理事 玉井 修
平成24 年6 月16 日午後1 時30 分よりロワ ジールホテル沖縄天妃の間におきまして第22 回沖縄県医師会県民公開講座が開催されまし た。脳卒中の回復期リハビリにおいて、失って しまった機能に対してあまりにこだわりすぎ、 いつまでも100%の機能回復を願い続けても厳 しい現実に直面し、落胆の日々を過ごすことに なってしまいます。しかし、たとえ完全な機能 回復が出来なくとも、少し考え方を変え、上手 に健側を使う事によって出来ることを一つ一つ 増やすことが出来ます。今回は動画などを使っ て、具体的な事例を踏まえて説明されました。 失った機能を嘆き続ける事よりも、出来る事を 一つ一つ増やす事を考える大切さを訴えていた だきました。また、脳卒中の治療は急性期病院 で完結するものではなく、リハビリ、在宅医療 を含めた様々な医療が重層的にリンクしていく ものなのですね。在宅医療の現場では、家族の 献身的な介護と、住み慣れた自宅という環境に よって本来その人の持っていた生きる力が回復 し、胃瘻の留置されていた患者さんがモリモリ と食欲を回復し、ついに胃瘻を抜去できるほど まで回復していったというお話も非常に感動的 でした。脳卒中の治療は長く、時に厳しいもの ですが、様々な医療サービスと、そして一番大 切な家族が患者さんを支え続け、いつの日か笑 顔を取り戻す事に繋がるのですね。脳卒中治療 の目的は、必ずしも完全に元通りに機能回復す ることではなく、もう一度笑顔を取り戻す事な のですね、よくわかりました。入り口での事前 アンケートの結果も非常に興味ある内容の集計 結果が出ていました。tPA の使用に関してはま だ一般に認知度が低いという現状もわかりまし た。やはりこのような機会を多く持っていく必 要がありそうです。
琉球大学医学部附属病院 第三内科 助教 伊佐 勝憲
日本では脳卒中は要介護の原因の第1位であ り、発症すると患者本人のみならず、ご家族へ の大きな負担を与えています。沖縄では毎年 二千人以上の方が脳卒中を新たに発症している と言われています。超高齢社会が到来し、脳卒 中の発症数は脳梗塞を中心に増加していくこと が予想され、大きな社会問題となっています。
「脳卒中」−脳梗塞(血栓で血管が詰まる)、 脳出血(血管が破れる)、くも膜下出血(脳動 脈瘤が破れる)に分けられます。脳の重さは体 重の3%に過ぎませんが、心臓から送り出され る血液の16%が脳を流れ、全身の20%の酸素 と25%のブドウ糖を脳が消費しています。こ のため、脳の血流が損なわれる時間が長いほど、 失われる脳は拡がっていきます。
「脳卒中は脳の火事」―イギリスでは脳卒中 を「脳の火事」と喩えています。脳卒中(火事) を早く食い止めれば、障害(火事の被害)は少 なくて済みますし、遅くなればなる程、障害は 拡がります。
「act FAST」−世界中の脳卒中キャンペーン で用いられている合言葉です。直訳すれば「す ばやい行動」ですが、「F (face) 顔の動かしに くさ、A (arm) 手の動かしにくさ、S (speech) しゃべりにくさ、T (Time to call 119) これら の症状に気付いたらすぐに救急車を」という別 の意味も込められています。本人だけでなく周 りの人が「もしや脳卒中では?」と気付いてす ぐに救急車を要請することがあなたを脳卒中か ら救う第一歩です。
「急性期病院」―「脳卒中は頭の火事」発症 したばかりの脳卒中のダメージを最小限に食い 止め、脳卒中の原因を突き止め(再発予防対策)、 安心してリハビリ、そして社会復帰に向けた脳 卒中地域連携をスタートさせます。
大浜第一病院 リハビリテーション科部長 渡名喜 良明
回復期リハビリテーション病棟とは、「脳血 管疾患等の患者に対して、ADL(日常生活動作) の向上による寝たきりの防止と家庭復帰を目的 としたリハビリテーションを集中的に行うため の病棟」とされるリハビリテーション専門病棟 で、一定の人員と設備およびリハビリテーショ ン訓練時間が確保されている病棟です。2000 年4 月から設立された制度で、ここに、急性 期病院から脳卒中の患者さんを受け入れていま す。受け入れの条件として決められていること として、発症2か月以内ということがあり、そ れを超えると入れないので、なるべく早い時期 に受け入れられるようにしています。
