おなが眼科医院 翁長 春彦
「医師はその生涯、学習を続け、最新の知識 を身に着けていなければならない。」と、世間 は医師に期待している。日本医師会もこれに応 えて、各レベルの医師会、学会とも、特集記事、 増刊号、講習会と目白押しである。こんなに「勉 強会」が好きなのは、医師と政治家くらいで ある。
それと言うのも、新しい知識は、信じられな いほど素早く、現場に現れるからである。「生 体で血管、神経が、直接、眼で見える」のは唯一、 眼底である。もちろん、見えるのは網膜の俯瞰 像である。ところが、最近、光干渉断層検査が 発明され、網膜の断面像が見えるようになった。 つまり「見えないはず」の物が「観える」よう になったのである。そして、市中病院のレベル にまで普及するようになった。「臨床眼科」誌 の23 年増刊号のタイトルが「眼科診療:5 年 前の常識は、現在の非常識!」とうたったよう に、医学の進歩は将に「眼を見張る」ものがあ る。そのため、私は現在も日々の勉強に追われ ている。自分の診療科は未だ良い。先頭集団で はないが、何とか落伍せずに皆に付いて行って いるつもりである。しかし、要求されるのは自 分の専門領域だけでは済まない。他科の新しい 知識を身に付ける事も、それなりに求められる。
私の学生時代、「胃の中は塩酸の海で、生き ている物は居ない。」と教わったが、「その中 を、ピロリ菌が泳いでいる。」のが発見された のも「今は昔」の話になった。うかうかすると、 知識は医学部の学生時代のまま、取り残されて しまう。学生時代に使ったテキストを残して置 いたが、すでに古典となった。「それでは」と、 厚い本を手に取れば、体力の衰えからか、その 重さを支え難く、すぐに飽きる。そんな時、薄 い雑誌は良い。沖縄県医師会報の生涯教育コー ナーは数ページで出来ているので、頭が瞑想モ ードになる前に読み終えることが出来る。また、 文末には問題があり、読み落とした部分をチェ ックできる。筆者が県内の先生であるのも、親 近感が湧いて良い。顔見知りだと、なお、良い。 「この先生、これが専門だったのか。今は、こ の病院に居るのか。」と近況を知ることになる。 ほんとに有難いことです。筆者、編集の先生方 に感謝申し上げます。
それで、足りなければ、月に数回ある講習会、 勉強会に出かけよう。元々、医師はまめな方が 多い。「今夜は勉強会がある(久々のお出かけ だ)。夕ご飯は要らない(懇親会もある)。タク シーで帰るから(アルコール消毒じゃ)、車は 置いて行く。」と出かける私を、家人は「ほん とに勉強好きだね!」と笑って送り出す。