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沖縄北部のドライブコース

仲本昌一

仲本内科 仲本 昌一

今年3 月に大学時代の友人3 人が夫婦で揃 って沖縄にやって来た。論語にある「朋あり遠 方より来たる。亦楽しいからずや」の如く、共 に2 泊3 日の沖縄北部を旅行した。朋友を歓 待するにあたり、練り上げた本島北部のドライ ブコースをご紹介したい。

出発はザ・ブセナテラスから始めた。なぜな ら、卒業して33 年も経つと体力、気力共に若 い時のようにはいかず、くつろいだ、ちょっと 贅沢な旅をしたくなるものだ。ホテルに到着し て案内されたオーシャンビュールームはテラス からコバルトブルーの海が臨め、旅の疲れを癒 してくれた。翌朝、海辺にある屋外テラスで朝 食を取る。まるで洋画でみた地中海あたりのバカンス風景の様であったが、ふと面白いことに 気づいた。夫婦の座る位置である。50 歳代以 降では向かって右に夫人、左に婦人であり、30 歳代前では逆なのである。家庭内での地位を反 映しているのか、私には夫が勝手に尻にひかれ たがって見えるから、私の頭は古い。

話を戻そう、沖縄北部のドライブコースは 本部半島を一周するものだ。今やIT 時代、 Google 地図でルート・乗換案内を選択して、 設定は車にし、目的地A にブセナ→ B に美ら 海水族館を書き入れ、次に目的地を追加してC 備瀬のフクギ並木→ D 今帰仁城跡→ E 古宇利 大橋→ F 嵐山展望台→ G ブセナにすると立ち どころにドライブマップが出来上がった(図 1)。走行距離89.4km、所要時間約3 時間と表 示された。

最初に向かったところは定番の美ら海水族 館。何度行っても巨大水層の中を悠然と泳ぐジ ンベエザメ、マンタをみると心がなごむ。十分 に水族館を堪能したら、ほどよく正午になり、 備瀬の部落内にあるカフェ チャハヤ・ブラン へ到着した。水族館から備瀬まで10 分足らず で行ける、備瀬のフクギ並木はブログなどで旅 好き仲間のおすすめ観光スポットである。屋敷 周りの防風林として用いたフクギは静かな集落 の中で青い空と海にまけないほど深緑に繁茂し て並木をつくり、木漏れ日の中を散策すると南 国情緒漂う、ゆったりとした時間の流れを感ず る異次元の世界である。カフェ チャハヤ・ブ ランはいつも混み合うらしい、電話予約をとっ て正解であった。伊江島をバックにエメラルド グリーンの海を眺めながら、昼食はラフテー丼、 アジアンそば、中華風鶏粥の3 つから1 つ、飲 み物とセットで選ぶのだが、どれも美味しい。

ゆっくりと散策を楽しんだので時間が足ら ず、今帰仁城跡へ行くのは止め、一路車を古宇 利大橋へ向け走らせた。途中に為朝伝説のある 運天港や今帰仁仲原馬場(リュウキュウマツ並 木)があり、昔の栄華が偲ばれた。私のカーナ ビには無かったが、Google マップで本部半島 と屋我地島を結ぶ橋が開通しているではないか? 平成22 年12 月に完成したアーチ型ワ ルミ大橋である。橋から見下ろす羽地内海は絶 景であり、新たな名所を発見した思いであっ た。ワルミの語源であるが、[割れ目]のことで、 方言で発音すると[割れ]→[ワリぃ]、[目] →[ミ]と発音する。それがつまり[ワルミ] になったようで、羽地内海の北側で羽地内海と 東シナ海とをつなぐ海峡または水路であり、ワ ルミ海峡やワルミ水路、運天水道と呼ばれる。 屋我地島を北上しサトウキビ畑を抜けたところ で、目前に青い海が広がり、真ん中に古宇利島 へと続く、通行料無料の一般道としては日本最 長の大橋が見えて来た。橋は海面からそう高く なく、海原を走る感じで、両脇の海の色がエメ ラルドからコバルトへとグラデーションがなん とも言えず綺麗であった。全日空のポスターに もなったそうで、多くの観光客で賑わっていた。

図1

図1

帰りは沖縄の松島と言われる羽地内海を車窓 左に眺めながら海岸沿いを下り、嵐山展望台へ 向かった。流石に観光客にはあまり知られてな く、地元の消防隊員の夫婦1 組だけであった。 展望台から羽地内海を一眸に俯瞰でき、湖のよ うに穏やかな海に大小の島々が入り組んで点在 する様は沖縄の瀬戸内海と言われ、私が思うに 海の色は沖縄が勝るので日本三景の松島よりも 素晴らしいのではないだろうか。その絶景を目に焼き付け、夕暮れ時のブセナの浜辺と酒を酌 み交わし旧交を温めるべく2 日目の夕食会を楽 しみにホテルへ急いだ。