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九州医師会連合会第103回定例委員総会

安里哲好

副会長 安里 哲好

去る5 月19 日(土)、宮崎市(宮崎県担当) において標記定例委員総会が開催され、九州医 師会連合会の平成23 年度決算、平成24 年度 事業計画並びに予算等が審議され承認されたの で、会議の概要を報告する。

はじめに、司会の立元委員(宮崎県)より開 会が宣され、前年度九州医師会連合会担当県の 佐賀県池田会長より平成23 年度の九州医師会 連合会諸事業への協力に対するお礼と、特に記 憶に残っているとして1 月28 日の常任委員会 において日医役員選挙について、日医会長に横 倉先生を推薦し、皆様のご協力を得て去る4 月 1 日に行われた日医会長選挙では見事当選させ ることができ、九州各県の役職員、特に福岡県 医師会の松田選対本部長を始め役職員には大変 お世話になったとのお礼の言葉と、九州医師会 連合会会長として通常体験することが無い、す ごい経験をさせていただいたと述べられた。

その後、稲倉九州医師会連合会長(宮崎県医 師会長)より挨拶並びに、横倉義武日本医師会 長より来賓祝辞が述べられた。

稲倉九州医師会連合会長

本日は来賓として横倉義武日医会長においで いただいており厚くお礼申し上げる。また九州 各県より遠路お越し頂いた九州医師会連合会の 委員の先生方にお礼申し上げる。去る4 月7 日 の常任委員会において、今年度の九州医師会連 合会会長に選任され、1 年間九医連を担当させ ていただくことになった。昨年度は佐賀県医師 会の池田会長はじめ役職員の方々に大変お世話 になった。この場をお借りしてお礼申し上げる。

一昨年宮崎県では口蹄疫の大流行、鳥インフ ルエンザの発生、新燃岳の噴火等災害に見舞わ れた。全国各地の方々から励ましの言葉をいた だき心より感謝申し上げる。また、昨年は東日 本大震災という未曾有の大災害が発生し、1 年2 ケ月過ぎた今でも復興の歩みは進まないよう である。しかし、大震災に対する日本医師会の 対応特にJMAT に関しては日本医師会の呼び 掛けに全国から多くの会員が活動に参加した。 このことは国民及び政府の評価と国民の健康と 命を守る日本医師会の励声を高めたものと思 う。今年もTPP の問題や社会保障・税一体改 革の地域医療計画の見直し、公益法人制度改革 と難問が山積しているが、九医連は一丸となっ て日本医師会横倉執行部をしっかりと支えてい きたいと考えている。

厳しい情勢の中、九医連を担当することに不 安もあるが、昨年度みごとな運営をされた佐賀 県医師会をお手本とし、九医連副会長である沖 縄県宮城会長にご相談申し上げると共に、九州 各県と連携を取り対応して参りたいと考えてい るため、ご支援ご協力をお願い申し上げる。

来賓祝辞

横倉義武日本医師会長

九州医師会連合会第103 回定例委員総会の 開催にあたり、日本医師会を代表して一言ご挨 拶申し上げる。

初めに先ほど池田前九医連会長からもあった ように、4 月1 日に日本医師会長に選出頂きお 礼申し上げる。また会長に選出されたが現在の 政治状況、経済状況、地域医療の状態を見ると その責任の大きさに身の引き締まる思いであ る。九州医師会連合会の先生方にはご支援をよ ろしくお願いしたい。

さて、稲倉会長からもお話があったように東 日本大震災から1 年が経過した。日本医師会で は各県の御協力のもとで発生の時からJMAT 活動を支援してきた。今日の九医連の報告書を 拝見したら九州からも多くのJMAT 活動支援 をされたことに心から感謝申し上げたい。また、 被災地の復興復旧は今だ道半ばであり、被災地 の方々の生活と心の安心のために今年度も医療 を通じて被災地の支援に全力で取り組んでいき たい。

さてわが国では毎年のように医療改革がなさ れているが、医療環境は疲弊している。その主 な原因は地域の実情を把握せずに医療政策を実 施してきたことであろうと思う。これを改善す るためには日本医師会は全国の会員の声を聞 き、地域医師会と連携して、地域医療を充実さ せ、きめの細かい新しい地域医療を実行してい きたい。同時に都道府県医師会におかれても市 民教育や地域ケアを考えながら、地域の医療の 診断機能を達成いただけるようお願いしたいと 考えている。

一方、政府は御承知の通り、TPP 交渉参加 を進めようとしている。4 月の就任直後に野田 総理と面談を行った。そこでは社会保障と税一 体改革問題については方向性は一致している が、TPP についてはいまだ賛成できる状況で ないことを明確にお話してきた。

