沖縄県医師会 > 沖縄県医師会の活動 > 医師会報 > 1月号

沖縄県医療推進協議会
〜受診時定額負担導入阻止・TPP 参加反対を決議〜

真栄田篤彦

常任理事 真栄田 篤彦

去る10 月21 日(金)、沖縄ハーバービュー ホテルにおいて標記推進協議会が開催されたの でその概要を報告する。

当日は急な呼びかけにもかかわらず加盟28 団体中21 団体が参加し、日本の医療を守るた めの活動計画について協議を行った。

先ず、今回の呼びかけ団体である県医師会を 代表して、宮城会長より概ね下記のとおり挨拶 があった。

宮城信雄沖縄県医師会長挨拶

宮城信雄沖縄県医師会長

本日は、ご多用な中、 急な呼びかけにもかか わらず、沖縄県医療推 進協議会にご出席賜り 厚く感謝申しあげる。

当協議会は、沖縄県 における医療・介護・ 保健および福祉行政の 充実強化を目指し、積極的に諸活動を推進する ことを目的に掲げ、当該趣旨に賛同する28 団 体が参加し、平成16 年11 月に設立された。

当協議会では、平成16 年11 月の「混合診療 の解禁阻止」のための署名活動や県民集会の開 催、平成20 年の「社会保障費の年2,200 億円 削減撤廃」のための県民集会等を展開し、一定 の成果を得ることができた。これも偏に当医療 推進協議会各加盟団体のご協力の賜と感謝申し あげる次第である。

去る3 月4 日には、昨年6 月に政府が「新成 長戦略」を閣議決定し、医療・介護・健康関連 産業を日本の成長牽引産業と位置付け、医療の 営利産業化に向けた市場開放についての議論を 展開すると共に、TPP 参加の議論を始めたこ とを受け、当協議会を開催し、世界に冠たる国 民皆保険制度を守るべく去る3 月31 日に「日 本の医療を守るための沖縄県民集会」を開催す る予定としていたが、3 月11 日の東日本大震災 の発災に伴い当県民集会を延期させて頂いた。

そのような中、本年6 月30 日に政府・与党社 会保障改革検討本部が決定した「社会保障・税 一体改革成案」では、社会保障の強化に向けて、医療・介護に相当の資源を投入する方向性は打 ち出したものの、その財源は受診時定額負担制 の導入などにより患者に求めることとしている。

我が国の患者一部負担割合は先進諸国と比べ ても高い水準にある。そうしたなかで、患者に これ以上の負担を強いることは、特に受診回数 の多い高齢者等の受診抑制へとつながり、症状 の重篤化など健康被害を招くことも懸念される。

そもそも我が国の医療・介護は公的保険でま かなわれており、したがってその財源は本来、保 険料や税収に幅広く求めるべきであると考える。

また、公的保険である医療が営利産業化され れば、高い収益が見込める自由診療、自由価格 の医療市場が拡大し、混合診療の全面解禁を後 押しすることにつながる。

その結果、公的医療保険の給付範囲が縮小し ていくなかで、国民皆保険制度が完全に崩壊し ていくことは明かである。

かかる状況に鑑み、県民に今の医療をとりま く危機的状況を知らせると共に、国民皆保険制 度の堅持を求める国民の声を政府に届けること を目的とした国民運動を沖縄県において展開し たいと考え、本日医療推進協議会を開催した。

ついては、時節柄何かと慌ただしい折、誠に 恐縮に存じるが、所期の目的を達成すべく、ご 支援ご協力賜るようお願い申しあげて、ご挨拶 とさせていただく。

続いて、当協議会宮城会長の議事進行により 協議に入った。

先ず初めに、真栄田常任理事より、政府が提 案している「受診時定額負担」について説明が あり、引き続き小渡副会長より、現在混合診療 の全面解禁や医療への株式会社参入、所得格差 による受診抑制など、「受診時定額負担」同様に 国民皆保険制度崩壊へ繋がる様々な問題が懸念 される「TPP」参加について説明が行われた。

同趣旨説明を受け、当医療推進協議会の活動 計画について協議した結果、平成23 年11 月9 日(水)午後7 時30 分からロワジールホテル 那覇において、沖縄県医療推進協議会主催の 「日本の医療を守るための沖縄県民集会」を開 催することについて決定した。また、当日の動 員について、本会が200 人、県歯科医師会、県 薬剤師会、県看護協会が各100 人、その他の団 体は各20 人の計980 人の動員目標が示され、 各団体とも協力することが確認された。

なお、決議については、早急に行った方がよ いとの意見があり、当協議会において決議する こととし、決議文(案)の内容について協議し た結果、TPP への参加反対等について文言を 一部追加し、決議文が承認された。当決議文 は、早急にマスコミ、内閣総理大臣、厚生労働 省、衆参両議長、県知事、県選出国会議員、県 議会議長等へ送付することになった。

県民集会における意見表明発表者の2 名につ いては、沖縄県社会福祉協議会に決定し、もう 1 団体は、後日改めて調整することになった。

また、国民運動をさらに強力に推し進めるべ く日本医師会を代表とする国民医療推進協議会 から依頼のある、「受診時定額負担」に反対す る署名運動実施への協力、また「受診時定額負 担」導入反対ポスター案の作成(当協議会各団 体名を記載し、沖縄県医療推進協議会として作 成)について協議の結果、各団体へ署名運動へ の協力を依頼することが承認され、また同ポス ター案については原案のとおり作成することに 決定した。

決 議

このたびの東日本大震災は、未曾有の出来事 であり、被災地の一日も早い復興を願うもので ある。

このような時こそ、明日の安心を約束する持 続可能な社会保障体制を守ることが必要である。

今、患者にさらなる負担を求める受診時定額 負担の導入や、わが国の優れた公的医療保険制 度を崩壊へと導く混合診療の全面解禁や医療へ の株式会社の参入等を進めるTPP への参加の 動きがある。

われわれは、こうした政策に強く反対するとと もに、だれもが等しく医療を受けられる国民皆 保険制度を、これからも断固守り続けていく。

以上、決議する。

平成23年10月21日
  沖縄県医療推進協議会