去る9 月17 日(土)、ホテルニューオータニ佐賀において開催された標記 協議会(医療保険対策協議会、介護保険対策協議会、地域医療対策協議会) について、以下の通り報告する。
理事 平安 明
挨 拶
○佐賀県医師会 横須賀副会長
本日は残暑厳しいなか、ご来県いただき感謝 申し上げる。
本日は大変お忙しいなか、日本医師会より横 倉副会長並びに鈴木常任理事にご臨席いただい た。横倉副会長は所用により遅れていることか ら、鈴木常任理事よりこの会に先立ちご挨拶を 頂きたい。
○日本医師会 鈴木常任理事
東日本大震災から半年が経過したが、私の茨 城県も被災地であり、鹿児島県より応援を頂き 本当に嬉しかった。被災地は焼け野原に仮設診 療所が建っているような状況、福島県ではまだ原 発事故が収束していないので、本当に戦争状態 のような状況ではあるが、少しずつ岩手県、宮城 県は復興に向けて動き出している感じである。
医療保険については同時改定を含め様々な課 題があるが、皆様と力を合わせて少しでも良い方向に持って行けるように、また被災地では医 療機関が復興しなければ地域に住民が戻れない ということもあり、まずは医療機関を立て直す ことが必要と考えているので、引き続き先生方 のご支援をよろしくお願い申し上げる。
○日本医師会 横倉副会長
日本医師会では医療保険は鈴木常任理事が一 手に引き受けているが、内外より様々な圧力を かけられて大変苦労されている。医師会の立 場、医療を守る為にはどのような医療保険が必 要であるかについて、よく主張していただいて いる。昨日、社会保障審議会・医療保険部会が 開催された。医療保険部会では次期診療報酬改 定の基本方針について議論を行い、中医協では 分配をどのようにするかの話になるが、ご案内 のとおり日医では今回の東日本大震災の発生に 伴い、通常の改定は無理であると主張してい る。ただ前回の改定による不合理な点について はしっかりと見直して解決するよう主張してい るところである。詳細についてはこの後鈴木常 任理事からのご説明をお聞き願いたい。
もう一点、保険指導の件についてであるが、 厚労省担当局といろいろと話をしている。事務 次官、保険局長、課長、指導課室長には現場に おける大きなトラブルが起きないよう、昨年来 より鈴木常任理事と申し入れており、上層部で は理解をしていただいているところである。最 近、九州厚生局長が交代したが、前局長から新 局長に対し、「無理のないように」と申し送り をしたとの報告があった。
九州厚生局管内で問題が起きた場合には、ぜ ひ福岡県の寺沢、山岡先生までご連絡いただき たい。九州厚生局の件は福岡県が担当になって いるので、しっかりと責任を持って解決に当た りたいと考えている。
○座長選出
慣例により、担当県である佐賀県 横須賀副 会長が座長に選出された。
協 議
■横須賀座長:沖縄県の平安先生が所用の為、 早めに退席されることから、沖縄県より提案の ある協議事項9「九州厚生局による個別指導及 び施設基準等に係る適時調査について」、先に 協議を行うこととする。
各県の指導について、問題のある指導や理不 尽な指摘等が発生していないか伺いたい。平成 20 年10 月に指導・監査業務が厚生局に移管して 以来、指導の平準化等が言われ続けているが具 体的な動きは未だに見えてこない。そればかり か、国の政策コンテストで指導監査を強化する ために捜査のベテランを投入する等あまりにも医 療の現場を愚弄する考えが垣間見えたり、実際 の指導の現場においては、指導官の不可解な解 釈により多額の返還金を命じられる事態が生じ たり、現場と乖離した杓子定規な解釈(しかも 地域(というか指導官)により解釈が異なること がある)による弊害が多いように思われる。
3 月11 日の大震災後、日本全体が厳しい状 況の中、医療経済も余裕がないのは当然のこと であり、診療報酬改定においても多くを望めな い厳しい状況にあることは理解できる。そのよ うな中、必死に現状維持に努めて地域医療に貢 献し続けようとする医療機関に対し、経済的に も精神的にも追い詰めるような指導のあり方は 見直すべきである。
請求のルールや施設基準の解釈の誤りは正す べきであるが、何を基準として誤りとされたの か判断の根拠を示すべきであるし、特に施設基 準の解釈等で指導官によって微妙に異なる判断 により、返還金を求めるようなことはあっては ならないことである。
各県の実情を伺い情報の共有化を図ると共に、 これらの問題に対する日医の見解を伺いたい。
<追加発言>
■沖縄県:各県の書面回答を拝見させていただいたところ、行政や厚生局との合同による事前 打ち合わせだけでなく、指導結果についても打 ち合わせを行っている県が中にはある。本県で は、県・九州厚生局沖縄事務所・医師会の三者 間による定例連絡会議を年に2、3 回開催して情 報交換を行っているが、指導の内容等に関して は「指導大綱に基づいたもの」として踏み込ん だ回答は全く得られず、また指導官による偏り や各県での実情を説明しても、そのような内容 については聞く耳を持たない状況である。各県 の状況についてお聞かせ願いたい。
