常任理事 安里 哲好
去る1 月23 日(月)、県庁3 階第3 会議室において標記連絡会議が行われたので以下のとおり報告する。
議 題
<提案要旨>
離島医療確保の観点から看護師等養成校にお いては、地域推薦枠を設ける等の対応を行って いる。県立病院における看護師等の採用につい ても同様に現地採用枠を設ける等の対応があれ ば離島の看護師確保の有効な手段だと考える が、現行制度ではどのようになっているか伺い たい。
<県立病院課回答>
現在、沖縄県病院事業局における看護師の正 職員採用については、公務員採用の基本である公平と能力主義の観点から、年に1 回から2 回 公募を行い、試験・面接を通じ、能力に応じた 採用を行っている。
一方、非常勤職員の採用にあたっては、常 時、各県立病院において独自の採用を行ってお り、離島における地元出身者の採用が大半を占 めている。
また、地元出身者への対応については、局と しては、正職員採用における面接試験の際に、 配置希望を確認の上、採用後に離島希望者を優 先して離島へ配置することで、離島の看護師の 確保を優先的に行っている。また、転勤の際、 離島に継続的な配置を希望する者に対しても、 最大限意向を尊重している。
この様なことから、現在、離島における地元 出身者の割合(地元出身者の配偶者も含む) は、県立宮古病院で56 %、県立八重山病院で 45 %と高い割合を占めている。
○主な意見交換は以下の通り
県福祉保健部:通常3 年に1 回の割合で転勤と なるが、離島勤務者は、強い希望がない限り異 動はしていないのが現状である。実質的には説 明のとおり離島枠希望が全体の半分程度を占めている。
県福祉保健部:以前は沖看や那覇看卒者の離島 出身者が多かったが、その割合は減少傾向にあ る。将来的に減る可能性がある。今後推移を見 ながら対応を検討していかなければならない。
<提案要旨>
沖縄県介護保険広域連合が取りまとめた「第 4 期介護保険事業計画評価事業(平成22 年 度)」によると、平成22 年度の要介護認定審査 対象者15,435 人のうち、認定遅延者が12,376 人と全体の80.2 %を占め、その原因の多くが 「認定調査の遅れ」(54.4 %)となっていること が示された。
認定調査の遅れにより、暫定的な介護度を基 に申請者のケアプランを作成しサービスを提供 するケースの増加が予測され、それにより、暫 定的な介護度と本来の認定結果に相違が生じる 等、被保険者への適切なサービスの提供や利用 料の自己負担等において不利益を及ぼす可能性 が懸念される。
その改善策としては、認定調査員の増員等が挙げられると思うが、県所管課としてどの様な対応策を検討されているかお伺いしたい。
<福祉保健部回答>
市町村(「広域連合」含む。以下同じ。)は、 認定調査員を必要に応じて増員しているものと 思われるが、年々増加する要介護認定申請件数 の伸びに対応できていない可能性がある。
認定調査の遅れは、介護認定の処分の遅れに つながり、介護保険制度の信頼を損ねる事にな りかねず、介護認定の処分を法定期限内で実施 する体制を整えることは喫緊の課題であると認識している。
介護認定の処分を申請があった日から30 日 以内に行うためには、認定調査をスムーズに実 施する必要があり、県としては、市町村に対し て、認定調査員の確保を含めた組織体制の整備 を求めるとともに、市町村と一緒に対応を検討 していく。
また、県としては、認定調査員の確保に関し て、認定調査員研修の取り組み強化、市町村か らの認定調査委託を可能とするため、指定市町 村事務受託法人の確保等を検討していく。
○主な意見交換は以下の通り
県福祉保健部:認定調査員を正職員として採用 することは財政面からも難しいため、非常勤や 嘱託職員を採用し対応を図っているところであ る。また、介護支援専門員協会等と連携し、市 町村が協会等に対し調査業務を委託できるよう な体制整備を検討しているところである。
また、各市町村から認定事務を簡素化できな いか等の意見も寄せられていることから、現 在、他県の状況について情報収集しているとこ ろであり、情報を整理次第、医師会に対しても 改めて情報提供したいと考えている。
那覇市においては、平成22 年度より、指定 市町村事務受託法人に認定調査の一部を委託し ており、認定調査員の数は平成21 年度比で1 名減となっている。
県医師会:指定市町村受託法人を増やした方が良いということか。
