常任理事 真栄田 篤彦
去る6 月26 日(火)、午後7 時30 分より本 会館において第198 回定例代議員会が開催さ れた。
はじめに新垣善一議長より定数の確認が行わ れ、定数58 名に対し、45 名が出席し定款28 条に定める過半数に達しており、本代議員会は 有効に成立する旨宣言された。
続いて、宮城会長より次のとおり挨拶があ った。
挨拶
○宮城会長
皆さん、こんばんは。 本日は、平成23 年度の 会務、諸決算などにつ いてご審議をいただく べく、第198 回定例代 議員会を開催いたしま したところ、多数の代 議員にご出席を賜り厚く御礼申し上げます。
お陰を持ちまして平成23 年度の会務も代議 員の諸先生方、会員各位のご協力により予定し ておりました諸事業も滞りなく推進することが できました。ここに改めてお礼を申し上げる次 第であります。
さて、昨年の3 月11 日に発災した東日本大 震災の医療支援につきましては、会員各位より 多額のご寄附をいただき、これを活動資金とし 岩手県大槌町において5 月末日までの約2 カ 月半にわたって医療支援を行うことができまし た。改めて感謝を申し上げます。
その後、この度の医療支援活動が国から災害 救助法に適用すると認められ、活動資金と交通 費等を含めて実費弁償されることになったこと から、皆さんからいただいた寄附、それから国 からの金額を合わせて大槌町へ寄附することに なりました。
去る6 月13 日に大槌町へ玉城副会長を派遣 し、大槌町役場の碇川豊町長を訪れ、復興資金 として1,140 万4,140 円を贈呈しております。
発災より1 年3 カ月が過ぎてはおりますが、 いまだ復興には多くの時間を要するものと思わ れます。今後とも被災地の支援のために沖縄県 医師会としても協力してまいりたいと存じます ので、会員の皆様方の引き続きのご支援、ご協 力をお願い致します。
一方、政局では、社会保障と税の一体改革に ついて、皆さんご存じだとは思いますが、本日 の国会で消費税増税案が衆議院を通過、民主党 から57 名の造反者が出たようであります。し かし、増税が決まったとしても、社会保障制度 改革は先送りということになっております。
現在、各医療機関における医薬品等の仕入れ 代金、あるいは医療機器等の購入代金にかかる 消費税は全て医療機関が負担しており、損税と して非常に大きな問題となっております。消費 税は5%から8%、10%という形で増えていく に従って、医療機関の負担する損税というの は、これは限りなく増えるということになりま す。損税の痛みに堪えきれなくなり、医療機関 の経営が非常に厳しくなってくると思われます ので、地域医療にとっては非常に大きな問題で はないかと危惧をしております。このまま消費 税が増え続けていけば、地域医療の崩壊に繋が っていくのではないかと思います。
現行の非課税制度を、仕入税額控除が可能な 課税制度に改めると患者負担が増えるのです が、医師会としては、患者負担を増やさない制 度を導入し改善するように求めております。
本会では、今年度も昨年に引き続き、最重要 課題として「地域医療再生」を掲げ、医療連携、 医師確保対策をはじめとする諸事業を展開する とともに、本年よりスタートした「おきなわク リニカルシミュレーションセンター」の活性化 を図り、地域医療の充実・発展に努めてまいり たいと考えております。
更に、先の大震災をふまえて、会内に「災害 医療委員会」を立ち上げまして、具体的な災害 対策を検討しまして、備品整備等を含む、実効 ある計画の検討を始めております。
代議員各位におかれましては、本会の事業推 進に際しまして、ご意見、ご要望、ご提案等が ございましたら、ご遠慮なくお申し付けくださ いますようお願い申し上げます。
本日は、お手元の資料のとおり、裁定委員の 補欠選挙、報告2 件、議事6 件を上程しており ます。詳細につきましては、後程各担当理事よ り説明いたします。慎重にご審議の上、ご承認 賜りますようお願い申し上げまして挨拶といた します。
続いて、この度、沖縄県医師会裁定委員に欠 員が出たので、裁定委員1 名を新たに選出する 必要があり、当代議員会において補欠選挙が行 われた。
なお、沖縄県医師会裁定委員定数1 人に対し、 候補者は眞喜屋実之先生1 人のため、投票によ らず眞喜屋実之先生を当選人と決定した。
続いて、報告・議事に移り、報告事項は玉城 副会長から平成23 年度沖縄県医師会会務につ いて、山里監事から平成23 年度沖縄県医師会 会計監査について報告があった。
議事は以下の議案について各担当理事から説 明が行われ、全て原案どおり承認可決された。
続いて、その他の事項で南部地区医師会から 寄せられた代表質問について、次のとおり担当 理事から答弁があった。
質疑応答(要旨掲載)
○城間昇代議員
学校医と学校側との 軋轢は、従来から論議 の絶えない、古くて新 しい問題であると認識 している。納得のいく 結論が出ないまま今日 に至っているが、今回、 改めて質問をさせていただきたい。
地域保健活動の一環として児童・生徒の健康 保持増進に務める学校医の果たす役割は非常に 大きいものであることは言うまでもない。学校 医は、日頃から短い休憩の合間や、ときには診 療時間を割いて学校へ出向き、学校健診や健康 相談等に当たった。
ところが、時折会員から学校側の一方的な要 求に対する苦情・相談等が寄せられ、当医師会 が仲介役として対応に苦慮することが多々あ る。先般開かれた本会評議員会においても、学 校側が学校医を軽視するような対応が見受けら れる、などとして学校医活動の実態調査を求め る声があった。早速、本年4 月に「学校医活動 に関するアンケート調査」を実施したところ、 多数の意見が寄せられた。その多くが学校健診 等の日程調整における学校側の一方的な要求に 対する不満の声であった。