<各県の回答状況>
施設基準の解釈等について、各県とも現状に おいて大きな問題となる事例は発生していない との報告があった。また、各県における行政及 び厚生局等との連絡会議等の開催状況につい て、次のとおり報告があった。
○大分県…指導について事前に九州厚生局大 分事務所、県福祉保健部、県医師 会の三者で打合会を行い、情報の 共有化を図っている。
○熊本県…九州厚生局、県国保・高齢者医療 課と県医師会の間で、月1 回定期 的な「医療保険打合せ」を行い、 指導対象の医療機関について、改 善指摘事項や自主返還等の指導結 果について協議を行っている。
○福岡県…個別指導については、立会として の立場からその都度、また後日送 られる結果通知を検討し不可解な 解釈や、現場と乖離した杓子定規 な解釈があれば厚生局と協議して いる。また、適時調査については、 原則返還がないよう要望しており、 解釈について会員より照会があっ た際には、九州厚生局と協議して いる。
○鹿児島県…年1 回、県医、九州厚生局鹿児 島事務所、県行政、支払基金、国 保連合会の5 者で「医療関係者連 絡協議会」を開催し、保険指導や 審査支払などの諸問題について協 議を行い、偏った取扱いがなされ ないよう意見交換を行っている。
○長崎県、佐賀県…年度当初に年間の指導計 画等について打ち合わせを行って いる。
■横須賀座長:保険診療は保険医と患者との契 約診療であり、契約診療は誓約診療である。青 本がルールなので、それを変えなければどうし ようもない。ルールを変える方法について、極 端な話ではあるが「日医版の青本」を作るのは どうか。青本は年々分厚くなり、また文言が分 かり辛くなっている。上手く修正できればかな り前進するのではと考えるが、鈴木常任理事の ご意見をお伺いしたい。
<日医コメント>
□日医・鈴木常任理事:九州ブロックでは行政 及び厚生局との連絡会議等による情報交換が行 われており、進んでいると感じた。現状では大 きな問題となる事例も発生していないようだが、 全国では理不尽で恣意的な指摘が見受けられ る。個人の解釈違いによる返還については問題 があり、厚生局にはその都度申し入れている。
指導監査については運用の見直しに着手して おり、厚労省と協議中である。見直しの点とし ては、集団的個別指導を行政と医師会の共催と することや、単に高点数との理由で個別指導に 移行しないこと、また、在宅や高額薬剤等で高 点数となる場合の区分等についてである。厚労 省と協議が纏まれば、来年度から改善していき たいと考えている。
また、指導は教育的なものとして厚労省には 申し上げているが、問題があるような事例があ れば担当部局に伝えて改善をお願いしている。
適時調査については、最近になって5 年間遡 って返還を求められているケースが生じてお り、1 県で8 億円、1 医療機関で3 億円の返還の 話も出ている。本来、適時調査は年に一回、6月頃に実施されるものであるが、実際には人手 不足から病院でも数年に一回、診療所では殆ど 実施されていない。年に一回実施されていれ ば、返還は最大でも1 年分で済むはずであるが、 数年間実施せずにいきなり5 年分返還となるの は不合理であり、せめて1 年分とするように申 し入れている。これからも現場の声をお聞きし ながら不合理な点は改善したいと考えている。
九州ブロックのように日頃から行政、厚生局 と医師会との間で話し合いの場を設け、意思疎 通を図ることが重要である。他のブロックでも 同様の取り組みが広がれば、問題も未然に防げ るのではないかと感じ、大変参考になった。
■沖縄県:決して九州がモデルというわけでは なく、細かな問題であってもしっかり取り上げ て頂きたい。
■福岡県:先ほど適時調査については特に問題 がないとのことであったが、医療機関がどれく らい適時調査を受けているのかリストを得てい ないし、問題が無いとはハッキリ言えない。中 には泣き寝入りしているところもあるかもしれ ない。
もう一点、施設基準の返還対象期間である 「5 年間遡及」については、昨年5 月に日医から 通知文書が届いたが、日医が同意された結果で はないかと考えるが。
□日医・鈴木常任理事:日本医師会が同意した 訳ではない。施設基準の返還については1 年分 を申し入れているところである。適時調査につ いては医師会の立会いが無いために分からない 部分もあり、最近になって各ブロックより適時 調査の問題が上がっていることから、近々、全 国調査を実施し、問題点があれば対応したいと 考えている。
■福岡県:集団的個別指導の平均点数につい て、平均点数は基本的に全国各県で異なると思 うが、それを日医では把握しているのか。各県 の医療費で差があるように平均点数でも差があ ると思うが。