県福祉保健部:市町村で人員を増やすことは難 しいため、人材確保という意味では法人の活用 は効果があると考える。現在、指定市町村事務 受託法人は那覇市の受託で手一杯の状況であ り、他市町村の依頼は受けていない。今後、同 様の受託法人の指定について検討を行いたいと考えている。
県医師会:脳卒中等の医療連携を検討する際、 回復期病院から退院する時に介護認定がなされ ておらず入院が延長する場合がある。その結果、 在院日数が短縮できない等の問題にもつながる。 市町村に対する具体的な取り組みはあるか。
県福祉保健部:定期的に、市町村職員連絡会議 を行っているところであるが、現時点で、個別 の事例については取り組めていない。今後情報 共有を図る等検討していきたい。
<提案要旨>
平成20 年度から医療保険者に特定健診・保 健指導が義務づけられ、各市町村国保において も受診率向上に努めているところであるが、平 成22 年度における市町村国保の特定健診受診 率(法定報告速報値)は34.4 %となっており、 平成24 年度の目標受診率である65 %には、大 きく乖離している状況にある。
市町村においては、電話や個別訪問による受 診勧奨など、未受診者対策を推進しているもの の、未受診者のうち医療機関に通院中の者が3 〜 4 割いるとされており、通院中を理由として健 診受診に繋がりにくい状況があると推測される。
県においては、通院中の者も特定健診受診が必要な旨、テレビ・ラジオ等の広報により周知を図っているところである。
また、保険者協議会を通して、県医師会の協力のもと、主治医から本人へ特定健診受診勧奨を進めているところである。
今年度より、被保険者証を特定健診受診券と 一体型とした市町村が2 ヵ所あり、それ以外の 市町村でも被保険者証に特定健診受診日記載欄 を設け、重複受診の防止や受診日記載のない被 保険者に対する受診勧奨への活用を図っている ところである。
今後とも、特定健診受診について県民の健康増進を図る観点から、窓口での受診勧奨等、ご協力をお願いしたい。
○主な意見交換は以下の通り。
県医師会:医師会としては、1 月30 日に地区 医師会特定健診担当理事者会を開催するととも に、来月に医療機関向けに説明会を行い、一体 型受診券や受診勧奨について周知を行う予定である。
受診率向上については、医師会、県行政が一 体となって進めていくことは非常に大切なこと であると考える。
県医師会:現在、健診と診察を同時に受けても 良いことになっているが、再診料が取れないの で区別する必要がある。健診と診察を同時に受 けることに関しては、受診率の向上につながる と考えられるが、再診料の問題についても認識 していただきたい。
また、市町村によっては、医療機関で診察や 検査を行い、それを報告すれば特定健診を受け たことにしていただきたいという提案もある。 そうすると、健診の意味が全くない。
医師会から見ると、受診率アップについての 提案はいくつかあるが、色々な問題がある。し かし、受診率を上げるということは非常に大切 なことであることから、医師会も担当理事を中 心に受診率向上に努めていきたいと考える。
県医師会:市町村は必死になっていないのでは ないか。担当者が熱心なところは受診率が高 い。そうであれば、他の市町村も担当者が必死 になれば受診率も上がるはずである。
県福祉保健部:熱心に取り組んでいる市町村の 取り組みを出来るだけ全県に広げられるように していきたいと考える。
<提案要旨>
現在、看護師養成所における看護教員養成の あり方については、厚労省の指導要領に基づき 各種コースが設定されているが、看護系大学に おいて「教育に関する4 単位」を取得した者以 外については、就労後、長期間の教員養成講習 会等を受講しなければならない。
また、研修を希望しても現場の労働環境等の問題があり、研修会への参加が困難であるとの窮状が看護学校からも寄せられている。
今後、教員の定年退職者の増加等に伴い、教員不足が生じる恐れが懸念される。よって教員の養成確保問題は喫緊の課題だと考える。
1)以上の観点から、将来的な看護教員の養成並 びにその確保に向けては、計画的な養成を促 進することが望ましく、本会では、沖縄県立 看護大学における人材育成、特に看護教員の 養成に関して大きな期待を寄せている。
ついては、計画的な看護教員の養成・確保 に向けて、学内に「専任教員養成課程」の設 置等の措置をお願いしたい。
