理事 玉井 修
平成23 年6 月25 日(土曜日)ロワジールホ テルにおいて第21 回県民公開講座が開催され ました。今回のテーマは「あなた、飲み過ぎて いませんか?」と題して、飲酒に関しての様々 な問題に関してとりあげました。沖縄県は飲酒 に関して寛容な土地柄と言われます。深夜ある いは朝方まで飲酒ができる居酒屋の営業形態、 ひどい場合は夕食を居酒屋で済ませてしまう家 族のあり方にも問題があるのでしょう。居酒屋 で子供たちが走り回っている風景でさえ今や違 和感を感じない状況となっています。
飲酒による社会弊害は様々な薬物によるもの を凌駕しており、気軽に手に入るという事実に 併せて、すでに日本ではCM などで気軽に飲酒 に関しての広報を人気のある俳優が爽やかな映 像に乗せて行い飲酒に対しての敷居を下げる事 に貢献しています。
しかし、飲酒運転やアルコール依存によって 生じている様々な社会問題に関して真正面から 向き合う機会が少なく、飲酒が実際に人の人生 をどの様に狂わせているのかを考える機会はほ とんど無く、仕方のない事、個人の問題として 遠ざけてしまうような風潮にあります。しか し、飲酒の問題は非常に身近な問題なのです。
飲酒が過ぎて社会生活に問題を生じているの なら、それは社会においてみっともない事とし て扱う事が普通の事なのです。安易に許してし まうのが良いコミュニティのあり方ではないと 思います。
昭和の良い時代に小学生だった私は、明け方 まで飲んでいる酔っぱらいによく呼び止められ て説教をされました。酔っぱらいは私に「俺み たいになるなよ、しっかり勉強しろ!」と説教 をしてくれました。みっともない自分を、みっ ともない生き方だと自覚し、こんな自分になる なと諭してくれました。
今回の公開講座には、飲酒運転で人身事故を 起こした女性や、飲酒によって家庭を崩壊させた方が紹介されました。会場にはカミングアウ トした多くの痛みを背負った人々がいました。 父親が息子に酒を買いに行かせた時、小学生の 息子は自分の買ってくるお酒がお父さんの最後 のお酒になるようにと願をかけて買ってきたそ うです。お金を握る小さい手、お酒を抱く小さ い身体には、それでもお父さんを愛し続ける子 供の心が通っていたのだと思います。
糸満晴明病院院長 稲冨 仁
“あなた飲みすぎていませんか?”と聞かれ たら何が頭に浮かぶでしょうか。水・コーラ・ 薬などではなく多くの人が酒の飲みすぎと考え るのではないかと思います。
社会の中で上手に人付き合いをするのに、飲 酒は切り離せないものとして広く親しまれてい ます。
“酒は百薬の長”などという言葉もあります が、実際は飲み過ぎによる病気を気にしながら 飲酒している人が多いようです。
近年の経済・政治の混乱や悲惨な自然災害に 原発問題・複雑な情報化社会において、油断す ると誰でもかかる可能性があるのがアルコール 依存症という病気です。
しかしながら、この病気は正常と病気の線引 きが難しく、本人だけではなく周囲も病気であ ることを認めるまでに時間がかかるという特徴 を持っています。
また、日本はいつでもどこでも飲酒出来る便 利な国であり、成人なら法律でも守られている ため酒は安全というイメージがあります。
ところがWHO(世界保健機構)は芸能関係 の報道で話題となった覚せい剤や麻薬など違法 なものを含めた薬物の中で、最も有害なものは アルコールであるという調査結果などをもと に、飲酒問題に真剣に取り組むべきであるとし ています。
実際アルコールの弊害は多岐にわたり、数多 くの体や脳の病気や怪我の原因になります。そ れだけでなく家族など周囲のひとへの精神的・ 身体的ダメージや飲酒運転や事故、自殺や事件 との密接な関連、経済的損失など計り知れない 影響があります。
アルコールは依存性薬物であるため、酒に頼 る機会が多ければ、その分だけ控えたり止めた りする努力が必要になります。
依存症と診断されたら断酒のステップをこつ こつと歩むことをお勧めしますが、そこまで行 き着く前に末永くお酒を楽しみたい方は、酒だ けではなくほかのストレス解消法を取り入れた り、コミュニケーション能力を向上させたりと それなりの努力や工夫が必要になるでしょう。
アルコール依存症という病気は“意志が弱い” とか“暴力的”“だらしない”など誤解も非常に 多く、偏見も強いため、回復へのチャンスを得 られず不幸な結末となる方も多くみられます。
沖縄は長寿県と言われていますが、肥満・中 年男性の自殺・未成年の非行・家庭内暴力・離 婚・失業・飲酒運転など沢山の問題を抱えてい ます。これらの多くは飲酒が密接に関連してい るといえます。
アルコール依存症からの回復や予防には沖縄県民ひとりひとりの意識改革が大切です。
下記のテストで自己診断もしくはご家族など 周囲の方にもお勧めしてみてください。
{AUDIT}(Alcohol Use Disorders Identification Test)
1.あなたはアルコール含有飲料をどのくらい の頻度で飲みますか?
