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平成23年度(第27回)九州学校検診協議会第2回専門委員会

U.九州各県医師会学校保健担当理事者会

開 会

福岡県医師会常任理事の相良鞆彦先生の司会により会が開かれた。

挨 拶

福岡県医師会会長の松田峻一良先生より、概ね以下の通り挨拶があった。

本年8 月に大分県で開催された九州医師会連 合会学校医会評議委員会において、来年度の第 56 回九州ブロック学校保健・学校医大会並び に平成24 年度九州学校検診協議会を、私共福 岡県医師会が担当することに決定した。これを 受け、私共は早速準備委員会を設置し、大会の 内容を検討した。本日開催要項案として提出さ せて頂くことになった。

詳細は後ほど、協議事項の中で担当理事より ご説明させて頂くので、慎重にご審議の上ご承 認賜わりますようお願いしたい。

また、本日は本県から2 題の協議事項を提出 している。これについても活発なご議論を頂く ようお願いを申し上げ、簡単ではあるが開会挨 拶とさせて頂く。よろしくお願いしたい。

協議に移る前に、第55 回大会の担当県であ った大分県医師会の藤本常任理事より「8 月に 大分県で開催した第55 回九州ブロック学校保 健・学校医大会並びに平成23 年度九州学校検 診協議会については、各県の先生方に大変ご協 力を頂き、この場を借りて御礼を申し上げる」 とお礼の言葉があった。

座長選出

慣例により、開催県(福岡県医師会)の松田峻一良会長が座長となり協議が行われた。

協 議

1)第56 回九州ブロック学校保健・学校医大会並びに
平成24年度九州学校検診協議会(年次大会)について(福岡県)

福岡県医師会理事の原口先生より提案事項について説明があった。

平成24 年8 月4 日(土)、5 日(日)、ホテル ニューオータニ博多で開催を予定している。大 会のメインテーマを「子どものレジリエンスを高める学校保健安全教育の推進〜しなやかで力 強い適応力の育成を目指して〜」とし、年次大 会では、教育講演4 題と、基調講演2 題を開催 する。また、分科会の眼科部門では講演2 題、 耳鼻咽喉科部門並びに運動器部門においてはパ ネルディスカッションを開催する予定である。

開催日時、場所、開催内容については、先に 開催要項案を提示し、各県にご意見を伺ってい る。大会全般については特にご意見がなかった。

参加対象者並びに会費は例年通りである。

なお、前日の諸会議については、15 時から 九州医師会連合会常任委員会及び平成24 年度 九州学校検診協議会第1 回専門委員会を開催 し、以後幹事会、担当理事者会、懇親会まで例 年通りの開催を予定している。

次に、大会当日のプログラムについて説明する。

午前中は、平成24 年度九州学校検診協議会 (年次大会)として、心臓部門・腎臓部門・小 児生活習慣病部門に加え、特別部門として放射 線に関する講演を設けた計4 部門の教育講演を 行う。九州学校検診協議会と並行して、九州ブ ロック学校保健・学校医大会分科会として、眼 科部門・耳鼻咽喉科部門・運動器部門を実施 する。

12 時から13 時の昼食時間を利用して、九州 医師会連合会学校医会評議員会を開催する。な お、議事については改めてご連絡させて頂く。

13 時からは九州医師会連合会学校医会総会 を開催し、13 時30 分から16 時まで、基調講 演2 題を開催する。

【各県回答】

協議の結果、各県とも特に異議なく承認された。

2)放射線から子ども達を守るための保健安全教育について(福岡県)

福島第一原発事故による放射能汚染は全国に 拡大し、福島県をはじめ、国民の不安は日々募 るばかりとなっている。なかでも、放射線の影 響を受けやすい子どもたちを守ることは、学校 保健安全教育の重要課題となってきた。

すでに全国学校保健・学校医大会前日の10 月28 日には「放射線に関する研修」が開催さ れた。

また、来年度の九州学校検診協議会(年次大 会)では、特別部門を設け、関連の教育講演を 企画している。

現段階ならびに今後の具体的な取組みについ てお尋ねするとともに、日本医師会の今後の対 応について要望等あればご意見いただきたい。

【各県回答】

各県ともに、放射線から子ども達を守るため の保健安全教育を現在行っていない状況である 旨の回答であった。

福岡県医師会より、7 月末、日本医師会に 「被曝情報管理 日本健康100 年宣言−放射線 被曝の人体への影響に関するデータベース構築 と利用−について」を送付し、「放射線被曝健康 管理情報センター(仮称)」を設立するよう提言 を行っているところであるとの報告があった。

