について、各都道府 県医師会より予め寄せられた質問や要望につい て、厚労省事務官等を交え、協議を行った。

【岡山県】

1)産業医未選任事業所への行政指導の徹底化、 並びに従業員 30 名以上の事業所への産業医選 任義務化の拡大について

2)独立行政法人労働者健康福祉機構の今後のあ り方について

【厚生労働省からのコメント】

・ 未選任事業所へは引き続き行政指導を徹底 していきたい。また、基準内容の変更に関 しては、貴重な提案であるが産業医の選任 は事業主負担の問題も発生する。今後、関 係者の意見も踏まえ検討していきたい。

・ 独立行政法人労働者健康福祉機構の今後の あり方については、平成 24 年 1 月 20 日 に閣議決定された「独立行政法人の制度お よび組織の見直しの基本方針」を踏まえ、 厚生労働省医政局と労働基準局労災補償部 に設置された「国立病院及び労災病院の新 しい法人制度に関する検討会」において、 検討が進められており、結論は出ていない が、方向性としては、「国立病院と労災病院」 は直ちに統合は行わない。

・ 新法人以降後の「労働者健康福祉機構」に おいては、病院事業に加えて産業保健事業 を行う方向は決定している。

【道永麻里常任理事からのコメント】

・ 本年 8 月と 9 月に地域産業保健センター事 業及び産業保健推進センター事業につい て、都道府県医師会を対象にアンケート調 査を実施した。その結果について次のとお り報告する。なお、これら 2 つの調査結果 を踏まえ、今後の地産保事業の在り方につ いて日医の産業保健委員会で検討していき たい。

調査結果(地域産業保健センター事業について)

・ 企画競争方式による委託者の決定について は、87%が見直すべきであると回答した。

・ 事業の問題点として、90%が「委託契約年数 が 1 年であること」80%が「会計検査の対象 となる経理処理負担が大きいこと」を挙げた。

・ 見直すべき点は、事業の安定的、継続的に 実施できる方式にするが全体の 90%を占 めた。

・ 地産保事業の業務への医師会の関わり程度 については「主体的に関与する」が 34%、 「できれば主体的に関与」が 51%であった。 但し、コーディネーター業務や庶務・経理 事務については、「もし他の実施主体があ れば委ねたい」とする回答が多く、医師会 にとってこれらの業務が非常に負担になっ ていることが分かった。

・ 産業保健推進センターによる地産保事業の 実施方式の導入に対しての問いでは、「是 非導入したい(4 県)・できれば導入した い(12 県)」と考えている医師会と、「導 入したいとは思わない(17 県)」とする医 師会がほぼ同数(4 割)であった。

調査結果(産業保健推進センター事業について)

産業保健推進センターが廃止され、連絡事務 所が設置された 16 県医師会に対し、センター 廃止後の今期の影響について伺った。

・ 産業医研修事業への影響:「大きい(31.3%)」「小さい(56.3%)」

・ 情報の提供事業への影響:「大きい(30.7%)」「小さい(50.4%)」

・ 個別相談事業への影響:「大きい(31.3%)」「小さい(43.7%)」

・ 地産保事業への影響:「大きい(12.5%)」「小さい(56.3%)」

・ 広報啓発事業への影響:「大きい(12.5%)」「小さい(56.3%)」

また、逆に連絡事務所を支援する形となった 産業保健推進センターのある 11 府県医師会か らは「これ以上の集約化は絶対に反対である」 とのコメントが多数寄せられた。

【広島県】

大企業の支店・営業所で常時 50 人未満の小規 模事業場の利用是正、又は有料化の検討、全国 での大企業の利用実態について調査頂きたい。

【厚生労働省からのコメント】

・ 地域産業保健事業は、財政基盤の脆弱な小 規模事業場及び、労働者に対し、産業保健 サービスが行き渡ることが目的である。

・ 50 人以上の事業場の関係者から相談があ った場合には、当該事業場で選任されてい る産業医に相談するよう促していただきた い。また、大企業の支店や営業所等(50 人未満であっても)から相談があった場合 には、本事業の趣旨について理解を得た上 で、本社や一定の資本関係にある事業者が 選任する産業医に協力を要請するようお願 いしたい。あるいは、特定健康相談の実施 可能な医療機関を紹介していただきたい。

・ また、提案のあった有料化など更なる方策 や大企業の利用の実態についても今後検討 していきたい。

【鹿児島県】

地域産業保健事業への協力医に対して、日医認 定産業医の更新単位を付与して頂きたい。


【道永麻里常任理事からのコメント】

・ 地域産業保健センター事業における個別訪 問産業保健指導を日医認定産業医制度にお ける実地研修として認めている。

・ 承認要件については、個別訪問産業保健指 導を実施する医師とその医師に同行して実 地研修を受ける医師を、「引率責任者と参 加者」として明確に区分すること。

・ ▽引率責任者は、日本医師会認定産業医又は 労働衛生コンサルタンであること。▽参加 者の数は、個別訪問産業保健指導 1 回につ き 10 名以下であること。▽単位数の認定は、 個別訪問産業保健指導 1 回につき 3 単位以 下であること。▽日本医師会認定産業医制 度における実地研修としての単位は、▽単 位付与は参加者である医師のみとすること。 ▽実施先事業場に対しては、引率責任者に よる個別訪問産業保健指導と合わせて参加 者の実地研修を行うことについて、事前に 十分な説明を行い、了承を得ていること。

・ 従って、地域産業保健事業への協力医とし てだけでは研修とは認められない。業務と いう位置づけと考えている。

【山形県天童市東村山郡医師会】

日医認定産業医を新規で取得する際、地方にいる 会員にとって研修単位(50 単位)の取得は困難 であり、途中で諦めてしまうケースもある。産 業医不足の解消のために何か良い方法は無いか。


