副会長 小渡 敬
挨 拶
佐賀県医師会の松永副会長並びに日本医師会の高杉常任理事より挨拶が述べられた。
協 議
<提案要旨>
平成23 年10 月、中医協と社保審介護給付費 分科会との合同会議に、中医協の診療側委員は 「医療と介護の連携の議論に必要な視点につい て」を提案した。
その内容は、医療機関同士、医療機関と介護 サービス事業者、さらに特定の職種との間での 連続性のない取り組みを、診療報酬、介護報酬 で限定的に評価するだけでは利用者からみると 地域全体で支える体制になっていない。
その為、地域の医療や介護に携わる多くの職 種が協力し、患者や介護サービス利用者の情報 を共有して支え合うネットワーク型の連携シス テムが必要であり、その構築の為には地域全体 の医療と介護を包括的にコーディネートする 「地域連携(ハブ)」を一定の圏域毎に設置する 必要があるとしている。
厚労省の第5 次医療計画の見直しにも、新た に在宅医療体制の構築構想が盛り込まれてお り、又、地域包括支援センターの充実が図られ ているなかで、突然出てきたこの「地域連携拠 点構想」の内容や位置づけはどこにあるのか。 医療計画と地域包括支援センターとの関連はど うなっているのか。そして、この地域連携を担 う主体は自治体とされる懸念がある。目標とす る機能からみて、地域医師会や在宅療養支援診 療所・病院がグループで取り組むことが良いの ではないか。
各県のご意見及び日医から、具体的な情報と見解をお伺いしたい。
<各県回答>
各県ともに、限られた医療資源や介護資源を 効果的に活用するためにも、地域全体の医療と 介護を包括的にコーディネートしていくことは 重要な課題であり、その役目を地域の医師会が 主体的に担うような仕組みを構築していくべき であるとの回答であった。
その中で、熊本県より、在宅療養支援診療 所・病院や一般の在宅医療に関わる診療所等が 連絡を取り合い、各種の地域の医療・介護の資 源を含めて協議し、連携を進めていく協議会を この1 月に立ち上げるところであると報告があ り、今後、地域包括支援センターや訪問看護ス テーション、介護保険サービス等との連携を更 に緊密にしていく方向性を検討しているところ であると意見が述べられた。
<日医コメント>
10 月の代議員会で、三上常任理事が、地域 医療を担う地域の医師会が十分に関与しなけれ ばならないということを述べた。医政局と老健 局が必ずしもうまく連携をとれていないところ が未だにある。この位置づけは今後議論になっ てくるだろうと思うが、いわゆる地域でケアし ていくためには医師会の力がどうしても必要だ と、そういう視点でこの考え方が出てきてい る。全貌はつかめていないが、地区医師会が中 心となり頑張ってほしいと考える。
鹿児島県医師会:地域包括は、医療が少し疎か になっている。この拠点機能のところで地区の 医師会が音頭をとっていかないと、どうしても 一か所の病院等が取り組みを行っても周りがつ いてこない。やはり三師会等、いろいろな職種 と連携を取らざるを得ないので、地域の医師会 が音頭をとり、モデル事業にも積極的に参加し ていくべきだと考える。
<提案要旨>
リハビリテーションは、急性期、回復期、維 持期のステージにおいて継続的に実施される必 要があり、それぞれのリハビリテーションを担 当する医療機関、介護保険事業所の連携が確保 される必要がある。
鹿児島県においては、地域ケアに関するリハ ビリテーションについて、各高齢者保健福祉圏 域に1 または2 のリハビリテーション広域支援 センターを指定し、高齢者やその家族、関係者 のリハビリテーションに関する相談に応じると ともに、各医療機関への技術的支援を行う体制 を構築している。
しかしながら、リハビリテーション広域支援 センターの活動は、関係者を対象とした研修会 が主であり、介護保険事業所への技術的支援は 十分なされていない状況である。
地域包括ケアシステムの構築を行うために は、リハビリテーションは欠かせないものであ り、リハビリテーション広域支援センターを介 護保険事業計画の中にも位置づけていく必要が あると考えるが、各県の実情を伺いたい。
<各県回答>