□日医・鈴木常任理事:当然、各都道府県ごとに医療費は異なるので平均点数にも差がつく。 日医として把握しているというよりも差がある のは当然であり、それを平準化というわけには いかない。平均点数を定めるに当たり、全国平 均を希望するところや、高いところ低いところ と意見は様々である。昨年行ったアンケートの 調査結果でも、全国の意見は纏まっていない。 平均点数は西高東低で、北海道が少し高い状況 である。平均点数が高いところでは、九州のよ うに日頃から行政や厚生局と連携を取りながら 大きな問題にならないように取り組んでいるも のと考える。日医では平均点数の高い低いでは なく、問題が生じた場合に対応するスタンスを とっている。
先に日本医師会は、東日本大震災の発生をう け、日本は未曾有の国難に直面しているとし て、次期の全面的な同時改定は見送るべきであ るとした。そして、現行の不合理な診療報酬、 介護報酬は留意事項通知や施設基準要件の見直 し程度に止め、さらに患者の一部負担の引き下 げ等の対策が必要であるとの見解を発表した。
しかし、中医協での「医療経済実態調査の実 施が診療報酬改定の実施に直結するものではな い」ことを確認して、医療機関への協力依頼を 発出している。
この同時改定の見送りや「実調」の実施につ いては、各地区医師会を初め、関係各機関から 賛否両論が繰り広げられている。
各県のご意見、日医の見解と今後の方針につ いてお伺いしたい。
平成23 年1 月の九医連において同時改定に 向けての九州各県の要望事項が取り纏められ、 日医に提出された。その後、3 月11 日の大震災 となり、日医は同時改定見送りの申し入れをさ れ、その後は全面改定が行われないよう中医協 や、その他公の場で訴えられている。また、日医では、今回の改定は診療所及び中小病院に手 厚い配分がなされるようにとも訴えられている が、その具体的な腹案としての内容をお示しい ただくようお願いしたい。
また、全国医師会から或いは各ブロックから の要望事項はどのように取り纏められたのか、 そして今後どのように活用されるのかをお教え ていただきたい。
上記の2 題については一括協議された。
<追加発言>
■熊本県:この度発足した野田内閣において厚 生労働大臣に就任された小宮山大臣は、改定を 明言しているようであるが、日医の今後の方針 についてお聞きしたい。
また、中医協の医療経済実態調査について、 日医より今回の調査が診療報酬改定に直結する ものではないとして調査協力依頼があった。こ の実調の内容は非常に複雑で片手間で出来る物 ではなく、税理士に依頼するほかない。調査期 間は平成21 ・22 年度となっているが、7 月決 算の場合にはだいぶ古いデータとなる。また診 療科及び地域の区分等についても大雑把な点が 見受けられることから、とても診療報酬改定の 資料になるものとは思えず、日医には中医協で この実態調査が不完全であることをぜひ主張し ていただきたい。
<各県の回答状況>
各県からは、日医が要望している同時改定見 送り、もしくは改定を行うにしても不合理な留 意事項通知や施設基準要件の部分的な見直しに 留めることついては、概ね賛成の意見であった が、国では4 月の同時改定を予定どおり行うと 明言されていることから、日医の今後の対応に ついて意見が求められた。
<日医コメント>
□日医・鈴木常任理事:同時改定への日医の対 応であるが、前回の改定が急性期の大病院中心 の改定で、大学病院や公的病院、中小病院、民 間病院、有床診療所等、全て右肩下がりとのデ ータが出ており、非常に厳しい状況だと思う。 我々としては、次回改定が医療と介護の同時改 定であることから急性期、慢性期、医療と介護 の連携を改定の重点項目として準備を進めてい た矢先、東日本大地震が発生した。改定はやは り平時に行うものであり、震災時ではしっかり したデータが取れないことから、被災地の負担 を少しでも軽減するため、全面改定の反対を主 張してきた。しかしながら、前回改定による不 合理な点が多く、今回はその点を見直して頂く ために九州ブロックを始めとする各ブロック や、社会保険診療報酬検討委員会から提出して いただいた要望事項を取り纏め、不合理な項目 の優先順位について整理をしており、最終的な 詰めの段階に入っている。来週中にはご報告出 来ると思うが、皆様から提出して頂いた要望事 項と大きくかけ離れたものにはならないと思 う。また、同時改定ということで介護報酬の見 直しが先に進んでいるが、地域包括ケアに医療 をどう組み込むかについて検討している。最終 的には年末に政府が決定したものに我々は従う しかないが、どのような状況になっても地域医 療を守る為に柔軟に対応していきたいと考えて いる。
昨日の社会保障審議会・医療保険部会では改 定の基本方針について議論されたが、次回の改 定に関しては亜急性期、慢性期、在宅を中心に 前回の改定とバランスをとりながら全体を通し て医療が機能出来るよう話をさせていただいた。
実態調査は従来、6 月の単月であったが、診 療報酬改定によって非常にバラつきが大きいこ とから、改定前後2 年間のデータを取る形にし ていただいた。決算月により会計年度にズレが 生じる事は承知しているが、データを収集する ため調査は一斉に実施している。