回復期病棟は、生活に戻っていくための予行 演習の場です。訓練でできるようになったこと は、時間がかかっても自らが実践し、できない ところ、危ないところは必ず手を借りる、そう いうことを繰り返しながら、安全にできる範囲 を増やし生活の力を定着させていく、そういう 場です。
脳卒中では、思いもかけなかった様々な症状 と初めて向き合うことになりますが、残念なこ とに、後遺症として残ることが多いのも、この 病気の特徴でもあります。そのさまざまな症状 をできるだけ軽くし、後遺症に対する対応法の 工夫をしていくのに、多くの職種がかかわり、 生活にかかわるすべてのことを症状に応じて組 み直していきます。
回復期病棟でのリハビリは、あくまで病棟環 境を使った練習です。病棟にずっと住むわけで はないので、どんなに慣れても予行演習にすぎ ません。それで、実際に住む場所について、本 人の生活の力を最大に発揮できるような環境の 工夫、たとえば手すり取り付けの検討なども行 います。そして、その環境をふまえた訓練を追 加します。必要に応じ、ご家族に本人の住む場 所を想定した介助方法も指導し、住む場所の改 修ができたら、いよいよ本人とご家族だけでの 外出・外泊を行い、退院に向けて最終予行演習 を行います。その結果をふまえて必要に応じ退 院後の介護保険サービスの調整や、退院後のリ ハビリの手配を行い、フォローアップ体制を整 えて、退院となります。
急性期病院から安心して移ってこられるよ う、同じ病院の中で病棟を移動する感覚となる ような連携の構築を、さらにすすめていきたい と考えています。そして、地域のかかりつけ医 に引き継ぎ、健康な、再発のない体づくり、生 活リズムづくりにつなげ、趣味を楽しみ、生活 を楽しむことにつなげていきたい、これが、地 域で治す脳卒中だと思っています。
きなクリニック 喜納 美津男
「寝たきり」の原因第一位、「死亡」の原因第 3 位、その病気が「脳卒中」です。
寝たきりや突然の死は、御家族にとっても、 大変悲しい出来事になります。従って「脳卒中 にならないこと」はとても大切です。
脳卒中を起こす代表的な危険因子(起こしや すくする危険な状態)は、
が挙げられます。さらに、暴飲暴食、不眠や 不安、過労などの精神的身体的ストレスが加 わると、病状の進行を加速させて「今まで笑 っていたのに、突然!」ということにもなり かねません。
脳卒中にならないためには、普段の生活での 健康管理はもちろん、先に述べた高血圧などの 病気がある方は、勝手にお薬をやめず、疑問や 不安がある場合は、医師に相談すること、医師 に言いにくければ、看護師や受付、薬剤師など に相談することが大切です。漫然と同じ薬を処 方するだけ、聞けば怒ったり、相談にのってく れない医師とは縁を切る勇気も必要です。いず れにしても、「かかりつけ医」機能を持った医 療機関に通院し、健診や定期的な検査を受けて、 普段のからだの状態を知ることが大切です。「か かりつけ医」とは、日頃から健康相談をしたり、 病気を発見したり、初期の医療を行う地域の診 療所の事です。
そして、病院から退院した後の療養生活を支 えるのも「かかりつけ医」の重要な役割です。
かかりつけ医を持つメリットは、
などであり、言い換えればこれらが「かかり つけ医」の役割とも言えるでしょう。
かかりつけ医を選ぶ時のポイントとしては、
などが挙げられます。
ただし、脳卒中は迅速な初期治療が重要で、 その時の対応がその後の人生を左右するといっ ても過言ではありません。脳卒中を起こしたら、 まず、救急車を呼び、早急な治療を受けましょ う。その判断ができるのも、普段の「かかりつ け医」との関わりと言えます。
沖縄赤十字病院脳神経外科部長 饒波 正博
脳卒中の長い治療期間は、大きく三期に分けられます。
急性期
この時期に脳卒中の被害を最小限にとどめる ための治療を行います。手術治療もここに入り ます。治療にはスピードが要求されます。治療 は、脳卒中が発症して最初に入院する病院が担 当します。
回復期
この時期は脳卒中の後遺症に対する機能回復 治療を行います。治療には専門的な知識と技能、 それにマンパワーが要求されます。治療は、リ ハビリテーション病院が担当します。
維持期
脳卒中は再発しやすい病気です。この時期は 脳卒中が再発しないように注意深く全身の管理 を行います。具体的には、脳卒中の原因となる 疾患〜高血圧症、高コレステロール血症、糖尿 病、そして不整脈(心房細動)など〜を内科的 にコントロールしていきます。治療には内科の 広い知識が要求されます。治療は入院ではなく、 外来通院で行われます。
通常の脳卒中の治療は、急性期→回復期→維 持期と一方向に流れていきます。