また、福岡県医師会より、先般、静岡で開催 された「放射線に関する研修会」において、文 部科学省では、小・中・高校生用として、「放 射線から身を守るための副読本」を作成し、11 月中に配布する予定であるとの報告があった 旨、情報提供があった。

さらに、来年2 月18 日に開催される学校保 健講習会においても、放射線に関する講演会が 予定されているとの報告があった。

沖縄県より、福島原子力発電所の周囲の牛を 何頭か調査し、血液検査及び放射線量測定等の 検査を、今後も継続して行えないか九州地区医 師会から提案することは出来ないかと発言した。

それに対し、福岡県より、先ほど申し上げた 日本医師会に送付した「被曝情報管理 日本健 康100 年宣言−放射線被曝の人体への影響に関 するデータベース構築と利用−について」にお いて、福岡県医師会では、そういった継続的な 血液検査や放射線量測定等の検査を、人間に対して行うことを考えており、DNA 等の情報も 含め、100 年間蓄積すれば国際的にも明確なデ ータを開示できるのではと考えていると意見が 述べられた。

長崎県より、今回の原発事故とは少し異なる が、長崎の原爆においては、当時、放射線に関 するデータの収集について全く考えていなかっ たと思うので、今回、それを踏まえ、放射線に 関する資料等をきちんと収集し、それを基に、 データベースを構築することが必要ではないか と意見が述べられた。

福岡県医師会より、放射線に関するデータを 収集し、データベースを構築できるよう今後 も、先生方のご意見等いただきながら、進めて いきたいと述べられた。

3)児童虐待の早期発見・対応について(福岡県)

先般、厚生労働省は児童虐待の早期発見・対 応につなげるため、各地の小児救急病院やこど も病院などに児童虐待専門のコーディネーター を配置し、小児科医院などを受診した子どもの けがや体のあざなどが虐待によるものかどうか を判断できるよう、医療従事者からの相談や、 研修会を開催し、中核的な小児医療機関と開業 医らが連携する「児童虐待防止医療ネットワー ク」が来年度から全国10 地域を対象に開始さ れ、将来的には全都道府県に構築する方針を固 めた。

来年度からの導入にはなるが、現段階におい てすでに県行政から本ネットワークに関する説 明や相談を受けた県があれば、ご教示いただき たい。

また、児童虐待防止のためには、学校医、園 医および養護教諭による児童の異常な兆候を発 見することも重要となる。現在、学校医が児童 虐待についてどのように関与しているか具体的 な取組みについてあれば、ご教示いただきたい。

【各県回答】

各県ともに、「児童虐待防止医療ネットワー ク」に関する説明や相談を受けておらず、ま た、学校医が児童虐待についても、具体的な取 組等は行っていない旨の回答であった。

鹿児島県医師会より、平成16 年3 月に「子ど も虐待早期発見対応マニュアル」を会員及び関 係行政機関に配布し、それ以降は、県の「子ど も虐待防止ネットワーク会議」に参加している との報告があった。

福岡県医師会より、児童虐待は、社会全体で 取り組んでいかなければならない問題だが、一 般の方々からは、行政や国は何もしてくれない という印象だと思うので、医師会を中心とした 活動が必要ではないかと意見が述べられた。

4)その他

大分県医師会の藤本先生より、日本医師会学 校保健委員会で話し合われている内容として、 以下の通り情報提供があった。

1)今般、文部科学省が、放射線に関する副読本 を小・中・高校生用並びに教師用、学校医用 として作成したとのことなので、近日中に配 布されるとのことである。

2)大阪で脊柱側湾検診の見落としで医師が敗訴 し、900 万円の損害賠償金を支払っている。 学校医が脊柱側湾の検診を行わなかったこと が敗訴の原因である。現在の学校保健安全法 並びに以前の学校保健法において、脊柱側湾 については必ず検査を行う旨明記されてい る。脊柱側湾の検診を行い、見落とした場合 は法的に医師に対して責任が求められること はないが、問題は脊柱側湾の検診を行わなか ったことである。

先生方にも今後、学校保健安全法に定めら れている検査項目をきちんと確認していただ き、検診を行っていただきたい。

3)次年度、文部科学省が新規事業として、学校 における運動器検診並びに小児生活習慣病検 診をどのような形で進めていくのか再検討す るための調査を目的とした委託事業を行うと のことである。

宮崎県医師会の佐藤先生より、日本医師会乳 幼児保健検討委員会で話し合われている内容と して、以下の通り情報提供があった。

保育園、保健の充実等に向けて医師会がどう 関わるべきかという議論があった。現在、アン ケート調査及び提言をまとめており、来年2 月 には都道府県医師会に配布予定である。基本的 には委員会を作っていくと思うので、その際は ご協力をお願いしたい。