宮崎県と熊本県では医療圏毎に地域リハビリ テーション支援センターが設置され、福岡県で は県内を4 ブロックに分け、それぞれ1 か所ず つリハビリテーション病院が指定を受けてい る。また長崎県では自治体によって手挙げした 全ての医療機関を認可する場合と、行政が地区 割りで指定する等の報告があり、各県におい て、それぞれの形で地域リハビリテーション支 援センターが設置されていることが示された。
各県ともに、地域リハビリテーション支援セ ンターの役割を明確化することが課題であると の認識であり、リハビリテーションを行う医療 機関や介護保険事業所との情報の共有や充実性 を持たすための仕組みを、今後検討していく必要があるとの見解であった。
<提案要旨>
国が示す第5 期介護保険事業計画策定に際 し、今回改正を行う基本的事項に、地域包括ケ アシステムの構築、医療との連携強化が盛り込 まれている。佐賀県では、包括ケアにおいて必 要となる在宅診療の構築は主治医機能の強化を 行い、医師がケアの中心となることによりバラ ンスのとれた医療、看護、介護の提供ができる と考えているところである。
各県における取り組み、ご意見をお伺いしたい。
<各県回答>
各県ともに、地域包括ケアシステムの構築に は、かかりつけ医(在宅療養支援診療所・病 院)が主導的役割を担い、地域全体、関係職種 が一体的に連携する必要があるとの認識であっ たが、宮崎県と熊本県より、在宅診療を支える 在宅療養支援診療所・病院では、1 人診療や医 師不足により、在宅診療のための24 時間365 日の対応について不安を感じている等の懸念事 項もあると提起され、医師の負担を軽減するた めの病診連携や病病連携を含めた医師のネット ワークづくり等の取り組みが必要であるとの意 見が述べられた。
<提案要旨>
標記の件については、各地区でそれぞれ事業 計画策定が進んでいることと思うが、今般の計 画の基礎となる認定者数等の将来推計につい て、福岡県においては、国のニーズ調査をその まま用いるところや独自の定義を利用している ところ、また、現在までの実績をそのまま利用 する保険者等様々であることが判明した。
各県においては統一した基準等を導入されているのかどうか、各県の動向についてお伺いしたい。
<各県回答>
各県ともに、第5 次介護保険事業計画の基礎 となる認定者数等の将来推計の方法については、 県として統一した基準は定められていないとの 回答であり、概ねの市町村では、国の示す「サ ービス見込み量ワークシート」を基礎とした上 で、そこに独自の要素を加味した形で最終的な 推計値を算出しているということが確認された。
<提案要旨>
「多床室は人が死ぬ場所ではない。多床室で は人間の尊厳を守れない」という考えのもと、 国はユニット型を推進している。現実は経済財 政状況等から低所得者が増加し、費用負担の少 ない多床室の待機者が多いというデータがあ る。さらに、入所者の要介護度も重度化し、医 療の必要度が高い人ばかりになっている。1)マ ンツーマンで介護できるほどのスタッフの確 保、2)低所得者でも入所できる自己負担、3)介 護スタッフに妥当な給与を与えても経営が成り 立つ介護報酬等の条件が満たされればユニット 型が理想であるが、現在の乏しいスタッフで介 護している現状、また少子化による今後の介護 スタッフ確保の困難さを考えれば、急変を早く 発見するためにも個室よりも多床室の方がむし ろ望ましいと考えるが、間違いだろうか。この 現実を直視し、ユニット型に加え多床室の整備 も平行して行っている懸命な自治体も少しずつ 出てきている。大分県も平成23 年度より下記 のように多床室の整備にも補助金が出ているこ とが確認できた(県基金: 9 床、市補助: 40 床)。平成24 年度から特養のみならず介護3 施 設の多床室にも居住費負担を課し、それをユニ ット型推進に充てようと計画されている。果た して現実に即した施策なのであろうか。
日医の見解及び各県の状況、ご意見を伺いたい。
<各県回答>
各県ともに、ユニット型の推進については、 介護費用や介護スタッフ確保等の面からも、現 実に即した施策ではないとの見解であり、鹿児 島県より「ユニット型は、プライバシーは守ら れるが部屋にこもりがちになるデメリットもあ る。多床室は、プライバシーの保護では難点が あるが、経済的な面だけでなく、孤独感がない ことや、職員の出入りが多く、異常に対し早く 気づくことができる等のメリットがある。」、福 岡県からも「個人の選択を重視するのであれ ば、個室ユニット、多床室の両者を認めていく ことが当然の政策であろう。」との意見が示さ れた。