TPP に関しては混合診療の解禁や医療の営 利産業化など日本の医療があらゆる角度から 市場開放や規制緩和を過度に迫られるような危 惧がある。5 月の連休前に野田総理が渡米し、 TPP 交渉参加を表明するのではないかとの報 道があったので、4 月18 日に医療関係団体40 団体で主催する国民医療を推進するTPP 参加 の反対総決起大会を開催し、国民皆保険の堅持 を誓い、その崩壊へと導くTPP 交渉参加に反 対の採択をさせていただいた。

今後も、公的医療保険制度を維持すること、 また中医協により医療機器の値段も決めていく こと等しっかりと担保される事が、まず第一で あり、それが担保されることなく、TPP に参 加することは反対であると明言している。

今後、先生方の御支援をお願いし、九州医師 会におかれましても今後とも医療現場の御意見 をお寄せいただきまして実際、先生方が直面さ れている問題、今回の診療報酬改定のあり方、 そして保険の指導の在り方などそれに伴う返還 金の問題について、少しでも改善し安心して先 生方が地域医療を邁進できるよう環境作りをす ることも医師会に課せられた大きな課題である と考える。今後ともご支援いただきますようお願いして挨拶とさせていただきたい。

続いて任期満了により去る3 月末日で退任さ れた、元日本医師会役員並びに元裁定委員4 名 に対して記念品贈呈が行われ、代表して池田先 生が授与された。

1)池田哉先生(前日本医師会理事)
2)宮城信雄先生(前日本医師会理事)
3)嶋津義久先生(前日本医師会監事)
4)秦喜八郎先生(前日本医師会裁定委員)

その後、座長に稲倉九州医師会連合会会長が 選出され、報告、議事が進められた。報告(1) の第325 回常任委員会については稲倉会長か ら、(2)の平成23 年度九州医師会連合会庶務 並びに事業報告については、佐賀県の横須賀委 員より資料に基づいて報告が行われた。(3)春 の叙勲等受賞者への慶祝について、今年度の該 当者はなかった。昨年は厚生大臣表彰が大分県 の近藤稔委員と宮崎県の河野雅行委員が受賞さ れたと報告があった。

引き続き、行われた議事については、次の7 議案が上程され、それぞれ各担当委員より提案 理由の説明があり、協議した結果、全議案とも 全会一致で原案どおり承認された。

第1号議案 平成23 年度九州医師会連合会
      歳入歳出決算に関する件

第2号議案 平成24 年度九州医師会連合会
      事業計画に関する件

第3号議案 平成24 年度九州医師会連合会
      負担金賦課に関する件
      一人年額1,500 円とする。(但し研修医は一人500 円)

第4号議案 平成24 年度九州医師会連合会
      歳入歳出予算に関する件

第5号議案 平成24 年度九州医師会連合会
      監事(2 名)の選定に関する件
      大分県織部和宏委員、鹿児島県の野村秀洋委員が選出された。

第6号議案 平成24 年度第112 回九州医師会医学会事業計画に関する件
      平成24 年11 月24 日(土)シーガイヤコンベンションセンター
      において九州医師会総会・医学会が開催される旨報告があった。

第7号議案 平成24 年度第112 回九州医師会医学会会費賦課に関する件
      一人年額2,500 円とする。(但し研修医は一人1,500 円)

中央情勢報告

横倉義武日本医師会長

横倉義武日本医師会長から、日医の直面する 諸問題について説明の後、厚労省が発表した「社 会保障に係る費用の将来推計の改定について」 及び今後本格的な法案審議が始まる「社会保障・ 税一体改革」について説明があった。

1.日医の直面する諸問題

○日医の組織としてのあり方の明確化

現在、日医の綱領を策定するためプロジェク ト委員会を設置する準備を進めている。当委員 会で議論いただいて、出来るだけ早く日医はこ ういう団体だということを国民にしっかり示 し、会員の先生方にも我々はこういう団体に属 しているという意識を持っていただくようにしたい。

○電力不足の問題

原発による電力不足で起きている計画停電 については、政府に対して、医療分野において 計画停電を実施した場合、どういう事態をもた らすかということを説明して、医師会として節 電を行うが、医療分野については、出来るだけ 計画停電から除外してもらうようにお願いし ている。

