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辰年に因んで

嘉数真教

豊見城中央病院 循環器内科
嘉数 真教

会員の先生方、新年明けましておめでとうご ざいます。

医者になって20 年、豊見城中央病院の循環 器内科に就職してはや8 年となり、今年48 歳 の年男となったようです。この原稿の依頼が来 るまでは気づきませんでした。

確か、36 歳の年男時にはちょうど自治医大 の義務年限が終了し、県立中部病院から中部徳 洲会病院へと移った年であったと思います。公 務員をやめることに関して、周辺親族からは大 分反対の声もあったのを覚えています。

更にさかのぼって、24 歳のころを思い出し てみました。この時は、大学5 年次であり、自 治医大ラグビー部の幹部の一員として東医体5 連覇を達成し、そろそろ国家試験に向けての勉 強を誓った正月だったと思います。同時に、県 人会のトップに立ち、後輩達の追試の手助けや 激励、悩み相談などを受けていた頃でもあった ような気がします。

12 歳時は、皆さんと同じように小学校6 年生 でした。その頃のクラスの文集が残っていたの で読んでみました。そのなかに、「ただ今の希望 〜さて20 年後は?」というページがあり、将 来なりたい職業をひとりひとり直筆で書かれて ありました。「大きな店を持ちたい」「オリンピ ック選手になりたい」「夜明けの刑事にでてい い役をしたい」などいろいろな夢が書かれてい ました。その中で「しょうらいはうんにまかせ よう」というのがあって、名前をみてみるとそ れが私でした。「何という夢だ、しかもひらがな で」と、情けない気持ちになってしまいました。

自分では気づきませんでしたが、あまり夢を 持たないタイプなのかもしれません。

さて、私たちの年代、1964 年生は甲辰(き のえたつ)生まれですが、運勢や算命学などを みてみますと、「甲辰の生まれは激しい質を秘 める」「何かに向かうと猪突猛進します」「男性 の場合、困難を乗り越え成功しますが、強い性 格故、敵味方が多く、女性の場合は仕事と家庭 の両立は難しいでしょう」など、おおよそ「辰」 とちがう干支のイメージのことが多く書かれて いました。

「竜」「龍」と考えるならそうかもしれませ んが、私のなかでの「辰」は「タツノオトシゴ (辰の落とし子)」であり、魚なのか甲殻類なの かわからないとぼけた生き物です。時に、漢方 薬コーナーや水族館ではみかけたりはします が、実際には海中では一度もお目にかかったこ とがない生物です。

しかし、実際に書かれていることに関しては うちあたいする部分も多々あります。みかけは とぼけていても、内には激しい競争心・強さを 備えていると解釈すれば、「タツノオトシゴ」 もいざというときには「龍」と変わりうるとい うことです。いや、きっとそうでしょう。

今年は、一つの節目として「タツ」を意識し ながらやって行こうと思います。時には激し く、時にはおとなしく、そしてまわりの人々の 生薬になるように。

新年から、とりとめもない文章を読んでいた だきましてありがとうございました。

今年もよろしくお願いいたします。