2.飲酒するときには通常どのくらいの量を飲 みますか?
日本酒1合=2ドリンク、ビール大瓶1本=2.5ドリンク、
ウイスキー水割りダブル1杯=2ドリンク、焼酎お湯割り1杯= 1ドリンク、
ワイングラス1杯= 1.5 ドリンク位(1ドリンク=純アルコール9 〜 12g)
3.1 度に6 ドリンク以上飲酒することがどのく らいの頻度でありますか?
4.過去1 年間に、飲み始めると止められなかっ たことが、どのくらいの頻度でありましたか?
5.過去1 年間に、普通だと行えることを飲酒 していたためにできなかったことが、どのく らいの頻度でありましたか?
6.過去1 年間深酒の後体調を整えるために、 朝迎え酒をせねばならなかったことが、どの くらいの頻度でありましたか?
7.過去1 年間飲酒後罪悪感や自責の念にかられ たことが、どのくらいの頻度でありましたか?
8.過去1 年間飲酒のため前夜の出来事を思い 出せなかったことがどのくらいの頻度であり ましたか?
9.あなたの飲酒のために、あなた自身か他の 誰かがけがをしたことがありますか?
10.肉親や親戚、友人、医師、あるいは他の健 康管理にたずさわる人が、あなたの飲酒につ いて心配したり、飲酒量を減らすように勧め たりしたことがありますか?
core AUDIT を採点する際は、各質問の回答 番号を合計する→( 点/40 点)
1)10 点未満の方は
・今のところ、あなたのお酒の飲み方に大き な問題はないようです。
・1 日2 ドリンク(缶ビール500ml1 本か日 本酒1 合弱)までの飲酒にとどめましょう。
2)10 〜 19 点の方は、
・現在のお酒の飲み方を続けますと、今後お 酒のためにあなたの健康や社会生活に影響 が出るおそれがあります。
・これまでのお酒の飲み方を修正された方が良いでしょう。
具体的には1 日2 ドリンク( 缶ビール500ml1 本か日本酒1 合弱)までの飲酒にとどめましょう。
3)10 〜 19 点で、現在糖尿病や肝臓病の治療 中の方は、
・現在のお酒の飲み方を続けますと、お酒が 現在治療中の病気の回復の妨げになるばか りか、病状を悪化させるおそれがあります。
・まずは、これから2 週間お酒をやめて、お 酒が体に与えた影響を確かめましょう。
4)20 点以上の方は、
・現在のお酒の飲み方ですと、アルコール依 存症が疑われ飲酒のためにあなたの健康だ けでなく、家庭や職場での生活に悪影響が 及んでいることが考えられます。
・今後のお酒の飲み方については、一度専門 医にご相談下さい。診断によっては、断酒 が必要となります。
沖縄県石川警察署副署長
ASK 飲酒運転防止上級インストラクター 大城 辰男
1沖縄県における飲酒運転の実態
(1)飲酒運転検挙の実態
平成22 年中の沖縄県の飲酒運転検挙 件数は2,269 件で、この数は全国で2番 目に多い飲酒運転の検挙件数でありま す。(沖縄県以外の上位全て大都市圏) 飲酒運転を人口千人当たりの検挙件数で 比較(全国・九州)しますと、沖縄は 1.63 件、九州0.48 件、全国0.31 件で全 国の約5.2 倍、九州の約3.4 倍と多い。
(2)飲酒絡みの人身事故の推移
平成22 年中の飲酒絡みの人身事故の 発生件数は154 件で昨年に比べ29 件も多く構成率で2.37 %と21 年連続全国ワースト 1が続いている。飲酒運転による人身事故の割 合は、全国に比べて約3倍と高い。
(3)飲酒絡みの死亡事故の推移
平成22 年中の飲酒絡みの死亡事故の発生件 数は8件で昨年に比べ5件減少しているものの 構成率で17.0 %と全国ワースト2(昨年まで 15 年連続ワースト1)。
飲酒運転による死亡事故の割合は、全国に比 べて約2.6 倍と高い。
2 一杯の代償
平成18 年8月飲酒運転の乗用車が多目的レ ジャー車に衝突し車両ごと海に転落して幼児3 名が死亡。県内でも伊平屋村で同じ日に飲酒運転で同僚を引きずって死亡さ せた悲惨な事故は今でも記憶 に残っている。このような悲 惨な事故が起こった後も一向 に減らない飲酒運転。本当に 残念でならない。
平成21 年6月には飲酒運転 の罰則が強化され、全国的に 飲酒運転根絶運動が盛り上が っている中、またしても飲酒 運転による死亡事故が発生し てしまった。