○医療と介護の連携

医療と介護の連携をどうするかということについて早急に方向性を決めていかなければなら ないと考えている。

○専門医と総合医の問題

厚労省が委員会を立ち上げて議論を始めてい る。本来は役所が決める話ではなく、専門集団 である医師会及び日本医学会の中で解決すべき であるという考えでお願いをしようとしている ところである。

○医学部新設の問題

これまでデータを用いて医学部新設の反対 を主張してきたが、政治の中では相当に医学 部新設の動きがある。一昨日東北市長会の総会 で、医学部新設を求める特別決議が承認され た。それが今後どう影響してくるかということ がある。

2.「社会保障に係る費用の将来推移の改定について」(厚労省)

厚労省が、政府が平成23 年6 月にまとめた 「社会保障に係る費用の将来推計」をベースと し、新しい人口推計及び経済の見通し(平成 24 年1 月)を踏まえ、将来推計の改定を行った。 社会保障の給付費が2012 年度に109 兆5 千億 円、2025 年度には148 兆9 千億円へ増加する とういう予測を出している。医療についても今 後増大していくわけである。これらの財源をど うするかというのが一番の大きな問題である。

3.社会保障・税一体改革大綱(平成24 年2 月17 日閣議決定)について社会保障改革(抜粋)

○社会保障改革の基本的考え方

目指すべき社会・社会保障制度ということで、 地域で尊厳を持って生きられるような医療・介 護の体制が実現した社会を作っていくこととしている。

○社会保障改革の方向性

医療・介護サービス保障の強化、社会保険制 度のセーフティーネット機能の強化、社会保障 制度の安定財源確保が今後の大きな問題となっ てくるということである。

○具体的改革内容(改革項目)

医療・介護等については、一つは、どこに住 んでいても適切な医療・介護サービスが受けら れる社会の実現としており、これについては、 私どもの主張と全く一緒である。二つ目に、予 防接種、検診等の疾病予防、介護予防を進め、 「治す医療」と「支える医療・介護」の双方を 実現させていくというテーマがある。

1)医療サービス提供体制の制度改革

・病院・病床機能の分化・強化

現在急性期病床群について、社会保障審議 会医療部会の作業部会で議論をされている。 診療報酬では急性期の機能に重点配分をする 形での報酬が定められ、そういうものを取り 入れる病床がだんだん明確化しているのが事 実であるが、それを医療法で決める必要があ るかどうかというのはもう少し議論をさせて もらいたいと思っている。もし法律で決める とすれば、手上げ方式とし、且つ又その時々 でその病院の機能に応じた形で自由に設定で きる形がいいのではないかという提案をさせ ていただいているところである。

・在宅医療の推進

今度の診療報酬改定の一つの方向性という ことで、入院医療から在宅医療へという大き な流れが出来てきているが、それを推進して いきたいということである。

・医師確保対策

現在、各医科大学が地域枠というもので相 当数確保をしていただいているわけである が、その地域枠で入学した人たちが将来地域 に残ってくれるという形をどう作っていくか が一つの問題になると思っている。広島大学 の先生がいろいろな文献等から収集されたも のを読ませていただくと、過疎地出身の学生 は過疎地に戻る率が非常に高く、また学生時 代若しくは医師になって早期に過疎地域で従 事した医師は過疎地で仕事をするということ を嫌がらないという報告がある。そういうも のを参考にしながら、なんとか地域偏在の解 消にならないかと思っている。

昨年、日本医師会から医学教育と臨床研修のあり方という報告を出した。卒後初期臨床 研修医に応募するというのが全国フリーマッ チングになっているが、マッチングのあり方 を全国フリーにするのか、大きく分けてグル ープ単位までにするのか、また、大学に地域 医療センター若しくは研修センターというよ うな名目の組織を作っていただいて、そこを 経由して応募するという形をとっていただけ ないかと考えている。

・チーム医療の推進

特定看護師の問題がまた議論されている。 外科系の学会の先生方が、最近外科に進む医 師が非常に少ないということで、助手を看護 師若しくは何らかの職種を持った人達にさせ られないかということを望んでいる。そのこ とについての議論をもう少し詰めていかなけ ればならない。国家資格にしたいというのが 看護協会の希望であるが、私はそういうこと を国家認証にすれば当然今まで医師の直接支 持で手術の助手をしていた看護師は出来ない というふうになると困るので、学会認定とい う形で出来ないかと思っている。

2)地域包括ケアシステムの構築

・在宅サービスや居住系サービスの強化等

団塊の世代が一気に高齢化が進む中、大都 市周辺が医療支援、また看護施設等サービス の整理が出来ないというのが現状である。そ ういう中で在宅サービスや居住系サービスを 強化することによって、団塊の世代の高齢化 及び看取る場所という問題の解決が大きな課 題であると思っている。当然それに伴って介 護予防・重度化予防というのが非常に重要に なるし、医療と介護の連携の強化、また認知 症について、その対応をどうしていくかとい うことを考えていくということである。