各期が終了すると病院を変えることになりま すので、治療を受けられる脳卒中の患者さん、 またそのご家族の方々の精神的負担は決して小 さいものではないと想像しております。しかし、 病院機能の専門化が要求される現医療体制下で は、各期の治療を別の病院(つまりそれぞれ病 期の治療に特化した病院)で受けられた方がそ うでない場合より、より良い医療が受けられま す。ここに病院間連携の重要性が生まれてくる ことになります。
私たち県下の脳卒中治療に携わる医療機関 は、以上のことをふまえた上で、地域で良質な 脳卒中治療が提供できるような広域の脳卒中地 域連携を模索しております。この試みを「おき なわ脳卒中地域連携」と名づけました。私たち の活動が、脳卒中の患者さん、またそのご家族 の方々の脳卒中治療にまつわる精神的負担をい くらかでも軽減できれば、その目的は達せられ ると思っております。そのために私たちは、
を、優先度の高い事業として挙げ、これをすで に一部の地区で実施しております。今後、この 連携を全県下に広げ、成果を逐次発表すること で、県民の皆様のご理解を得ようと考えており ます。
脳卒中地域連携は、地域の医療機関で一つの 脳卒中治療を提供しようとするものです。一医 療施設ではできなくても地域で行えばできる、 こういった発想の転換を元に生まれてきた新し い試みです。
※公開講座終了後、公開講座の内容の検証と今後の対応に資するべく、講師間の意見交換会を行ったのでその概要を掲載する。
○玉井理事 無事、県民公開講座終了致し ました。
皆様どうもありがとうございました。それで は、早速ですがご感想を伺いたいと思います。
○伊佐先生 少しゆっくり喋りすぎて、予定 を大幅に超過してしまい皆様にご迷惑をかけて 大変申し訳ないなと思っております。
t-PA の認知がやはりアンケートで多くの方 がご存知なかったという部分もありまして、初 期対応の事を強調してお話しすることが出来た 事は良かったと思っています。
○玉井理事 饒波先生、t-PA を知らない人 は何割ですか。
○饒波先生 3 分の2 です。ちょっとビック リですね。
ただ、今日来られた方が脳卒中になられたあ るいは、ご家族がなられた方々とは全く関係な い方が3 分の2 ぐらい来られていました。
○玉井理事 それでは一般の県民の認知度 というのはまだ低いと考えた方が宜しいでし ょうか。
○饒波先生 そうですね。そういう意識の高 い方も来てはいましたが、まだまだ啓発が足り ないですね。
頑張っていきます。やる仕事がいっぱいあり ますね。
○玉井理事 渡名喜先生、動画はすごいセン セーショナルでした。
麻痺は治せないですけど、出来る事をうまく 利用したらやれる事は増やせられるという事で すよね。
○渡名喜先生 そうですね。麻痺が残る、残 らないが全てではないということです。
程度の差もありますが、麻痺が残るっていう 現状はありますが、その中で出来るという事が 絶対増えるという事です。
最後にも話しましたが、その中で役割をどう 持つか、どう趣味を楽しむかという可能性に関 しては決して制限とか限界はありません。そ こに近づけるところで、基礎として回復期病棟 があって基本の動きや工夫の動きを覚えても らえば、その応用は生活に戻った後に広がりま す。その基礎としての回復期病棟としての機能 が果たせればと思っています。そういう点から も急性期病院から安心して移って来てもらえ るよう、少しでも伝われば良かったかなと思い ました。
○玉井理事 質問の中にも麻痺があって、前 途に不安を覚えているといった質問が多かった ですね。
○渡名喜先生 そうですね。全然違う生活に なるわけなので、どうなっていくかの不安はい つまでもありますし、元に戻ってほしいという 気持ちは当然いつまでもあるはずです。その中 で、でもこういう可能性があるっていうことに 繋げられるそういうレールが引ければなといつ も思います。
○喜納先生 前回の脳卒中の講演会の時は、 かかりつけ医については触れておらず、今回初 めてという事でした。未然にくい止めるために も、すごく重要なのはやっぱりかかりつけ医だ と思います。その部分ではやはり健康意識をも ってしっかり健康診断を受けつつ、しっかり治 療をするということが一番大事だと思います。 今回来られた方々は健康意識が高い方々で、普 段から健康診断も受け、指摘されたら治療に繋 げるという方々ばかりだと思います。