また、卒業後、教員を希望する者に対しても、常時受講ができる環境整備をお願いしたい。
2)県ではこの程、沖縄県地域医療再生計画(二 次)を活用した「看護教育専任教員養成事業 (約35 人予定)」を平成25 年度中に実施する と伺っているが、専任教員の養成講習会は時 間も膨大で、長期間に亘り集中的に実施され るため、継続して受講するにはシステム的に 難しい面がある。分割した受講方法等参加し やすい研修計画等を検討いただきたい。
3)沖縄県立看護大学の定員について意見交換を行いたい。
文科省管轄の大学では110 %の定員受け入 れを容認している実情がある。医師養成に関 しては、不足時に定員枠を広げるなどの柔軟 な対応を採っていることからも、看護大学に おいても同様の対応ができないか。また、近 年の卒業生の状況を踏まえ、大学から定員増 の要望があれば県の裁量で建設的な対応をし ていただければありがたい。
<福祉保健部回答>
1)沖縄県立看護大学における「専任教員養成課程」の設置について
専任教員の養成については、現在「看護師等養成所の運営に関する指導要領」において、厚 生労働省が認める者が別に示す専任教員養成講 習会ガイドラインに沿って実施するものとされ ている。
県立看護大学で「専任教員養成課程」を設置 するにあたっては、カリキュラムの見直し、教 員の増、施設設備の拡充等が必要であるため、 現状では厳しいと考えているが、今後検討して いかなければならないと考えている。
全国的に見ても大学に専任教員養成課程を開 設しているところはない。
2)専任教員養成講習会の運用について
看護教員養成講習会については、厚生労働省 の「看護教員に関する講習会実施要領(平成 23 年4 月1 日適用)」に基づき実施されており、 講習会の時間、内容、実施方法が規定されてい ることから、現段階では、分割して実施するこ とはできない旨九州厚生局より電話回答を得て いる。
なお、看護師養成所の専任教員の有り方につ いては、国において「今後の看護教員のあり方 に関する検討会報告書」を、平成22 年7 月に 取りまとめており、その中で、看護教員の要 件、看護教員養成講習会の実施体制・方法・教 育内容に関する課題等が挙げられている。
改善策に関する提案として、e ラーニングの 導入、単位制の導入、複数年にわたる分割受 講、将来的に大学や大学院での教員養成を促進 することが望ましいと提案されているので、県 としては、その動向を注視していきたいと考えている。
3)沖縄県立看護大学の定員について
現在、看護大学の定員は80 名となっている が、平成21 年度卒業生は75 名、22 年度は74 名、23 年度は78 名を予定している。国立大学 でも110 %までなら黙認するとしているが、そ れ以上の受け入れとなると授業料分を国に返還 しなければならない制約が加えられる。
病院事業局と同様、定員の縛りの中で運用しており、今後、教員養成も含めて、弾力的な運用ができないか運営形態のあり方について検討していく予定である。
○主な意見交換は以下の通り
県医師会:1)地区医師会立看護師等養成校は 看護教員の確保に苦労している。2)県立看護大 学の前田学長は、教務主任候補生の養成につい て、大学院博士前期課程での養成について県か ら要望があれば前向きに検討することを示唆し ている。3)厚労省旧看護研修研究センターが実 施していた看護師・保健師・助産師養成所教員 専攻及び幹部看護教員養成課程については、平 成22 年4 月5 日付、厚労省医政局長から各県 知事あて、看護教員の質向上のため専任教員養 成講習会を実施するよう通達が出されているの でご配慮いただきたい。4)文科省は教育環境が しっかり確保されているのであれば、1 割程度 の定員増は黙認するとしている。5)看護師の過 重労働やメンタルヘルス問題は偏に看護師不足 が原因であり更に養成すべきだと考えている。
県医師会:医師会立看護学校も途中でドロップ アウトされると学校運営がかなり厳しくなる。 少なくとも入学時点で若干名増員して対応して欲しい。
県福祉保健部:厚労省管轄の看護師等養成校 は、定員を超過すると厚生局から医務課に対し て指導命令が届く。
県医師会:現場では看護教員の確保に苦慮している。
県福祉保健部:平成25 年度に予定している専 任教員養成講習会(8 ヶ月/900 時間)は、従 来5 年おきに開催しているが、今回は前倒しで 開催するため、早めに関係者へ募集を行うこと にしている。定員が30 名に満たなければ国庫 補助が出ないなどの基準がある。