また、被災地に配慮して調査が行われるはず であったが、調査委託先による誤送付問題が発 生したことから大変ご迷惑をかけてしまった。 実態調査は診療報酬改定の基礎資料となるので出来るだけご協力をいただきたい。有効回答率 は病院50 %、診療所40 %となっており、診療 科で区分すると極端に少ない科目が出る可能性 もある。
■横須賀座長:被災県については、国が的確に 判断して迅速に経済的保障を行えば良いと考え るが、国の危機管理が非常に悪いと思う。横倉 副会長のご意見を賜りたい。
□日医・横倉副会長:今回の改定は震災や国庫 財政が非常に厳しいことから、とても大きなマ イナス改定になるのではないかと非常に心配し ていた。今回は震災を考慮して、全面改定は無 理ではないかと申し上げていた。しかしながら 薬価差益が約5 千億ある。通常は改定の際、薬 価差を診療報酬に回しているが、改定を行わな ければ5 千億は財務省が財源として持って行く ことも問題であり、日医としては鈴木常任理事 から先ほどご説明があったように、現在矛盾点 の洗い出しを行っている。一番の問題点は診療 所の再診料を3 点引き下げた事が一番大きい。 これを元に戻すべきか、或いはもっと上げるべ きか。やはり、いろんな加算を設けるよりも基 本診療料にしっかり上乗せすべきではないかと の議論があるほか、有床診療所の入院基本料の 議論もある。その辺りを中心に鈴木常任理事の 方で苦労しながら取り纏めているところである。
もう一点として、この間、ある冊子に調剤薬 局のトップの収入が5 億円、株の配当が1 億と 掲載されていたが、桁外れの収入である。これ も社会保険の医療費から出ているお金である。 鈴木常任理事からも問題提起されると思うが、 そのような点についても見直す必要があるとし て議論されると思う。また前回の改定の際、手 術料等々は引き上げられたが、外保連から更な る見直しの提案が出されれば、その手当につい ても議論しなければならない。とにかく非常に 大きな金額である5 千億円を何とか確保出来る ように、改定の方向に向かいつつある。
一方、行政では大臣からの発言にもあるよう に改定の方向に動いているのが現状であり、ま た、各医療関係団体でも改定に向けた作業を進 めており、日医としては拳を上げはしたもの の、その裏では準備を着々と整えている状況で ある。
■横須賀座長:柔道整復の医療費が4 千億円と なっており、小児科、産婦人科も超えている状 況である。柔道整復の問題も前から取り上げら れている割にはなかなか進んでおらず、そのこ とを含めて日医には頑張っていただきたい。
■発言県不明:実態調査について、内容が評価 に耐えられないような項目であれば意味がない。 その点について日医からしっかり意見を出して はどうか。日医総研でもある程度データを持っ ている訳だから、実態調査と日医総研の内容と が乖離しないような調査をしていただきたい。
□日医・鈴木常任理事:おっしゃる通りだと思 う。本来、オルカは日医としてデータを集約す る為に始まったと思うが、データを提供してい ただけるところが限られているので、なかなか 対抗出来るデータにはなっていない状況である。 一方ではコスト調査分科会でコストに基づいた 診療報酬の分析を行っているが、コストの定義 がハッキリしていないため、暫く時間がかかり そうである。しかしながら、どれだけのコスト がかかるというデータが出たとしても財源はな く、結局は交渉次第となってしまう。ただ、先 ほどのご発言にもあるように実態調査自体がい い加減だと、いくら調査を行っても無意味であ る。今回、被災地に対する調査に関して、実態 調査の集計、分析がずさんであることが判明し たが、そこを見直していただいたうえで、信憑 性のあるデータの集約、しかも先生方にご負担 がかからないような方法について、毎回毎回少 しずつ改善していきたいと考えている。
■福岡県:今年の1 月に次回の同時改定に向け て我々九州ブロックの要望事項を取り纏めたと ころであるが、我々の要望がどのように取り扱 われているのか。その進捗状況についてお知ら せ頂きたい。
□日医・鈴木常任理事:皆様から頂いた要望事 項や同様に各ブロックから頂いた要望事項、会内の委員会からの要望事項、様々な団体からの 要望等について、重複している部分がかなり多 いことから整理をしたうえで一覧表を作成し、 現在、絞り込みを行い優先順位をつけていると ころである。近々、皆様にお知らせできると思 うので、もう少しお時間を頂きたい。
■横須賀座長:福岡県がおっしゃるとおり、九 州各県からかなり多くの要望事項が出され、鹿 児島県医師会で集約していただき10 項目を取 り纏め提出したが、その後の検証結果につい て、会員にタイムリーに知らせて頂きたい。単 なるガス抜きの為の協議会をやってもしょうが ない。日医執行部の先生方も忙しくて大変だと 思うが、我々末端の会員の意見を言わせて頂け れば、やはり進捗状況を的確に知らせて頂き、 それに対する我々の意見をまた吸い上げて欲し い。これは会員の先生方、同じ意見だと思うの でよろしくお願いしたい。