でも実際には本当に聴いてほしい方々はやは り来ないですね。それが一番問題で、そういう 方々になんとか啓発していく方法がないかと思 っております。
こういった講座という形もいいですが、意識 の高い方々が対象になっているところがありま すので、そうではない方々になんとか今後も啓 発していければと考えております。
○国吉課長(県福祉保健部健康増進課)
今、喜納先生がおっ しゃった、色々な方々 へ啓発をやっていかな いといけない立場なの ですが、一定のイメー ジでは、中高年の男性 も聞かないだろうとか、 あるいは若い人達は聞かないだろうとか、予想 できるようなポピュレーションになんとか機会 をつくっていけないか考えております。そうい った場合は先生方のご協力を頂ければと思って おります。
また、渡名喜先生がもしお時間があったらお 話されていたかと思いますが、福祉用具の活用 や生活環境の整備等も、非常に力になりますの で、そのあたりがもっともっと理解が得られた らと思いました。
○玉井理事 ポピュレーションアプローチは これからの課題ですね。
○国吉課長 そうですね。広く一般にという 意味もありますが、めくらうちではなく、こう いう方々という既定のポピュレーションを想定 した上でのアプローチということが元々大事な 部分ですね。
○饒波先生 よく子どもを狙えば良いと言わ れています。
子どもを狙うと子どもは自分の親に話しま す。だからその子ども達、小中高生に対しての アプローチをしていけば、自然に問題である親 に浸透していくわけです。
ですから、学校でこういった機会を設けて、 親も巻き込みながらやっていくといいと思い ます。
ゴミ教育等はそういうことをやっています。 子どもを通して親の意識を高めるという手を使 うのもひとつかと思います。
○崎山部長(県福祉保健部)
アンケートを見てみ ると、「ご家族が脳卒中 に罹患され、治療、看 病の経験がありますか」 という問いに対して「あ る」と回答した方が約 40%でした。本日来て いるのはある程度、関心のある人達なので、こ れが多いか少ないかは分かりませんが、私は「な い」という人がもっと多く参加してほしかった です。
しかしながら、関心がない人が講座に参加す るのは中々難しい事です。このような関心のな い人達ほど結構色々な問題を抱えていますの で、どういうふうに働きかけていくかが重要な 課題かなと一つ思いました。
また、t-PA の実施が非常に少ないですので、 今後これを啓発していく必要があるだろうと思 います。そういう意味でも、かかりつけ医の役 割は非常に大きいと思います。
例えば、血圧あるいは何かの病気で通院して いる患者さんに対して、啓発をしっかりやって いくという事も重要かと思います。
○玉井理事 高良先生、今日の会を振り返 って、また脳卒中連携パスを踏まえてお願い します。
○高良先生
脳卒中という病気が 大変だという事は皆さ んが感覚的に分ってい て、急いで病院に行っ て治療するという事も 分っているわけですが、 今日みたいに回復期と か、かかりつけ医を重要視して、もっとアピー ルして本当に地域の中で治すという概念にもっ ていかないと、患者さん個々の病状はなかなか 良くならないだろうと思う。今話のあった介護 や福祉を含めた社会支援を使いながら、どうし たら良いか考えていかなければならないと思い ます。
これまで、脳卒中連携を行ってきてやっとか かりつけ医の連携まで来たわけです。今度は福 祉を巻き込んで、どのような場合に一緒にやっ て、もっと効率よくできるかという所まで広げ て行きたいと思っています。
最初、脳卒中連携システムを作った時には、 そこまでなかなか一気にいかなくて、やっと、 かかりつけ医の所までいきました。あとは北部 医療圏までこの連携パスのシステムを延ばし て、福祉も巻き込むという所までいくと、もっ としっかりしたものになると思います。
今回、リハビリの事とか、かかりつけ医の事 が話に出ました、この重要性をもっと強調して いきたい。この考え方がもっと普及すると急性 期病院もあまり疲弊しないでお互いに協力して できるようになります。その方がむしろ患者さ んにとってはメリットがあると思います。
脳卒中になったら「病院に行こう」というの は分かるわけですけど、その後が大事だという 事を医療関係者全体で啓発する事が大切だと思 います。
○安里副会長
私は、2 点ほど感じ た事があります。
TIA は3 ヵ月以内に 20%ぐらい発症し、そ のうち、半分は2、3 日 以内に発症し、80%が 抑制できるとありまし た。そうすると、TIA を県民に理解してもらっ て発症しないようにすることが大切なのかなと 強く感じました。