○保険者機能の強化

・高齢者医療制度の見直し

70 歳から75 歳の前期高齢者への拠出金が 増えており、今後団塊の世代が入ってくると 拠出金が更に増える。それを解決するために は保険者のあり方を見直さなければならな い。後期高齢者医療制度は、国民健康保険の 財政破綻を改善するためにスタートした。国 民健康保険の保険者のあり方については、都 道府県単位でいいのか、ブロック制がいいの かということも含めて検討を進める必要があ るかと思う。

印象記

副会長 安里 哲好

九州医師会連合会第103 回定例委員総会が宮崎観光ホテルで開催された。前九州医師会連合会 長の佐賀県池田秀夫会長は挨拶の中で、今後、死ぬまで経験のできない貴重な体験をさせてもら ったと、日本医師会長選挙の先頭に立ち、無事任務を遂行できた満足感を語っていた。新会長の 宮崎県稲倉正孝会長は前県をお手本にして、各県のご指導とご協力を頂き今年一年を乗り切って 行きたいと話され、TPP、社会保障と税の一体改革、地域医療計画の見直し、公益法人化につい て強調されていた。

来賓挨拶として、横倉義武日木医師会長は政治状況、経済状況、地域医療の状況をみると身 が引き締まる思いがする。東日本大震災から1 年が経ち、JMAT が活動し、九州からも多くの JMAT チームを派遣頂き感謝すると同時に、復興はまだ道半ばだと述べていた。厚生労働省行政を中心にした、地域の実状を把握していない医療改革により、医療環境は悪くなっている。これ を改善するためには、日本医師会は全国の会員や国民の声を聞き、地域医師会と連携して、地域 特性を考えた地域医療を充実させ、きめ細かい新しい医療を実行して行きたいと述べていた。国 政に関しては、TPP は賛成できる状況ではない(混合診療・規制緩和・担保もない)、国民医療 を守る推進会議の決起集会を行い、TPP 反対を主張した。現場の医療のご意見を、日医へ色々お 話をしていただきたいと述べていた。

宮城信雄会長は去った3 月末日まで、日医の理事を1 期2 年務めたことで記念品が授与された。 報告事項、議事、横倉会長の中央情勢報告(短時間の)については本文を参照頂きたい。議事第 8 号議案で次回第113 回(平成25 年度)九州医師会医学会開催担当県は沖縄県と決定した。諸会 議、協議会、総会・医学会、分科会、記念行事は3 日間に渡って開催される予定である。各理事者、 地区医師会、各分科会、記念行事の幹事の方々のご協力を頂きたいと切に希望する。

平成24 年4 月1 日に、横倉日本医師会長が選出され夜の慰労会の際に、横倉会長と宮城会長 そして小生の3 名で一緒に撮った写真を拡大し額に入れて部屋に飾っている。5 月15 日の横倉会 長就任祝賀会に初めて出席し、新聞紙上を賑わしている政治家の方々が出席され、その華やかさ にびっくり感嘆したのを覚えている。5 月20 日は小雨の中を、横倉会長、宮城会長、立元祐保宮 崎県常任理事とご一緒にゴルフが出来た事は一生の思い出となろう。横倉会長のスコアは昨年ま では80 台後半でしたが、今年2 回目のゴルフのスコアは101 でした。ほとんどゴルフと接する 時間が取れてない感がしたが、スコアは別として、健康に留意されて更にプラス1 期の4 年間を、 国民の健康と生命を守るための地域医療の充実と日本医師会・会員のためにご尽力頂きたいと衷 心より念願したい。



文書映像データ管理システム開設(ご案内)

さて、沖縄県医師会では、会員へ各種通知、事業案内、講演会映像等の配信を行う「文書映像デー タ管理システム」事業を平成23年4月から開始しております。

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なお、「文書映像データ管理システム」(下記URL 参照)をご利用いただくにはアカウントとパス ワードが必要となっており、また、メール配信を希望する場合は、当システムからお申し込みいただ くことにしております。

アカウント・パスワードのご照会並びにご不明な点につきましては、沖縄県医師会事務局 (TEL098-888-0087 担当:平良・池田)までお電話いただくか、氏名、医療機関名を明記の上 omajimusyo@okinawa.med.or.jp までお問い合わせ下さいますようお願い申し上げます。

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