■鹿児島県:会員からは要望を上げているだけ で、その後の進捗状況が分からないと不満を聞 いている。本日の会議報告も行うが、「その後 どうなったのか」については非常に重要な事で ある。求心力にも影響すると思うのでよろしく お願いしたい。
■横須賀座長:事実だと思う。地区医師会、県 医師会、日本医師会等、これだけ医師がいるの に入会率が50 %台である。これは会が集約さ れていない裏付けではないかと思うので、末端 の会員まで状況を的確に知らせて頂きたいとい うのが我々の素直な意見である。
□日医・鈴木常任理事:今まで日医の方針を決 定する際には、情報や意見等を収集する過程に おいて、ある程度の時間を要したが、今回は不 合理な部分の改定として日医の方針を間もなく お知らせすることが出来る。情報発信について は日医ニュース等を用いてお伝えしているが、 発信が足りないということであれば検討したい。
政府は、高額医療費の見直しの財源として、 初診、再診時の一部負担に一律100 円の上乗せ を求めている。既に先進諸国に比べ、日本の患 者一部負担割合がかなり高い現状にも拘わら ず、安易に患者負担に頼る政府の姿勢は日本の 医療保険の根幹を危うくするものである。
特に、一部負担金の増加による受診抑制は大 きな問題であり、治療に頻回の受診を要する診 療科にとって、受診抑制は死活問題である。何 としても阻止すべきと思うが、各県と日医の見 解をお伺いしたい。
<各県の回答状況>
「受診時定額負担」は、受診時に毎回一定額 を支払うことで、高齢者や低所得者、長期に渡 り受診が必要な疾患等の患者負担が大きくな り、結果的に受診抑制に繋がりかねない。また 一旦導入されると、一部負担金は今後、順次引 き上げられることも考えられる。
今回は高額療養費の見直しに係る財源を捻出 する目的とされているが、公的保険である以 上、患者負担ではなく公費や保険料で賄うべき であり、日医には国民皆保険制度の根幹を揺る がす制度の導入については、絶対に阻止すべ く、強力なリーダーシップを期待する等の意見 が出された。
■横須賀座長:早期発見・早期治療が医療の根 本であり、受診が抑制されれば発見が遅れるこ とが考えられ、大きな問題である。鈴木常任理 事、横倉副会長より御意見を賜りたい。
<日医コメント>
□日医・鈴木常任理事:昨日の社会保険審議 会・医療保険部会でも強く反対を主張してき た。日本の医療制度は低コストで非常に充実し ており、対外的にも非常に評価の高い制度であ るが、唯一の問題点は自己負担が3 割と非常に 高い。患者さんが「日本の医療費は高い」とし て誤解される大きな原因になっている。現在で も自己負担が高いのに、受診時定額負担として 更に上乗せするのは不合理な話であり、保険制 度の範囲内であるので公費や保険料で対応すべきである。しかも明らかに受診抑制が組み込ま れている。高額療養費の負担軽減については反 対しないが、これは社会保険制度の根幹を揺る がしかねない大きな問題であることから日本医 師会でも重大に考えており、9 月23 日に国民医 療推進協議会総会を開催して受診時定額負担に 反対する国民運動を起こす準備を進めている。
□日医・横倉副会長:定額負担制度は保険の論 理から間違っているのは皆認識している。これ は小泉内閣時の経済財政諮問会議の委員であっ た吉川東大教授が、今回の税と社会保障の一体 改革のメンバーにも入っていた。当時から吉川 教授は保険免責制の導入を提案されていた。吉 川教授の主張は「大きなリスクは皆で支え、小 さなリスクは各自で負担」という自動車保険の 考え方を持ち込んでいることから、私は「医療 保険は社会保障であるので間違えないで欲しい」 と申し上げた。もちろん政治家の皆様方、特に 与党議員にも随分お話しをさせて頂き、前財務 副大臣の櫻井議員を始め、各議員の間では問題 が多いとの認識が広がっている。その内議論さ れなくなると思っているが、我々としては9 月 23 日に国民医療協議会総会開催して活動内容を 決め、国民運動として反対の気運を盛り上げた いと考えている。運動方針としては各都道府県 においても国民会議を開催していただき、議論 が収まらない場合には署名運動の実施や、12 月 には全国中央大会の開催等を検討している。
受診時定額負担は高齢者の方々にとって容認 できるものではなく、絶対に止めなくてはなら ない。
■福岡県:横倉副会長より国民運動のお話があ ったが、我々もその気運を盛り上げる為に9 月 22 日に開催される医師会代議員会において、 受診時定額負担導入に断固反対に関する決議を 採択する予定である。
■大分県:昨日の社保審の資料を拝見したが、 高額な治療薬の長期服用が必要な疾病の例とし て、慢性骨髄性白血病、乳がん、関節リウマチ の資料が出されていた。どうも声の大きい人達 の意見を取り上げて動いているように思える。 声なき国民の人達については、医師会が代弁す るような形で国民を味方にしないといけない。
■横須賀座長:乳がん等、病気は早期発見・早 期治療である。乳がんも早期で見つかれば手術 は80 万円程度だが、進行すると手術や放射線、 抗がん剤等で高額となる。早期発見・早期治療 について国民に啓発をし、なるべく自分の健康 は自分で管理するような教育、方向性をとるべ きではないかと思う。騒いでいる所だけ目を向 けるというのは不公平で、先生のご意見のとお りである。
