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研修医として、指導医として

堀川智史

豊見城中央病院後期研修医(医師4年目)
堀川 智史

こんにちは。豊見城中央病院医師4 年目、後 期研修医2 年目の堀川です。初めての方も、知 っている方も、気軽に読んでいただければと思 います。

自分は、福岡県出身、久留米大学卒、初期研 修から豊見城中央病院でお世話になり今に至っ ています。今回は、研修について、研修医とし て、そして現在指導する立場にもあり指導医と しても、若輩者でありますが私見を述べさせて いただきます。

まず研修医にとってのいい研修とはなにか? それには様々な基準があるとは思いますが、お おまかには以下のようなことが挙げられると思 います。

・研修システムの充実
・ロールモデルとなるような指導医との出会い
・その病院の医療の質

研修システムについては様々あると思いま す。例えば、ローテーションの内容であった り、カンファの充実など。自分が所属する豊見 城中央病院では様々な科をローテートできるこ とに加え、群星沖縄に所属していることもあ り、月2 回の宮城征四郎先生の教育回診に加 え、月1 回の沖縄内外から招待して行うFD と いう講演会など、さらに群星に所属する関連病 院への研修が可能なことが魅力ではないかと思 います。

個人的には、市中病院で研修を考えていた際 の不安として、自分の所属する病院のやり方が 正しいのか確認ができないことに不安がありま した。そういった点では全く特色の違う病院の 研修医との交流ができることや、他の病院へ研 修できたことは大きな財産になりました。

次に、尊敬できる指導医との出会いも大きな ことだと思います。良い指導医がいることはい い医療につながり、医療の質にもつながること になります。

いい指導医としては様々あると思います。知 識が豊富である、診断能力に長けている、指導 熱心である等があると思います。個人的には確 かに先ほど挙げたような点も大事ですが、研修 の間感じたことは患者・患者の家族とコミュニ ケーションに長けている点も重要に感じまし た。特にシビアなムンテラでの対応ではやり方 も様々であり、これこそ実際に見て学ぶところ が大きいと思います。基本的なところだとは思 いますが、医療を行う上で非常に大事なところ だと感じ、敢えて挙げさせていただきました。

これまでは自身の周りの環境について述べさ せていただきました。ただ環境も重要ですが、 一番重要なことは、自分の気持ちだとは思いま す。自分のできることについて限界を作るのは 自分次第です。個人的にもどこまで自分でやれ るか、やっていくか、この4 年間もずっと葛藤 しています。

思えば自分はもともと精神科志望で、初期研 修後帰郷する予定でしたが、2 年ではもの足り ずもっと内科を勉強したく気づけば4 年となり ました。

沖縄は自分にとってこれまで、縁もゆかりも ない土地でした。沖縄県での研修を決めた理由 としては、沖縄の青い海・青い空・文化に惹か れたこともありましたが、慣れ親しんだ環境で はなく、知らない環境で自分を試したいこと、そして決定打はレジナビで初めてお会いした宮 城征四郎先生の考え方に惹かれ、沖縄での研修 を決意しました。

沖縄での研修は、環境・文化の違いも加わ り、驚きの連続でしたが、医療の面では、中部 病院からの伝統か、後輩に教えるという習慣が 根づいていること、救急車はよほどでなければ 断らないところなど全国で見ても、評価すべき 点だと思いました。

初期研修では、郡星沖縄に所属していたこと もあり、様々な科・病院で研修させていただき ました。また、色々な病院からも当院へ研修に くることでお互いに刺激になりました。病院内 においても他科との風通しがよく、横・縦のつ ながりが強いのも島ならではの良さではないか と思います。

現在自分は、豊見城中央病院から八重山病院 への応援医師として7 月より赴任しています。 やっと慣れてきたところですが、来て感じたこ とは、八重山諸島は思っていた以上に大きく、 それをカバーしている医療者の負担は想像以上 でした。医療・移動手段が制限される中で、診 療所→八重山病院、八重山病院→本島へ搬送す るタイミングの難しさ。治療後の受け入れ先の 不足。また、所得面と医療費のなど治療の面か ら社会面までなんとか折り合いをつけながら行 っているところは、自分達は治療ではなく医療 を行っているということに改めて自覚させられ ます。検査・専門性などが制限される中での医 療は大変でもありますが、結果的に自分を鍛え る場にもなっており、自分の経験・知識を広く 深くできるいい機会だと思います。

離島というと敬遠される方もいるとは思いま す。苦労することもありますが楽しいことも多 くあります。そして苦労したことこそよく覚え ているものです。百聞は一見にしかずで興味あ る方ぜひ離島への支援もお願いします。

今回、色々と話が飛んでしまいました。自分 もまだまだ若手医師の1 人であり大層なことを 言えた身分ではありませんが、研修医の先生 方、自分も含め、楽しみながら、誇りをもっ て、驕ることなく医療に取り組んでください。

以上、自分を含め若手医師へのエールとさせ ていただきます。

自分は来年度沖縄を離れ、内科から精神科へ 入ることになります。環境は変わりますが、沖 縄で学んだことは自分の一生の宝です。思えば たくさんの病院でたくさんの方々にお世話にな りました。この場を借りてこれまでお世話にな った方々へ感謝の意を述べさせていただきま す。ありがとうございました。

病院のみんなと

病院のみんなと