もう1 点は、喜納先生のお話は素晴らしかっ たですね。
先日開催された、県医師会主催の「県民との 懇談会」では居住型施設における胃瘻からの離 脱の話でしたが、先生の場合は在宅での離脱で すから素晴らしいなと思いました。
それからもう1 つは在宅診療に際し、医療機 器等がいっぱいあることです。先生は、コンピ ュータもお持ちでしたが、現在、中央センター と連携ができるように、IT の脳卒中の医療連 携を進めている最中なんです。そういったモデ ルケースも展開して本当に大きな病院から急性 期病院から日々在宅診療をされている先生方の IT を通した医療連携をやって頂きたいと凄く 感じました。
今日はありがとうございました。
○喜納先生 職種が多くなるとそれなりに連 携していくのが凄く大変になりますし、書類で やると大変ですので、その辺をIT で出来ると 良いですね。これからは必須じゃないですかね。
○玉井理事 在宅医療ではやっぱりIT が必 須ですよね。どうしても必要なツールです。
○宮城会長
医療提供体制の件 です。
例えば脳卒中です。 今までは一医療機関で 急性期からリハビリま で全部やろうとしてお りましたが、急性期、 リハビリ、在宅という流れの中でそれぞれの病 院の機能に合わせて役割分担をし、地域の中で 皆を支えていくという考え方が定着してきてい ます。ただ、問題なのはどうやって予防するか です。今日、お話があったように沖縄県は通院 患者比率が一番少ない。発症すると直ぐに入院 するという事が一番大きな問題であると思いま す。予防に力を入れるのであれば、検診を受け ない人や、検診を受けて血圧が高いと言われて も受診しない人がいる。そこを変えないと、こ の問題は解決しない気がします。この場にタイ ムスの方がいたらそういう所を強く県民にアピ ールしていくべきではないかと提案したのです が、それが出来なく非常に残念です。
こういう話をマスコミはもっともっと積極的 に取り上げていくべきでしょう。脳卒中の発症 率は全国的にあまり変わらないというお話でし たが、ただ、死亡率は少ないということです。 その原因は分らないのですが、急性期の病院が かなり頑張っている気がします。
「ゆらぐ健康長寿沖縄」としてこのような県 民公開講座をするようになったきっかけは、男 性の平均寿命が26 位に転落したことから沖縄 の長寿社会を復活させようという所からスター トしているので、発生率を全国以下に落とすこ とが一つの目標になるのではないかと思いま す。そのことを今日は感じました。医療側はか なり頑張って、医療連携が進んでいますがこれ をもっと進めていく必要があります。
○玉井理事 裾野を広げていくようなアプ ローチのやり方を考えていかないといけない ですね。
先生方、今日は長丁場で色々大変だったと思 いますが本当にお疲れ様でございました。
今後とも宜しくお願いします。ありがとうご ざいました。
当日お越しいただいた方々の中から、3 名の方々にインタビューさせていただきましたので、そ の内容について掲載致します。
インタビュー1) :本日の講演会に参加されての感想をお聞かせ下さい。
また、今後の日常生活でどのような事に気をつけようと思いますか。インタビュー2) :医師会への要望をお聞かせ下さい。
(37 歳・女性)
1) 知人に誘われて参加しました。これまで脳卒中については漠然とした認識しかありませんでしたが、今日の講演 会を聞いて、分かり易いキーワードや各専門分野の先生方の説明により、一連の流れが分かり、認識が深まりま した。持ち帰って、家族や知人に情報提供し、実践していきたいと思います。
2) 今後も一般向けの公開講座を続けて欲しい。(38 歳・女性)
1) 高齢の方の参加が多いと感じました。40 代から急にいろいろな体調の変化が起こるので、予防・早期治療の意 味でも、中年層への参加呼びかけを強化した方がよいのではないかと思いました。
2) 危機感がない人が多いので、ショック療法のような感じで、発症後の大変さや生活の変化等を多く伝えた方がよ いと思います。(69 歳・男性)
1) 個人的にも不整脈があり、関心を持って拝聴しました。高血圧もあり、これから生活習慣を大いに見直さなけれ ばならないと感じました。お酒がなかなか止められず悩んでいますが、帰ってしっかり考えます。本会の広報活動にご協力いただきまして、誠に有り難うございました。