印象記

理事 宮里 善次

平成23 年11 月26 日、福岡県医師会において九州学校検診協議会第2 回専門委員会が行われ、 続いて九州各県医師会学校保健担当理事者会が開催された。

専門委員会は、1)心臓部門、2)腎臓部門、3)生活習慣病部門に分かれて協議が行われ、最後に 全体協議が行われた。

筆者は、生活習慣病部門に参加したが、三つの提案事項について協議がなされた。

尿糖陽性者例については、各県とも二次検診や精査された症例を一カ所(医師会や教育委員会 等)に集めて管理されている県はなく、それぞれの精査した医療機関でフォローされている現状 であった。

生活習慣病予防検診結果についても、県全体でまとめられたものはなく、宮崎県や佐賀県では 希望校に行っている。沖縄県では、那覇市の小学校4 年生を対象とした崎原先生の報告があるの で、資料として提出した。

また、貧血は血液一般検査で判定されるが、RBC、Hb、Ht で判定されるが、現在の測定は全 て機械化されており、MCV やMCH は自動的に計算されている。貧血の分類にはそれらが有用な ので、項目の追加が可能かどうかの議論がなされたが、ソフト及び費用等の問題があり、変更は 容易ではないが、粘り強く交渉していくべきであるとの結論であった。

最後の全体会議では、心臓部門から学校管理下での突然死情報に関連して、U 波シンドローム の取扱いが今後、議論されるべきとの報告があった。

また、腎臓部門からは、現在、小児腎臓病学会を中心に「新・学校検尿のすべて」の改定版を 行っており、暫定診断名も改定される見通しであるため、データベース化するためには、暫定診 断名の全国統一が必要との見解が示された。

学校検診は、一次検診は業者、二次検診は医療機関、三次検診は専門医療機関で行う流れにな っており、最終データを一カ所で管理する困難さを痛感した会議であった。

九州各県医師会学校保健担当理事者会においては、福岡県医師会から二つの提案がなされた。

第一に、放射線から子どもたちを守るための保健安全教育について議論が行われた。福島原発 の事故を受けて、時宜を得た提案であり、活発な意見交換が行われた。学校医として、放射線被 害を教育するためには、学年に応じた分かり易い共通の資料が必要であるとの結論であったが、 日本医師会からの情報で、厚生労働省が小学生、中学生、高校生向けの冊子を作る方向で検討に 入る旨の報告があった。

また、福岡県医師会は7 月29 日付で、「被曝情報管理 日本100 年宣言−放射線被曝の人体への影響に関するデータベース構築と利用について−」という標記宣言を検討するよう、日本医師 会の原中会長宛に送付したと報告があった。

第二に、児童虐待の早期発見と対応について、意見交換が行われた。

現在は、疑い症例の泣き声情報や医療機関からの通報が効果を出しているが、学校医として、 児童虐待を見つけるチャンスは少ないと思われるが、検診時はそうした目で検診を行う必要があ るとの結論となった。

今回、沖縄県から“小児肥満ガイドライン”作成が提案されているが、各県の答えも同調する 意見が多い。委員会としてはガイドライン作成に着手することで異論はない。たたき台作りは沖 縄県、琉大小児科の太田教授が担うと云う結論に達した。

さて、その後の担当理事者会議では沖縄県南部地区医師会から提出された“小児肥満ガイドラ イン作成”が協議された。なお協議前に沖縄県側の作成目的を説明するよう提案があった。

最後に、全国レベルの集まりで得られた情報として、大阪で脊椎湾曲症を見逃した校医が訴え られ、敗訴したとの報告があった。解説では、たとえ見逃したとしても「脊椎湾曲症がないかど うかも頭にいれて診察しました」と言えば、法的に医師に責任を求められることないが、その担 当医は「そのつもりで診ていませんでした」と答えたために、有責の判断が下されたとの報告で あった。




文書映像データ管理システム開設(ご案内)

さて、沖縄県医師会では、会員へ各種通知、事業案内、講演会映像等の配信を行う「文書映像デー タ管理システム」事業を本年4 月から開始致しましたのでお知らせ致します。

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なお、「文書映像データ管理システム」(下記URL参照)をご利用いただくにはアカウントとパス ワードが必要となっており、また、メール配信を希望する場合は、当システムからお申し込みいただ くことにしております。

アカウント・パスワードのご照会並びにご不明な点につきましては、沖縄県医師会事務局 (TEL098-888-0087 担当:平良・池田)までお電話いただくか、氏名、医療機関名を明記の上 omajimusyo@okinawa.med.or.jp までお問い合わせ下さいますようお願い申し上げます。

○「文書映像データ管理システム」

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