<日医コメント>
ユニット型で良いのかということについて は、個人としては以前から思っていた。国の動 きが個人の尊厳等いろいろなことを言いながら ユニット型を進めていく現状が確かにある。多 床室がいけないのかというと、今ある多床室は 否定はしない。ただし新築の場合に多床室の評 価は低くなるかもしれないという国の動きがあ る。多床室から費用等という動きがあるが、こ れは算出根拠が不明であるし、食費、居住費を 除いているにも関わらず、低所得者に対してま た補足給付を行うということは不整合であり、 やはり多床室の費用は取らないということでい きたい。全国でユニット型の見直しの声を上げ るべきだろうと思う。今の国の経済状況あるい は入る人の経済状況から考えると、考え直すこ とがあると考える。
大分県:従来からある個室をわざわざ多床室に する必要はない。全てが個室ということではな く、多床室もあっての個室ということが従来か らある。ユニット型の個室というと全てが個室 となる。そういう無駄は現時点では行わないで いただきたい。自治体ではっきり国にNo と言っているのは東京都だけである。できるだけ人 数を確保できるような施設を一定金額でつくり たい、ということが全ての自治体に共通してい る問題だと考える。お金がないからつくれない ということは一番良くない。お金がないならな いで、ある分で少しでも確保するということが 重要ではないかと考える。
熊本県:入所者の負担を増やすようなやり方 で、個室を増やしていくということが本当に実 情に適っているかと考えると、そうではないと 現場を見ていて思う。むしろ地域で本当に必要 なベッドをどうやって確保するかということが 大事である。それを一律に決めてしまうという ことは問題である。地域の実情に合わせたやり 方をすべきでないかと考える。
<日医コメント>
非常に地域性がある。東京と福岡と沖縄と同 じように考えられては困る。当然、市町村の財 源もある。柔軟な対応が必要と考える。
<提案要旨>
介護施設入所者の重度化・高齢化で医療ニーズがますます高くなっている。
今回、たんの吸引等について研修を受けた介護職員等による医療行為の範囲が拡大され、一定の研修を受けた者が実施可能となった。
一方、特養・老健やグループホーム等での看 取りが当然のこととされてきた。更には小規模 多機能施設、その他の多様な居住系施設でも医 療の必要な利用者が多数を占めるようになって いる。このような実情をみると今後多くの居住 系施設でも夜間の急変等に備えて、看護職の配 置が必要と思われる。しかしながら、どの施設 にも看護職を十分に配置することは財政面や人 材確保の面から困難で施設の役割分担を明確に し、施設や人材の有効活用が図られなければな らないと考えるがどうであろうか。
<各県回答>
各県ともに、介護保険居住施設における医療 処置の問題については、そもそも施設本来の役割 に適した利用者を入所させていないことが問題で あるとの見解であり、長崎県より「医療処置の人 員配置の適正化を考える前に、いま一度、本来の 制度に戻って、施設の役割分担を明確にするべき だと考える。現在の看護師不足において、介護施 設に今以上の看護師を取られることは医療におい ても死活問題であり、医療と介護を有効に行う場 所として有床診療所の活用も考えるべきであ る。」、福岡県より「最重症は療養病床・老健・特 養で、中程度の方は小規模多機能施設・特定施 設で、認知症で動ける方はグループホームで等、 入所者の状態像と施設をマッチングさせる機能が 必要である。」との意見が挙げられた。
<日医コメント>
2050 年を見据えた国の動きがある。その中 で、お金がなくなり、高齢者が増え、どのよう に対応するかという現実がある。理想論だけで は前に進めない。
介護サービスにどのように外付けの医療を持 ってくるか、あるいは内でどのように補完する かということは大きな課題である。これから工 夫していかなければならない。有床診療所は注 目され、今回の診療報酬改定では評価されると 考える。
