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ピンクリボン沖縄2012 について
〜乳がん検診受診率向上をめざして〜

座波 久光

中頭病院・ちばなクリニック 座波 久光

乳がんは世界で最も罹患率の高い女性の悪性 腫瘍であることは、すでに皆さんもご存じのこ とと思います。本邦でも2006 年の統計で年間5 万人以上の女性が乳がんに罹患し、今後もさら に増加の一途をたどることが予想されています。

沖縄県の乳がん死亡率も、2007 年は10 万人 中、年間7.8 人、2008 年は9.8 人、2010 年は 12.5 人と上昇し続け、残念ながらついには全 国ワースト3 位となってしまいました。この事 実に、われわれ県内の乳がん診療をたずさわる 医師は衝撃をうけ、現在みんなでミーティング を重ね、その原因と対策を探っている所です。

乳がん死亡率が上昇した原因としては、1) 沖縄の抱える経済的問題(全国最低の個人所 得)や多数の僻地離島を抱える地理的問題が、 検診受診率や早期発見の低迷に悪影響を及ぼ しているのではないか。2)標準治療を受けず に沖縄独特の補完代替療法に走り、治癒の機会 を逃す患者さんが多いのではないか。3)肥満 全国一の影響はないかなど、県内各施設のデー タを集積し、多岐にわたる面から検討を行って おります。

乳がん死亡率低減の対策として最も大切なこ とは、まずは多くの女性に乳がん検診を受けて もらうことです。乳がんは早期発見さえできれ ば、その大部分が治癒する決して怖くない病気 であることを多くの女性に知ってもらうため、 乳がん検診の啓発活動の一環として、全国的 に展開するピンクリボンキャンペーンがありま す。シンボルであるピンクリボンはもともと、 自らの祖母、姉妹そして娘が乳がん患者であっ たシャーロット・ヘイリー(Charlotte Haley) が1990 年代初めに、乳がん患者への支援を求 めるための草の根運動として手製のピーチリ ボンをカードとともに配ったことからきてい ます。1992 年にアメリカの化粧品会社Estee Lauder と女性向け健康雑誌SELF が、リボン の色をピンクに代えて運動を展開し、以後ピン クリボンが乳がんの啓発運動のシンボルとなっ て行きました。

日本でもピンクリボン運動は乳がん検診啓発 の力として全国に広まり、2008 年よりここ沖 縄でもキャンペーン運動が行われ、今年で第5 回目が開催されることとなりました。特設ステ ージでのミニ講演やアトラクション、会場内で は放射線技師会・臨床検査技師会の皆さんによ る様々なブース展示などを予定しております。 ぜひ、ご家族・お友達をお誘いの上、ご来場く ださい。わたし達の大切な母、姉妹はもとよ り、一人でも多くの沖縄女性を乳がんから救う ため、検診活動へのご協力をなにとぞよろしく お願い申し上げます。

ピンクリボン沖縄2011 キャンペーン

「ピンクリボン沖縄2012」実施要項

目的:早期発見早期治療ががん検診では重要です。国は平成19 年度にがん対策推進基本計画をたて、がん検診受診率50%以上を目標としました。乳がんを取り巻く状況でも早期発見のための検診は重要であり、例年10 月は乳がん検診受診率向上・啓発のためのピンクリボン運動月間と位置づけ、全国的にキャンペーン運動が行われております。今回、ピンクリボン運動として昨年に引き続き10 月にイベントを開催し、沖縄県内の皆さんにご参加いただくことで、検診受診率向上ならびに“乳がん死ゼロ”を図ることを目的といたしております。

主催:ピンクリボン沖縄実行員会

対象:一般沖縄県民

内容:1. ピンクリボン沖縄2012 キャンペーン

    日時:2012 年10 月14 日(日)     13 時〜 16 時 (午後1 時〜 4 時まで)

    場所:那覇市てんぶす館前広場特設ステージ(変更もあり得ますのでホームページもご参照ください。)

    行事:1)特設ステージライブ(パフォーマンス、講演会など)

        2)ブース展示(検診啓発パネル展示、患者会催しなど)

        3)検診車展示見学

        4)県内マンモグラフィ検診一次検診施設案内

    2. その他、県内報道機関・発行紙での啓発運動記事に掲載、ホームページなどを通しての乳がん検診受診案内など

ピンクリボン沖縄実行員会

(実行委員長 玉城 信光)

委員:沖縄乳腺疾患懇話会世話人一同、 沖縄県放射線技師会、沖縄県臨床検査技師会、 沖縄県薬剤師会、乳がん患者会ならびに支援会 (あけぼの会、ぴんくぱんさぁ)