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NO MUSIC, NO LIFE ?

嘉陽宗光

医療法人 恵哲会 中部眼科  嘉陽 宗光

学生の頃から音楽を聴くのが好きで、時代と 共にレコード、カセットテープ、CD と媒体は 変化しても、常に身近に音楽がありました。音 楽はヒトに感動や安らぎを与え、生きていく上 で心のリフレッシュに欠かせない、サプリメン トのようなものかもしれません。この度は誌面 をお借りして、音楽を楽しむ新しいスタイルに ついて紹介いたします。

“ネットオーディオ”という言葉をご存知で しょうか。家庭内LAN を介して、NAS というサ ーバーに保存した音楽データを、対応プレーヤ ーで再生するオーディオスタイルの呼称です。 詳細に関しましては、音楽誌に解説を委ねると して、このスタイルの何が凄いかを簡単に申し ますと、パソコンを使って家にある何百枚もの CD を全てサーバーに取り込むことで、リビン グ、書斎、寝室、テラスといったLAN を設置し た様々な場所で(いちいちCD を移動すること なく)手軽に試聴することができます。

しかも、アルバムや曲の選択はパソコンで の操作以外にも、WiFi 環境が整っていれば、 iPad やiPhone をコントローラーとして使える ので、好きな場所でアルバムジャケットを観な がら、膨大な音楽ライブラリーへ容易にアクセ スして、自由に音楽を楽しめます。実はアルバ ムジャケットが視認できるというのが大きなポ イントで、いくらデータベースを貯めこんでも 文字情報だけから目的のアルバムを探すのは、 結構なストレスを感じます。ある程度のノウハ ウをマスターすると、どんなマイナーなアルバ ムでも“Google 画像検索”やスキャナーを使 えば、ジャケットを取得することは100%でき ます。また、アーティスト名、アルバム名、曲 名もiTunes を併用すれば、“Gracenote”とい うCD の内容に関するデータベースから取得で き、いちいち手入力する必要はありません。

このシステムのおかげで、手元にありながら 最近聴いていなかったCD を、再び聴くように なるきっかけになりました。想像してみてくだ さい。友人や知人を招いてホームパーティーを する際に、食事や会話を楽しみながら、所蔵し ている音楽データの中からお勧めの曲や、リク エスト曲を手元で瞬時に再生できる快適さを!!

しかし、音楽を聴くために、家庭内LAN ? パソコン? WiFi ?と取っ付きにくい印象を持 たれる方も多いかもしれませんが、実際に取り 組んでみるとシステムを構築するのは、それ程 難しくはありませんでした。手持ちのCD をデ ィスクの状態のままで保存し続ける場合、記憶 や整理には限界があります。大容量ハードディ スクに放り込んでアーカイブ&データベース化 した方が、より自由に活用できます。例えば 1,000 枚のCD を圧縮なしで読み込んだ音楽デ ータの総容量はおよそ300GB 程度です、余裕を もって500GB のハードディスクを準備しておけ ば問題ないでしょう。今では手軽に2TB クラス のハードディスクも入手できるので、生涯聴く だけのCD は取り込めるかもしれません。(もち ろん、データですから不測の事態に備えバック アップは必要ですが…。)コンピューターは分 類や抽出はお手の物で、複雑な仕分けを瞬時に やってのけます。CD だと1 枚聴き終えるごと に入れ替えなければなりませんが、ストリーム 再生なら聴きたいアーティストやアルバム、曲 を細かく検索したり、複数のアルバムから聴き たい曲だけをピックアップしてオリジナルのプ レイリストを作成したり、同じ曲を異なるアー ティストで聴き比べたりと、この利便性を一度 味わうと病みつきになります。

さらに特筆すべきは、とても音質が良いこと です。CD プレーヤーで直接再生したときよりも、 ストリーム再生した方が、(CD プレーヤーの駆 動時に、CD を回転させることで生じる振動の影 響を受けないため)音質が良くなるそうで、今 まで聴こえなかった繊細な音を表現できるのも 大きな魅力でしょう。最近は、CD(44.1kHz/16bit) よりも高音質な“ スタジオマスター音源” (192kHz/24bit や96kHz/24bit) を、インター ネット配信から購入することも可能で、スタジ オでマスタリングした音源を劣化させること無 く、試聴することができるようになりました。 ある評論家の表現を借りると、『CD とストリー ム再生の音は感触が確かに違う』、『CD では聴き にくかった部分に音楽の本質が隠されていたと したら、聴き逃がしたものはとてつもなく大き い』と唸らせるほど、これまでの音楽を試聴す るスタイルに与えた影響は大きいと言えるでし ょう。

また、ネットオーディオですと世界の様々な 国のインターネットラジオも比較的高音質で楽 しめます。お勧めの局である、ビートルズとそ のメンバーの関わった曲を24 時間流している “Beatles A Rama”(アメリカ)や、パイプオル ガンの曲を延々と流している“Organlive”(ア メリカ)、ポピュラーなクラシックやJAZZ を センス良い選曲で流している“CBC Classical、 CBC Jazz”(カナダ)をプリセットしておけば、 BGM としても使え重宝します。

以上、インターネット、パソコン、WiFi と いうものが、今後のオーディオシステムの一部 としてスタンダードとなる日が近づいているこ とを紹介しました。

ただ私個人としましてはオーディオにすごく 詳しいわけでもなく、ただ単に“音楽を聴くの が趣味”というレベルで、かつパソコンを扱う のは少々得意だったので、すんなりとこのシス テムを取り入れましたが、一番良かったこと は、手軽に好きな場所で好きな曲を聴けるよう になり、以前よりも音楽を聴く時間が増えたこ とです。昔よく聴いていた曲を久しぶりに聴き ますと、不思議と当時の様々な思い出までもが 蘇り、楽しかったこと悲しかったこと、いろい ろありますがそれがまた懐かしくもありいいも のです。何年か後に振り返って、今を懐かしく 思えるような曲に巡り会えるよう、これからも 今の時代の音楽を楽しんで生きたいです。