例えば「複数校受け持っていた際に、学校健 診の早めの日程調整を依頼したが、調整期限が 過ぎても連絡がない」あるいは「十数年間続け ている学校保健委員会の開始時間が、何の断り もなしに突然17 時30 分から16 時に早まった」 などの意見が寄せられた。
こうした状況を鑑み、当会としては、島尻郡 市町村教育長会を通じて学校側に対し、学校医 との密なる連携と信頼関係の醸成に努めるよう 要請することになった。
そこで、県医師会に対し、県教育庁への同様 な要請をしていただくよう求めるとともに、当 問題に対する県医師会の見解についてご教示い ただきたい。
回答(宮里常任理事)
城間先生ご指摘のと おり、学校医は通常の 診療時間を割いて学校 健診のみではなく、児 童生徒等の健康相談、 並びに健康管理を行う 等、十分な報酬は得ら れない中で、学校保健活動に貢献している。
学校医のボランティア精神でなされているこ のような職務に対し、学校側の理解が薄く、学 校健診時の日程調整が適切に行われない等、学 校医への配慮が足りないと感じることは少なく ない。
過去にも中部地区医師会で同様な問題が生 じ、県医師会から沖縄県教育委員会に対して改 善を要求した経緯がある。その中で判明したこ とは、管理者である学校長は「学校医を選任し、 依頼する義務がある」という責任があるという ことである。その典型として、県内の私立学校 においては、学校長によって学校医の選定と依 頼が行われており、両者の間は円滑で今回のよ うな問題発生や報告がなされた事実はない。
一方、公立学校においては、長年にわたって 医師会が学校医を派遣してきたという事実があ る。この場合、医師会は「学校の協力団体とし て任意で学校医を派遣する」立場である。
しかしながら、この方法では学校長が学校医 を選任し依頼することがないので「学校医の派 遣は医師会の義務である」と誤った解釈をする ことが少なくない。しかも学校医が決まった段 階で、何らかの挨拶や依頼もなく、連絡や調整 などは養護教諭任せになっている場合が多い。
したがって、トラブルの多くは「学校医派遣 は医師会の義務」だと考えている学校側と、「学 校医は協力団体としての医師会の立場」と考え る学校医との認識の違いで発生していることが 多いと判明した。
この実態を受けて、4 年前に県医師会は県教 育委員会に対し、各自治体の教育委員会と学校 長に対し、学校長と医師会の立場を明確にした 上で、円滑な連携をしていただくように依頼し た経緯がある。
今回、学校長の交代で同様な問題が新たに発 生した可能性もあるので、本会としても、学校 医と学校側が円滑な連携を図れるよう、改めて 教育庁に対し、申し入れを行うとともに本会学 校医部会常務理事会においても、今後の対応等 について検討していきたいと考えている。
○城間昇代議員
国は、麻疹排除の目標年を2012 年に設定し、 2008 年度から5 年間の時限措置として、第3 期、第4 期のMR ワクチン定期接種を勧めてき た。ところが、第3 期、第4 期の接種率が予想 外に低いまま、定期接種の最終年度にあたる本 年、2012 年を迎えている。接種率の高い茨城 県の例で明らかのように、接種率を上げるため には学校側の協力が不可欠である。昨年6 月、 沖縄県でも各自治体や教育委員会、保健所に対 し「麻しん(はしか)・風しん定期予防接種の 接種勧奨について」の表題で、定期予防接種対 象者への予防接種の積極的勧奨を要請した。そ の際、学校が生徒の接種状況を把握し未接種者 に接種を促すことを目的として、「麻しん・風 しん予防接種済証明書」の活用を学校側に提案 した。しかしながら、この「麻しん・風しん予 防接種済証明書」が有効に機能しなかったよう で、いまだ接種率が低いまま現在に至っている。 そこで再度、「麻しん・風しん予防接種済証明 書」を活用して、学校が生徒の接種状況を把握 し、未接種者に接種を促す方策をとってもらえ るよう、県及び県教育委員会への要請をお願い したい。
回答(宮里常任理事)
本件については、平成23 年5 月26 日に開 催された沖縄県・沖縄県医師会連絡会議にお いて、沖縄県福祉保健部健康増進課より「麻し ん・風しん予防接種済証明書」を活用した予防 接種者の把握等について説明を受け、本会とし ても当該事業に協力するとともに、学校側から も積極的に取り組むよう協力を求めたところで ある。それに対し、沖縄県福祉保健部健康増進 課より、校長会においても本事業について説明 し、協力を求めていきたいとコメントをいただ いている。
しかしながら、城間先生よりご指摘があっ たとおり、国が「麻しん排除計画」を策定し、 平成20 年度から5 年間に限り、第3 期及び第 4 期の定期予防接種を実施しているところであ るが、依然、接種率が低い状況となっている。 このような状況に鑑み、本会としては、改めて 沖縄県教育委員会に対し、「麻しん・風しん予 防接種済証明書」を活用した積極的な予防接種 の奨励を要請するとともに、各会員に対して も、「麻しん・風しん予防接種済証明書」の利 活用について、再度、周知徹底していきたいと 考える。
ちなみに、昨年度は、5 月26 日に開催され た沖縄県・沖縄県医師会連絡会議の後、7 月6 日付けで宮城信雄会長の名前で、各地区医師会 長に予防接種済証明書についての通知をして いる。会場の先生方にはFAX で届いていると 思う。
それから、1 カ月後の8 月号の医師会報にお いて、当該沖縄県・沖縄県医師会連絡会議の議 事録を掲載しており、会員に対しては二度に亘 って通知しているので、医師会側の問題はない かと考えている。