沖縄県医師会 > 沖縄県医師会の活動 > 医師会報 > 3月号

平成23年度(第27回)九州学校検診協議会第2回専門委員会
九州各県医師会学校保健担当理事者会

宮里善次

理事 宮里 善次

去る11 月26 日(土)、福岡県医師医会館にて標記会議が開催されたので報告する。

T.平成23年度(第27回)九州学校検診協議会第2回専門委員会

福岡県医師会の原口理事の司会により会が開かれた。

挨 拶

福岡県医師会の松田会長より、概ね以下の通り挨拶があった。

本日は平成23 年度九州学校検診協議会第2 回専門委員会に際し、ご多忙の中ご出席を賜り 厚く御礼申し上げる。

本専門委員会も早いもので27 回目の開催を 迎えることが出来た。これも各県の先生方や関 係者のご尽力の賜物であると感謝申し上げると 共に、これからも学校検診のより一層の充実を 図っていきたいと考えている。

今回はお手元の日程にもあるように、心臓部 門、腎臓部門、小児生活習慣病部門への提案事 項が合計12 題出されている。皆様方の十分な ご協議をお願い申し上げ、挨拶とさせて頂く。

各専門委員会別協議

1)心臓部門

1)学校心臓検診について(宮崎県)

<提案理由>

学校心臓検診は、学校保健安全法に基づき、 各県とも小・中・高の各1 学年次に実施されて いるが、小学校4 年次にも検診を実施している 県があるか、各県の状況を伺いたい。

<協議内容>

熊本県を除く九州各県ともに、小学校4 年次の検診は実施しておらず、フォローアップのみとなっている。

熊本県では全県下レベルで実施されており、調査票を群市医師会、県医師会に返送している。

各県ともに、当検診については、予算(高コ スト)確保の問題、労力の問題等もあって積極 的には進んでいないのが現状である。

2)学校管理下外の生徒の突然死症例の1例(報告)(長崎県)

<提案理由>

今回、偶然、学校管理下外での生徒の突然死の情報を知り得たので報告する。

<協議内容>

長崎県より、学校管理下外での中学2 年生の 突然死(J 波症候群)について情報提供があり、 学校心臓検診でいち早く発見し、それをフォロ ーしていくことが重要であると述べられた。

3)「学校管理下」外の心臓突然死例の情報について(長崎県)

<提案理由>

突然死例ニアミス例の情報がほとんど入って いない状況で、その各症例の検診時所見等の集 積がその予防に重要であることは明白ではある が、その集積をどのようにやっていくかご意見 を伺いたい。

<協議内容>

これまで突然死の症例を集積して予防を図る こととしていたが、併せてAED の使用状況調 査を行うことでニアミス防止を行うこととした。

AED の使用状況は、実際に扱う救急隊が把 握しているが、結果が返ってくるのは1 年半後 となっているため、学校医が把握しておくこと が重要であるとして、本件については九州学校 検診協議会から各県医師会宛に依頼文書を送付 するので、群市医師会経由で学校医全てに伝わ るようお願いしたいと協議内容がまとめられた。

また、福岡県では、各地域で重複する無駄を 省くことと、調査内容の確認がスムーズに行え るよう心臓病調査票の共有化を進めていると報 告があり、更には、論文や成書を参考に心臓病 の統一病名を作成しているので、再来年には九 州各県のデータを集めて報告できると思う。同 時に問診票も共有化を図っているところである と報告があった。

2)腎臓部門

1)学校検尿についてのアンケート調査の実施について(宮崎県)

<提案理由>

九州学校検診協議会で、平成13 年に各郡市 医師会に対して学校検尿のアンケート調査が行 われた。それから10 年が経過し、その間に九 州学校腎臓病検診マニュアルが導入され学校検 尿の現状は大きく変わってきていると考えられ る。そこで、再度学校検尿の検診状況について アンケート調査を実施することを提案したい。

<協議内容>

宮崎県の宮田先生を中心にアンケート調査の 用紙が作成され、一部内容を修正した上で、県 医師会を通して各郡市医師会の公立の小・中学 校に検査の調査を行うこととした。

問題点として、私立の小・中学校と私立、県 立、公立の高等学校については、必ずしも郡市 医師会が関与していないところがあると挙げら れ、この部分の調査については、各県医師会に 一任し、郡市医師会にて調査が行えるところと そうでないところを確認し、行える範囲で小・ 中学校、県立、公立、私立の高校の調査を行っ ていただくこととした。調査の期間は、来年の 1 月から3 月の間にお願いすることになった。

2)九州学校腎臓病検診マニュアル第3 版の改訂について(鹿児島県)

<提案理由>

九州学校腎臓病検診マニュアル第3 版を一部修正できないかご検討いただきたい。

<協議内容>

現在、日本学校保健会が「新・学校検尿のす べて」の改訂版を作成しており、これが2 〜 3 年後を目途としていることから、九州学校腎臓 病健診マニュアルもそれに併せ第4 版の改訂作 業を行う必要があることから、その下準備とし て、今後メール等で意見交換を行うこととした。

3)群市医師会の「学校腎臓検診委員会」を介さない学校の腎臓病検診について(長崎県)

<提案理由>

私立の小・中学校、多くの高等学校では、医 師会と教育委員会による腎臓病検診委員会を介 さずに、学校単独で検査機関と契約し検尿が試 行されている場合が多い。この場合、ほとんど が検診システムに依らず、二次、三次判定、精 密検査などの事後処理が不明である。この問題 について各県の状況をご教示いただきたい。