電子レセプトの義務化により、そのデーター を活用したコンピューターによる審査が推し進 められており、支払基金では去る4 月、国保連 合会では5 月から開始予定であったが、諸般の 事情により「当面、開始時期を延期する」との 措置が取られた。しかし、昨今の請求・審査に 係る状況から、これらの点検実施はやむを得な いものとして容認されている。
突合点検、縦覧点検、通覧点検、横覧点検や 調剤審査の点数制限の撤廃と薬剤審査等から、 審査内容は詳細な項目への拡大、厳格化等が予 想されている。
会員医療機関には、医学的常識に基づいた診 療、病名整理、点数表に沿った保険請求、レセ プト点検、病状詳記、減点、返戻内容の検証や 再審査請求等についての再認識を喚起する必要 があるのではないかと考えられる。
各県の対応と会員への指導状況、日医の見解 についてお伺いしたい。
オンライン請求義務化に伴い、レセプト電算 がほぼ100 %に近い普及率となってきているの は周知の通りである。最近保険者再審と思われ る減点・査定のなかに、非常に細かい指摘があるケースが見られるようである。これは保険者 側がコンピュータ等による機械審査を行ってい る可能性を否定し得ないと考える。
一方審査員としてレセプト審査(原審)を担 当していると、非常に多くの病名(場合によっ ては60 以上)をつけて査定逃れとしか思えな いような対応をとる医療機関も目につくことは 確かである。またレセプト提出前にチェッカー を走らせて病名を付加するような対抗策をとる 医療機関も多くなっていると思われる。
機械審査では傾向・画一的診療や55 年通知に よる裁量性を判断できないと思われ、仮に保険 者が機械審査を行っているのであれば、そのア ルゴリズムを公開すべきと考えるが各県のご意 見を伺いたい。
上記2 題は関連している為、一括協議された。
<各県の回答状況>
各県からは機械審査は画一的な審査になりか ねず、医師の裁量権の担保を確保できるよう主 張すべきとの意見が出された。
■長崎県:機械で審査したものを我々がチェッ クするのだから、我々の裁量性を増さないとい けないが、実際には裁量性は狭められている。 日医の“55 年通知”に関する通知文書の中に は「薬剤使用量の上限を超える量の使用につい ても、いわゆる55 年通知に該当し、医師の裁 量権の範囲である」とあり、社保・国保に裁量 性を認めるよう申し入れたが、「赤本どおり」 として全く取り合わなかった。学会で認めら れ、広く行われている治療法にしても、保険点 数が無ければ認められないような方向になって いるので、裁量性もあてにならない。
結局、ルールどおりとなればレセプト病名を 沢山記載しなければならず、医療とレセプトの 実態がかけ離れてしまうこととなり、大きなジ レンマを感じている。
■横須賀座長:先生のおっしゃるとおりであ る。平たく言えば病名でカバーするしかないな いが、それではおかしなことになる。しかし、 医師の裁量権をどこまで認めるべきか。例えば 禁忌薬は慎重投与が認められているが、医療問 題で裁判となった場合に薬剤使用量は薬効に記 載されており、「上限を超えた量を使用したた め」と必ず指摘されると思うが、その時に医師 会として、しっかり対処出来るかどうかが気に なるところである。やはりルールどおりとした 方がよいのか考えるところであるが。
■宮崎県:患者さんの状況は様々であり、ルー ルがあってもオーバールールは当然のことであ って、それを自ら否定することは賛成出来な い。電子化のメリットは確かにあるが、治療は 医師の責任であり、もちろん裁量権も認められ るものと考えている。
■横須賀座長:正論だと思う。裁量権について 日本医師会を含め各医師会がもう少し強い態度 に出ることが必要ではないか。審査の場でも意 見があれば出す。そうしなければ一歩前に進ま ない。
□日医・横倉副会長:審査支払機関の在り方に 関する検討会が平成20 年4 月から始まった。 これはいわゆる規制改革会議において、支払基 金の抜本的改革を求められたことによるもので ある。検討会ではIT による審査を強化する意 見も出たが、医療は機械的な判断だけではな く、必ず人の目が必要であると主張し、結論的 には社保国保の審査会を残すということで決着 した。
常に支払側からは同様な意見が出てくると思 うので、機械審査の矛盾点について審査員の立 場から意見をしっかり発言し、今後に向けて意 見を積み上げていただきたい。
□日医・鈴木常任理事:機械審査とは言えど も、症例は一例一例異なるものであり、全てチ ェックは出来ない。最終的には先生方による審 査が必要となる。先生方の力なしでは審査は成 り立たないので、正しいことは主張していただ き改善していく。医療が高度化すればする程、 人の目による審査が増々重要になると思うの で、委縮せずに堂々とやっていただきたい。