<提案要旨>
昨今、「医療と介護の連携」の重要性が盛ん に言われているが、その中で介護サービス付き 「有料老人ホーム」の問題点は何であろうか、 私見である。
1)介護サービス事業提供側(有料老人ホーム) は併設の各種サービス(訪問介護、訪問看護 等)を提供することだけで給付限度額を上限 まで利用し、医療を受診させる機会をなくし ている(囲い込み)。
2)リハビリテーションの重要性の認識がない、 他の医療機関や事業者の例えば通所リハある いは、訪問リハ等を利用し、日常生活動作の 維持・向上を図ろうとする考えが少ない。結 果的には廃用症候群となり、要介護度の上昇 につながる。
3)「高齢者住まい法」が制定され、各県で益々 増加すると考えるが、登録制になったとい え、何か「医療と介護の連携」を考えるうえ で、もう少し強い監視、監督が必要はないだ ろうか。
日医及び各県のご意見を伺いたい。
<各県回答>
各県ともに、いわゆる囲い込みの問題につい ては、利用者側の観点ではなく施設側の観点か らサービスが行われていることが問題であり、 何らかの指導や監査等の施策が必要であるとの 意見であった。
また福岡県より、このような問題について は、ケアプランを適宜確認する必要もあるとし て、サービス担当者会議に医師が参加すること で防ぐことができるとの意見も示された。
<日医コメント>
高齢者住まい法の改正により、施行されるサ ービス付き高齢者住宅については、登録は都道 府県、政令市が行い、同様に指導監査も行うこ とになった。従って、外部の目が入るというこ とであり、そういう面ではサービス担当者会議 にもしっかり参加し、一方では指導監査が入る という形となる。我々のピアレビューも必要だ と考える。
<日医事務局コメント>
同一建物の概念というものは今まで介護保険 の中になかったが、今回の介護報酬改定の審議 の中で日医から指摘し、訪問介護に関してはあ る程度入ることになった。ただし新しいサービ スについては入らない。
定期巡回対応に対しては、今後のサービスの 状況を見てということで、なるべく早い時期に 実態調査を行い、適宜見直しを行うという条項 を入れた。その上に、給付費分科会の下に検証 委員会を設けたので、その調査をなるべく4 月 からの報酬改定の後、秋位までに行い、その辺 についてはメスを入れたいと考えている。
<提案要旨>
現在の「介護職員処遇改善交付金」は、本年 度で終了するがその後の措置として「処遇改善 加算」を創設して介護報酬で対応する方向のよ うだ。まだ決定ではないが、本協議会が開催され る頃には決定されていることと思う。交付金では 請求事務や報告事務が煩わしい。小さな介護施 設ではそのための余力もなく、さらに受け取れる 職員とそうでない職員間の気持ちの問題もある。 それが原因で請求しない施設も多い。処遇改善 は介護報酬で対応されることがベターと考える。
一方、社保審等ではこの加算が必ず介護職員 に支払われるよう担保すべしとの意見がある。 しかし、いつまでも介護職員だけにスポットを 当てるのはいかがなものかと思う。これまで、 介護現場では厳しい予算の中必要な出費を削っ て、まさに爪に火を灯す思いで介護職員の給与 や研修、それに利用者の生活向上に直接関わる 費用等全てが犠牲になっている。施設に寄って は、事務職員や看護職員、厨房職員も食事介助 等を手伝っている現実もある。それなのに一方 には支給可能であり他方には支給されないのは 職員間の信頼関係にも影響を与える。「いくら 手伝っても自分らには加算はこない」と考えれ ば、職員のモチベーションも下がるのは当然で ある。これまでの交付金は職員同士の連帯を阻 害する要因となった側面もある。
このことから、新設される処遇改善の使い道 は無条件に施設に任せていただきたい。もし、 処遇改善に使うべしとの条件がつけられるのならば、介護職員だけでなく全職員の処遇改善に 使えるべきだと考える。日医の考えをお聞かせ したい。
<各県回答>
各県ともに、処遇改善加算については、事業 所で柔軟に運用できる仕組みが必要であるとの 回答が示され、佐賀県からは、「介護報酬自体 が低すぎるので、引き上げをするべきである。」 との意見も示された。