その事故を起こした「加害 者A子からの手紙」から引用
泣かないで 泣かせないで もう、 だれ一人として泣いてほしくない。誰 一人として泣かせないでほしい。私が 多くの人々を泣かせてしまったから、 私のようになってほしくない。私は残 忍かつ卑劣で無責任な行為によって何 の罪もない尊い命、未来や可能性な ど、すべてを奪い、被害者のご遺族の 皆様に辛く苦しく、悲しい思いをさ せ、また多くのものを奪いました。私 が事故を起こした月からは、飲酒運転 の罰則強化が始まったばかりでした。 なのに何故私はあの時飲酒運転の怖さ や悲惨さや飲酒運転の厳しさ「もしか したら事故を起こしてしまうかもしれ ない」等と少しも頭をよぎらなかった のだろう。なぜ、なぜと何度も自分を 責め、何度も自分自身に問いました。 私は今まで何度も目にし、耳 にしてきた飲酒運転の怖さ、 悲惨さを「可哀想だな、大変 なことがあったんだ」と感じ ても、もしも自分が被害者だ ったら、加害者の立場だったらと自分に置き換 えて考えて見ることは一度もありませんでし た。そう、自分とは関係ないかのように全て他 人事のこととして受け止めていたのです。飲酒運転をする人を見かけたら、飲酒運転の先にあ る怖さ悲惨さを身近な親しい人々だけにでも教 えてあげてください。私のようにやってしまっ てからいくら後悔しても遅いのです。もう、被 害者にも加害者にもだれ一人となってほしくあ りません。だれ一人として悲しんで泣かないで ください。
と今もこの事故の責任を強く感じて生きてい ます。それだけ飲酒運転はその人や周りの人の 人生を大きく変えてしまうのです。
むすび
平成22 年中の飲酒運転実態調査分析結果 (被検挙者2,269 人中1,586 人(69.9 %)が回 答)において飲酒運転をしてはいけないことは 知っているが、「その程度は大丈夫と思った」が 39.7 %と約4割が誤った解釈をしております。 今後の飲酒運転防止はお酒を飲むなではなく、 いかに正しい知識を持ち、飲み過ぎ防止を浸透 させることが大事なことであると思っています。
ASK 飲酒運転防止上級インストラクター
豊見城断酒家族会 大田 房子
私の夫は17 年前にアルコール依存症と診断 されました。
アルコール病棟に入院したものの、半年前ま で仕事をし、社会的責任を果たしてきた夫を病 気と受け入れることが出来ませんでした。その 浅はかな考えが家庭崩壊へと追いやっていった のです。どんな手立てをしても夫の酒を止めさ せることは出来ませんでした。家庭は荒れ果 て、すべての責任が自分の肩に重くのしかかり、自分の無力さを責め、希望のない日々。ど ん底の生活を家族は体験しました。
依存症の宣告から4 年近くたち、夫は自ら助 けを求め断酒会につながりました。進行ととも に夫が失ったのは身体ではなく人間性だったこ とを例会出席の中で気づかされ、私も同じ状態 だったことを思い出し、反省させられました。 アルコール依存症は「家族ぐるみ」の病気であ ることを学び、子供に与えたつらい記憶がよみ がえり苦しんだ日々もありました。
夫婦で断酒会に参加し続けたおかげで、夫は お酒を止め12 年目を迎えています。1 回目の入 院当時、小学6 年生だった長男を頭に4 人の息 子も社会人として自立し、壊れかけていた家族 が夫の断酒のおかげで、それぞれが自分らしく 人並みの生活を送っております。
私は現在、断酒会という自助グループの家族 会員として、夫とともに酒害相談やアルコール 依存症に対する社会的偏見の解消をめざし啓蒙 活動をしています。
かつて夫も私自身も病気として認めるまで時 間がかかりました。それまで「人間性の問題」 「人間失格」とレッテルを貼り、また社会から は「自己責任」「身内の責任」と見放されてい るように感じ、孤立感がありました。
社会一般の持つアルコール依存症のイメージ は病気が進行した一部の酒害者の行動や外見か ら生まれているもので、早期治療と回復に大き な妨げとなる大きな原因となっています。