今年度に入り、保険者の申し出による再審査 の査定が厳しくなっているように感じる。本県 では、入院中の他医療機関の入院基本料減額や 転院時における処方などの査定について、会員 医療機関から多くの照会を受けている。
特に入院中の他医療機関受診の制限について は、昨年度、九医連としても国に対し是正する よう日医を通じ要望しているところであるが、 入院患者について、専門外の治療も含めて、入 院医療機関が全ての管理を行うべきという縛り がある以上、地域における疾病ごとの連携や病 病・病診連携はスムーズに運用できない。日医 には改めて入院基本料の減算や外来受診先での 投薬制限の縛りを撤廃していただくよう国に対 し要望していただきたい。
また、各県における保険者からの申し出によ る再審査の査定の状況と本件に関するお考えを お伺いしたい。
本件については、昨年9 月に鹿児島市におい て開催された本協議会において5 つの県から改 善を求める提案がなされ、早急に是正されるべ きとの意見が大半であった。
また、本年1 月に開催された本協議会におい て日医鈴木常任理事に対応状況をお尋ねしたと ころ、次期改定前に是正できないか引き続き厚 生労働省と協議を行っているとのことであった が、その後の状況をお尋ねするとともに、次回 改定では是正されるよう再度要望したい。
退院時処方について、患者が転院する場合に おいての解釈は以下の通りであり診療報酬の請 求ができない。
※退院時処方とは「退院時に退院後に在宅において使 用するための薬剤を投与した場合」とあるので、退 院時に、転院(入院)先で使用するための薬剤を処 方した場合は算定できない。
当県において、過去においては審査支払い機 関は柔軟に対応してきたようであるが、今年度 から、厳格に適応されて事務査定が行われてい る。入院患者が急変し、他の急性期医療機関へ 転院した場合(例えば精神科に入院していた患 者が循環器疾患を発症したような場合)、転院 先ですみやかな薬剤の調達ができずに、患者に 不利益を及ぼすことも危惧される。他県におい ては、転院時の退院時処方の算定はどのように 取り扱われているのかお聞きしたい。また、転 院先の病床が「投薬に係る費用が算定できる場 合」は、財政的には中立であるので退院時処方 を認めて良いのではないか。
「投薬に係る費用が包括されている病床への 転院」時においても、必要最小限の処方や、特 殊薬剤の退院時処方を認めるように改善が図れ ないか日医の見解をお聞きしたい。
上記3 題については、関連している為一括協議された。
<各県の回答状況>
各県からは、入院中の他医療機関への受診、 退院時処方について患者本人の利益や医療機関 間の連携を阻害することになるため、入院中の 他医療機関受診の制限については即時撤廃、退 院時処方については出来高病棟、包括病棟に関 わらず退院処方が可能になるよう改善を求める 意見が出された。
<日医コメント>
□日医・鈴木常任理事:入院中の患者さんの他 医療機関の受診の問題については、全国から寄 せられた意見の中でも非常に大きなものであ り、一部は昨年6 月に改善されてはいるが、今 回の不合理な部分の優先事項にも入っているの で、これは強く申し入れていきたいと思う。
■福岡県:退院時処方について青本では、「療養病床であること。特定入院料を算定する病院 では退院時に退院後在宅において使用するため の薬剤は算定出来る」としか記載がなく、一般 病院には適用されない。入院中の患者の他医療 機関の受診と同じように、DPC とまるめ込ま れるのではないか。
■鹿児島県:鹿児島県でも同様なことが発生し ているので、九州厚生局鹿児島事務所並びに日 医にも問い合わせたところ、Q & A が出されて いるとのことであった。DPC に係るものは一 般病院にも係るとの解釈とされているが疑問で ある。
■長崎県:長崎県では、社保と国保の取扱いが 異なる。これは青本の解釈の違いで、算定可・ 不可どちらにも取れるような書き方が悪い。本 県ではDPC 病院から転院する場合は、必ず1 週間分の薬を出している病院もある。それだけ 持ち出しをしなければならないということは決 まりがおかしいと思うので、ぜひ改善をお願い したい。
□日医・鈴木常任理事:確認したところ、転院 先の病棟や病床が包括点数を算定している場合 は、投薬も包括されている為、算定出来ない。 しかし転院先が包括されていない場合には、算定 出来ないと明確には記載されていない。この件に ついては様々な問題点があることが分かってきた ので、対応については厚労省と協議したい。
昨年秋の日医代議員会で原中会長より、指導 大綱を見直す旨の発言があったが、その後目立 った動きは見られない。平成23 年2 月17 日付 けで厚生労働省から地方厚生局あてに、「診療 報酬適正化連絡協議会」の設置が各都道府県単 位で求められている。この協議会は、「地方厚 生局と審査支払機関との連携強化と情報共有化 (個別指導及び適時調査の結果)により、診療 担当者等の適正な保険診療及び保険医療機関等 の適正な保険請求をより一層推進するととも に、審査支払機関における審査を効率的・効果 的に行い、診療報酬の適正化を図ることを目的 とする。」とある。設置運営規定では、構成す る関係機関は地方厚生局、県民生主管部、支払 基金、国保連合会の4 者となっているが、診療 担当者の代表が除外されていることは片手落ち であると思う。国民のために公平で中立な診療 報酬の適正化を図るためには、実際に診療にあ たっている診療担当者の代表の参加と意見聴取 が欠かせないと考える。この件に関する日医の 考えをお聞かせいただくとともに、各県での 「診療報酬適正化連絡協議会」の現況をご教授 願いたい。