<日医コメント>
介護現場が厳しいことは十分に承知してい る。その中で資格がある人ない人の差をつけな ければならない。交付金がこういう形になった が、良い人材がいないと良い介護ができないと いうことは当たり前のことである。
<日医事務局コメント>
介護職員の賃金の改善に関する見込額が、介 護職員の処遇改善加算の算定を上回る賃金の改 善に関する計画を立てる。当該計画に基づく適 切な処置を講じていること。ただし、実際に入 ってくる報酬額が減った場合はそれに見合った ようにする。従って、最終的には1 年後等そう いうことで処遇改善が決まると考える。基本給 を下げるということはできないかもしれない が、一時金等いろいろな方法はあるかと思う。
<提案要旨>
全国の小規模多機能型居宅介護施設の1 事業 所当たり登録者数は17.8 人である。また4 年以 上経過した事業所のうち44.2 %が赤字である。 (平成23 年11 月10 日社保審介護給付費分科会資料)
制度が設けられた平成18 年度では利用者の 平均介護度3 が想定されていたが、現状では、 平均介護度2.4 である。(財団法人介護労働安定センター調査)
登録者数が25 人に比べかなり低いこと、介 護度が低いことが原因であるが、小規模多機能 型居宅施設の介護度別の介護報酬は、重度者と 軽度者とでは大きな開きがあり、軽度者の登録 が多い場合、経営が厳しい状況である。
国が進めている地域包括ケアシステムの中で は、小規模多機能施設は、地域の高齢者に介護 サービスを提供する重要な事業所として位置づ けられており、介護度に関わらず通所・ショー トステイ・訪問介護を受けられる機能を十分に 発揮するために介護度別介護報酬の平準化が必 要と思われるが、各県のご意見を伺いたい。
<各県回答>
各県ともに、小規模多機能型居宅介護施設を 効果的に機能させることは重要であるとの認識 であり、熊本県からは、「小規模多機能型居宅 施設と介護保険入所施設の充実や機能分担、住 み分けを明確にすること、または小規模多機能 型居宅介護での夜間受け入れ態勢の充実を図る ために看護師等医療職の配置をしたりする等の 改革も必要ではないか。」との意見も示された。
また、大分県や福岡県、佐賀県からは、介護 度別の介護報酬の平準化を行うと、介護度の低 い利用者を多く集める施設が出ることも危惧さ れるとして、平準化よりも介護報酬自体の引き 上げを行うべきであるとした意見が示された。
<日医コメント>
小規模多機能型はこれからの目玉となる。在 宅に近いところで高齢者をみていくシステムづ くりの目玉になってくると考える。今後注目し ていただきたい。
<提案要旨>
本情報公開制度は、厚労省で制度の見直しが 行われ、次期介護保険改正に伴い、都道府県知 事が必要と認める場合に実施(都道府県におい て指針、国においてガイドラインを作成。基本情報も調査対象とする)となされている。
福岡県においては、まだ確定はしていない が、調査の定期的な実施は廃止し、必要に応じ て集団指導等の形式で行うことで、全体的に簡 素化するよう話しが進められている。
各県の現状および、今後の方向性について日医のご意見を伺いたい。
<各県回答>
各県ともに、介護サービス情報公開制度の見 直しに伴い、今年度より既存事業者の報告及び 調査は行われず、新規事業者のみの報告として いるが、次年度からの対応については検討中と なっている旨の回答であった。
<日医コメント>
非常に不評な仕組みで、やっとこれがなくな るということで非常に良いことだと考える。調 査は、指定更新後3 年とか、あるいは新規の時 にはやられるかもしれないが、その程度で、無 駄なお金を出さなくて良いという形に変わって いくと考える。
<提案要旨>
要介護認定の判定において、主治医意見書が 重要な資料であることは言うまでもないが、介 護保険制度が発足して10 年以上が経過したに も関わらず、未だ一部の主治医意見書で記載不 備が見受けられ、その対応に苦慮している。
現在の介護認定審査の仕組みにおいては、介 護認定審査会で、認定調査員の結果に疑義があ る場合は再調査を要請しているが、主治医意見 書については再提出を求め難い状況にある。本 県の一部市町村では、医師である合議体長に確 認のうえ、介護認定審査会事務局から主治医に 対し疑義照会をしているのが現状である。