【道永麻里常任理事からのコメント】

・ 近県の研修会への参加も含め、ご検討頂き たい。

・ また、産業医の資格取得のための研修は、 厚労省の告示で研修科目・研修時間が定め られている。

・ 日医においては、今回の要望のことも含め、 産業医学研修会の質を落とさず、利便性を 高めることを目的に、テレビ会議システム の利用について、厚労省と調整を行ってき た。今年度より道府県医師会と郡市医師会 等を結ぶ、テレビ会議システムを利用した 産業医学研修会を認めている。山形県にお いても是非当該システム等の活用もご検討 いただければと考えている。

【東京都】

1)近年の事業仕分けにより地域産業保健事業に 密接に関係する産業保健推進センターの統廃 合が進められ、地域産業保健センターの事業 にも制約が加えられている。小規模事業場に おける労働者の作業環境改善、健康保持増進 に危惧を感じており、国の方針の再考につい て要望していただきたい。

2)産業保健推進センターが閉鎖され始め一年が 経過したが地産保センターへの影響や各県の 状況などについて伺いたい。また、推進センタ ーが撤退した後、地域の産業保健を活性化する ための、新しい施策やツールがあれば伺いたい。

3)地域産業保健事業は現在、「重点化」で、相 談を受ける事項が限られているが、以前と同 様、産業保健に関するあらゆる相談を受け付 けるようにしていただきたい。

【厚生労働省からのコメント】

・ 産業保健事業の推進にあたっては医師会関 係者の協力が不可欠だと考えている。地域 の労働者の健康と安全の確保のためにも格 別なる協力をお願いしたい。

・ メンタルヘルス不調の労働者に対する相談 指導は、事業者から相談があった場合にも 実施可能である。

・ 健康相談についても、事業場と調整のうえ、 産業医が事業場へ訪問し健康相談を実施す ることも出来る。

・ 特定健康相談に関連して、作業環境管理、 作業管理、メンタルヘルス対策等の労働衛 生対策に関する相談があった場合には、事 業者からの要望に応じ、必要な場合は事業 場を訪問し、当該事業場の作業環境管理、 作業管理、メンタルヘルス対策等の状況を 踏まえ、労働衛生管理の総合的な助言・指 導を併せて行うなど、効果的な相談・指導 の実施に努めるものと明記している。従っ て、色々なことが出来る。

・ 地産保事業の内容については、現状課題を 踏まえ、今後必要に応じて見直しを図って いきたい。

【道永麻里常任理事からのコメント】

・ 日本医師会は産業保健推進センターの集約 化に反対であり、引き続き国へ精力的に働 きかけていきたい。

【労働者健康福祉機構からのコメント】

・ 事業実績については、平成 23 年度連絡事 務所となった 6 箇所においても数値上は 下がっていない(研修会:前年度比 95%、 相談件数:前年度比 127%)が、労働局と の関係が以前より薄くなっており、今後、 十分な内容を維持できるかは不安である。

・ 支援センターが連絡事務所を傘下に置くかの 様な誤解も招きやすいが、実際には事務の効 率化の観点から会計の処理を集めて行う事業 である。我々は連絡事務所の独立性を保ちな がら、支援センターからある程度土地感のあ るものを派遣し支援しているのが現状である。

【佐賀県医師会からのコメント】

・ 佐賀県は、平成 22 年から地域産業保健センタ ー事業の競争入札に手を挙げていない。我々 の結論は、医師会は医療の専門性を最大限活 かすことに専念すれば良いと考えている。

・ 労働者健康福祉機構は、労働者側の専門家 集団であり、当該事業にかかる連絡調整、 庶務・会計、地域に見合った施策を作る。

・ 互いが車の両輪として動くようになれば、 医師会が何もかも背負うよりも、より有効 的な活動が出来ると考えている。

・ 我々医師会は、専門家の立場から協力機関 として、勿論運営会議に参画している。ま た、健康相談、個別訪問指導、長時間労働 者への面接指導などに対応いただける産業 医をリストアップし情報を提供している。

・ 労働者のことをよく理解している労働行政の 方々が真剣に考えるようになってきた。一緒 に動き始めたら連携が取れるようになってき た。これは今国が求めている一つの連携の方 向性ではないかと考えている。両輪が回れば 良い産業保健が実現できるものと考えている。

最後に、産業医学振興財団の宇佐美裕民審議 役より閉会が宣言され会議を終えた。

印象記

沖縄県医師会理事 佐久本 嗣夫

都道府県産業保健推進センター事業は、平成 22 年度に行政刷新会議事業仕分け等の対象事業 となり、その後「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」(平成 22 年 12 月 7 日閣議決定) により、これまで本県を含む 16 の県で、事務管理部門が廃止され連絡事務所となった。

この統合は、今後も 25 年度までの間に計画的に進められ、3 分の 2 を上回る推進センターが連 絡事務所となる見込みである。

さらに地域産業保健センター事業も制約され地産保事業は全般的に厳しい状況になりつつある。 また政局も全く先の見通しのつかない不安定な状況である。

今回のこの会議の印象としては、このような状況に各地域とも強い不平、不満を持ちながらも その地域特性を考慮しつつ置かれた状況下で、より有効な産業保健活動の推進に努力しているこ とが伺えた。

また、今年、沖縄労働局が発表した「平成 23 年の職場における定期健康診断結果(県内 50 人 以上の労働者を使用する事業場)」の状況によると、当県は有所見率が 65%と全国で全国ワース ト 1 位となった。

今後は労働者の健康、ひいては健康長寿沖縄を取り戻すべく他地域の施策も参考にしながら積 極的な産業保健活動を展開して行きたい。