<各県の回答状況>
同協議会は熊本県を除いて既に設置されてお り、熊本県では本年度末の設置に向けて準備中 との報告があった。同協議会の目的が保険診療 の財政的抑制であり、保険医療機関が請求ルー ルを遵守するあまり緊縮医療等により患者に不 利益が生じてはならず、また厚生局、県並びに 支払機関の情報共有化は医療機関への監督権限 の強化、審査基準の厳格化等に繋がりかねない ことから、公平性を保つためには診療側の代表 として医師会も参加出来るように日医より要望 していただきたいとの意見が出された。
<日医コメント>
□日医・鈴木常任理事:診療報酬連絡協議会 について各県の回答によると、まだ1 回程度の 開催であり、実質的にはあまり機能していない と思われる。むしろ九州では既に支払基金、国 保連合会を含めた連絡協議会が開催されている 県もある。現実的には医師会も入らないと動か ないと思うので、働きかけをしていきたい。多 くの先生方が審査委員になられていると思う が、都道府県から問題が上がってこないことに は、なかなか動きにくい部分もあるので問題点 があれば指摘して頂きたいと考えている。
■鹿児島県:同協議会の目的の一つとして、審 査支払機関から地方厚生局への情報提供とある。
これは乱診乱療を行う機関を個別に取り上げ てもらえるものと思っていたが、厚生局へ確認 したところ、診療報酬請求の個別案件ではな く、傾向的情報に関してとのことである。
月何百万と査定しても乱診乱療を行うところ が個別指導には引っかからず、真面目に診療を 行っているところが個別指導となるのは納得が いかない。日医には個別案件についても取り上 げるよう要望して頂きたい。
印象記
理事 平安 明
平成23 年9 月17 日に平成23 年度第1 回医療保険対策協議会がホテルニューオータニ佐賀にて 開催された。
台風15 号の接近で事務局は前日に現地入りしていたが、私は都合が悪く当日入りとした。その ため飛行機が飛ぶか心配であったが、稀に見るノロノロ台風で17 日当日もまだ台風の影響は強く ない状態であり問題なく現地入りすることができた。逆に18 日の帰沖の方が気がかりであったた め、当日とんぼ返りすることに決めたがこれがかなりの強行軍となった。結果的に台風は迷走の 揚句、本島をかわし航空便(一部離島便は除いて)に関しては拍子抜けするほど影響は出なかっ たようだ。
さて、今回は10 題の協議事項が提案されたが、帰りの飛行機の都合で当県からの提案議題を最 初に回してもらった。非常に恐縮したが、保険診療に関する個別指導や適時調査といったこの会 議でも重要と位置付けている事項なので活発な議論をしていただいた。日医常任理事の鈴木先生 からのコメントで「九州厚生局圏内は比較的行政と医師会との情報交換がうまくいっているよう で、全国の他地区と比較しても割と問題が少ないのではないか。むしろ九州の取組みを参考にし ていきたい」といった趣旨の発言があり、それに対しては「問題がないわけではない。泣き寝入 りしていることもあるかもしれない。軽々に問題がないかのようなことを言わないでほしい」と いった意見も出た。地域差はあるがとにかく全国的に問題が多いのは事実のようである。指導等 に関しては今後も些細な事を含め出来るだけ取り上げ、中央にもち上げていくこと、情報を共有 していくことが重要であると感じた。
次に診療報酬と介護報酬の同時改定に関する議題が協議された。先の震災後、医療経済実態調 査(実調)を基にした改定議論の妥当性や被災地の問題をどのように改定作業に反映するのか等 様々な問題があるが、原則的には、改定は平時を想定したもので実調もちゃんとしたデータを取 れない現状では全面改定は避けたい、不合理な点は見直しをしていくべき、といったことを再確 認した。“不合理な点”については全国から持ち上がった要望書を基に現在日医で優先順位等の検 討をしており、近々報告できるであろうとのことであった。
その他、受診時定額負担、レセプト審査関連、入院中の患者の他医療機関への受診における減 算や転院の際の退院時処方について、といった事項について協議されたが内容は前述の議事録を 参考にしていただきたい。
今回は台風15 号に翻弄され全日程を参加することができなかった。結果的に沖縄本島は影響が 少なかったが、この台風は東日本を勢力を保ったまま縦断し、全国で死者12 人、不明者4 人(9 月22 日時点)をはじめ、震災の被災地でも大雨による冠水等で大きな被害を出してしまった。今 年は水に関連した被害が尋常ではない。これ以上災害が加わらないよう切に願わざるを得ない。