2 年前、厚生労働省障害者事業の一環で「ア ルコール・薬物問題全国家族フォーラム」が東 京で行われ参加しました。アルコールや薬物依 存症者を抱える家族や支援者が集い、現状と今 後の課題について討議された中で、問題飲酒が 始まってから治療や自助グループにつながるま で平均8 年かかっているという調査結果を知 り、愕然としたのです。
この長期にわたる酒害で、本人を含めその回 りの人たちの人生にどれだけの影響を及ぼして いるかを考えると、社会損失の大きい病気であ ることが分かります。
治療しなければゆっくりと悪化していき、そ の間に心身の健康、仕事、社会からの信頼性、 家庭を失っていきます。最後の絆で結ばれてい る家族が見放したとき、人間関係の孤立と経済 的な孤立が重なり、自らの命を絶った会員を数 名見送りました。アルコール依存症は望んだ死 ではなく、迫られた死といえるのではないでし ょうか。先ずは悩んでいる家族が回復者のいる 断酒会に足を運ぶことです。
断酒会の中で失ってきた人間関係を同じ悩み を持つ仲間の中で絆をつくることができます。
また子供らしく安心して暮らすことが出来な い機能不全家族の中で育った子供の世代間連鎖 の問題は断酒会でも大きな課題となっています。
特に他国では考えられない過剰なお酒のCM の影響で、本能はいやおうなしに刺激され若年 層や女性のアルコール依存症も増加しているの が現実です。これに歯止めをかけるためには先ず、アルコールのもたらす害と、その正しい飲 み方を知る必要があり、またその行き過ぎたP Rや販売方法に警告を発し続けることがこれか らも必要なのです。
私は断酒会の活動と共に、NPO 法人ASK 認 定飲酒運転防止インストラクターとして、県警 の協力で企業や団体等で飲酒運転予防と銘打っ てアルコールの基礎知識(アルコールが脳や身 体に与える影響、飲酒後の肝臓での処理される 時間、飲みすぎの危険性、飲酒運転にならない ための上手な飲酒の仕方、依存症にならないた めの飲酒習慣の見直し、依存症治療や介入等) を習得することで、飲酒がらみの事件、事故の ない社会を目指すことを目標に活動しておりま す。ご理解とご協力を宜しくお願いします。
・・・人は誰かに自分を理解してもらいたいと 思っています。お気軽に断酒会にお越しくださ い・・・・・
○玉井理事 県民公開講座を終えてのご感想 を伺いたいと思います。
先ず、小渡座長、いかがでしたでしょうか。
○小渡座長
台風の影響で悪天候 にも関わらず、約300 名の方々に参加頂いた ことに、非常にアルコ ール問題に関心が高い という印象を持っております。
各シンポジストの先生方が、そ れぞれの講演時間を守って頂いた お陰でスムーズな進行が行えまし た。
質疑応答では質問を沢山頂き、 それを集約して先生方にご回答頂 きました。個人的な質問も多く、 会場では回答出来なかったのです が、それほど深刻な問題を抱えている方が多い ということを感じております。
○玉井理事 切羽詰まった質問が多数寄せら れておりました。
○稲冨先生 当初、参加者の数が伸びそうも なかったのですが、300 名来て頂いて安心しました。
講演ではいろいろ欲張って盛り込みすぎ、う まく説明が出来なかったと反省しております。 病院に来られる方も人それぞれで、みなさんお っしゃる事が違うため、即座に答えられない事 が多々あります。1 件の相談を受けるのに1 時 間掛かったりします。
本日の質問に対する答えも難しいところもあ りました。
○玉井理事 大城さんいかがでしたでしょうか。
○大城氏 今回、このような会に参加させて 頂きありがとうございました。飲酒運転の問題 は様々な周知が行われ、皆さん良くご存じかと 思いますが、それでもまだまだとの感じは持っ ております。実際、マスコミによって飲酒運転 事故が報道されますが、当事者がその後どうい った人生を歩んでいるかということについては、 中々知られておりません。少しでも多くの方々 に、事故を起こしてしまった後はこういうこと になってしまうということを知ってもらいたい と思っております。
これまで、警察だけの立場で何度か講演する 機会がありましたが、最近は今回のように稲冨 先生や、大田さんのような方々と連携できる機 会が出来ましたので、今後もこのような活動を 続けて行き、事故を防ぐことが出来ればと思っております。