各県において、記載不備の主治医意見書に対しどのように対応されているか伺いたい。
<各県回答>
主治医意見書の記載不備への対応について は、沖縄県、長崎県、佐賀県では、市町村事務 局より医療機関へ電話連絡を行い、疑義照会を 行うことである程度の対応は図られているとの 回答であった。
宮崎県では、平成20 年度より、予め利用者 ご本人や主たる介護者等に「主治医意見書予診 票」を作成していただき、予診票も併せて確認 している等の取り組みを行っているとの報告が あった。
大分県では、認定審査会に示される主治医意 見書の医師氏名がマスキングされていることか ら、認定審査会委員長から直接連絡することが できず対応に苦慮しているとの報告があり、そ の点については、福岡県より、医師名をマスキ ングすることについては、介護保険制度が開始 された当時、日本医師会からそのような要望が あったからと考えられると説明があった。
<日医コメント>
やはり未だに意見書の不備はある。医療の診 断書ではなく生活の診断書だということを、医師 会活動の中でそれぞれ言っていただく必要があ る。まさにピアレビューの問題になると考える。
<日医事務局コメント>
個人的なコメントとして、形上は保険者であ る市町村長が主治医に依頼する。それをマスキ ングするかしないかはそこでの取り決めかと考える。
<提案要旨>
介護保険制度での各種介護サービスを利用す るには「要介護・要支援認定申請書」を居住地 の各市町村窓口に提出する必要があり、その申 請書を提出後、認定調査員による認定調査を実 施すると同時に主治医意見書の依頼を行い、そ の後、介護認定審査会へ諮るが、現在、沖縄県広域連合では、その介護認定調査員の遅れによ り、調査員が調査する段階から介護認定審査会 へ諮るまで、とても時間がかかっている。
平成22 年度(平成22 年4 月〜平成23 年3 月末日申請分)の認定状況は、要介護認定審査 対象者15,435 人のうち、遅延なしの認定者数 は認定審査対象者の19.8 %を占める3,059 人、 認定遅延者が80.2 %の12,376 人となってお り、そのうち主治医意見書の遅れが29.3 %の 3,621 人で、認定調査の遅れが54.4 %の6,731 人となっている。それは平成18 年度から遅れ の原因が未だ改善されていない。
そこで、他県ではどのように行っているの か、また、このような状況をどう対処したら良 いのかご教示願いたい。
<各県回答>
各県ともに、要介護認定の遅延が課題として 認識されており、大分県では、嘱託調査員の増 員や調査員の複数体制から1 人体制への変更を 行うことにより、調査までの日数の短縮や調査 件数の増加に努めているところであると報告が あった。長崎県では、1 件当たりの報酬単価を 3,150 円から4,050 円に引き上げることや、在 宅看護師を調査員に指名し調査員を増員する等 の取り組みを行っていると報告があった。
また福岡県からは、2 年前までは沖縄県と同 様の課題を抱えていたが、保険者がどこかに調 査委託をするのではなく直接調査員を雇う形態 にすることで、本事案についてはほぼ解決した との報告があった。
<提案要旨>
第1 回の本会でも話題になったが、24 年4 月 から“介護職員等によるたん吸引等の実施”が 施行される。10 月8 ・9 日の指導者講習会か ら、1 月21 日の筆記試験までの短期間に50 時 間の広義を行わねばならず、慌ただしい中で準 備が行われている。
各県が本省令にどのように対応し、何人の受 講者があり、また、24 年度からいくつの実施 事業者が登録予定であるのかお聞きしたい。ま た、次年度以降の計画も分かれば教えていただ きたい。
ちなみに、長崎県では、県医師会から2 名の 医師と他団体からの6 名の看護師が指導者講習 会に参加。以下の日程にて、長崎県福祉保健部 が窓口となり、12 月4 ・5 日に、県内で指導者 講習会を開催。12 月11 日〜 15 日、1 月18 日 〜 20 日の2 回に分けて講義を行い、1 月21 日 に筆記試験を行う予定になっている。