また、講習会が長期間であるため、学校側も代替要員の確保に苦慮しているとの話もある。
県医師会:現状を鑑み、講習会は定期的な開催をお願いしたい。
県福祉保健部:看護教員等の意見では、大学で 4 単位を取得し、教員資格を得るよりも、いろ いろ現場を経験し、その上で講習会を経て、教 員になる方が質が高いとの意見もある。
県医師会:免許があれば、国内年齢を問わず、いつでも採用されるメリットがある。
県福祉保健部:養成講習会については、行政主 体の運営ではどうしてもスムースな対応が難し いため、日看協会等が毎年開催している学会等 とタイアップし、受講する等の運用が図られれ ば、分割で単位取得ができる仕組みも可能では ないかとの意見もある。
県医師会:現場の看護教員の悩みは、育児をし ながら本土には行けない。県内受講を望む声は 根強い。従って、県の意向が受けられる県立看 護大学での設置をお願いしたい。
県福祉保健部:昨年から国も看護教員のあり方 については検討を行っている。全国的に教員確 保が厳しくなってきている表れだと思う。県も 今後検討会を設け議論していくことにしている。 国に要請すべきは国にする要請していきたい。
印象記
常任理事 安里 哲好
新しい年を迎えても、保健・医療・介護についての諸問題は途切れることなく生ずるものだと感じている。今回は、福祉保健部から1 題、当会から3 題の提案があった。
議題1.「宮古、八重山地域における看護師の現地採用の件について」は、年に1 回から2 回公 募を行い、試験・面接を通じ、公平と能力主義の観点から採用しているとのこと。離島における 地元出身者の割合は県立宮古病院で56 %、県立八重山病院で45 %と高い割合を占めている現状 もあり、数年後の動向を見て行きたいと報告していた。
議題2.「要介護認定調査の遅れについて」は、県としては市町村に対して、認定調査員の確保 を含め組織体制の整備を求めると共に、市町村と一緒に対応を検討して行くと述べていた。また、 認定調査員研修の取り組み強化や指定市町村事務受託法人の確保等を検討して行きたいと話して いた。
議題3.「特定健康診査の受診率向上について」の現状は、平成22 年度における市町村国保の 特定健診受診率は34.4 %で、平成24 年度の目標受診率65 %には程遠いと述べ、医療機関の窓口 での受診勧奨等の協力依頼があった。県医師会は平成24 年1 月30 日に地区医師会特定健診担当 理事者会を開催するとともに、2 月に医療機関向けに説明会を行い、一体型受診券や受診勧奨に ついての周知を行う予定。また、県・市町村行政、保険者、県・地区医師会が一体となって進め て行くことが大切であることを述べた。平成24 年度、県医師会は特定健診受診率向上について、 地区医師会との連携を強化して市町村行政を後押しして行きたいものだ。
議題4.「1)沖縄県立看護大学における「専任教員養成課程」の設置について」、「2)専任教員養 成講習会の運用について」、「3)沖縄県立看護大学における定員について」を当会から提案した。 1)については、現状では厳しいとの事で、今後検討して行かなければならないと述べていたが、全 国的にも大学に「専任教員養成課程」を開設しているところはないとの事。2)については、現時 点では講習会を分割して実施することはできない。専任教員の養成に関しては、e ラーニングの 導入、単位制の導入、複数年にわたる分割受講、将来的に大学や大学院での教員養成を促進する ことが望ましいと提案されているので、その動向を注視して行きたいと述べていた。3)について は、80 名定員の内、卒業生は74 〜 75 名である現状を考えると、110 %以内増はすぐにでも実施 したら良いと思う。また、琉大医学部地域枠12 名の様に、7 〜 8 名は看護教育専任教員コース枠 にしたらいかがだろうか。
県内のG 看護専門学校は定員80 名に対し、24 年度は500 名余の応募があり、倍率6.5 倍であ る。しかも、国家試験合格率は100 %近くで、就職率は100 %以上の現状を鑑みると、今の2 〜 3 倍の定員増が社会ニーズに応ずることになる(定員割れの大学、大卒就職率70 %の現在)。早 急に、専任教員養成の推進をと思う。平成25 年度に専任教員養成講習会(35 名)を開催する予 定との事で、各医療機関から1 〜 2 名の応募を頂きたいと切に希望する。