○玉井理事 今回のアンケートでも、県民に 対する啓発が重要だと多くの方が回答されてお りました。
決して罰則を厳しくすれば良いのでは無いと いう本質の部分を解っていることに、少しホッ とした気持ちです。
○大城氏 これまで各地域で講演を行った 際、警察の取締や、罰則の強化を訴える方が多 かったのですが、本日のアンケートでは教育や 啓発が約7 割をしめており、かなり意識が変わ ってきているとの印象を持っております。
○大田氏 私もこういう機会を与えて頂きよ かったと思っております。ASK 飲酒運転防止 インストラクターの役割はアルコール教育です が、アルコールの飲み方を企業で講演すると、 今までの飲み方だったら自分も依存症になって いたかもしれないという方が大半なんです。
そのため、今、沖縄に必要なのはアルコール 教育だと思います。企業の方からも出来たら成 人式の日にやって欲しいとの要望もありました。 国や県がもっと積極的に関わって地域や企業な どへの教育活動を行ってもらいたいと思います。
○国吉県福祉保健部健康増進課長
福祉保健部長からも お話がありましたよう に、「健康おきなわ21」 において、アルコール 問題対策を進めている ところでありますが、 本日、アルコール問題 は非常に裾野が広いということと、本人以外にも非常に大きな影響があるということをお話頂 いたことは非常に有難いと思っております。
本当に日常生活そのものに関わっているもの ですから、それについて自分自身を見つめ直す ことは非常に難しいことだと思いますが、こう いった機会を何度も設けていくことは非常に大 切だと感じております。
今年は、お酒やタバコについての部会を立て 直して対策を進めていく予定です。
アルコール問題は自殺や沖縄の自立を妨げる など大きく関わってくる問題でありますので、 重点的に取り組んで参りたいと思っております。
本日はありがとうございました。
○玉井理事 今回、沖縄タイムス社さんとの 共催ですが、中根さん、今日の内容は良い記事 になるのではないでしょうか。
○中根沖縄タイムス社編集局長
今回、医療、警察、 更にはご家族の側から の濃密なお話が伺えま した。予想よりも参加 者が増えたのは、それ だけ関心が高かった表 れだと思います。
質問にしても個人に照らしあわせたものがか なり多いとのことでしたので、それだけ深い悩 みを抱えていると感じました。私ども新聞記者 も酒とは中々縁が切れないものですから、本日 の講演を参考にさせて頂きたいと思います。あ りがとうございました。
○諸見里沖縄タイムス社専務取締役
大田さんが、「泡盛文 化」という言葉を使っ ておられました。さら に、酒やタバコに甘い 社会というお話を聞き つつ、アルコール依存症というのは個人の病気かもしれませんが、あ る意味社会が逆の環境を整えてしまっているの ではないかとの印象を強くしました。
特に、沖縄の場合は夜型社会を含めて、様々 な戦後の社会の歪みとでも言いましょうか、そ ういった中で随分課題を抱えていますが、そう いう中からアルコール問題が生み出されてきた のではないかと思っております。
質の良い酒を少しずつというものが本来の沖 縄の酒の嗜み方だったのではないかと改めて勉 強させてもらいました。
何度か飲酒運転も含めて連載してきました が、今回を機会に改めてテレビCM だけではな いですが、CM のあり方も私どもの課題なのか もしれません。
今後は、読者にそういったことを伝えていけ るよう、編集局長共々考えていきたいと思って おります。ありがとうございました。
○宮城会長
先生方、ありがとう ございました。2 時間と いう時間を全く感じさ せない内容でした。会 場の方々も真剣にこの 問題を考えておられま した。個人的に色々な 問題を抱えておられる方が大勢参加されていた かと思います。アルコール問題は沖縄の社会問 題でありますし、こういう機会をもっと作りな がら問題解決に役立てていきたいと考えており ますので、それぞれの立場から是非お知恵を貸 して頂きたいと思います。本日はありがとうご ざいました。