南部福祉保健所長 譜久山 民子
はじめに
平素、医師会員の皆様には、結核対策で、大 変お世話になっているところです。
厚生労働省は毎年9 月24 日から30 日まで を結核予防週間と定め、結核予防会、日本医師 会等関係団体のご協力のもと、結核の普及啓発 等を行います。
平成24 年度の標語は、【胸に空洞!? 失 恋ですか?― いいえ、結核です。】でした。
戦前の日本では結核は「国民病」「亡国病」と 恐ろしい病気という認識でしたが栄養状態・衛生 状態の改善、医療の著しい進歩により、感染症で はありますが、医師の中でもあまりお目にかかる ことがない時代になっているかもしれません。
しかし日本全国では平成23 年22,681 名の新 規結核患者発生があり、罹患率は17.71 で、罹 患率で米国の4.3 倍、カナダの3.3 倍と、世界 の中蔓延国とまだまだ対策をゆるめるわけには いきません。
沖縄県の状況
1. 新規結核患者数:平成23 年209 名の発症、 罹患率19.2 ともに2 年連続の増加です。
罹患率:人口10万対
2. 高齢者の結核患者の割合が増加しています。
3. 医療機関受診による発見が最も多く、職場からの発見が次で、増加傾向にある。
4. 結核患者のうち、合併症を持つ割合(%)。
5. 結核死亡数
6. 潜在性結核感染症の届出数の増加:特に医 療従事者の増加がみられます。検査法の進 歩も背景と思われます。
7. 生後6 か月までに行う乳児のBCG 予防接種 率:平成23 年度93.4%と90%台を維持し ています。
おわりに
医師会の先生方には“結核はまだまだある感 染症” という事は申すまでもない事ですが、皆 様のクリニックに受診される咳が続く患者では まず結核を頭においていただきますようお願い 致します。また結核患者と診断した時には“直 ち” に保健所への届け出や接触者の検診、結核 患者のDOTS 訪問(服薬支援)等の保健所の 業務につきましても、日頃大変ご協力をいただ き、改めて感謝を申し上げます。