現時点での、受講希望者数、実施登録希望施設等は未定である。
<各県回答>
介護職員等によるたん吸引等に係る厚生労働 省主催の主導者講習会については、宮崎県10 名(医師1 名、看護師9 名)、沖縄県6 名(看 護師)、大分県7 名(看護師)、熊本県14 名 (医師4 名、看護師10 名)、福岡県7 名(福岡 県老人福祉施設協議会から推薦)、鹿児島県10 名(医師1 名、看護師9 名)、佐賀県3 名(看 護師)が参加し、各受講者が講師となり、各県 内においてそれぞれ研修会が実施されていると ころであると報告があった。
本県より、「日本医師会は、そもそもたん吸 引を医行為から外すという見解であったはずだ が、なぜそれができなかったのか。」と発言し、 日本医師会からのコメントを求めた。
<日医コメント>
医行為から外せば普通にできる。あるいはそ れ以上に深いところをやる人は医師が判断する ということでも良いと考えるが、訳の分からな い人たちが質を上げると称して質を下げてい る。あるいは混乱を巻き起こす今の国の審議会 がおかしいと考える。
<日医事務局コメント>
たんの吸引の委員会があり、座長が国立長寿研究センターの大島先生であった。医療関係者 は日本医師会の三上常任理事、後は看護協会、 その他は介護福祉の団体。介護職員、法学者、 学識経験者となっている。三上常任理事は、当 然口腔内は問題ないし、医師が判断すれば医行 為ということで整理しようとした。しかし、例 えば、耳かきが医行為から外れたことで商売に なった。要は、医行為から外すと誰でもでき る。研修をしようがしまいが誰でもできるとい う法解釈になってしまうから駄目だということ で、医行為から外さないということになった。
医学的な観点からみれば非常に馬鹿げている が、法律学的からみるとだれでもできるものを 研修も義務づけられない、何も義務づけられな い、そういう基礎がないとできないということ で、医行為からは外せないということが実情である。
<提案要旨>
長崎県医師会では、県からの委託により平成 19 年度から「かかりつけ医認知症対応力向上 研修会」を開催しており、本年度まででほぼ県 下全域で開催した。
認知症疾患患者の増加に伴い、本研修会の来 年度以降の継続も必要と思われるが、これまで 受講されたかかりつけ医の先生方に対し、より 内容の濃い研修会開催の必要性を感じていたと ころ、県では来年度の予算要求で、研修内容の 自由度の高い「かかりつけ医認知症対応力フォ ローアップ研修」の開催を考えているとのこと であった。
インターネット等によると数都県で同様の研 修会が開催されているが、各県の同趣旨の開催 状況、予定等についてお伺いしたい。
<各県回答>
大分県、熊本県、福岡県、佐賀県において は、かかりつけ医認知症対応力向上研修会が今 年度も実施されており、沖縄県と鹿児島県においては、今年度よりフォローアップ研修会が実 施されていることが報告された。
各県ともに、修了証の発行や修了者名簿を県 庁ホームページに掲載する等の取り組みを行っ ているところであるが、沖縄県より「研修会を 開催しても、毎回同じ方が参加され裾野が広が らないことが課題である。」と提起し、本事項 は各県においても課題となっていることを確認 するとともに、課題解決に向け情報を共有し今 後も検討を行っていくこととした。
印象記
副会長 小渡 敬
平成24 年1 月28 日に九州医師会連合会の平成23 年度第2 回各種協議会が佐賀県で開催され、 日本医師会からは高杉敬久先生が参加しておりました。
介護保険対策協議会においては各県から14 の議題が提出され、今回は地域包括ケアシステム構 築の議題が幾つか挙がりました。医療と介護の連携にとってこのシステムは欠かせないと言われ ていますが、現在ある地域包括支援センターとの関係も不明であり、やたらにセンターばかりを 設置し、複雑にしている感があります。また、特養の個室化についても、本文にあるように入所 者にはメリットが少なくデメリットばかりであり、このような施策は改善すべきであります。日 医も持ち帰って検討すると話していました。
今回は懇親会の場で佐賀県の池田会長から、突然、日医の会長選に横倉副会長が立候補するという発言があり、場内がどよめき私も驚きました。