<協議内容>

協議事項1)で示されたように、私立の小・中 学校、高校については各県ともに必ずしも絶対 的な把握ができていない部分があると問題点の 確認があり、その部分が省かれた際、結果にど れくらいの影響があるのかが不明であるとし て、今後、九州各県において私立学校の在校生 を調べることとした。

4)九州各県全域における学校検尿に関する調査結果について(熊本県)

<提案理由>

8 月の第1 回専門委員会で提案したが、時間がなく十分に議論できなかった。

判定基準が+で実施されていない地域への今後の対応について各県の考えをご教示いただきたい。

<協議内容>

九州学校腎臓病検診マニュアルでは、一次検 尿、二次検尿を+で行っていただきたいとお願 いしているところだが、現時点において一次検 尿、二次検尿を+でやっているところは、沖縄 県と宮崎県と長崎県という状況であることが確 認された。

判定基準にバラツキがあると、最終的な一次 陽性、二次陽性、精密検査のデータに誤差が生 じるため、+で統一していない県については、 なるべく+で検査が行われるように今後対応し ていただくこととした。

5)アンケート調査結果等のデータ管理について(報告)(熊本県)

<提案理由>

第1 回専門委員会で、福岡県メディカルセン ターにデータの管理をお願いすることになった が、どのような形で管理(保存)されるのかご 報告をお願いしたい。

<協議内容>

腎臓病専門委員会では、1)一次、二次の検尿 の状態、2)九州学校検診マニュアルを使ってい るかどうか、3)一次要請と精密検査の成績、と いう3 つのデータを保有しており、現在、その データ管理を福岡県メディカルセンターにお願 いしているところであると報告があり、当該デ ータの公開等については、今後検討していく必 要があるとされた。

6)暫定診断名の統一について(報告)(福岡県)

<提案理由>

現在、日本学校保健会を中心に「新・学校検 尿のすべて」の改訂版を行っており、暫定診断 名も改訂される見通しである。暫定診断名の全 国的な統一は、データベース化するために必要 と思われるので、現在の進行状況と今後の本協 議会の対応について報告したい。

<協議内容>

協議事項4)の通り。

3)小児生活習慣病部門

1)九州地区の尿糖陽性例について(佐賀県)

<提案理由>

九州各県より頂いた調査結果について報告する。

<協議内容>

九州各県より、平成22 年度の尿糖陽性例に係る調査結果について報告があった。

糖尿病T型73 名、糖尿病U型13 名であっ た。また、今回の調査票では、一次検尿におい て、既管理者なのか新しい管理者なのか判断出 来かねたので、平成23 年度においては、どち らなのかが明確に分かる調査票を作成し、九州 各県から平成24 年、夏に提出していただき、 第1 回専門委員会の際に報告することとした。

2)生活習慣病予防検診結果について(佐賀県)

<提案理由>

これまでに、生活習慣病予防検診結果について、まとめられたものがあればご教示いただきたい。

<協議内容>

生活習慣病予防検診については、採血を行っ ているところと、採血を行わず本人の背景から 判断しているところに分かれると報告があった。

採血実施校においては、無条件または、肥満 度を20 〜 40 %に分けるとした条件の2 つに分 類されており、無条件での採血実施校において は、検査項目を加え、どういった検診を行えば 有効かを今後検討していくこととした。

また、条件下で採血を行っているところにお いては、どういった条件で、どれくらいの肥満 度になるかを検討するため、医師会にて二次検 診の結果を収集していくこととした。

3)血液一般検査での貧血測定について(大分県)

<提案理由>

貧血は、血液一般検査で、従来RBC、Hb、 Ht にて判断されているが、現在の測定はほと んどが機械化されており、MCV、MCH の項目 は自動的に計算されて来ています。これらの項 目を加える事は有用である。貧血の分類では、 大球性、小球性、高色素性、低色素性に分類さ れるが、Fe、Zn、欠乏症では、小球性、低色 素性貧血を示すことは周知である。一方、食物 アレルギーによる過度の食事制限、摂食障害で は、大球性、高色素性貧血を示し、Se 欠乏、 甲状腺機能低下; FT4 → FT3 への転換障害を 示す症例が見出される。学校検診では項目の追 加、変更は容易ではない事は理解しいている。

<協議内容>

血液一般検査におけるMCV、MCH の検査 項目を教育委員会は出したがらないが、検査セ ンターではMCV、MCH 等のデータを出してい ると報告があり、検査センターから学校側に、 そういったデータの有効性について説明してい ただき、今後、学校側にも協力を要請していく こととした。

全体協議

各専門委員会別協議の協議内容について、各座長から報告があった。

九州学校検診協議会 次年度(平成24年度)の日程について

1)第1 回専門委員会 平成24 年8 月4 日(土)
  15:00 〜 17:00 於 福岡県

2)幹事会 平成24 年8 月4 日(土)
  17:00 〜 18:00 於 福岡県

3)年次大会 平成24 年8 月5 日(日)
  9:00 〜 12:00 於 福岡県

4)第2 回専門委員会 於 福岡県
  (第1 案)平成24 年11 月17 日(土)15:00 〜 16:45
  (第2 案)平成24 年12 月1 日(土)15:00 〜 16:45

上記の会議日程について協議が行われ、1)〜 3)については特に異議なく了承され、4) の第2 回専門委員会の開催日時については、平 成24 年12 月1 日が佐賀県医師会の設立記念日 であることから、第1 案の平成24 年11 月17 日(土)に行うことが決定した。