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琉球大学医学部附属病院専門研修センター主催・
 沖縄県医師会女性医師部会共催プチフォーラム
 「女性医師がいきいきと働くためには」(大学病院編)に参加して

沖縄県医師会女性医師部会 部会長 銘苅 桂子
             委 員 外間 雪野

去った1 月19 日、琉大医学部附属病院専門 研修センター主催、沖縄県医師会女性医師部会 共催によるプチフォーラムが、同大専門研修セ ンター特命助教・コーディネーターである宮城 めぐみ先生の司会のもと、学内の臨床研究棟1 階、大学院セミナー室にて行われました。お忙 しい中、各診療科の1 年目から20 年目までと いう様々な年代の先生方にお集まりいただき、 途中参加も含め27 名もの先生方が参加されま した。その中には、女性医師の就労支援にご理 解のある男性医師4 名も参加されました。

専門研修センター長、大屋祐輔先生のごあい さつのあと、女性医師部会役員であり、琉大周 産母子センター助教の銘苅桂子先生に、「女性 医師がいきいきと働くためには(大学病院編)」 と題して、プレゼンテーションを行っていただ きました。

銘苅先生のプレゼンテーションでは、全国的 な女性医師の増加についての説明と、これまで の県医師会女性医師部会の活動内容について説 明いただいた後、院内の女性医師の現状につい て報告がありました。

次に、銘苅先生が所属されている産婦人科に おける女性医師支援への取り組みについて説明 がありました。

6、7年前に産婦人科医が激減し、激務→疲弊退 職→残された人が更に激務に、という悪循環に陥 り、医局崩壊の危機に直面していたとのことでし た。その対策として、医局内にQOL 担当者を置 き、女性医師が辞めない医局への模索を開始し、 その努力が続けられた結果、入局者が徐々に増加 し、現在では若手医師が13人と院内でも多数を誇 る医局に成長されたとのことです。またそのなか の9 名(70 %)が女性医師で、内8 人(90 %)が 既婚者という既婚女性医師の多い医局になってい るとのことでした。今後は入局した医師たちが 「専門医を効率よく取得し、産婦人科を辞めずに働 き続ける」という視点にたった働き方を行ってい くとのことで、女性医師支援を考える上でも、ま た男女問わず医局員不足に悩む医局にとっても非 常に示唆に富んだ内容でした。最後に、女性医師 支援に関して今後は大学全体で考えていく必要が あると思われる、とまとめておられました。

銘苅先生のプレゼンテーション後、各グルー プでの話し合いがもたれました。各テーブルで は各科の先生方が、診療科、医師年数の枠を超 えて女性医師の境遇について話し合われまし た。このような情報交換の機会は初めてという こともあって、各テーブルでは熱いトークが繰 り広げられました。

グループで話し合われた内容として、以下のようなことが挙げられました。

1)各科とも個別に主治医制、グループ制、短時 間勤務制度等が取り入れられている

2)琉大病院では数年前から育児支援のために、 短時間勤務制度が制定され、復帰する女性医 師が増加している

3)民間病院では後期研修が終わるとその病院と は縁が切れることが多い。医局があるという のは大学のメリットであり、帰る場所がある ことは大きい

4)専門医を取る上で大学に残るメリットは大きい

5)各科で女性医師に対して時短勤務、当直免除 等いろいろ工夫はされているが、女性医師と いうよりもマンパワーが足りず、なかなかそ こまで手が回せない科が多い

6)子育てをしているモデルとなる女性医師が大 学にはまだまだ少ない

7)大学は非常勤が多く、特に女性医師は非常勤の割合が多いため、福利厚生をどうするかという問題がある

8)大学附属の保育園については、開園時間が短い

9)女性医師に対して待遇がよい科が研修医に選 ばれると思われる。研修医が一人増えるだけ で医局は明るくなる。研修医を増やすために も対策を考えていく必要がある

終わりに第一外科の長濱先生が、今後の日本 の医療には女性医師が必要であり、継続性のあ る仕事をしていただきたいという言葉で締めく くられました。会が終了した後でも、まだまだ時 間が足りないといった様子で、会場に残られた 女性医師たちの熱いトークは続いておりました。

今後は大学全体で情報を共有し、統一した対 応で女性医師の就労支援を考えていく必要があ ると思われます。その意味でも、今回のような 会で女性医師たちの「生」の声を聞くことがで き、また科の枠を超えてお互いの現状の情報交 換が出来たのは、非常に有意義であったと思わ れます。主催された専門研修センターは、やむ なく臨床の現場を離れた医師のスムーズな現場 復帰をサポートする復職支援の窓口となってい るとのことでした。専門研修センターの今後の さらなる取り組みに期待したいと思います。

※琉球大学医学部附属病院専門研修センターへのご相談・お問い合わせ
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 働く場の環境支援部門 担当 宮城 めぐみ