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スイムを楽しむ

石垣一彦

沖縄中央病院 石垣 一彦

今年で七回目の辰年を迎えた。同じ年の者達 に会うと「血圧が高くてね」「腰が痛くて何も 出来ない」「物覚えが悪くなったさ」等健康に 関する話題が多くなった。以前なら73 歳の生 年祝いを家族、親戚の人達が盛大に催したもの だが、今では高齢者が増加して73 歳は鼻たれ 小僧でしかない。これからの健康な老後を考え るには適切な生活習慣、食生活、健康管理、体 力増強等が必要であるが、小生の健康管理で自 慢しているのはスイミングプールでの遊びであ る。あえて遊びと書いたのは私自身プール利用 を水泳だけでなく、歩いたり、もぐったり、水 中で体を回転させたり、水上で浮かんだり等水 と戯れていることを楽しんでいるからである。

45 歳頃に腰痛を感じ整形外科医に水泳でも してみたらと勧められたが、あれ以来20 数年 経とうとしている。泳ぎ始めは数メートル泳い で息切れし、続けていく自信がなかったが、今 では200 メートル位は軽く泳げるようになっ た。お蔭で腰痛を感ずることもなく、体調は良 く、風邪を引くこともない。各地にスイミング スクールが出来、幼児から高年者まで水泳人口 は増加している。目的も体力強化、健康維持、 リハビリ、美容、仲間つくり、ストレス解消と いろいろであるが、小生は健康維持を目的に し、無理しない程度にプール利用をしている。 従ってまず水中歩行から始め、水泳はあまり体 力の消耗を伴わない平泳ぎを主体にし、クロー ル、背泳を少しずつはさむ様にしている。また 体調の良くない時は運動量を減らしている。平 均すると水中歩行と水泳は半々である。このプ ログラムを週2 回、1 回1 時間を目標に実施し ている。

去年の1 月インストラクターから「平泳ぎが 少しうまくなったので、マスターズ大会に出で みない」と声をかけられた。「大丈夫ですかね、 先生」と不安に満ちた小生、「成績は気にしな いでよいから貴方の出来る範囲で泳いでみた ら、すこし考えてみて・・」とインストラクタ ー。考えた末、マスターズ大会へのエントリー を決め、平泳ぎの50 メートル、25 メートルに 出場することにした。高齢なので勝負は度外視 し、70 歳代の年齢でどれ位泳げるか、一度自 分の記録を作ってみたい、また、今までスポー ツ選手として公の場での参加がなかったので、 自分自身を鼓舞したい気持が参加の主な理由と なった。

1 週間かけて飛び込みを習い、試合当日を迎 えた。スイミングスクール各校の応援が激しく、 選手にも熱気が伝って来た。自分の出番が来て 各コース毎に選手の名前と所属がアナウンスさ れた。私の所属するスクール席からも大きな声 援が聞こえた。それに手を振って応援に応えた が、それは金メダリストの北島康介選手になっ たような気持であった。スタートの号砲が鳴っ てプールへ飛び込み、懸命に泳いだか周りが全 く見えず、あっという間に試合は終わった。成 績はブービーと振るわなかったが、70 歳代の自 分の記録を作ったという満足感で一杯であっ た。その後応援席に戻ったら多くの人に握手を 求められた。71 歳の楽しいひと時であった。

今年もスイムを楽しみながら健康増進に努め ていきたい。